28 / 122
28 誤爆をしてしまった
しおりを挟む
翌日、食品部門に行けば、今日から衣類部門だと言われた。聞いてないぞ。三ヶ月毎に変わると言われた。俺の食品部門は倉庫の整理で終わってしまった。
そして、衣類部門の建物の裏手にやってきた。俺の教育係はどう見てもジェームズの血筋の女性だった。白いショートボブに白い猫耳が生えた20歳ぐらいに見える、アルティーナ・フィーディスと名のキツそうな感じの女性だ。
「初日から遅刻とはどういうことです。気が抜けているのではないのですか。」
「3ヶ月毎で職場が変わるとは聞いていなかったが?」
「契約時に説明があったはずです。」
そんな説明あったか?キアナに読んでもらった契約書にはそんなこと書いていなかったし、契約後の説明もすき焼き一色だったし、説明を受けた記憶がないなぁ。
「そんな説明はなかった。」
「あなたの記憶が無いだけで説明はしてあります。」
え?その場にいなかったのに、なぜに決めつけるんだ?
「わかった。ジェームズに聞きにいこう。」
「会長をジェームズと呼び捨てにするとはなりません。ジェームズ様か大旦那様と呼びなさい。」
この人面倒くさい。
「ジェームズには許可を取っている。執務室に行くぞ。」
そして、ジェームズの執務室に入り
「ジェームズ、俺は三ヶ月毎に職場が変更になるとは聞いていなかったのだが、この女性が契約時に説明をしているというのだ。説明をしてくれたか?」
「・・・・あー。説明していなかったな。職場は三ヶ月で変更になるからな。」
「今言っても遅い。このジェームズの血筋らしき女性にもう少し人の話を柔軟に聞くように指導してくれ。」
「アルティーナか仕事熱心でいいのだが、融通が効かないところが少しある。その辺は大目に見てくれ。」
女性は顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。我慢してるのか?
「アルティーナ少し残りなさい。エンは衣服部門に行って仕事の見学をしておくといい。」
ジェームズに言われたので、衣服部門の建物に戻って行った。
衣服部門に戻って行けば、何やら騒がしい。こんな朝早くから客が来ているようだ。
「ここに来ればあると聞いてワザワザきてやったのです。それなのに無いとはどういうことですか!」
金髪碧眼の20歳ぐらいの人族の女性がかな切り声を上げて叫んでいる。
遠巻きで見ている従業員に聞いてみると、どうやらパールが散りばめられたドレスがあったらしい。あの女性は何処からかそのドレスがあると聞いて、ここを訪ねてきたが、その商品は昨日別の人が買ってしまったということだった。しかし、女性は納得が出来ずに、そのパールのドレスがいいと言い張っているようだ。
「なんで、そこまでこだわるんだ?」
話をしてくれた従業員に尋ねる。
「ああ、雪に閉ざされる前に毎年、ギラン祝賀パーティーがあるんだよ。」
「なんだ?ギラン祝賀パーティーって。」
「なんだったかな。アマツ様が年を越す前に神の誕生を祝う祭りがあるとか言い出したのだが、その辺を言い出すとエルフの連中がうるさいから、ギラン祝賀パーティーという名で始めたらしい。」
クリスマスか!
「ちなみに、プレゼント交換とかあるのか?」
「それがメインイベントだ。誰のどんな物が当たるかは開けるまで分からないから、とてもドキドキするイベントだ。」
「ふーん。それで、あの女性は着ていくドレスが欲しいと言っているのか。」
「いや。プレゼントにするドレスが欲しいそうだ。」
「・・・・誰に渡るか分からないのにドレスをプレゼントするのか?オッサンがドレスを貰ってもしかたがないぞ。」
「「「ぶっぐ。」」」
ここにいる従業員が全員吹き出した。え。表の従業員にまで聞こえてしまったのか?隣の話をしてくれたオッサンはヒーヒーいいながら、流石にドレスを貰っても困るっと壁に埋もれてしまった。
「なんですか。ここの店はまともに客の対応もできないのですか。」
どうやら、女性を対応している従業員まで俺は誤爆をしてしまったらしい。仕方がない。黒豹獣人に扮した俺が、女性の前に立つ。
「お姉さんはパーティーで着るドレスが欲しいの?」
子供らしく尋ねると女性は笑顔を俺に向け。
「珍しいわね。黒豹獣人の子供がいるなんて。着ていくドレスはもう決まっているのよ。プレゼント用なの。」
「送りたい人がいるんだね。」
「いいえ。パーティーの最後にあるプレゼント交換のためのドレスよ。」
「誰が当たるか分からないのに?」
「あら、私がこれ程の物を用意できると言うことに意味があるのよ。」
「じゃ、真珠のドレスじゃなくてもいいんだ。」
「南の海でしかとれない真珠を用意できることに意味があるのよ!」
「じゃ、これはどう?」
俺はイベントリーから真珠の首飾りを取り出した。先程、ネットでポチしたのだ。
真珠の首飾りを見た女性は目を見開き
「これをいただくわ。」
と言った。女性を対応していた従業員に後は頼んだと言い残して、俺は店の裏側に戻った。そこにはジェームズとアルティーナが立っていた。どうやら、二人を呼びに行った者がいたらしい。
「流石、エンだな。このギラン共和国ではとれない南の海の真珠まで、持っているとはな。あの、女性が欲しがったドレスの真珠も取引には相当苦労したのに、エンはなんの躊躇もなく出すんだな。」
ジェームズすまん。俺はネットでポチしただけだ。
そして、衣類部門の建物の裏手にやってきた。俺の教育係はどう見てもジェームズの血筋の女性だった。白いショートボブに白い猫耳が生えた20歳ぐらいに見える、アルティーナ・フィーディスと名のキツそうな感じの女性だ。
「初日から遅刻とはどういうことです。気が抜けているのではないのですか。」
「3ヶ月毎で職場が変わるとは聞いていなかったが?」
「契約時に説明があったはずです。」
そんな説明あったか?キアナに読んでもらった契約書にはそんなこと書いていなかったし、契約後の説明もすき焼き一色だったし、説明を受けた記憶がないなぁ。
「そんな説明はなかった。」
「あなたの記憶が無いだけで説明はしてあります。」
え?その場にいなかったのに、なぜに決めつけるんだ?
