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141話 さぁ、戦いの舞台へ
しおりを挟むティアは、
リンドが選んでくれた、
キレイな銀髪が引き立つような、その瞳と同じ薄い紫色の
豪奢だがすっきりとして、もう少女ではなくなったのだと思わせる、美しいラインのドレスを見に纏い、
ゆっくりと公爵家の玄関ホールへ続く階段を降りてきた。
「ティア、本当にキレイだよ。
今日は僕がエスコートできるなんて、こんなに光栄なことはないな」
満面の笑みでティアに微笑みかけたのは、
ロズウェルだった。———
ティアは2ヶ月の訓練を終えて、
今日の夜、ついにホーネット家の舞踏会へ出陣する時が来た。
ダンスは全く問題ない。
語学は一ヵ国語は少し話せるようになり、聞き取りも良くできるようになった。
もう一ヵ国語は、聞き取るのが精一杯というところだろうか。
ティア、よくがんばった!
ティアはやっぱりすごいな!
それに本当に本当にキレイだ!キレイすぎる!
そのドレスは正解だったな!キレイな体のラインがよくわかる…
はっ!俺のバカっ!他の奴らに見られるじゃないか!
とリンドはいろいろ頭の中で問答しながらも、
階段からロズウェルに手を引かれて降りてくるティアを見て、惚れ直すような気持ちだった。
それにしても!あの女!
と、リンドは先日、キャロラインから届いた1通の手紙の内容を思い出し、頭に血が昇る。
語学は自分がティアのそばにいて、通訳してやれば問題ないと思っていたのに…
一緒に舞踏会を楽しめると思っていたのに!
——その問題の手紙はこんな内容だった。
舞踏会の日はキャロラインをエスコートすること。
まだ結婚の話を破談にはしていないのに、
自分をエスコートもせずに他の女性をエスコートするなんて、もっての他。
その女性はそもそも元婚約者なんだから、近寄ればおかしな噂が飛び交うのだし、ダンスも踊ってはならない。
ドレス選びもリンドの色を入れてはならない。
そのような恥ずかし目をこちらが被ったら、必ず戦争にする。
などといった内容だった。
そういうわけで、リンドがエスコートできなくなり、
今日はロズウェルにその役を引き受けてもらったというわけだ。
舞踏会の間中あの女に拘束されて、
ティアとはそばにいられないどころか、1度も踊れないなんて…!
なんてことだ!!
それなら行かない方がまだましだ!
しかもティアにあんな女をエスコートしてるところを見られるだなんて!
嫌すぎる!拷問だ!
でも勝負は見届けないと…
などと思いながら、がっくりと項垂れるリンドと、
勝負の時を目前に控え、緊張するティア、
満面の笑顔でキラキラしているロズウェルを乗せた馬車は、
ホーネット公爵家へと向けて走り出した…
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