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71話 聖なる光

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バタバタバタバタッ

「待って、はぁはぁっ、待って、待って、クロード様!クロード様‼︎

光魔術師様っ!こちらです‼︎お願いします‼︎

絶対助けて‼︎お願い‼︎」

マルシェが泣き叫びながら、玉座の間に飛び込んできた。

マルシェは王宮の騒ぎの中、クロードの異変に嫌な予感がして、

王宮に残っていた数名の光魔術師を急いで探し出し、連れて来たのだ。


マルシェは光魔術師を待てずに、

先にクロードに駆け寄る。


「クロード様!クロード様!だめよ!死んだりしてはダメ!」

「…マ、マルシェ…ははっ…君が…こんなに

心配した顔…してくれる…なんて…嬉しいよ…」

力なく微笑みながらそう言うクロードを、マルシェは必死に抱きしめる。

「何…おっしゃっ…てるんです…か!

っひっく…心配なんて…当たり前です!

絶対!…っく…死んだりしたらっ…ダメなんですからね!

だって、…ひっく…私…クロード…様の…っぅうくっ

お嫁さんに…してもらっ…うのが…夢なんです

から!!」

「⁉︎…マルシェ…君は…私のことを…好き…な…の?」


クロードは目を大きく開けたくても力が入らず開けられなかったが、

お嫁さんになりたいと言ってくれたのが夢のようで、

でも夢ではではないんだと知りたくて、

マルシェの顔をしっかり見ようと、

薄れゆく意識の中で目に力を込めた。



「そうなんです‼︎っひっく…だから絶対死なないで‼︎」


そう言って抱きつくマルシェをルシードがそっと引き剥がすと、

光魔術師が王とクロードに数名ずつ分かれて、

一気に聖力の光で照し始めた。

その間、マルシェはずっとクロードの手を握りしめていた。
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