「わかった。ジェームズに聞きにいこう。」
「会長をジェームズと呼び捨てにするとはなりません。ジェームズ様か大旦那様と呼びなさい。」
この人面倒くさい。
「ジェームズには許可を取っている。執務室に行くぞ。」
そして、ジェームズの執務室に入り
「ジェームズ、俺は三ヶ月毎に職場が変更になるとは聞いていなかったのだが、この女性が契約時に説明をしているというのだ。説明をしてくれたか?」
「・・・・あー。説明していなかったな。職場は三ヶ月で変更になるからな。」
「今言っても遅い。このジェームズの血筋らしき女性にもう少し人の話を柔軟に聞くように指導してくれ。」
「アルティーナか仕事熱心でいいのだが、融通が効かないところが少しある。その辺は大目に見てくれ。」
女性は顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。我慢してるのか?
「アルティーナ少し残りなさい。エンは衣服部門に行って仕事の見学をしておくといい。」
ジェームズに言われたので、衣服部門の建物に戻って行った。
衣服部門に戻って行けば、何やら騒がしい。こんな朝早くから客が来ているようだ。
「ここに来ればあると聞いてワザワザきてやったのです。それなのに無いとはどういうことですか!」
金髪碧眼の20歳ぐらいの人族の女性がかな切り声を上げて叫んでいる。
遠巻きで見ている従業員に聞いてみると、どうやらパールが散りばめられたドレスがあったらしい。あの女性は何処からかそのドレスがあると聞いて、ここを訪ねてきたが、その商品は昨日別の人が買ってしまったということだった。しかし、女性は納得が出来ずに、そのパールのドレスがいいと言い張っているようだ。
「なんで、そこまでこだわるんだ?」
話をしてくれた従業員に尋ねる。
「ああ、雪に閉ざされる前に毎年、ギラン祝賀パーティーがあるんだよ。」
「なんだ?ギラン祝賀パーティーって。」
「なんだったかな。アマツ様が年を越す前に神の誕生を祝う祭りがあるとか言い出したのだが、その辺を言い出すとエルフの連中がうるさいから、ギラン祝賀パーティーという名で始めたらしい。」
クリスマスか!
