65 / 122
65 夜を纏い月の目を持つ君へ
しおりを挟む
白い毛に覆われた爺さんが俺を見ながら話す。目は見えんが・・・。
「本来のエルフの王はアリス様であったのじゃ。エルフも獣人も人族も全ては神の元では平等だとおっしゃった唯一の方。偉大なるエルフの王になるはずだったアリス様。しかし、同じエルフ族に追われ殺されたのじゃ。残されたのはダンジョンに奥深くに隠された碑文とこの杖のみ。」
「エルフが王となるエルフを殺した?」
「あと、杖と共に言葉を残されたのじゃ。この杖を買うものに言玉を再生するようにと言っておられたそうじゃ。」
そう言って爺さんは透明な丸い玉を出してきて、魔力を玉に込めだした。透明な玉が徐々に白濁してきたと思ったら、女性の声がその玉から流れ始めた。
『こんにちわ。夜を纏い月の目を持つ君もクソ神に選ばれてここに存在して居るんだよね。未来が見える私がそんな君に忠告してあげる。新たな王は危険。殺しなさい。じゃないと君が死んじゃうからね。あと、詳しいことが聞きたいのならダンジョンの最下層に来なさい。君の為にメッセージを残しているから。以上。』
「だそうじゃ。」
「は?」
エルフが神を罵倒しているだと?あの神に全てを捧げたといってもいいエルフが!それもどう見ても俺限定の伝言だった。未来が見えるから忠告する?新の王を殺さないと俺が死ぬ?ダンジョンの最下層ってどこのダンジョンだよ!
「アリス様と同じ黒を纏う貴方にはきっと碑文の意味もわかるはずじゃ。」
ダンジョンの奥にある碑文ってやつか。せめてどこに行けばいいか残せよ。ん?
「俺が黒を持っていると何故わかる。」
今は、キャスケットの上からフードまで被っているというのに
「黒の持つ魔力は独特の波長があるからのぅ。だから、エルフ族は深い色を好んで血を残しているのじゃ。」
そうか、それで白者をエルフとして認めていないのか。
「それで、どこのダンジョンにあるんだ?その碑文ってやつは」
「千年前から存在しているダンジョンじゃ。今で言うと、シャーレン精霊王国とギラン共和国とマルス帝国とラース公国とグローリア国じゃ。」
場所の範囲が広すぎる!どれだけのダンジョンに潜ったんだ。
「はぁ。全部は無理だな。じゃ、杖は貰って行くから、貴重な話をありがとう。これはそのお礼だ。」
俺は爺さんに金と酒を礼として渡す。しかし
「ちと、貰いすぎじゃ。これを持って行くとよい。」
そう言って小さな箱を渡された。振ってみるとカラカラと音がするから何かは入っているみたいだが、開け口が見当たらない。
「時が来れば開く箱じゃ。」
「そうか、時が来なければ開かない箱か。」
ほっほっほっほっ。と言う爺さんの笑い声を背中で聞きながら、屋台巡りを再開した。
本来、王になるはずだったエルフを殺したエルフ族。天津を殺したエルフ族。そして、新たな王は危険だと未来視した黒を持つエルフ。そんな、未来が視えるぐらいなら殺されるなよ。アリス。
ダンジョンか。あと、4日休みがあるから近くのダンジョンを聞いて行ってみるか。
「ダンジョンだ?」
ルギアが眉間にシワを寄せながら書類をめくっているなか、聞いてみた。
「ああ、ここから一番近くて古いダンジョンだ。」
俺は冒険者ギルドの書類が散乱している汚部屋に来ていた。ルギアかソルに聞いたほうが一番早いと判断したからだ。
「エン。いきなりダンジョンだなんてどうしたんだ?」
ソルが聞いてきた。またしても、ギルドマスターの部屋で書類と格闘しているようだ。
「ああ、この前の祭りで露天商の爺さんに教えてもらったんだ。古いダンジョンには碑文があるって、それで行ってみようかと思ったんだ。」
「エン。アマツみたいな事を言うなよ。」
ルギアが頭を抱えだした。そんなに書類処理が嫌なのか?
「なんだ?天津も探していたのか?」
「ああ、真実はとても残酷なことだったと言っていたな。内容は教えてもらえなかったが。」
「ふーん。で、ここから一番近いところは何処だ?」
「この下だ。」
おかしな言葉が聞こえた気がした。
「・・・。あー。聞き間違えたか?この下にダンジョンがあると聞こえたんだが?」
「エン。聞き間違いじゃない。首都はダンジョン『王の嘆き』の上に建っている。」
「え?マジで?それって危険なんじゃないのか?」
「まぁ。あれだ。このダンジョンだから、首都にしたと言っていいだろう。ここはそのうち戦場となることを想定して作られた街だ。エルフ共は必ず過去の栄光を取り戻そうとしてくるだろう。一般人の逃げ道を確保するためのダンジョンだ。」
戦う為の要塞ならわかるが、逃げ道に使用するためのダンジョンだなんて、使い方が間違ってないか?
