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41話 恋のお話
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「ねぇ、アリアってほんとにすごいのね!
私と同い年だなんて思えないわ!」
目をキラキラさせてマルシェはアリアを見た。
「そんなにすごくはないですよ。
私の兄の方がよっぽどすごいですし、ちょっとガリ勉なだけの家系なんです」
と謙遜はしてみたが、褒められて悪い気はしなかった。
あれからアリアは自室に戻ると、マルシェが部屋に遊びに来た。
せっかく全部秘密をしっているマルシェなので、男装は解きたかったが、
まだ日中なので、誰かが部屋に来てもいいように、
男装はしたままにしておいた。
「ねぇ、私、信頼できる女の子がいたら、
話してみたいことがあったんだけど、
アリアに話してみていいかな?」
「…?私でいいなら聞くわよ?」
「えへっ、じゃあ言うね?
…ねえ、アリアってね?その…好きな人いる?」
「え?…」
今まで国の大変な話ばかりで、そんな明るい話は久しぶりだったため、
アリア少し面食らってしまった。
アリアの大事な推しはもちろんクロード様だ。
しかし、たぶん今聞かれているのは、
恋人として好きかどうかということだろう。
だとしたら、それは違った。
あの小説で、なんだか1人だけあんまり幸せそうじゃないなぁって思って、
どうしても助けたくなったからここに来たけど、
そういう好きとは違う気がした。
「…いない…かな?たぶん」
「え~?そうなの?ざんねん!
好きな人のお話がしたかったのに!」
なるほど!恋バナしたいお年頃よね!
どこの世界でも変わらないわね。
「マルシェはいるの?」
聞くと、マルシェは急に顔が赤くなった。
自分から話し出しておいて、
自分のこととなるとやっぱり恥ずかしいらしい。
それから小さく頷いたのが、とても可愛らしかった。
「…私ね、ずーっと前からクロード様が好きなの」
「えっ⁈」
でも、今は兄なんじゃ…
まぁ、血は繋がっていないから、いいのか?
「兄だからダメって思った?」
そういう顔をしてしまっていたのか、
図星を突かれてしまって、焦った。
「血は繋がってないから、いいんじゃないの?って思ったけど、
関係性的には大変そうな恋ね?」
正直に思ったことを伝えた。
「そうなのよね。
クロード様の方は私のこと妹としか思ってないし、
そういう感じで可愛がろうとして近づいてくれるんだけど、
私はお兄様として見ていないから、
なんだか恥ずかしくて逃げてばかりなの。
こんなことしてたら嫌われちゃうよね。
それに、お兄様って呼んでほしいって何度も言われるけど、
私、兄妹になりたくないから、絶対お兄様とは呼びたくないの。
はあ~
どうしたらいいのかしら。
ねえ?アリアはどう思う?」
うーん…
応援してあげたいのは山々だけど…
ここの国の法律的なものを調べないと、
簡単に返事はできないわね
「そうね、想うのは自由だから、いいと思うんだけど…
発展させたいなら、
今の私はこの国が何を禁止して、
何を許しているのかわからないから、
何とも言えないわ。
マルシェは知ってる?」
「ううん、わからないの。
女性は知恵をつけてはいけないって、
あまりお勉強させてもらえないし、
こんなことそもそも誰にも相談できなかったし…」
マルシェは辛そうな表情で俯いた。
「そっかぁ。大変だったのね。
わかった、私が調べておくから安心して!」
そう言うと、少し涙ぐんだマルシェを抱き寄せ、
ゆっくり背中を撫でてやった。
私と同い年だなんて思えないわ!」
目をキラキラさせてマルシェはアリアを見た。
「そんなにすごくはないですよ。
私の兄の方がよっぽどすごいですし、ちょっとガリ勉なだけの家系なんです」
と謙遜はしてみたが、褒められて悪い気はしなかった。
あれからアリアは自室に戻ると、マルシェが部屋に遊びに来た。
せっかく全部秘密をしっているマルシェなので、男装は解きたかったが、
まだ日中なので、誰かが部屋に来てもいいように、
男装はしたままにしておいた。
「ねぇ、私、信頼できる女の子がいたら、
話してみたいことがあったんだけど、
アリアに話してみていいかな?」
「…?私でいいなら聞くわよ?」
「えへっ、じゃあ言うね?
…ねえ、アリアってね?その…好きな人いる?」
「え?…」
今まで国の大変な話ばかりで、そんな明るい話は久しぶりだったため、
アリア少し面食らってしまった。
アリアの大事な推しはもちろんクロード様だ。
しかし、たぶん今聞かれているのは、
恋人として好きかどうかということだろう。
だとしたら、それは違った。
あの小説で、なんだか1人だけあんまり幸せそうじゃないなぁって思って、
どうしても助けたくなったからここに来たけど、
そういう好きとは違う気がした。
「…いない…かな?たぶん」
「え~?そうなの?ざんねん!
好きな人のお話がしたかったのに!」
なるほど!恋バナしたいお年頃よね!
どこの世界でも変わらないわね。
「マルシェはいるの?」
聞くと、マルシェは急に顔が赤くなった。
自分から話し出しておいて、
自分のこととなるとやっぱり恥ずかしいらしい。
それから小さく頷いたのが、とても可愛らしかった。
「…私ね、ずーっと前からクロード様が好きなの」
「えっ⁈」
でも、今は兄なんじゃ…
まぁ、血は繋がっていないから、いいのか?
「兄だからダメって思った?」
そういう顔をしてしまっていたのか、
図星を突かれてしまって、焦った。
「血は繋がってないから、いいんじゃないの?って思ったけど、
関係性的には大変そうな恋ね?」
正直に思ったことを伝えた。
「そうなのよね。
クロード様の方は私のこと妹としか思ってないし、
そういう感じで可愛がろうとして近づいてくれるんだけど、
私はお兄様として見ていないから、
なんだか恥ずかしくて逃げてばかりなの。
こんなことしてたら嫌われちゃうよね。
それに、お兄様って呼んでほしいって何度も言われるけど、
私、兄妹になりたくないから、絶対お兄様とは呼びたくないの。
はあ~
どうしたらいいのかしら。
ねえ?アリアはどう思う?」
うーん…
応援してあげたいのは山々だけど…
ここの国の法律的なものを調べないと、
簡単に返事はできないわね
「そうね、想うのは自由だから、いいと思うんだけど…
発展させたいなら、
今の私はこの国が何を禁止して、
何を許しているのかわからないから、
何とも言えないわ。
マルシェは知ってる?」
「ううん、わからないの。
女性は知恵をつけてはいけないって、
あまりお勉強させてもらえないし、
こんなことそもそも誰にも相談できなかったし…」
マルシェは辛そうな表情で俯いた。
「そっかぁ。大変だったのね。
わかった、私が調べておくから安心して!」
そう言うと、少し涙ぐんだマルシェを抱き寄せ、
ゆっくり背中を撫でてやった。
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