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93 金を生まないヤツは必要ない
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魔魚の身は見た目が、サーモンだったのでムニエルにした・・・が、ガジェフ!横からつまみ食いするな!まだ、火を通している途中だ!
キアナ!お前はどっから湧いてきた!さっきまで居なかったよな。今日の夕食のチェックに来たら、美味そうな匂いがしていただと?お前はいつも夕食のチェックに来ているのか?
ジェームズ!バターに触るな溶けるだろ!バターはどうしたら作れるか?乳脂肪分が多い何かの乳を搾って、思いっきり振れば出来るんじゃないのか?
で、なんで皿を持ったルギアとソルが居るんだ?仕事はどうした、仕事は!
そうして、俺が味見をせぬまま魔魚のムニエルは目の前の奴らの腹の中に消えて行った。せめて、味見ぐらいさせてくれ。
「エン。まさかあの魔魚がここまで美味しい物だったなんて、驚きだ。」
ジェームズ。俺は味見すらしていないから、どんな味かわからん。
「はぁ。魔魚はきちんと締めて、血抜きをすれば臭くないことがわかったよな。ガジェフ。今度はガジェフが下処理をやってみてくれ、俺はそれの指示を出す。見ていたから大体分かるだろう?」
ガジェフの横に立って指示を出しながら、捌いていくのを見ていたのだが、どうも細かいことが苦手なようだ。だから、スープの中にある野菜は大きさがマチマチで火の通り具合が微妙だったり、肉の厚さが違うため焦げていたり、レアだったりしていたのか・・・なんで食堂の厨房にガジェフがいるんだ?
「ジェームズ。ガジェフに食堂を任さた理由はなんだ?」
「あ?それは、この本店の人数の食事を作ろうと思えば、力がないと大量にできないだろ?」
「ん?もしかしてガジェフしか見ないと思っていたが、ガジェフだけで賄っていたのか?」
「そうだ。」
それはあまりにも無理がある。ということはガジェフには休みがないと言うことになってしまうじゃないか。
「ジェームズ。5、6人は食堂に入れろよ。」
「なぜ、金を生まないヤツを増やさなければならない?」
そういう考えか!はぁ。これはジェームズが悪い。
「ジェームズ。毎日、日替わりで美味しいものが食べられるのと、今までどおり同じ食事を毎日食べるのとでは、どっちが仕事の効率が良くなると思う?」
「毎日、違うものが食べられるのか!あ、そういうことか。従業員のやる気の問題か?」
「そうだ。ガジェフ、お前は別に料理が得意ってわけじゃないんだろ?」
俺の質問にガジェフは首を縦に振る。
「ジェームズ、従業員が余ってるって言っていたよな。その中で料理ができる従業員を食堂に配置すればいい。ただ、力仕事になるから、ガジェフはこのまま食堂で働いてもらえばいいと思・・・あ。」
ジェームズのこの視線には覚えがある。ヤバい言い過ぎた。
「エン。頼んだぞ。」
「ちょっと待て!俺は別の仕事を与えられていただろ!」
「その仕事を毎回途中で引き換えして帰って来ているのは誰だ?」
「俺だ!」
何故か、問題にぶち当たるんだよ。好きで戻ってきているわけじゃない。
「いいんじゃねーか?俺も剣の調整に少し時間が欲しいと言おうと思っていたんだ。」
ソルがニヤニヤとしながら言ってきた。
「それに、ここに来ればうまい物が食べられるようになるんだろ?」
それが目的か!ソルの横からルギアが皿を差し出しながら
「おかわりは、もうないのか?無いなら作ってくれ。エン。」
と言ってきた。この食い意地が張った奴らめ!
作ったよ。ガジェフが捌いて細切れになった魔魚の身でパスタを作った。これならパスタと一緒に食べられるから、腹が膨れるだろう。
パスタの麺はネットで大量に購入し、ガジェフに大鍋で湯を沸かしてもらい、パスタを茹でてもらった。
なんだ?ジェームズ。これは何かって?パスタだ。小麦粉でできている。作り方?今はわからんし、精白もまだ完璧じゃないのに作れねーよ。精白は無理だって?だから、面倒だって言っただろ?
そうしている内に食堂の夕食の時間になってしまった。
え?俺が従業員の分のパスタを作らないといけないのか?いや、流石に無理だろ。
ガジェフ、茹でるのは任せろ?
だから、従業員全員分のパスタソースが俺一人じゃ作れねーって言っているんだ!そもそも料理は得意じゃねー!
俺が無理だと言い続けていたら、手伝うと言ってくれた人物がいた。それは、昨日ここに連れてきた豹獣人のミリアだった。
「私、簡単な料理が出来ます。家族が多かったので、たくさん作るのも慣れてます。」
そう言ってくれたのだが、体の傷を癒やしただけなので、それ以外の傷は治せていない。大丈夫なのだろうか。家族が魔物に襲われて、ここに一人連れて来られた少女だ。
「エンさまのお役に立ちたいのです。」
何かをすることによって気が紛れるのなら、それもいいのかもしれない。食堂にいれば色んな人と関わりを持つことができるから、心の傷も癒やすこともできるかもしれないな。
「じゃ、この野菜を切ってくれ。」
「はい!」
キアナ!お前はどっから湧いてきた!さっきまで居なかったよな。今日の夕食のチェックに来たら、美味そうな匂いがしていただと?お前はいつも夕食のチェックに来ているのか?
