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64話 クロードの頼み

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それから1週間の間は、

王はアリアに手を出さない代わりに、 

部屋に外から鍵をかけられ軟禁されることになった。


ルシードとの面会をした、軟禁1日目の夜、

アリアは必死に考えた。

自分が側室になれば、ルシードは助かる。

もうそれしか方法はない。

側室になってルシードの命を助けてから、

後のことはゆっくり考えればいい。

とにかく命を救うことが最優先だ。


そう思っていると、


コンコン


と、窓から音がした。


窓の外を見ると、大きな木を伝って、

クロードが窓の外の小さなバルコニーに降りたっていた。

アリアは、急いで音がしないように窓をそっと開けると、

クロードは、ヒョイと身軽に部屋の中へ入ってきた。

そしてアリアをそっと抱きしめると、

外に声が漏れないよう、静かに話し始める。


「アリア、大丈夫かい?

こんなことになって本当に申し訳ない。

この件はきっと私が何とかする。

絶対にルシードは死なせないし、

君のことも王の側室になんてさせない。

1週間以内にきっと必ず何とかする。

だから、君は私を信じて待ってて。

ルシードにもこのことは伝えてきた。

自分の命を絶ってでも、 

君を救う道を選びそうな子だからね。

1週間、絶対死なずに待っていてほしいと頼んできた。

だから君も、私を信じて待っていてほしい。

…じゃあ、急ぐから行くよ」


それだけ言うと、またサッと窓から出て、

あっという間に木を伝って降り、

闇の中に消えて行った。

「クロード様…どうするっていうの…?」
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