【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない

21話 仲良しな３人

合宿から２ヶ月——

あの飛獣騒ぎでざわめいた学園だったが、今はすっかり落ち着きを取り戻していた。



「エレナ？今日はちゃんとエプロン忘れなかったでしょうね？」

先日お料理クラブにエプロンを忘れてきたエレナに、マーガレットは確認した。

「もちろんよ！ほらね？どう？これ？似合う？」

と、放課後、すっかり仲良くなったマーガレットとエレナは、教室できゃいきゃい言いながら、クラブに行く前から既に盛り上がっていた。

「２人とも、行こう、遅れるよ？」

フェリスがエレナとマーガレットを呼んだ。

「はーい」
「はーい」

と、この３人もいつの間にか仲良し３人組になったらしい。

「エレナ？俺も生徒会が終わったら、そっちに見に行っていいか？」

と、アークは寂しそうに聞いた。

「もちろんよ！待ってるから、アーク様もがんばってね」

と、エレナはニコッと笑顔で元気づけた。

「ああ、じゃあ行ってくる」

アークは諦めたように軽く手を挙げると、教室を後にした。

最近お料理クラブで少しずつお菓子の腕を上げてきたエレナは、アークがあとから来ると聞いて、

今日のメニューのマドレーヌなら自信があるから、アークに食べて貰おうとそわそわした。

そのことに気づいたマーガレットは、

「よかったわね？今日は得意なメニューで」

と小声で言って目配せした。

「ふふっ、まだ内緒よ？」
「わかってますって」

２人で目を合わせて、こそこそしていると、

「おーい、何してるの？早く行くよ？」

と、フェリスにもう一度呼ばれて、２人は小走りでフェリスのそばへ駆け寄った。