「ちなみに、プレゼント交換とかあるのか?」
「それがメインイベントだ。誰のどんな物が当たるかは開けるまで分からないから、とてもドキドキするイベントだ。」
「ふーん。それで、あの女性は着ていくドレスが欲しいと言っているのか。」
「いや。プレゼントにするドレスが欲しいそうだ。」
「・・・・誰に渡るか分からないのにドレスをプレゼントするのか?オッサンがドレスを貰ってもしかたがないぞ。」
「「「ぶっぐ。」」」
ここにいる従業員が全員吹き出した。え。表の従業員にまで聞こえてしまったのか?隣の話をしてくれたオッサンはヒーヒーいいながら、流石にドレスを貰っても困るっと壁に埋もれてしまった。
「なんですか。ここの店はまともに客の対応もできないのですか。」
どうやら、女性を対応している従業員まで俺は誤爆をしてしまったらしい。仕方がない。黒豹獣人に扮した俺が、女性の前に立つ。
「お姉さんはパーティーで着るドレスが欲しいの?」
子供らしく尋ねると女性は笑顔を俺に向け。
「珍しいわね。黒豹獣人の子供がいるなんて。着ていくドレスはもう決まっているのよ。プレゼント用なの。」
「送りたい人がいるんだね。」
「いいえ。パーティーの最後にあるプレゼント交換のためのドレスよ。」
「誰が当たるか分からないのに?」
「あら、私がこれ程の物を用意できると言うことに意味があるのよ。」
「じゃ、真珠のドレスじゃなくてもいいんだ。」
「南の海でしかとれない真珠を用意できることに意味があるのよ!」
「じゃ、これはどう?」
俺はイベントリーから真珠の首飾りを取り出した。先程、ネットでポチしたのだ。
真珠の首飾りを見た女性は目を見開き
「これをいただくわ。」
と言った。女性を対応していた従業員に後は頼んだと言い残して、俺は店の裏側に戻った。そこにはジェームズとアルティーナが立っていた。どうやら、二人を呼びに行った者がいたらしい。
「流石、エンだな。このギラン共和国ではとれない南の海の真珠まで、持っているとはな。あの、女性が欲しがったドレスの真珠も取引には相当苦労したのに、エンはなんの躊躇もなく出すんだな。」
ジェームズすまん。俺はネットでポチしただけだ。
0
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
異世界召喚されたのは、『元』勇者です
ユモア
ファンタジー
突如異世界『ルーファス』に召喚された一ノ瀬凍夜ーは、5年と言う年月を経て異世界を救った。そして、平和まで後一歩かと思ったその時、信頼していた仲間たちに裏切られ、深手を負いながらも異世界から強制的に送還された。
それから3年後、凍夜はクラスメイトから虐めを受けていた。しかし、そんな時、再度異世界に召喚された世界は、凍夜が送還されてから10年が経過した異世界『ルーファス』だった。自分を裏切った世界、裏切った仲間たちがいる世界で凍夜はどのように生きて行くのか、それは誰にも分からない。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
アンチエイジャー「この世界、人材不足にて!元勇者様、禁忌を破って若返るご様子」
荒雲ニンザ
ファンタジー
ガチなハイファンタジーだよ!
トロピカルでのんびりとした時間が過ぎてゆく南の最果て、余生を過ごすのにピッタリなド田舎島。
丘の上の教会にある孤児院に、アメリアという女の子がおりました。
彼女は、100年前にこの世界を救った勇者4人のおとぎ話が大好き!
彼女には、育ててくれた優しい老神父様と、同じく身寄りのないきょうだいたちがおりました。
それと、教会に手伝いにくる、オシャレでキュートなおばあちゃん。
あと、やたらと自分に護身術を教えたがる、町に住む偏屈なおじいちゃん。
ある日、そののんびりとした島に、勇者4人に倒されたはずの魔王が復活してしまったかもしれない……なんて話が舞い込んで、お年寄り連中が大騒ぎ。
アメリア「どうしてみんなで大騒ぎしているの?」
100年前に魔物討伐が終わってしまった世界は平和な世界。
100年後の今、この平和な世界には、魔王と戦えるだけの人材がいなかったのです。
そんな話を長編でやってます。
陽気で楽しい話にしてあるので、明るいケルト音楽でも聞きながら読んでね!
食いつなぎ探索者〜隠れてた【捕食】スキルが悪さして気付いたらエロスキルを獲得していたけど、純愛主義主の俺は抗います。
四季 訪
ファンタジー
【第一章完結】十年前に突如として現れたダンジョン。
そしてそれを生業とする探索者。
しかしダンジョンの魔物も探索者もギルドも全てがろくでもない!
失職を機に探索者へと転職した主人公、本堂幸隆がそんな気に食わない奴らをぶん殴って分からせる!
こいつ新人の癖にやたらと強いぞ!?
美人な相棒、男装麗人、オタクに優しいギャルにロリっ娘に○○っ娘!?
色々とでたらめな幸隆が、勇名も悪名も掻き立てて、悪意蔓延るダンジョンへと殴り込む!
え?食ったものが悪すぎて生えてきたのがエロスキル!?
純愛主義を掲げる幸隆は自分のエロスキルに抗いながら仲間と共にダンジョン深層を目指していく!
本堂 幸隆26歳。
純愛主義を引っ提げて渡る世間を鬼と行く。
エロスキルは1章後半になります。
日間ランキング掲載
週刊ランキング掲載
なろう、カクヨムにも掲載しております。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
転生したら前世チートで無双する
ゆる弥
ファンタジー
殺し屋をしていた男が人を殺すのに躊躇いを覚えるようになった。
だが、組織はその男のことを手放さなかった。
ある日その男は死ぬ事を選んだのだった。
ビルから飛び降りた。
そこからこの話は始まる。
気付けばテンプレの白い空間。
「お前に罪を償う機会を与えよう」
「何をすればいい?」
「私の指定する世界に転生してくれるだけでいい。それで償いになる。好きに生きよ」
「それで償いになるのならば」
異世界で二十歳の体で生まれ変わった。
突如悲鳴が聞こえた。
好きに生きれるのか?
この世界?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる