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第三話 〜サブキャラにそこまで優遇しないで下さい1〜
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神殿長のルイスさんから分かりやすい説明を受ける事数分。
話をまとめると、要はこういうことらしい。
僕達が召喚されたこの場所は、世界で有数の領地を持つ東の国ラスロン帝国。
この国は、各段に広い領地を所持していることから、世界との貿易の中心国としても有名な場所だそうで、それに伴い騎士の育成にも特価した凄い国だそうだ。
この国は、今から300年程前に起きた魔王襲来という大きな出来事に深く関係を持っているらしい。
此処までで一言。
ガチでラノベじゃん。 魔王襲来とか、異世界ファンタジー要素全快じゃん。
この後、神子の聖力とか出てきそうな予感がする。
とまぁ、ラスロン帝国に魔王襲来を合図にするように各帝国にも魔族が押し寄せた。
その際に北のテレサ帝国、西のシセル帝国、南のカロンデア帝国が大きな被害を受け、世界全域に瘴気が広がった。
多くの民が瘴気に当てられ犠牲となり、同時に押し寄せる魔物の討伐で騎士達が次々と倒れた。
これでは帝国が・・・この世界が滅んでしまう。
そう思ったこの国の皇帝は、神官へと相談。
神官は皇帝に、古い言い伝えと共に神の啓示を示した。
そして、今回と同じように異世界から神子を召喚し、この皇宮の地下深くに魔王を封印し世界を救った。 という、異世界召喚理由としては、よくありそうな話だ。
選ばれた神子が、あそこで皇族?らしき人に抱きしめられている金髪美少年ルーキー。
そして、悲しいことに、巻き込まれただけのお邪魔虫は僕ら二人ということになる。
僕は別に構わないが、どうにも彼が不憫でならない。 善良な人間程、損をする世の中だな。クソ。
ともあれ、彼らの言い分では誤って召喚してしまったのは其方の不手際。
巻き込まれた僕らの身柄も待遇も、皇族が責任を持ってくれるそうだ。 それは大変有難い。
「そうですか。 そういうことでしたら、まぁ‥‥はい。分かりました」
今この状況で、ああだこうだ言っても仕方がないので、僕は素直に頷く。
「ご理解頂けたようで安心しました。 それと伴ってなのですが、マサト様……」
ルイスさんが少し申し訳なさそうな表情で僕を見る。
あ、何となく察してきたよ。 この後言われそうな言葉が、頭を過る。
「こういった状況下でお伝えするのは、あまりにも心苦しいのですが……一つ言っておかなければならない事があります」
「……何でしょう」
「其方のお二方は言い伝え通りの神子様と同じ容姿をされ、尚且つ聖力があります。ですが……」
「僕だけ言い伝えと異なる容姿で聖力もないと」
「はい、左様でございます」
うん、予想通りすぎる話の内容にあくびが出そうだ。
というか、椅子に踏ん反り返っている皇族共。 美少年ルーキーを抱き抱えてないで、謝罪するなり何なりしやがれ! なんだ!
ちょっと顔面が良くて権力があるからって、態度がデカすぎるんだよ!
ルイスさんを見ていた視線を一瞬皇族に向けた後、僕は大きく溜息をついた。
「で、僕はどうなるんですか」
「お二方については、此方の皇宮で保護させて頂くのですが、マサト様を此方に置くのは難しいのです」
「あぁ、だと思った」
でましたよ。 ポジションによって訪れる格差!
いやぁ、胸が痛い。 泣いてしまいそうだ。……嬉し泣きで。
皇宮何かで暮らしてしまったら、きっと外に出ることすら許されないだろうし、自由と呼べるものを奪われるに違いない!
堅苦しい社交パーティーとかにも参加させられたり、皇宮での作法を叩き込まれたりと、きっと僕には耐えられない日々が待っているに違いない。
「別に此処で暮らしたい何て最初から思ってないし、良いですよ。 ちゃんと生活は保障してくれるんですよね? 住む場所もお金も。 働いてないから金が無いと死ぬし」
「それは勿論です! 快適に生活して頂けるよう最善を尽くさせて頂きます! 勿論、元の世界に帰る方法も此方で探させて頂きますので、ご心配なく!」
「あ、そうですか。 なら良いですけど」
「マサト様に何かあってはいけませんので、優秀な護衛も付けさせて頂きます! 何不自由ない生活を保障致しますので、ご安心下さい!」
口説き文句がマルチ商法みたいになってるぞ、ルイスさん。
僕を納得させようと、あれやこれやとプランを投げてくれるルイスさん。
素直に承諾した僕に少し安堵したのか、表情がさっきよりも柔らかい。
きっと僕が、この扱いの差に駄々を捏ねて面倒なことにならないか心配だったんだろう。
上からの圧をかけられる立場の人は本当に大変だな。 まぁ、僕もさっきまで社畜でしたけど。
本当にご苦労な事だ。
だが、提示されたプランの中で一つ気に入らない所があった。
「護衛はいらないです。 お金と住むところさえくれれば良いんで。 元の世界に帰る方法が分かった時だけ呼んで下さい。 調査の過程報告とか必要ないから」
「あ……はい、かしこまりました。 では、本日中に住居の準備を致しますので、別室でお待ち頂けますか? その際に衣服のお着換えも準備させて頂きます」
「はーい。 ありがとうございます」