「いやいや、ダンジョンの方が危険なんじゃないのか?戦いが始まる前に逃げる想定はされてないのか?」
「ああ、エンはエルフ共の戦い方を知らなかったか。あいつらは転移してやって来る。逃げ道を確保する間もなく、高位の魔術を放って来て、蹂躙し、こちらの戦意を奪っていく戦い方だ。」
おふっ、宣戦布告はなしか。
「本来のエルフの王はアリス様であったのじゃ。エルフも獣人も人族も全ては神の元では平等だとおっしゃった唯一の方。偉大なるエルフの王になるはずだったアリス様。しかし、同じエルフ族に追われ殺されたのじゃ。残されたのはダンジョンに奥深くに隠された碑文とこの杖のみ。」
「エルフが王となるエルフを殺した?」
「あと、杖と共に言葉を残されたのじゃ。この杖を買うものに言玉を再生するようにと言っておられたそうじゃ。」
そう言って爺さんは透明な丸い玉を出してきて、魔力を玉に込めだした。透明な玉が徐々に白濁してきたと思ったら、女性の声がその玉から流れ始めた。
『こんにちわ。夜を纏い月の目を持つ君もクソ神に選ばれてここに存在して居るんだよね。未来が見える私がそんな君に忠告してあげる。新たな王は危険。殺しなさい。じゃないと君が死んじゃうからね。あと、詳しいことが聞きたいのならダンジョンの最下層に来なさい。君の為にメッセージを残しているから。以上。』
「だそうじゃ。」
「は?」
エルフが神を罵倒しているだと?あの神に全てを捧げたといってもいいエルフが!それもどう見ても俺限定の伝言だった。未来が見えるから忠告する?新の王を殺さないと俺が死ぬ?ダンジョンの最下層ってどこのダンジョンだよ!
「アリス様と同じ黒を纏う貴方にはきっと碑文の意味もわかるはずじゃ。」
ダンジョンの奥にある碑文ってやつか。せめてどこに行けばいいか残せよ。ん?
「俺が黒を持っていると何故わかる。」
今は、キャスケットの上からフードまで被っているというのに
「黒の持つ魔力は独特の波長があるからのぅ。だから、エルフ族は深い色を好んで血を残しているのじゃ。」
そうか、それで白者をエルフとして認めていないのか。
「それで、どこのダンジョンにあるんだ?その碑文ってやつは」
「千年前から存在しているダンジョンじゃ。今で言うと、シャーレン精霊王国とギラン共和国とマルス帝国とラース公国とグローリア国じゃ。」
場所の範囲が広すぎる!どれだけのダンジョンに潜ったんだ。
「はぁ。全部は無理だな。じゃ、杖は貰って行くから、貴重な話をありがとう。これはそのお礼だ。」
俺は爺さんに金と酒を礼として渡す。しかし
「ちと、貰いすぎじゃ。これを持って行くとよい。」
そう言って小さな箱を渡された。振ってみるとカラカラと音がするから何かは入っているみたいだが、開け口が見当たらない。
「時が来れば開く箱じゃ。」
「そうか、時が来なければ開かない箱か。」
ほっほっほっほっ。と言う爺さんの笑い声を背中で聞きながら、屋台巡りを再開した。
本来、王になるはずだったエルフを殺したエルフ族。天津を殺したエルフ族。そして、新たな王は危険だと未来視した黒を持つエルフ。そんな、未来が視えるぐらいなら殺されるなよ。アリス。
ダンジョンか。あと、4日休みがあるから近くのダンジョンを聞いて行ってみるか。
「ダンジョンだ?」
ルギアが眉間にシワを寄せながら書類をめくっているなか、聞いてみた。
「ああ、ここから一番近くて古いダンジョンだ。」
俺は冒険者ギルドの書類が散乱している汚部屋に来ていた。ルギアかソルに聞いたほうが一番早いと判断したからだ。
「エン。いきなりダンジョンだなんてどうしたんだ?」
ソルが聞いてきた。またしても、ギルドマスターの部屋で書類と格闘しているようだ。
「ああ、この前の祭りで露天商の爺さんに教えてもらったんだ。古いダンジョンには碑文があるって、それで行ってみようかと思ったんだ。」
「エン。アマツみたいな事を言うなよ。」
ルギアが頭を抱えだした。そんなに書類処理が嫌なのか?
