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45話 半年間のこと
しおりを挟むそれから、苗と種は順調に増産され、
各領地に運ばれ、植えられて、
沢山の食糧が、街の人々に行き渡るようになった。
また、同時に治癒の方も、
領主たちは快く邸への受け入れを認め、
そこで行われる光魔術師による治癒により、
病の広がりを徐々に抑え込むことに成功してきていた。
病が治り、元気になった人々は、
あの香料のための野草を摘み、
それを収入源として生活も安定した。
それによって大量に集まった野草から作られた高級化粧品は、
高位貴族の間に流行させることもうまくいった。
———ここまでで、半年———
全てを同時に進行させて、かなりのハイスピードで、ルバニア王国の改革は進んできた。
そして次は第2段階。
一つ目は、
入浴剤などその他新商品の開発と販売。
二つ目は、
野草を町人から国が買い上げる金額を多くする。
これは、町に行商人を入れるために、
各家庭の購買力をもう少し上げなければならず、
そのためには、平民たちの収入を上げる必要があるからだ。
この二つを実行すれば、
さらに潤沢に国は外貨を得られることと、
外国の食べ物など、この国では手に入らなかったものを人々が買えるようになり、
国民の生活の質が上がるようになる。
これを成功させた後は
1番大事な第3段階として、
光魔術師が帰還することを想定し、
薬を輸入したり、研究開発に資金を当てて、
自国での生産をしていくという計画が待っていた。
そこへ到達するために、
今まさに、
絶対外せない第2段階目に入ろうとしていたのだ。
高級化粧品はかなりよく売れていたので、
それができる金額は儲けられたはずだった。
しかし、思わぬところで問題が起きたのだ。
アリアが、そろそろ次の段階に移ろうと思い、
経理担当の者に相談に行ったら、
あんなに儲けていたはずなのに、
次の新商品開発に当てる資金や、
平民の収入をあげる資金がないと言うのだ。
しかも、どういうことか聞いても答えない。
私をよそ者だと思って詳しく教えない気ね?
アリアはそう思うと悔しかったが、
ここで半年を過ごしてきてわかったことがあった。
町の人々は、第一王子クロードと、その側近となっている第二王子ルシードをとても信頼していて、
2人に頼まれたことは快く請け負った。
2人もまた市井によく視察に出かけて、
気さくに町人たちの相談を聞いてやるような、優しい王子たちだった。
しかし、王宮の中では全く違った…
王宮で働く者たちはあの王の言いなりだった。
王子たちをよく思うものも中にはいるようだが、
王より王子を優先するようなことがもし知れれば、
王から重い罰を与えられたり、
酷い時には処刑されることまであったから、
王子たちの味方をできる者は誰もいなかった。
だから、王子と一緒に働く、しかもよそ者の私が、
詳しく経理を教えてもらえるはずがなかった。
しかし、そうだとしても、
あまりにおかしなことなので、
クロードに相談したくて、執務室へ直行した。
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