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拷問9日目 〜昼休憩〜
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大浴場。
リーモンは今日も四肢を外したルタの肉体を洗っている。
「……」
(…ん?)
何故か先程から、ルタとやたらと視線がぶつかる。
「何だよ。」
それが地味に気にかかり、リーモンは聞いてみる。
「何故だ?」
「あ?何がだよ。」
「何故俺にここまでする?」
「は?何故って…」
「前に俺のことが好きだからとか言ってたが、何の思い入れも無い他人のためにこんなことするか?」
「……」
「俺を自白させるためか?
受けた依頼は必ず成功させるとか言ってたが、ターゲット全員にこんなことしてる訳じゃねえだろ。」
「…ハッ。よく喋るようになったじゃねえか。」
リーモンはルタを抱き寄せる。
「言ったろ。俺はお前を好きになったって。
お前ら人間には理解できないことだったとしても、これが魔族…いいや、俺にはごく当然のことなんだよ。」
「……」
「俺が今まで拷問してきた、他の連中について知りたいか?」
ルタは小さくかぶりを振る。
「いいぜ。ほんのちょっとだけ、教えてやる。」
リーモンは遠い記憶を呼び起こし、ルタに話してもドン引きされなさそうな範疇のそれを話す。
「そうだな…一番楽だったのは、没落した元貴族の奴隷の調教だな。
プライドが高くて強情で、なまじ知識があるから青臭い理屈で此方を論破しようとしてくるお坊ちゃんだった。
だから依頼主は、藁にもすがる思いで当時新米だった俺を頼った。
俺が魔界の森から集めた大量の蟲たちを浴びせたら、すぐに音を上げてな。
そんなので報酬を貰えたんだから、何だか悪いことしたような気分になったよ。」
「……」
リーモンは続いて記憶を掘り返す。
「生意気すぎる自分のパートナーに可愛げをもたせてくれ、なんてのもあったな。
時間は想定よりかかったが、愛情と躾をたっぷり与えて、素直で従順な奴隷に仕立ててやったよ。
まあソイツは依頼主では物足りなくなって、すぐに縁を切っちまったらしいけどな。」
「…フッ。」
ルタが微笑む。
「どうした?」
「アンタにも、色々あったんだな。」
「誰に言ってんだ。
こちとら何十年何百年と生きてる魔族だぞ。」
「そうだったな…フフ。」
ルタの微笑みが更に深くなる。
「へっ、笑うと可愛いじゃねえか。」
「…可愛い?」
先程までの笑顔から一変、険しい表情になる。
「ああ、そうだ。」
「…俺が、か?」
「他に誰が居るんだよ。」
「…馬鹿にしてるのか?」
「褒めてるだけじゃねえか。
男にだって可愛げは必要だろ?」
「………そうか、ありがとう。」
「へへっ、偶には俺だって褒めるぜ。」
「そんな風に言われたこと、無かったからな。」
「……」
リーモンは真面目なトーンで語りかける。
「なあ…親父や兄貴の元で、どんな人生を送ってきたんだ?」
「……答えたくねえ。」
「…そうか。」
リーモンは泡だらけのルタに湯をかける。
「話はこれで終いだ。髪洗うぞ。」
髪を洗い、湯に浸からせ、身を清めきった。
リーモンは今日も四肢を外したルタの肉体を洗っている。
「……」
(…ん?)
何故か先程から、ルタとやたらと視線がぶつかる。
「何だよ。」
それが地味に気にかかり、リーモンは聞いてみる。
「何故だ?」
「あ?何がだよ。」
「何故俺にここまでする?」
「は?何故って…」
「前に俺のことが好きだからとか言ってたが、何の思い入れも無い他人のためにこんなことするか?」
「……」
「俺を自白させるためか?
受けた依頼は必ず成功させるとか言ってたが、ターゲット全員にこんなことしてる訳じゃねえだろ。」
「…ハッ。よく喋るようになったじゃねえか。」
リーモンはルタを抱き寄せる。
「言ったろ。俺はお前を好きになったって。
お前ら人間には理解できないことだったとしても、これが魔族…いいや、俺にはごく当然のことなんだよ。」
「……」
「俺が今まで拷問してきた、他の連中について知りたいか?」
ルタは小さくかぶりを振る。
「いいぜ。ほんのちょっとだけ、教えてやる。」
リーモンは遠い記憶を呼び起こし、ルタに話してもドン引きされなさそうな範疇のそれを話す。
「そうだな…一番楽だったのは、没落した元貴族の奴隷の調教だな。
プライドが高くて強情で、なまじ知識があるから青臭い理屈で此方を論破しようとしてくるお坊ちゃんだった。
だから依頼主は、藁にもすがる思いで当時新米だった俺を頼った。
俺が魔界の森から集めた大量の蟲たちを浴びせたら、すぐに音を上げてな。
そんなので報酬を貰えたんだから、何だか悪いことしたような気分になったよ。」
「……」
リーモンは続いて記憶を掘り返す。
「生意気すぎる自分のパートナーに可愛げをもたせてくれ、なんてのもあったな。
時間は想定よりかかったが、愛情と躾をたっぷり与えて、素直で従順な奴隷に仕立ててやったよ。
まあソイツは依頼主では物足りなくなって、すぐに縁を切っちまったらしいけどな。」
「…フッ。」
ルタが微笑む。
「どうした?」
「アンタにも、色々あったんだな。」
「誰に言ってんだ。
こちとら何十年何百年と生きてる魔族だぞ。」
「そうだったな…フフ。」
ルタの微笑みが更に深くなる。
「へっ、笑うと可愛いじゃねえか。」
「…可愛い?」
先程までの笑顔から一変、険しい表情になる。
「ああ、そうだ。」
「…俺が、か?」
「他に誰が居るんだよ。」
「…馬鹿にしてるのか?」
「褒めてるだけじゃねえか。
男にだって可愛げは必要だろ?」
「………そうか、ありがとう。」
「へへっ、偶には俺だって褒めるぜ。」
「そんな風に言われたこと、無かったからな。」
「……」
リーモンは真面目なトーンで語りかける。
「なあ…親父や兄貴の元で、どんな人生を送ってきたんだ?」
「……答えたくねえ。」
「…そうか。」
リーモンは泡だらけのルタに湯をかける。
「話はこれで終いだ。髪洗うぞ。」
髪を洗い、湯に浸からせ、身を清めきった。
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