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79話 父の事情 1

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「そんなっ…そんなこと急に言われたって…

無理…無理よ‼︎
そんなの絶対無理に決まってるじゃない!

それに私もう婚約してるのよ⁉︎
他の国の女帝なんてありえないわ‼︎」

リンドのことが頭を過ぎり、ティアはどんな事情があろうと、絶対行きたくないと強く思った。

「はぁ…それなのですよ。こんなことになってしまった原因は。」

「どういうこと⁉︎」

「まぁ、色々と訳がございまして…

リズティア様の婚約がここまでのことになった説明をするまでに、

そこに至る長い経緯があるのです。

少し説明が長くなりますが、どうか大事なお話しですので、よくお聞きください」

重々しい前置きに、ティアはゴクリと唾を飲み込んだ。

「まずですね、リズティア様のお父様、ロイーズ殿がなかなか家に戻られない生活をしていらっしゃるでしょう?」

「えっ⁉︎…ええ、まぁ…」

父親の不倫の醜態をこんなところでまで晒されるのかと、情けなく思い、声も小さくなる。

「ああ、そんなに落ち込まないでください。
誤解なんですから。

彼は家族や周りからあらぬ疑いをかけられているのでしょう?
…女性関係の」

フェリスは優しい目でティアを見た。

「え…ええ…まぁ。えっ?誤解?」

ティアは首を傾げて聞き返す。

「はい。それはロイーズ殿がある意味望んでそうなってしまったのですが…」

ティアは父の秘密を知れるとあって、黙って話を聞く。

「事態はリズティア様が2歳の頃に遡ります。

当時、決起にはやった父は、早くマリア様を取り戻したいと、準備を整えて、亡命先の男爵家に向かいました。

しかし、そこでマリア様はご結婚され、今は男爵家ではなく、嫁ぎ先にいるのだと父は知ります。

大変なことになったと父は焦ったでしょう。

なぜなら、その頃、女帝にミーシャが即位し、法律が改変され、

女帝になれる者の条件が、女性であること以外にもうひとつ追加されていたからです。

それは、

王族の四親等以上離れた血族と結婚していること。

これはどういうことかと言うと、

まず血族との結婚で髪と目の色を引き継ぎ安くするため

そして、結婚していなければならないのは、

以前のようなクーデターを回避するためです。

幼い王位継承者を王にまつり上げ、

裏で権力を握ろうとしたことが以前のクーデターの始まりでした。

ミーシャは自分の娘が同じことをやり返されないよう防衛線を張ったのです。

結婚できる年齢なら王自身が統治できるし、

未婚では跡継ぎの補償がないですから、

実際結婚していることを条件に加えたのです。」

なるほど…とティアは納得する。

あまりの驚きの情報の数々で頭がパンクしそうなティアは

話の内容で引っかからなければならなかったところがあったのに、

今はまだ気付けなかった…
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