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39 起こり得た未来
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「え?何か言いました?」
何か聞こえてはならない単語が聞こえたような気がしたので、聞き直してみた。
「あのダンジョンが起こし得た未来だ」
その言葉を聞いて私は固まった。私が未来を知っていると確信している?なぜ?ドラゴンゾンビの事から推測した?
「み、未来なんて、知らないですよ」
私が知っているのはゲームの世界の起こった事を知っているだけで、決してこの世界の未来ではない。
「ルード殿が言っていたが、モナ殿は昔からリアン殿は勇者になると言っていたそうじゃなか」
「あ」
言ってた。かすかな望みを託して私のレベルアップを手伝わすついでに、リアンのレベルアップもさせていたのだ。
「ルード殿は兄のリアン殿は守護者になると思っていたのにモナ殿が言っていたように勇者なってしまったことを残念に思っていると言っていた。ただ、モナ殿の言葉は真実だったんだと目を輝かせていたな」
ルードか!確かにルードの私への信頼度は高いだろう。だけど、それで未来がわかるだなんて、飛躍しすぎじゃないだろうか。
「はぁ。未来なんて幾重にも重なった現在の積み重ねではないですか。そんな如何様にも変わってしまうものなんて、私は知りませんよ」
「では、その起こり得た未来はなんだ?」
はぁ。私が未来がわかると確信を持っているようだ。これは困った。私は未来視なんてできはしない。勘違いされては困るが、その説明も難しいのも確かだ。
「未来がわかったと言って、キトウさんに何か関係ありますか?」
「いや、無いと言えば無いが、この事で失われる命を救えたのであれば、俺が刀を持つ意味があったのではないのかと」
そっちですか。人の役に立つことができたのだろうかということか。
「私に未来視という能力はありません」
その言葉にジュウロウザは不可解な表情をする。今までボロボロと口から漏らしているのに何を言っているのだといことなのだろう。
「ですが、事実として出来たばかりのダンジョンがありました。このソートワからラウリーまでの人々の命を守ったことにはなるでしょうね。詳しい理由は秘密なので、話しませんよ」
「そうか。そうか。俺が積み重ねていたものは無駄ではなかったか」
そう言って、ジュウロウザが嬉しそうに笑った。
『ドキンッ』
??なんだろう?
?·····気の所為か。
私の答えにジュウロウザが満足したようなので、首を捻りながら、夕食の献立を考える。
なんだか、頭がまとまらないから、シチューでいいか。
翌朝も良い晴天に恵まれた。今日は一気にシュエーレン連峰の麓にある辺境の都市メルトまで行くことにした。年中氷と雪に閉ざされたシュエーレン連峰の麓にある辺境都市メルトはその影響を受け、夏でも雪が降るところだ。
きっと、北に向かうにつれ、寒さが増してくるだろう。
カッカッカッと今日はいつもより早い速度でベルーイが進んでいく。本当なら、途中の町で泊まって、翌昼ぐらいにメルトの街に着けばいいのだろうけど、少しでも早く村に戻りたいので、メルトの街まで一気に北上する予定なのだ。
長閑な穀倉地帯を横目に進んでいく。平和だ。時々上空から『ビョシュー、ビョシュー』鳴き声が聞こえるぐらいだ。前も思ったが、鳴き声なのだろうか。
そして、全力疾走の馬車に抜かされていく。本当にあの馬車に乗っている人を尊敬してしまう。ジェットコースターより乗り心地が悪いだなんて、乗り物として私は認めたくない。
昼過ぎには段々と気温が下がってきた。北の方には重苦しい雲が空を覆っている。あの雲の下では雪が降っているのだろう。
私は雪山の装備の外套を羽織る。全部着込むと流石に暑そうなので、取り敢えず内側がふわふわの毛皮で覆われた外套を羽織った。が、私は横目で伺いみる。いつもどおり着物と袴姿のジュウロウザを。
「キトウさん、雪山の装備ってお持ちですか?」
「ん?このままで問題ない。以前も雪山の峠越えをしたから大丈夫だ」
それ、寒すぎ!大丈夫じゃない!絶対に凍傷になるから!
「キトウさん。雪山の装備を次の街で買いましょう!最悪、メルトで買いましょう。そのままだと見ている私が寒いです」
「しかし、こちらの国の衣装は性に合わないのだ」
う。確かに、着物と洋服では全く違う。私よ思い出せ!ジュウロウザの着れる装備が何かあったはずだ!
軍服?いや、あれは隠密のサルタヒコの密偵の服か。
じぃ!確か。じぃが着ていた装備が使えていたはずだ!
「キトウさん。夏国の装備はいかがですか?それならメルトの街に売っているはずです」
「あの大国の装備がこの国に売っているのか?」
そう何故か売っている。どちらかというと和国の方が近い夏国。遠く離れた国にも関わらず、売っているのはきっとゲームの設定だろうか。ん?なら売っていない可能性もあるのか。
「売っているかも?」
何か聞こえてはならない単語が聞こえたような気がしたので、聞き直してみた。
「あのダンジョンが起こし得た未来だ」
その言葉を聞いて私は固まった。私が未来を知っていると確信している?なぜ?ドラゴンゾンビの事から推測した?