「なんだ?天津も探していたのか?」
「ああ、真実はとても残酷なことだったと言っていたな。内容は教えてもらえなかったが。」
「ふーん。で、ここから一番近いところは何処だ?」
「この下だ。」
おかしな言葉が聞こえた気がした。
「・・・。あー。聞き間違えたか?この下にダンジョンがあると聞こえたんだが?」
「エン。聞き間違いじゃない。首都はダンジョン『王の嘆き』の上に建っている。」
「え?マジで?それって危険なんじゃないのか?」
「まぁ。あれだ。このダンジョンだから、首都にしたと言っていいだろう。ここはそのうち戦場となることを想定して作られた街だ。エルフ共は必ず過去の栄光を取り戻そうとしてくるだろう。一般人の逃げ道を確保するためのダンジョンだ。」
戦う為の要塞ならわかるが、逃げ道に使用するためのダンジョンだなんて、使い方が間違ってないか?
「いやいや、ダンジョンの方が危険なんじゃないのか?戦いが始まる前に逃げる想定はされてないのか?」
「ああ、エンはエルフ共の戦い方を知らなかったか。あいつらは転移してやって来る。逃げ道を確保する間もなく、高位の魔術を放って来て、蹂躙し、こちらの戦意を奪っていく戦い方だ。」
おふっ、宣戦布告はなしか。
0
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
やがて最強の転生者 ~超速レベリング理論を構築した男、第二の人生で無双する~
絢乃
ファンタジー
スキルやレベルが存在し、魔物が跋扈する世界――。
男は魔物を討伐する「冒険者」になりたいと願っていたが、虚弱体質なので戦うことができなかった。そこで男は数多の文献を読み漁り、独自の超速レベリング理論を組み立て、他の冒険者に貢献しようとした。
だが、実戦経験のない人間の理論を採用する者はいない。男の理論は机上の空論として扱われ、誰にも相手にされなかった。
男は失意の中、病で死亡した。
しかし、そこで彼の人生は終わらない。
健康的な肉体を持つ陣川龍斗として生まれ変わったのだ。
「俺の理論に狂いはねぇ」
龍斗は冒険者となり、自らの理論を実践していく。
そして、ゆくゆくは超速レベリング理論を普及させるのだ。
異世界召喚されたのは、『元』勇者です
ユモア
ファンタジー
突如異世界『ルーファス』に召喚された一ノ瀬凍夜ーは、5年と言う年月を経て異世界を救った。そして、平和まで後一歩かと思ったその時、信頼していた仲間たちに裏切られ、深手を負いながらも異世界から強制的に送還された。
それから3年後、凍夜はクラスメイトから虐めを受けていた。しかし、そんな時、再度異世界に召喚された世界は、凍夜が送還されてから10年が経過した異世界『ルーファス』だった。自分を裏切った世界、裏切った仲間たちがいる世界で凍夜はどのように生きて行くのか、それは誰にも分からない。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
食いつなぎ探索者〜隠れてた【捕食】スキルが悪さして気付いたらエロスキルを獲得していたけど、純愛主義主の俺は抗います。
四季 訪
ファンタジー
【第一章完結】十年前に突如として現れたダンジョン。
そしてそれを生業とする探索者。
しかしダンジョンの魔物も探索者もギルドも全てがろくでもない!
失職を機に探索者へと転職した主人公、本堂幸隆がそんな気に食わない奴らをぶん殴って分からせる!
こいつ新人の癖にやたらと強いぞ!?
美人な相棒、男装麗人、オタクに優しいギャルにロリっ娘に○○っ娘!?
色々とでたらめな幸隆が、勇名も悪名も掻き立てて、悪意蔓延るダンジョンへと殴り込む!
え?食ったものが悪すぎて生えてきたのがエロスキル!?
純愛主義を掲げる幸隆は自分のエロスキルに抗いながら仲間と共にダンジョン深層を目指していく!
本堂 幸隆26歳。
純愛主義を引っ提げて渡る世間を鬼と行く。
エロスキルは1章後半になります。
日間ランキング掲載
週刊ランキング掲載
なろう、カクヨムにも掲載しております。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
転生したら前世チートで無双する
ゆる弥
ファンタジー
殺し屋をしていた男が人を殺すのに躊躇いを覚えるようになった。
だが、組織はその男のことを手放さなかった。
ある日その男は死ぬ事を選んだのだった。
ビルから飛び降りた。
そこからこの話は始まる。
気付けばテンプレの白い空間。
「お前に罪を償う機会を与えよう」
「何をすればいい?」
「私の指定する世界に転生してくれるだけでいい。それで償いになる。好きに生きよ」
「それで償いになるのならば」
異世界で二十歳の体で生まれ変わった。
突如悲鳴が聞こえた。
好きに生きれるのか?
この世界?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる