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31 偏屈シルキー
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技術者ギルドに来てしまった。俺の付き添いとしてゼルトのオッサンに付いてきてもらっている。まだ、背が小さくて悪かったな!しかし、10歳程度には見られるようにはなったぞ。
受付に行き収納袋の作成者を紹介してもらえないかと頼む。流石、フィーディス商会の名前は伊達じゃないらしい。子供連れのゼルトのオッサンの顔を見ると快く紹介してくれた。ただし、その人物の機嫌を損ねないようにと何度も念押しをされたのはなぜだろう。まぁ、職人という人たちは気むずかしいと聞くからそういうものなのかもしれない。
紹介された一軒の家・・・屋敷の前に立つ。この屋敷にその紹介された人物が一人で住んでいるらしいが、一人で住むには広すぎないだろうか。
ドアノッカーを・・・とどかねーじゃないか!もう少し下に付けろよ!
代わりにゼルトのオッサンに叩いてもらう。ガンガンという音が響いているが、こんな広い屋敷の中にいて分かるものなのだろうか。
少し待つと、薄く扉が開き赤い目がこっちを見ている。怖いからもう少し扉を開けて欲しい。
「ど、どちら様で?」
おどおどした女性の声が聞こえた。機嫌を損ねてはいけない職人というのは、この女性なんだろうか。
「技術者ギルドからこちらの職人の方を紹介されたのですが、フェーラプティスさんでよろしいでしょうか?」
「そ、そうですが、な、何かご用でしょうか。」
「収納袋を別の形で作って欲しいのですが、お話を聞いてもらえるでしょうか?」
「お仕事でしたか。それなら、どうぞ中にお入りください。」
先程とはうって代わり、とてもハキハキとした話方に変わった。一体なにがあったのだろう。
屋敷の中に通されたが、思ったより掃除が行き届いていた。てっきり一人で住んでる職人と聞いていたから、あっちこっちに蜘蛛の巣や黒光りしているヤツがいるのを想像してしまったが、普通に綺麗だった。
そして、一つの部屋に通され、ゼルトのオッサンと二人きりになった。
「なぁ。オッサンここの職人のこと知っているか?」
「ん?ああ。有名だぞ。偏屈シルキーだとな。しかし、魔導師としては上級だ。」
シルキー・・・検索中・・・家事をする妖精。妖精!
「フェーラプティスさんは妖精?」
「そうだぞ。元々はこの辺りにも精霊や妖精が多くすんでいたが、ギラン共和国に変わってしまってから、徐々にいなくなってしまって、この辺じゃフェーラプティスぐらいじゃないのか?」
「いいえ。あと二人程残っていますよ。」
フェーラプティスさんがお茶と菓子を持って入ってきた。妖精と聞いて改めて彼女をみると、長い白色に薄い緑の髪が交じており、色白の肌、白く裾の長いエプロンドレスを着て、全体的に真っ白な感じだが、目だけが血のように赤く際立っている。全体的雰囲気はまさに幽霊と言っていいだろう。
「地の精霊のノームと水の妖精のニンフです。」
と言いながら、お茶を目の前に置いていく。
いや、そいつらって土地に縛られて動けないだけじゃないのか。
「それで、収納袋を別の形にして欲しいということでしたが?」
フェーラプティスが目の前に座って聞いてきた。
「まず、俺はフィーディス商会見習いのエンだ。こっちが俺の付き添いのゼルトだ。」
「付き添い・・・。」
フェーラプティスは俺とゼルトを見比べている。どう見ても俺が子供なので、不思議な視線を送ってきた。
「俺は行商人希望でフィーディス商会で世話になっている。その内こういう物を売りだしたいと思っている。」
そう言って俺は缶に入った茶葉を出した。母が好んで飲んでいた欧州の紅茶ブランドの茶葉だ。
フィーディス商会で取り扱っている茶葉はあちらで飲んだ紅茶の様に香付けされた物がなく、思ったほど美味しい物は無かった。この香付けされた紅茶は嗜好品として売れると思う。
俺は缶を開け、イベントリーから出した小皿に少量の茶葉を出し、フェーラプティスに渡した。
フェーラプティスは匂いを嗅ぎ、目を見開いた。
「この茶葉をいただいても宜しいですか?」
「どうぞ。」
俺が返事をすると同時に部屋を出ていってしまった。
「エン。今のは普通の茶葉ではないのか。」
ゼルトが気になって聞いてきた。答えの代わりにゼルトにも茶葉を出してやる。茶葉の匂いを嗅いだゼルトは唸るように
「なんだ。これは花の香?いや、果実か?」
丁度、フェーラプティスが戻って来た、その手にはティーポットとティーカップを乗せたトレイを持っている。
目の前で紅茶をカップに注ぐと香りが鼻を擽る。その香は母がよく飲んでいた紅茶の香だ。隣でゼルトが「おお。」と大声で言っていてうるさい。
フェーラプティスが紅茶を一口飲む。そして、ここに来たときにフェーラプティス自身が用意した紅茶を飲むと、とても不快な表情になった。
「これは、フィーディス商会で売っているのですか?」
「いや。これは俺が独自で入手したものだ。」
「いくらで売ってもらえますか?」
「・・・30万Gだ。」
一缶で30万は流石に高いよなぁ。量り売にした方がいいか。
「量り売「買います!一缶30万Gで買います。」」
マジか。まぁ、買ってくれるのならいいか。
「ミルクティーで飲むのがお勧めだ。」
「ミルク・・・ティー・・。」
あれ?もしかして、またしてもやってしまったか。
受付に行き収納袋の作成者を紹介してもらえないかと頼む。流石、フィーディス商会の名前は伊達じゃないらしい。子供連れのゼルトのオッサンの顔を見ると快く紹介してくれた。ただし、その人物の機嫌を損ねないようにと何度も念押しをされたのはなぜだろう。まぁ、職人という人たちは気むずかしいと聞くからそういうものなのかもしれない。
紹介された一軒の家・・・屋敷の前に立つ。この屋敷にその紹介された人物が一人で住んでいるらしいが、一人で住むには広すぎないだろうか。
ドアノッカーを・・・とどかねーじゃないか!もう少し下に付けろよ!
代わりにゼルトのオッサンに叩いてもらう。ガンガンという音が響いているが、こんな広い屋敷の中にいて分かるものなのだろうか。
少し待つと、薄く扉が開き赤い目がこっちを見ている。怖いからもう少し扉を開けて欲しい。
「ど、どちら様で?」
おどおどした女性の声が聞こえた。機嫌を損ねてはいけない職人というのは、この女性なんだろうか。
「技術者ギルドからこちらの職人の方を紹介されたのですが、フェーラプティスさんでよろしいでしょうか?」
「そ、そうですが、な、何かご用でしょうか。」
「収納袋を別の形で作って欲しいのですが、お話を聞いてもらえるでしょうか?」
「お仕事でしたか。それなら、どうぞ中にお入りください。」
先程とはうって代わり、とてもハキハキとした話方に変わった。一体なにがあったのだろう。
屋敷の中に通されたが、思ったより掃除が行き届いていた。てっきり一人で住んでる職人と聞いていたから、あっちこっちに蜘蛛の巣や黒光りしているヤツがいるのを想像してしまったが、普通に綺麗だった。
そして、一つの部屋に通され、ゼルトのオッサンと二人きりになった。
「なぁ。オッサンここの職人のこと知っているか?」
「ん?ああ。有名だぞ。偏屈シルキーだとな。しかし、魔導師としては上級だ。」
シルキー・・・検索中・・・家事をする妖精。妖精!
「フェーラプティスさんは妖精?」
「そうだぞ。元々はこの辺りにも精霊や妖精が多くすんでいたが、ギラン共和国に変わってしまってから、徐々にいなくなってしまって、この辺じゃフェーラプティスぐらいじゃないのか?」
「いいえ。あと二人程残っていますよ。」
フェーラプティスさんがお茶と菓子を持って入ってきた。妖精と聞いて改めて彼女をみると、長い白色に薄い緑の髪が交じており、色白の肌、白く裾の長いエプロンドレスを着て、全体的に真っ白な感じだが、目だけが血のように赤く際立っている。全体的雰囲気はまさに幽霊と言っていいだろう。
「地の精霊のノームと水の妖精のニンフです。」
と言いながら、お茶を目の前に置いていく。
いや、そいつらって土地に縛られて動けないだけじゃないのか。
「それで、収納袋を別の形にして欲しいということでしたが?」
フェーラプティスが目の前に座って聞いてきた。
「まず、俺はフィーディス商会見習いのエンだ。こっちが俺の付き添いのゼルトだ。」
「付き添い・・・。」
フェーラプティスは俺とゼルトを見比べている。どう見ても俺が子供なので、不思議な視線を送ってきた。
「俺は行商人希望でフィーディス商会で世話になっている。その内こういう物を売りだしたいと思っている。」
そう言って俺は缶に入った茶葉を出した。母が好んで飲んでいた欧州の紅茶ブランドの茶葉だ。
フィーディス商会で取り扱っている茶葉はあちらで飲んだ紅茶の様に香付けされた物がなく、思ったほど美味しい物は無かった。この香付けされた紅茶は嗜好品として売れると思う。
俺は缶を開け、イベントリーから出した小皿に少量の茶葉を出し、フェーラプティスに渡した。
フェーラプティスは匂いを嗅ぎ、目を見開いた。
「この茶葉をいただいても宜しいですか?」
「どうぞ。」
俺が返事をすると同時に部屋を出ていってしまった。
「エン。今のは普通の茶葉ではないのか。」
ゼルトが気になって聞いてきた。答えの代わりにゼルトにも茶葉を出してやる。茶葉の匂いを嗅いだゼルトは唸るように
「なんだ。これは花の香?いや、果実か?」
丁度、フェーラプティスが戻って来た、その手にはティーポットとティーカップを乗せたトレイを持っている。
目の前で紅茶をカップに注ぐと香りが鼻を擽る。その香は母がよく飲んでいた紅茶の香だ。隣でゼルトが「おお。」と大声で言っていてうるさい。
フェーラプティスが紅茶を一口飲む。そして、ここに来たときにフェーラプティス自身が用意した紅茶を飲むと、とても不快な表情になった。
「これは、フィーディス商会で売っているのですか?」
「いや。これは俺が独自で入手したものだ。」
「いくらで売ってもらえますか?」
「・・・30万Gだ。」
一缶で30万は流石に高いよなぁ。量り売にした方がいいか。
「量り売「買います!一缶30万Gで買います。」」
マジか。まぁ、買ってくれるのならいいか。
「ミルクティーで飲むのがお勧めだ。」
「ミルク・・・ティー・・。」
あれ?もしかして、またしてもやってしまったか。
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