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60話 非道

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扉を開けて入ってきたのは……

真っ黒なフードローブを頭からすっぽり被っていて誰だかわからない…

衛兵ではない、明らかに不審な人物を見て、

自分が犯罪人として捕まっているわけではないと悟ると同時に、

もしかして殺されるのかもしれないという不気味な予感がよぎり、

あまりの恐怖で逃げ出そうとするが、

手足が縛られているので、どうにもならない!

相手はどんどん近づいてきて、ベッドまで来ると、

そのフードを取った。


「ぅゔっ⁉︎」


アリアはあまりの驚きに目を瞠り、声にならない声で叫んだ!

そのフードを取った相手は、

あの王だったからだ‼︎


「ふふふ。そういう格好もまたいいのぅ」


気持ちの悪い声でそう言いながら、


ギシッ


とベッドに上がってきて、

王はアリアの身体をゆっくりと上から下まで撫で回した。


アリアはゾワッと背筋に寒気が走り、

この後何をされるのかと思うと、

泣きじゃくり、首を振って強く抵抗した。


「ぅゔっ!ぅゔっ‼︎‼︎」


「もっと叫べ。面白いぞ。

だが、その声では外には聞こえんなぁ?どうする?

どのみち扉の外は衛兵に見張らせておるから、

どうにもならんがな?ワハハハ」


そう言いながら、アリアの上にまたがって、

上からジロジロとアリアを眺めると、


「ふむ、その唇に吸い付いてやりたかったが

…まぁ、今はその布を外すこともできんし、

それは側室になってからのお楽しみにとっておくか。

先に既成事実を作って、本当の側室にしてやるからのう?ふふふ」


そう言いながら、王はアリアの夜着に手をかけ、胸元のボタンを外していく。


「ぅゔっ、ぅゔっ、!」


アリアはもがいてなんとかボタンに手をかけさせないようにすると、


「ええい、面倒じゃな!」


と言って、ボタンが外れた部分をきっかけに、王は思い切り夜着を引き裂いた!


「ぅゔっ⁉︎ぅゔっ⁉︎」


アリアは逃げたくて体をよじった。 


しかし、その動きで、余計に裂かれた布が肌から離れ、

上半身はその両乳房が見え、

下半身だけが下着で覆われている状態になってしまった。


「ハハハ、いい眺めじゃ」


そう言ってアリアの首筋を舐めると、

王は露わになった乳房に触れようとし、

アリアはもうダメだと、力なく涙を流した…

その時!


バンッッ


「王よ!今すぐアリアから離れろ!」


そう言って、剣を構えたルシードが入ってきたのを見たアリアは、

安心したのと同時に意識を失った。
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