「み、未来なんて、知らないですよ」
私が知っているのはゲームの世界の起こった事を知っているだけで、決してこの世界の未来ではない。
「ルード殿が言っていたが、モナ殿は昔からリアン殿は勇者になると言っていたそうじゃなか」
「あ」
言ってた。かすかな望みを託して私のレベルアップを手伝わすついでに、リアンのレベルアップもさせていたのだ。
「ルード殿は兄のリアン殿は守護者になると思っていたのにモナ殿が言っていたように勇者なってしまったことを残念に思っていると言っていた。ただ、モナ殿の言葉は真実だったんだと目を輝かせていたな」
ルードか!確かにルードの私への信頼度は高いだろう。だけど、それで未来がわかるだなんて、飛躍しすぎじゃないだろうか。
「はぁ。未来なんて幾重にも重なった現在の積み重ねではないですか。そんな如何様にも変わってしまうものなんて、私は知りませんよ」
「では、その起こり得た未来はなんだ?」
はぁ。私が未来がわかると確信を持っているようだ。これは困った。私は未来視なんてできはしない。勘違いされては困るが、その説明も難しいのも確かだ。
「未来がわかったと言って、キトウさんに何か関係ありますか?」
「いや、無いと言えば無いが、この事で失われる命を救えたのであれば、俺が刀を持つ意味があったのではないのかと」
そっちですか。人の役に立つことができたのだろうかということか。
「私に未来視という能力はありません」
その言葉にジュウロウザは不可解な表情をする。今までボロボロと口から漏らしているのに何を言っているのだといことなのだろう。
「ですが、事実として出来たばかりのダンジョンがありました。このソートワからラウリーまでの人々の命を守ったことにはなるでしょうね。詳しい理由は秘密なので、話しませんよ」
「そうか。そうか。俺が積み重ねていたものは無駄ではなかったか」
そう言って、ジュウロウザが嬉しそうに笑った。
『ドキンッ』
??なんだろう?
?·····気の所為か。
私の答えにジュウロウザが満足したようなので、首を捻りながら、夕食の献立を考える。
なんだか、頭がまとまらないから、シチューでいいか。
翌朝も良い晴天に恵まれた。今日は一気にシュエーレン連峰の麓にある辺境の都市メルトまで行くことにした。年中氷と雪に閉ざされたシュエーレン連峰の麓にある辺境都市メルトはその影響を受け、夏でも雪が降るところだ。
きっと、北に向かうにつれ、寒さが増してくるだろう。
カッカッカッと今日はいつもより早い速度でベルーイが進んでいく。本当なら、途中の町で泊まって、翌昼ぐらいにメルトの街に着けばいいのだろうけど、少しでも早く村に戻りたいので、メルトの街まで一気に北上する予定なのだ。
長閑な穀倉地帯を横目に進んでいく。平和だ。時々上空から『ビョシュー、ビョシュー』鳴き声が聞こえるぐらいだ。前も思ったが、鳴き声なのだろうか。
そして、全力疾走の馬車に抜かされていく。本当にあの馬車に乗っている人を尊敬してしまう。ジェットコースターより乗り心地が悪いだなんて、乗り物として私は認めたくない。
昼過ぎには段々と気温が下がってきた。北の方には重苦しい雲が空を覆っている。あの雲の下では雪が降っているのだろう。
私は雪山の装備の外套を羽織る。全部着込むと流石に暑そうなので、取り敢えず内側がふわふわの毛皮で覆われた外套を羽織った。が、私は横目で伺いみる。いつもどおり着物と袴姿のジュウロウザを。
「キトウさん、雪山の装備ってお持ちですか?」
「ん?このままで問題ない。以前も雪山の峠越えをしたから大丈夫だ」
それ、寒すぎ!大丈夫じゃない!絶対に凍傷になるから!
「キトウさん。雪山の装備を次の街で買いましょう!最悪、メルトで買いましょう。そのままだと見ている私が寒いです」
「しかし、こちらの国の衣装は性に合わないのだ」
う。確かに、着物と洋服では全く違う。私よ思い出せ!ジュウロウザの着れる装備が何かあったはずだ!
軍服?いや、あれは隠密のサルタヒコの密偵の服か。
じぃ!確か。じぃが着ていた装備が使えていたはずだ!
「キトウさん。夏国の装備はいかがですか?それならメルトの街に売っているはずです」
「あの大国の装備がこの国に売っているのか?」
そう何故か売っている。どちらかというと和国の方が近い夏国。遠く離れた国にも関わらず、売っているのはきっとゲームの設定だろうか。ん?なら売っていない可能性もあるのか。
「売っているかも?」
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