ジェームズ!バターに触るな溶けるだろ!バターはどうしたら作れるか?乳脂肪分が多い何かの乳を搾って、思いっきり振れば出来るんじゃないのか?
で、なんで皿を持ったルギアとソルが居るんだ?仕事はどうした、仕事は!
そうして、俺が味見をせぬまま魔魚のムニエルは目の前の奴らの腹の中に消えて行った。せめて、味見ぐらいさせてくれ。
「エン。まさかあの魔魚がここまで美味しい物だったなんて、驚きだ。」
ジェームズ。俺は味見すらしていないから、どんな味かわからん。
「はぁ。魔魚はきちんと締めて、血抜きをすれば臭くないことがわかったよな。ガジェフ。今度はガジェフが下処理をやってみてくれ、俺はそれの指示を出す。見ていたから大体分かるだろう?」
ガジェフの横に立って指示を出しながら、捌いていくのを見ていたのだが、どうも細かいことが苦手なようだ。だから、スープの中にある野菜は大きさがマチマチで火の通り具合が微妙だったり、肉の厚さが違うため焦げていたり、レアだったりしていたのか・・・なんで食堂の厨房にガジェフがいるんだ?
「ジェームズ。ガジェフに食堂を任さた理由はなんだ?」
「あ?それは、この本店の人数の食事を作ろうと思えば、力がないと大量にできないだろ?」
「ん?もしかしてガジェフしか見ないと思っていたが、ガジェフだけで賄っていたのか?」
「そうだ。」
それはあまりにも無理がある。ということはガジェフには休みがないと言うことになってしまうじゃないか。
「ジェームズ。5、6人は食堂に入れろよ。」
「なぜ、金を生まないヤツを増やさなければならない?」
そういう考えか!はぁ。これはジェームズが悪い。
「ジェームズ。毎日、日替わりで美味しいものが食べられるのと、今までどおり同じ食事を毎日食べるのとでは、どっちが仕事の効率が良くなると思う?」
「毎日、違うものが食べられるのか!あ、そういうことか。従業員のやる気の問題か?」
「そうだ。ガジェフ、お前は別に料理が得意ってわけじゃないんだろ?」
俺の質問にガジェフは首を縦に振る。
「ジェームズ、従業員が余ってるって言っていたよな。その中で料理ができる従業員を食堂に配置すればいい。ただ、力仕事になるから、ガジェフはこのまま食堂で働いてもらえばいいと思・・・あ。」
ジェームズのこの視線には覚えがある。ヤバい言い過ぎた。
「エン。頼んだぞ。」
「ちょっと待て!俺は別の仕事を与えられていただろ!」
「その仕事を毎回途中で引き換えして帰って来ているのは誰だ?」
「俺だ!」
何故か、問題にぶち当たるんだよ。好きで戻ってきているわけじゃない。
「いいんじゃねーか?俺も剣の調整に少し時間が欲しいと言おうと思っていたんだ。」
ソルがニヤニヤとしながら言ってきた。
「それに、ここに来ればうまい物が食べられるようになるんだろ?」
それが目的か!ソルの横からルギアが皿を差し出しながら
「おかわりは、もうないのか?無いなら作ってくれ。エン。」
と言ってきた。この食い意地が張った奴らめ!
作ったよ。ガジェフが捌いて細切れになった魔魚の身でパスタを作った。これならパスタと一緒に食べられるから、腹が膨れるだろう。
パスタの麺はネットで大量に購入し、ガジェフに大鍋で湯を沸かしてもらい、パスタを茹でてもらった。
なんだ?ジェームズ。これは何かって?パスタだ。小麦粉でできている。作り方?今はわからんし、精白もまだ完璧じゃないのに作れねーよ。精白は無理だって?だから、面倒だって言っただろ?
そうしている内に食堂の夕食の時間になってしまった。
え?俺が従業員の分のパスタを作らないといけないのか?いや、流石に無理だろ。
ガジェフ、茹でるのは任せろ?
だから、従業員全員分のパスタソースが俺一人じゃ作れねーって言っているんだ!そもそも料理は得意じゃねー!
俺が無理だと言い続けていたら、手伝うと言ってくれた人物がいた。それは、昨日ここに連れてきた豹獣人のミリアだった。
「私、簡単な料理が出来ます。家族が多かったので、たくさん作るのも慣れてます。」
そう言ってくれたのだが、体の傷を癒やしただけなので、それ以外の傷は治せていない。大丈夫なのだろうか。家族が魔物に襲われて、ここに一人連れて来られた少女だ。
「エンさまのお役に立ちたいのです。」
何かをすることによって気が紛れるのなら、それもいいのかもしれない。食堂にいれば色んな人と関わりを持つことができるから、心の傷も癒やすこともできるかもしれないな。
「じゃ、この野菜を切ってくれ。」
「はい!」
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