【完結】魔女のおしごと

かまり

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13話 初めての感覚

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魔界の最果てに着いたが、

そこを見たミィは震えていた…

こわいという感情が溢れている。


しかし、どう考えても、

今までいたクズ共に囲まれている生活の方がこわいだろうとカーティスは思った。

この最果てに住む者たちは、

皆必死にこの魔女を求めていたのだから、

大事に思っているのだ。


さぁ、ここから、お楽しみの時間だ!


と、思い切りスピードを出して下の魔王城へと降りた。

カーティスは宙から降りる瞬間がたまらなく好きだったので、

その爽快さを味わわせて、楽しませてやろうと思っていた。


ミラがそれを怖がっているとは夢にも思わない。


しかし、急降下の途中でミラが大きな悲鳴を上げ、

こわいという強い感情が流れ込んで来たので、

残念だったがゆっくり降りることにした。


魔王城に着いて下ろそうと思ったが、

思いきりしがみついて離れない。


カーティスはこれまで本当に誰にも触れないようにしてきたので、

抱きつかれるという経験がなかった。

なんだか、それがとても気恥ずかしいように思えて…


こわいこわいという感情が溢れていたのに気づいてはいたが、

それでも悪いが早く離れてほしかった。


そうして、下に降ろすと、どうやら腰が抜けたらしい。


…仕方ないから、観念して部屋まで抱いて行くことにした。


魔王城の者たちは、皆この『奇跡の魔女』を心待ちにしていたため、

念願の『奇跡の魔女』の魔王城への来訪を見せてやりたくて、

いつもは宙から直接部屋に入るが、

今日は門から入って皆に見せてやることにした。


ミィは、門の巨大な魔神に驚いてはいたが、

あまり怖がってはいなかったので、

それなら、普通の若い男性姿の魔神は怖くないだろうと、

門からエントランスに続く道へ入った。


しかし、魔神たちの声を聞いて、

急に怯えた感情が流れ込んでくる。


魔神はこの最果て以外にあまり出ないからな…

いっぺんに大勢は慣れていなかったか…


そう思って、カーティスはやはり宙に飛び、自室へと向かった。
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