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82話 恋人たちの密会
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カトリーナは今日のことを思い返しながら、ベッドに寝転がっていた。
観劇は全然分からなかったが、王家の関係者だけが座れる特別席に座らせてもらい、
観客たちに羨望の眼差しで見られた時はぞくぞくした。
王妃はこれ以上なのだと思うと、顔のにやけが止められなかった。
———コツッ———コツン
窓に何か当たる音がして、カトリーナはベッドから体を起こした。
夜なのでベッドからではよく見えず、窓に近づいて、少し開けてみた。
すると、
「カトリーナ、僕だよ、フェリス」
下から小さな声が聞こえたかと思うと、2階のカトリーナの部屋の窓に一番近づける木に登り、するすると身軽に上がって来た。
「やぁ、来ちゃった。女子寮だから玄関からは無理でしょ?入れてくれる?」
と、フェリスは悪びれもせず、微笑んで言った。
「えっ⁈あっ、ええ、どうぞ?」
と、動揺したが、
これが世にいう夜這い⁉︎
嘘っ⁉︎
こんなカッコいい王子が私のところに?
えっ⁉︎私ってすごい‼︎
カトリーナはそんな風に思うと、舞い上がって急いで窓を大きく開け、フェリスを中に入れた。
フェリスは窓際に持たれて、
「ありがとう。ごめんね?びっくりさせて」
とウインクして微笑むと、寂しそうな顔に切り替えて
「明日まで待てなかった」
と、切なそうな声を出して言った。
カトリーナはフェリスの格好良さに眩暈を覚えたが、自分はアークを射止めて王妃になるんだから!と理性を保った。
フェリスは部屋に置かれていたソファに腰掛けると、
「カトリーナもこっちに来て?」
と声をかける。
「あっ、はっ、はい!」
と、慌ててフェリスに促された隣へちょこんと腰掛けた。
な、なになに⁉︎
第二王子ってこんなに積極的だったの⁉︎
カトリーナは今まで闇魔法で思い通りに人を動かしてきたが、魔法を使わずに好意を持たれたことがなかったので、
闇魔法が効かないフェリスの行動がよめない不安と、何もしなくても自分が好かれているという嬉しさとが入り混じって、少し戸惑っていた。
「ねぇ、カトリーナ?…まだ僕のこと好きにならない?」
フェリスはカトリーナを見ながら悲し気に聞いた。
「えっ、そっ、そうね?好き…だと…思います」
あんまり好き好き言ってもだめよね?
だって私は王妃にならないといけないんだし
…ふむ…どう演技するかなかなか難しいわね…
カトリーナがそんなことを考えていると、フェリスはとても嬉しそうに微笑んで
「嬉しいな…じゃあ僕たちもう…両思いなんだ?」
とたしかめる。
「ま、まぁ、そうね…そういうことになるかしら?」
フェリスの熱い眼差しに当てられたカトリーナは、目を白黒させて答えた。
「あのさ、カトリーナ?
実は僕……困ってる事があるんだ…」
と、フェリスはカトリーナの手をそっと握る。
「な、何かしら?」
まさか…この王子、結婚詐欺じゃないでしょうね?
…でも国で一番のお金持ちだし、そんなことしないか…
と、カトリーナは急にフェリスが胡散臭く思えてきた。
観劇は全然分からなかったが、王家の関係者だけが座れる特別席に座らせてもらい、
観客たちに羨望の眼差しで見られた時はぞくぞくした。
王妃はこれ以上なのだと思うと、顔のにやけが止められなかった。
———コツッ———コツン
窓に何か当たる音がして、カトリーナはベッドから体を起こした。
夜なのでベッドからではよく見えず、窓に近づいて、少し開けてみた。
すると、
「カトリーナ、僕だよ、フェリス」
下から小さな声が聞こえたかと思うと、2階のカトリーナの部屋の窓に一番近づける木に登り、するすると身軽に上がって来た。
「やぁ、来ちゃった。女子寮だから玄関からは無理でしょ?入れてくれる?」
と、フェリスは悪びれもせず、微笑んで言った。
「えっ⁈あっ、ええ、どうぞ?」
と、動揺したが、
これが世にいう夜這い⁉︎
嘘っ⁉︎
こんなカッコいい王子が私のところに?
えっ⁉︎私ってすごい‼︎
カトリーナはそんな風に思うと、舞い上がって急いで窓を大きく開け、フェリスを中に入れた。
フェリスは窓際に持たれて、
「ありがとう。ごめんね?びっくりさせて」
とウインクして微笑むと、寂しそうな顔に切り替えて
「明日まで待てなかった」
と、切なそうな声を出して言った。
カトリーナはフェリスの格好良さに眩暈を覚えたが、自分はアークを射止めて王妃になるんだから!と理性を保った。
フェリスは部屋に置かれていたソファに腰掛けると、
「カトリーナもこっちに来て?」
と声をかける。
「あっ、はっ、はい!」
と、慌ててフェリスに促された隣へちょこんと腰掛けた。
な、なになに⁉︎
第二王子ってこんなに積極的だったの⁉︎
カトリーナは今まで闇魔法で思い通りに人を動かしてきたが、魔法を使わずに好意を持たれたことがなかったので、
闇魔法が効かないフェリスの行動がよめない不安と、何もしなくても自分が好かれているという嬉しさとが入り混じって、少し戸惑っていた。
「ねぇ、カトリーナ?…まだ僕のこと好きにならない?」
フェリスはカトリーナを見ながら悲し気に聞いた。
「えっ、そっ、そうね?好き…だと…思います」
あんまり好き好き言ってもだめよね?
だって私は王妃にならないといけないんだし
…ふむ…どう演技するかなかなか難しいわね…
カトリーナがそんなことを考えていると、フェリスはとても嬉しそうに微笑んで
「嬉しいな…じゃあ僕たちもう…両思いなんだ?」
とたしかめる。
「ま、まぁ、そうね…そういうことになるかしら?」
フェリスの熱い眼差しに当てられたカトリーナは、目を白黒させて答えた。
「あのさ、カトリーナ?
実は僕……困ってる事があるんだ…」
と、フェリスはカトリーナの手をそっと握る。
「な、何かしら?」
まさか…この王子、結婚詐欺じゃないでしょうね?
…でも国で一番のお金持ちだし、そんなことしないか…
と、カトリーナは急にフェリスが胡散臭く思えてきた。
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