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17話 キャバクラですか?
しおりを挟む私は王の前まで行くと、片膝を付き、胸に手を当てて、騎士の礼をする。
きゃー!
私、これ一回やってみたかったのよねー!
まさか王様相手に出来るなんて、思わなかったわ!
と、俯きながらアリアは内心ワクワクしていた。
横からルシードが紹介してくれる。
「こちら、トレイル=シュバルツ殿は、
今回ガルティア王国より、
我が国ルバニアの宰相職を担う人材として、
こちらへ参られました。
お目通りをお願い致します」
「ああ、よいよい、堅苦しいのは苦手じゃ」
そういうと、王は急に私の腕を掴んで引っ張ると、
自分の隣に引き寄せ、密着して肩を組んだ。
「きゃっ」
転んだようにソファに引き摺り込まれたせいで、
思わず女の子の叫び声を漏らしてしまって、
慌てて口に蓋をした。
ルシードは横から
あっ!
と、手を伸ばしてはくれたが、
途中で、王相手に逆らえないことに気づき
悔しそうな顔をして、その手を引っ込めてしまった。
「なんじゃなんじゃ。
キレイな顔をしておると思えば
叫び方まで女みたいじゃな!
ガッハッハッ
して?お主がわが国の宰相になってくれるとか?」
「あっ、あの、ええ。トレイルと申します。よろしくお願いしますっ」
と、初体験のキャバクラで縮こまる、
社長に連れてこられた新人社員のようになりながら
アリアは言った。
それを見て、
きゃーかわいいわ~
食べちゃおうかしらっ
など、周りの女性たちが、口々に言って
私をベタベタと触ってくる。
「なんじゃ、なんじゃ、妬けるのう。
お前たち、こんなヒヨッコがいいのか?」
とギラリと王に睨まれた女性たちは、慌てて
「そっ、そんなわけないじゃないですかぁ」
と、また王にすり寄った。
どこの世界も同じだなぁ
と、なんだが懐かしささえ感じられて、
こんなことにさえ、嬉しくなってしまった。
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