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23話 不思議な光

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強くエレナが祈った瞬間———

エレナの手から白い光が大量に放出され、一気にその光が大きくなって、教室全体を覆うと、エレナは力尽きたように倒れた。

エレナが倒れると共に光が消えると、燃え盛っていた全ての炎は一瞬のうちに消え、

他のオーブンの火も、フェリスが出していた水も

その教室で使われていた魔法の力の全てが、一瞬のうちに消え去っていた…

みんな何が起きたのか意味がわからなかったが、とにかく助かったということと、

それをやったのはエレナだということだけはわかった。

倒れたエレナにアークとフェリスが駆け寄って声を掛けたが目を覚まさなかった。

外傷もなく、息はしている。

恐らく魔力量を枯渇させてしまい、回復のための昏睡状態に入ったと思われたため、

アークはエレナの邸まで連れて帰った。



———それから数日

エレナは目覚めないままで、周囲の心配がいよいよ本格的に、このまま目覚めないのでは…という恐れへと変わり始めていた。


どうなってるんだよ…
なんでこんなことになったんだ…
王子が2人もついていながら…くそっ!
俺がいれば!俺がついていれば!

ルーカスは、まだ目を覚まさないエレナのそばに付き添い、ベッドに顔を伏せて心の中で叫んでいた。

あのマーガレットの魔力暴走事件からすでに5日。

その間毎日王子2人とマーガレットはお見舞いに来ていたが、ルーカスがその度に追い返していた。

あまりにエレナの目が覚めないので、ルーカスはずっと眠れず、

疲れたのと辛いのとで、悔し涙が止められなくなった。

エレナの手をとって、自分の額に付けながら祈る。

「うっ…くっ…姉上…起きてくれよ…」


エレナは手に何か冷たいものを感じて、少し体を動かした。

「あっ、姉上っ?姉上っ⁈姉上っ!」

ルーカスはエレナが少し動いた気がしたので、意識をはっきりさせようと呼び続けた。

「う…う…ん?」

エレナはゆっくり、ゆっくりと目を開けた。

「姉上っ!」

ルーカスはエレナに飛びついた。

「ま…ぁ、ルーカスったら。…あら?…泣いてる…の?どう…したの?…大丈夫?」

自分のことより可愛い弟が泣いていることの方が気になるエレナは、

ベッドに横になったまま、ルーカスの頭をそっと撫でる。

エレナはルーカスのふわふわの金色の髪が大好きだった。 


ああ、やっぱりこの髪気持ちいいなぁ


などと、ルーカスの心配をよそに、ぼんやりする頭で夢うつつに考えていた。 


「姉上!大丈夫じゃないのは姉上の方だよ⁉︎姉上!よかった!本当によかった!

どこか辛いところは⁈

すぐに医師を呼ぶから、ちょっと待っててね!」

ルーカスは、隣の部屋に控えている医師を急いで呼びに行った。

「あんなに…慌てて。ふふっ、…おかしな子ね…どうしたの…かしら?」

まだ力の入らないエレナは、ゆっくり小さく呟いた。
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