何か言いたげな表情をしたルイスさんはスルーし、合図でサッと現れた二人目の白いローブ人間に促され、会場を後にする。
はずだった……。
話をまとめると、要はこういうことらしい。
僕達が召喚されたこの場所は、世界で有数の領地を持つ東の国ラスロン帝国。
この国は、各段に広い領地を所持していることから、世界との貿易の中心国としても有名な場所だそうで、それに伴い騎士の育成にも特価した凄い国だそうだ。
この国は、今から300年程前に起きた魔王襲来という大きな出来事に深く関係を持っているらしい。
此処までで一言。
ガチでラノベじゃん。 魔王襲来とか、異世界ファンタジー要素全快じゃん。
この後、神子の聖力とか出てきそうな予感がする。
とまぁ、ラスロン帝国に魔王襲来を合図にするように各帝国にも魔族が押し寄せた。
その際に北のテレサ帝国、西のシセル帝国、南のカロンデア帝国が大きな被害を受け、世界全域に瘴気が広がった。
多くの民が瘴気に当てられ犠牲となり、同時に押し寄せる魔物の討伐で騎士達が次々と倒れた。
これでは帝国が・・・この世界が滅んでしまう。
そう思ったこの国の皇帝は、神官へと相談。
神官は皇帝に、古い言い伝えと共に神の啓示を示した。
そして、今回と同じように異世界から神子を召喚し、この皇宮の地下深くに魔王を封印し世界を救った。 という、異世界召喚理由としては、よくありそうな話だ。
選ばれた神子が、あそこで皇族?らしき人に抱きしめられている金髪美少年ルーキー。
そして、悲しいことに、巻き込まれただけのお邪魔虫は僕ら二人ということになる。
僕は別に構わないが、どうにも彼が不憫でならない。 善良な人間程、損をする世の中だな。クソ。
ともあれ、彼らの言い分では誤って召喚してしまったのは其方の不手際。
巻き込まれた僕らの身柄も待遇も、皇族が責任を持ってくれるそうだ。 それは大変有難い。
「そうですか。 そういうことでしたら、まぁ‥‥はい。分かりました」
今この状況で、ああだこうだ言っても仕方がないので、僕は素直に頷く。
「ご理解頂けたようで安心しました。 それと伴ってなのですが、マサト様……」
ルイスさんが少し申し訳なさそうな表情で僕を見る。
あ、何となく察してきたよ。 この後言われそうな言葉が、頭を過る。
「こういった状況下でお伝えするのは、あまりにも心苦しいのですが……一つ言っておかなければならない事があります」
「……何でしょう」
「其方のお二方は言い伝え通りの神子様と同じ容姿をされ、尚且つ聖力があります。ですが……」
「僕だけ言い伝えと異なる容姿で聖力もないと」
「はい、左様でございます」
うん、予想通りすぎる話の内容にあくびが出そうだ。
というか、椅子に踏ん反り返っている皇族共。 美少年ルーキーを抱き抱えてないで、謝罪するなり何なりしやがれ! なんだ!
ちょっと顔面が良くて権力があるからって、態度がデカすぎるんだよ!
ルイスさんを見ていた視線を一瞬皇族に向けた後、僕は大きく溜息をついた。
「で、僕はどうなるんですか」
「お二方については、此方の皇宮で保護させて頂くのですが、マサト様を此方に置くのは難しいのです」
「あぁ、だと思った」
でましたよ。 ポジションによって訪れる格差!
いやぁ、胸が痛い。 泣いてしまいそうだ。……嬉し泣きで。
皇宮何かで暮らしてしまったら、きっと外に出ることすら許されないだろうし、自由と呼べるものを奪われるに違いない!
堅苦しい社交パーティーとかにも参加させられたり、皇宮での作法を叩き込まれたりと、きっと僕には耐えられない日々が待っているに違いない。
「別に此処で暮らしたい何て最初から思ってないし、良いですよ。 ちゃんと生活は保障してくれるんですよね? 住む場所もお金も。 働いてないから金が無いと死ぬし」
「それは勿論です! 快適に生活して頂けるよう最善を尽くさせて頂きます! 勿論、元の世界に帰る方法も此方で探させて頂きますので、ご心配なく!」
「あ、そうですか。 なら良いですけど」
「マサト様に何かあってはいけませんので、優秀な護衛も付けさせて頂きます! 何不自由ない生活を保障致しますので、ご安心下さい!」
口説き文句がマルチ商法みたいになってるぞ、ルイスさん。
僕を納得させようと、あれやこれやとプランを投げてくれるルイスさん。
素直に承諾した僕に少し安堵したのか、表情がさっきよりも柔らかい。
きっと僕が、この扱いの差に駄々を捏ねて面倒なことにならないか心配だったんだろう。
上からの圧をかけられる立場の人は本当に大変だな。 まぁ、僕もさっきまで社畜でしたけど。
本当にご苦労な事だ。
だが、提示されたプランの中で一つ気に入らない所があった。
「護衛はいらないです。 お金と住むところさえくれれば良いんで。 元の世界に帰る方法が分かった時だけ呼んで下さい。 調査の過程報告とか必要ないから」
「あ……はい、かしこまりました。 では、本日中に住居の準備を致しますので、別室でお待ち頂けますか? その際に衣服のお着換えも準備させて頂きます」
「はーい。 ありがとうございます」
何か言いたげな表情をしたルイスさんはスルーし、合図でサッと現れた二人目の白いローブ人間に促され、会場を後にする。
はずだった……。
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