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78 よろしく(ΦωΦ)にゃーん

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 ライラは急いで取ってきてくれたのか、頬を赤くして戻ってきた。

「これに書いてあったの。」

 そう言ってライラは一冊の魔導書を差し出してきた。そう、魔法書でも魔術書でもなく魔導書だ。
 中をパラパラと目を通す。あった、日本語の走り書きだ。あちらこちらにはここの言語で書かれていたが、一番最後の空白のページに日本語が書かれていた。

『ここに行き着いたみたいだね。ユールクスから話は聞いたかな?』

 あ?ユールクスって誰だよ。

『天津の死について聞いたのでしょ?この国に居る限り、いざとなれば彼を頼ればいい。私と天津のおかげで彼はこの世界で最凶のダンジョンマスターになったからね。それが、天津から君への最初で最後の贈り物だよ。』

 あのナーガのダンジョンマスターのことか!なぜ、最強ではなく最凶なんだ?悪いが天津、ダンジョンマスターが贈りモノって意味がわからないのだが?

『それから、君はあの神に会ったことはあるかな?あのクソ神に。あれは基本的に面白いモノしか興味がないから、相手にするほど時間の無駄だからね。』

 やはりあの声の主のことだろう。何となく、理解はした。

『最後に今君の側にいる子に君の護符をあげておきなさい。私の杖を知るエルフは下々のところには来ないけど、見つかると大変だからね。護符の作り方は367ページに書いてあるから、よろしく(ΦωΦ)にゃーん』

 あ?最後の顔文字はなんだ?367ページね。ナニナニ?
 護符の作り方
 いち、魔石を用意します。
 に、魔力を魂入します。以上。

 ・・・アリスの手書きじゃないか!
 魔石かそう言えばルギアからもらったアースドラゴンの魔石があったよな。イベントリーから30cm²ほどの大きさの魔石を取り出す。魔力を魔石の中に入れるように注ぎ込む・・・これってどれくらいの魔力を入れればいいんだ?今、俺の魔力の1/3は注いだぞ。もしかして、魔石が大きすぎた?
 魔力のほどんどを注いだことろで魔石が光だし、持っていた感触が無くなった。やばい、魔力を注ぎ込みすぎて融解したか。

「にゃー。」

 ん?

「にゃー。」

 足元を見ると、黒い猫がいた。黒い猫?

『よろしく(ΦωΦ)にゃーん』

 これが護符・・・なのか?

「エン。何をしていたかわからないけど、魔石が猫になったよ。」

 やはり、これが護符のようだ。護符ってこういう物なのか?

「コレはライラの護符?だ。ライラの杖を渡した人物がライラがその杖を持っていることで、問題にならないようにするための護符を渡すように書いてあったからな。問題ないはずだ。」

「護符?護符ってペンダントとか、耳飾りになっている物と思っていたけど、エンが作ると猫になるんだね。」

 やっぱり、猫が護符っておかしいんじゃないか!

「でも、杖ももらって、護符の猫さんももらって私はエンにあげられる物なんてないよ。」

「じゃ、もう一度、あのまじないをしてくれないか?」

 ライラは笑顔になって跪いて祈りの姿をとった。

「それは得意だからいくらでもできるよ。『シュはワレワレをミていてくださいます。シュはワレワレをアザワラい、ミクダしていらっしゃいます。しかし、ヒカリのカミはワレワレにジヒをおアタえになります。ヒカリのカミにエイコウをシュはジゴクにオちろ!ヒカリのカミ。ルーチェさま。このモノにジヒをおアタえください。』」

 この文言は2度目だが今ではアリスの呪いの言葉に聞こえてきたな。やはり、ライラの後ろには金色に光る微笑みを湛えた女性が立っている。

「俺の未来は変えられるか?」

 話し掛けられるとは思っていなかったのか、金色に光る女性は驚いた表情をしたが、直ぐに微笑んだ表情に戻り、右手で指を2本立て、左手で西の方角を指し、その姿のまま消えた。

 俺の質問に肯定も否定もされなかったが、2本の指が示す意味と西の方角に何か意味があるのだろう。だか、言葉をくれ!全く俺に意味が通じていないぞ!

「エン?」

 ライラが心配そうに俺を下から見上げていた。

「ああ、解決策はあるようだ。意味が全く分からなかったが、さて、ライラも頑張れよ。またな。」

 ライラを立たせてやり魔導書を返し、俺は教会を後にした。しかし、アリスの未来視はすごいな。ここまで、俺の行動を読まれているとマジで、俺が死ぬかエルフの王を殺すしか未来がないように思えてくる。

 あの護符の猫。どう見ても猫だったよな。役に立つのか?他の魔石でも猫になるのか?アースドラゴンの魔石だからなのか?それなら、アースドラゴンが猫ってことになってしまうなぁ。
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