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10話 待って!
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ロズウェルの大切な時間をあなたみたいな醜悪な人間に費やしている場合じゃないのよ
本当にイライラする
早く結婚でもなんでもして出て行ってくれないかしら…
相変わらずロイーズが帰らない日々の中、ロズウェルは頼もしく成長し、立派に跡を継げる年齢になってきた。
ティアの社交デビューも明日に控えて…
ようやくだわ。なんでもいいから早く相手を見つけさせないと。いよいよ私の前から消えてくれる日が来るのね。
でもそれより早く知らせは届いた。
「奥様!奥様!お嬢さまが!ティアお嬢さまが!」
「どうしたのよ、こんな朝早くに」
「大変なんです!とにかく早くいらしてください!お願いします!」
メイドの慌てぶりの異常さに気圧されつつ、とはいえあの娘のところへ行くためには急ぐ気にはなれず、足早に先導するメイドにゆっくり遅れてついていく。
部屋付近には何人も人が集まっていて、何事かと覗くと、ロズウェルが真っ青な顔で震えているではないか!
「ロズウェル!」
駆け寄って抱き寄せると、
腕からもがいて私を押し返しながら、下を指さしている。
声が出せないようで心配になるが、あまりに下を見ろというように指をふっているので見てみると、
ティアが血溜まりの中でグッタリしている。ロズウェルがそんなティアを抱き寄せて泣き喚いている。
何?何が起こっているの?
そう思いながら、足に忍び寄る赤い液体を避けて、スッと後ろに下がった。
執事長から報告を受け、ティアが自死したことを知った。
知ったが…知ったが…それで?
あれ?私なぜだろう…悲しくない…
なんとなくこうなった理由はわかる気はする
きっと私のせい…
でも、でもね、…これでよかったのよ
私たちのような銀髪紫目は幸せになんてなれないんだから、これでよかったのよ
その瞬間だけはぼうっとしながら自室に戻り、
そのあとは何事もなかったように…私は生活も自分自身も元通り変わることはなかった。
そもそもあの娘とは関わっていなかったんだから、
いなくなったからって乱されることは何一つないわけだし、
なんなら精神的苦痛が取り除かれて清々しいくらいなのだから。
処理は執事長が取り仕切り、全て片付いたころにロイーズは戻ってきた。
泣いている声がこちらの部屋まで聞こえてきたが、そんなことも、もうどうでもいい。
あの人の涙も笑顔も何もかもが、どうせ私のものではないのだから。
そうそう、そんなことよりロズウェルの婚約者を決めないとね。
18歳になったロズウェルに、婚約者を正式に決めた。
侯爵家のご令嬢で家格は申し分なく、穏やかで知己に富み、
ロズウェルと一緒になればこの家をさらに発展させてくれるだろう。
ロズウェルはいささか婚約者に冷たい気もするけど、まだ若いし照れているのね。
しばらくすれば慣れて優しくもできるようになるわ。
そういえば私もここ最近避けられてるような気もするけど、ちょっと遅めの思春期かしらね。
かわいいロズウェル。
ちょっとお顔でも見に行こうかしら。
扉を開けて廊下に出るとロズウェルの部屋の方向から何やら女性の叫ぶような声が聞こえる。
あらあら、婚約者ちゃんとケンカでもしてるのかしら。
ちょっとは仲良くなったっていうことかしらね。
でもあんまりひどくなってもいけないから、一応止めに行こうかしらね。
余計なお世話かしら、うふふ。
足取り軽く向かっていくが、叫び声はいよいよ強くなり、どうやら泣き叫んでいる。
ただごとではない気配に緊張が走り足早に向かう。
部屋に着くと婚約者がロズウェルに抱きついて泣き喚いているではないか。
「どうしたの⁈はしたないですわよ、いったん離れて…
と彼女の肩に手をかけると同時に目に飛び込んできたロズウェルの喉と顔
首からは血が吹き出し、顔は青ざめ意識を失って、座らない力の抜けたクビは彼女の腕にだらんと落ちていた。
足が震える
どうして…どうして…どうして…どうしよう、どうしよう、どうしたらどうしたらどうしたら 助けて助けて助けて…あなた…あなた、ここへ来て、助けて、お願い、助けて!
