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拷問4日目 〜夜時間〜
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「報告は以上で御座います。」
「うむ。」
リーモンはいつもの如く、今回の拷問の内容を魔王に報告する。
「拷問で何か、必要なものや欲しいものはあるか?」
「道具でしたらいつも陛下のお付きの者たちに用意して頂いてますので問題ありません。
ただ…」
「なんだ?」
言いにくそうにするリーモンに、魔王が続きを促す。
「明日は休息を頂戴したいのです。」
「む、疲れたか?」
「はい。わたくしではなく彼奴ですが。
連続で拷問を施すと、心身の疲労が溜まり感覚が鈍ってしまう恐れが御座いますので、ある程度の加減は必要かと。」
「……」
魔王が渋い顔をする。
「貴様が拷問を行った初日の夜に、我が告げた3つの忠告を覚えておるか?」
「殺すな。侮るな。絆されるな。
今も深く肝に銘じております。」
「…うむ。」
リーモンの毅然とした態度に、魔王の渋面は僅かに和らぐ。
「彼奴に惑わされている訳ではないのだな?」
「はい。口幅ったい物言いで恐縮ですが、拷問吏としての誇りにかけて、努努そのようなことは致しません。」
「…そうか。ならばもう良い。下がれ。」
リーモンは魔王の部屋を去り、自室に帰る。
しばらくのあいだ寛いでいると、しもべの1人が部屋の扉をノックした。
「貴方様宛てにお手紙が届いております。」
リーモンはしもべから受け取った速達の封筒を開く。
中には裏返された一枚の写真と、無機質な白い便箋と黒地に金の装飾が施された豪華な便箋がそれぞれ一枚ずつ折り畳まれて入っている。
(誰だ?複数人からの手紙なら送り主の名前が書いてねえのも分かるが。)
白い便箋を広げると、執筆者が彼の師匠であることが分かった。
内容を要約すると、どうやら手紙を受け取ってすぐ例の奴隷商人の元へ行き、奴隷の調教を完遂させたようだ。
(流石としか言い様無いな…この短期間で、ここまでとは。)
同封されていた写真には奴隷の成長した姿がありありと映し出されており、リーモンですら少し気分が悪くなる程だ。
(となるともう一枚の便箋は…やっぱりアイツか。)
奴隷商人からの感謝の手紙を読む。
どうやら今回の件で師匠をいたく気に入ったらしく、雇用をリーモンから彼に移したいとのことだ。
リーモンはそれにOKの返事を、師匠に感謝の手紙を書いた。
(依頼をたらい回しにした時点で、それも覚悟の上だ。
数少ない仕事が減るのは痛いが、今回の拷問を成功させて陛下に認められれば、数多の依頼が舞い込んでくる。
ルタを迎え入れても、アイツを養える程の甲斐性は保てる。
……クックック!!!)
リーモンはひとりほくそ笑むと、早めの祝杯を挙げに酒場へ向かった。
「うむ。」
リーモンはいつもの如く、今回の拷問の内容を魔王に報告する。
「拷問で何か、必要なものや欲しいものはあるか?」
「道具でしたらいつも陛下のお付きの者たちに用意して頂いてますので問題ありません。
ただ…」
「なんだ?」
言いにくそうにするリーモンに、魔王が続きを促す。
「明日は休息を頂戴したいのです。」
「む、疲れたか?」
「はい。わたくしではなく彼奴ですが。
連続で拷問を施すと、心身の疲労が溜まり感覚が鈍ってしまう恐れが御座いますので、ある程度の加減は必要かと。」
「……」
魔王が渋い顔をする。
「貴様が拷問を行った初日の夜に、我が告げた3つの忠告を覚えておるか?」
「殺すな。侮るな。絆されるな。
今も深く肝に銘じております。」
「…うむ。」
リーモンの毅然とした態度に、魔王の渋面は僅かに和らぐ。
「彼奴に惑わされている訳ではないのだな?」
「はい。口幅ったい物言いで恐縮ですが、拷問吏としての誇りにかけて、努努そのようなことは致しません。」
「…そうか。ならばもう良い。下がれ。」
リーモンは魔王の部屋を去り、自室に帰る。
しばらくのあいだ寛いでいると、しもべの1人が部屋の扉をノックした。
「貴方様宛てにお手紙が届いております。」
リーモンはしもべから受け取った速達の封筒を開く。
中には裏返された一枚の写真と、無機質な白い便箋と黒地に金の装飾が施された豪華な便箋がそれぞれ一枚ずつ折り畳まれて入っている。
(誰だ?複数人からの手紙なら送り主の名前が書いてねえのも分かるが。)
白い便箋を広げると、執筆者が彼の師匠であることが分かった。
内容を要約すると、どうやら手紙を受け取ってすぐ例の奴隷商人の元へ行き、奴隷の調教を完遂させたようだ。
(流石としか言い様無いな…この短期間で、ここまでとは。)
同封されていた写真には奴隷の成長した姿がありありと映し出されており、リーモンですら少し気分が悪くなる程だ。
(となるともう一枚の便箋は…やっぱりアイツか。)
奴隷商人からの感謝の手紙を読む。
どうやら今回の件で師匠をいたく気に入ったらしく、雇用をリーモンから彼に移したいとのことだ。
リーモンはそれにOKの返事を、師匠に感謝の手紙を書いた。
(依頼をたらい回しにした時点で、それも覚悟の上だ。
数少ない仕事が減るのは痛いが、今回の拷問を成功させて陛下に認められれば、数多の依頼が舞い込んでくる。
ルタを迎え入れても、アイツを養える程の甲斐性は保てる。
……クックック!!!)
リーモンはひとりほくそ笑むと、早めの祝杯を挙げに酒場へ向かった。
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