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73話 アレスへの気持ち
しおりを挟む「私はある仕事をするために、この人間界に来ていました」
「仕事…?」
「はい、魔女の仕事です」
ミラは魔界人に必要なエネルギーのこと、それを集めるのは魔女の仕事で、自分は大成功と大失敗の末に独りになったが、その力を見出した魔王が奇跡の魔女を再起させ、人間界へもう一度送り込んだこと。
そして今回の仕事の計画は自分が練ったことも全て教えた。
「そ、…そんな。人間同士を戦わせるために来ただって…?いや、そんなはずはない!
だって君は奇跡の薬で多くの人間を救ってきたじゃないか⁈」
アレスはミラの話を打ち消すように叫んだ。
「…それも今言った通り仕事の一部です。
アレス様たち人間も、食べるための動物がたくさん病気で死んでしまったら、食糧に困ってしまうでしょう?だから出来るだけ大切に育てますよね?…それと同じなんです。
私は以前とてつもなく大量に死なせてしまいましたから、せめて自分に出来ることはと考え、人間が少しでも長生きできるように、薬を日々研究してきました」
「…馬鹿な…つまり…君たち魔界人にとって、我々人間は…家畜そのもの?」
アレスは青ざめて聞いた。
「…そうです」
「君は…じゃあ君もそう思っているの?僕のことも家畜だと…?」
答えを聞くのが恐くて、恐る恐る聞く。
「…ここへ来た当初は、そのように思っていました。…でも、こんな考え方は魔界人として間違っているのですが、私、おかしなことにアレス様を好きになってしまって。
アレス様の悲しいお顔や寂しいお顔を想像したら、居ても立っても居られなくて、
あなたが危険に晒されるような戦争をやめて欲しくて、
あなたが私がいないと寂しい顔をするんじゃないかと気になって、またこちらへ戻って来てしまったのです」
アレスはそれを聞いて思わずミラを抱きしめた。
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