本当にイライラする
早く結婚でもなんでもして出て行ってくれないかしら…
相変わらずロイーズが帰らない日々の中、ロズウェルは頼もしく成長し、立派に跡を継げる年齢になってきた。
ティアの社交デビューも明日に控えて…
ようやくだわ。なんでもいいから早く相手を見つけさせないと。いよいよ私の前から消えてくれる日が来るのね。
でもそれより早く知らせは届いた。
「奥様!奥様!お嬢さまが!ティアお嬢さまが!」
「どうしたのよ、こんな朝早くに」
「大変なんです!とにかく早くいらしてください!お願いします!」
メイドの慌てぶりの異常さに気圧されつつ、とはいえあの娘のところへ行くためには急ぐ気にはなれず、足早に先導するメイドにゆっくり遅れてついていく。
部屋付近には何人も人が集まっていて、何事かと覗くと、ロズウェルが真っ青な顔で震えているではないか!
「ロズウェル!」
駆け寄って抱き寄せると、
腕からもがいて私を押し返しながら、下を指さしている。
声が出せないようで心配になるが、あまりに下を見ろというように指をふっているので見てみると、
ティアが血溜まりの中でグッタリしている。ロズウェルがそんなティアを抱き寄せて泣き喚いている。
何?何が起こっているの?
そう思いながら、足に忍び寄る赤い液体を避けて、スッと後ろに下がった。
執事長から報告を受け、ティアが自死したことを知った。
知ったが…知ったが…それで?
あれ?私なぜだろう…悲しくない…
なんとなくこうなった理由はわかる気はする
きっと私のせい…
でも、でもね、…これでよかったのよ
私たちのような銀髪紫目は幸せになんてなれないんだから、これでよかったのよ
その瞬間だけはぼうっとしながら自室に戻り、
そのあとは何事もなかったように…私は生活も自分自身も元通り変わることはなかった。
そもそもあの娘とは関わっていなかったんだから、
いなくなったからって乱されることは何一つないわけだし、
なんなら精神的苦痛が取り除かれて清々しいくらいなのだから。
処理は執事長が取り仕切り、全て片付いたころにロイーズは戻ってきた。
泣いている声がこちらの部屋まで聞こえてきたが、そんなことも、もうどうでもいい。
あの人の涙も笑顔も何もかもが、どうせ私のものではないのだから。
そうそう、そんなことよりロズウェルの婚約者を決めないとね。
18歳になったロズウェルに、婚約者を正式に決めた。
侯爵家のご令嬢で家格は申し分なく、穏やかで知己に富み、
ロズウェルと一緒になればこの家をさらに発展させてくれるだろう。
ロズウェルはいささか婚約者に冷たい気もするけど、まだ若いし照れているのね。
しばらくすれば慣れて優しくもできるようになるわ。
そういえば私もここ最近避けられてるような気もするけど、ちょっと遅めの思春期かしらね。
かわいいロズウェル。
ちょっとお顔でも見に行こうかしら。
扉を開けて廊下に出るとロズウェルの部屋の方向から何やら女性の叫ぶような声が聞こえる。
あらあら、婚約者ちゃんとケンカでもしてるのかしら。
ちょっとは仲良くなったっていうことかしらね。
でもあんまりひどくなってもいけないから、一応止めに行こうかしらね。
余計なお世話かしら、うふふ。
足取り軽く向かっていくが、叫び声はいよいよ強くなり、どうやら泣き叫んでいる。
ただごとではない気配に緊張が走り足早に向かう。
部屋に着くと婚約者がロズウェルに抱きついて泣き喚いているではないか。
「どうしたの⁈はしたないですわよ、いったん離れて…
と彼女の肩に手をかけると同時に目に飛び込んできたロズウェルの喉と顔
首からは血が吹き出し、顔は青ざめ意識を失って、座らない力の抜けたクビは彼女の腕にだらんと落ちていた。
足が震える
どうして…どうして…どうして…どうしよう、どうしよう、どうしたらどうしたらどうしたら 助けて助けて助けて…あなた…あなた、ここへ来て、助けて、お願い、助けて!
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