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天つ通い路
燻る思い出 Ⅱ
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「__……え?」
「私なんだ。その子供」
もう一度聞き返しても、彼の言葉は理解に窮した。
困惑し、自分の中で幾度も彼の言葉を噛み砕くように反芻する__が、理解しがたいものに変わりはなかった。
励ますにしても、たちの悪いやり口だ。
冗談で言っているのであれば、到底受け入れられないもの。
「だから__」
「待って、だって、あの子は女の子よ?」
「はぁ?」
彼は、彼にしては珍しく、素っ頓狂な声を上げた。
「何を言__あぁぁ……」
リュディガーは言葉を切って、思い出したようにうめき声にもにた声をあげ、頭を抱えた。
「……そういえば、よく女の子だと間違われていた、かもしれな、い……」
いかにも苦々しい、と言う顔で言うリュディガー。
「で、でも、貴方が女の子に見間違えられる事があったといっても、あの子だということは、私は信じられないわ」
はぁ、とため息を零したリュディガーは、手を下ろすと姿勢を戻した。
彼は、どうしたものか、とひとりごちて言いながら、顎を擦って修道院を遠い視線で見つめる。
「……その……」
言って、リュディガーはややかがむと、マイャリスの見ている視覚、視界に自身のそれらを寄せるように身を寄せて、石垣を示す。
彼が急に近くなるものだから、マイャリスは思わず身構えそうになるのを堪え、石垣を見た。
「__あそこ。石垣の脇に木があるのがわかるか?」
「え、えぇ……」
「あれは、枝垂れの柳で……あそこの影になる石垣の上に、君は会えなかった日は、わざわざ置いていてくれただろう。約束通りに」
早鐘を打っていた心臓が、約束通りに、という彼に言葉に反応して、ひとつ大きく跳ねた。
__何故、知っているの……。
確かに、会えない日はそうする、とあの子に伝えてはいた。
そして、あの子が受け取ったかを確認することが、楽しみになっていた。必ずあの子は受け取っていってくれていた。
「2週間ぐらいは続いたはずだ」
身を引いて離れながら言うリュディガーに、マイャリスは、ぐっ、と口を引き結んだ。
彼の言う通り、そのぐらいの期間での出来事だった。
短いが、マイャリスにとって、とても印象深い期間。誰かの支えになっているかもしれない、という充足感とともにこそばゆさがあった。
「__あの日……」
リュディガーの口調が、沈んでいてマイャリスは彼を見れば、彼は視線を落としていた。
「……君が叱られたのを目の当たりにして、もう来ては駄目だと思った。頼っては駄目だ、と」
視線を落とした目元に、わずかに力が込められるのをマイャリスは見逃さなかった。
苦しい胸の内を吐露するような口調。その横顔をみるにつけ、疑う自分の心がざわめく。
「マイャリスという名前なのだ、と……その時知ったよ」
そういえば、その子とは名前を教えあっていない。叱られている最中、自分が呼ばれたのを覚えていたのか。
「……無言で立ち去るのは、失礼だと思ったし……何より自分のせいであんなことになってしまったから謝りたくて……。でも直接会ったら、また何かを渡そうとしてくるんじゃないか、と思えて……それで、置き手紙を書いたんだ」
リュディガーは、ひとつ呼吸を整えてから、再び修道院を見やる。
「置き手紙の内容も覚えている。あれには、もう、来ない。ごめん、と。そして、花が一輪添えてあったはずだ。確か……カミツレだったと思う」
違うか、と問われ、マイャリスは絶句した。
花は小さいくせに、香り高いおかげで、一輪でも十分なほど存在感を与えるその花。
__嘘……そんな……。
そこまで細かく覚えていて、しかもどれもが自分しか知り得ないことばかり。
「で、でも、貴方は、ローベルトさんに引き取られてから、読み書きを覚えたって__」
「そんな話をしたか?」
「ぁ……貴方が、招集されて、療養していたことがあったでしょう? そのとき、ローベルトお父様から伺ったの……。領地管理人の手伝いをしている中で、読み書きを覚えた、と……」
「そうだったのか……」
リュディガーは、いくらか顔を曇らせる。
「__あれは……騙していたんだ」
「騙す……?」
「ああ……。ガリガリに痩せた子供が……まともに食事にありつけていなさそうな子供が、どこで読み書きを覚えた、って話になる。それで素性が知れて、連れ戻されてしまうかもしれない、と……迷惑をかけるかもしれない、と思ったから、読み書き出来ないフリをしていた」
だが、とリュディガーは修道院の鐘楼を見上げた。
「__父さんには感づかれていたらしい。今際の際に、それを打ち明けて謝ったら、知っていた、と……」
いくらか彼の声が震えているように聞こえ、マイャリスは胸の前で両手を握りしめた。
心臓が変わらず早鐘を打つ。浅い呼吸しかできない。落ち着け、と言い聞かせつつ彼の顔を見つめていると、彼が顔を向けてきた。
その真っ直ぐな視線。双眸。
あの子の、青だと思っていた瞳は、たしかに目の前の彼と同じ系統の色の瞳だ。昏い印象の目元だったから、遠い過去の記憶は灰色に染まっていて、よく思い出せなかっただけか。
くすんでいた茶色い金髪は、この榛色を覆い隠していたのか。
「……じゃあ、本当に、あの子だったの?」
「そうだ」
迷いなく、きっぱりと言い切られ、マイャリスは、ひゅっ、と小さく息を詰めた。
「貴方だった……?」
形容し難い感情の波が胸の奥底から溢れてきて、どうやっても、わなわな、と震えてしまう。
表情に乏しいはずの彼の目元が、心なしか穏やかなものになる。
「__パンもくれたよな。……すごく助かった。母も私も、君のお陰で食いつないでいられた」
母、と聞いて、そこで一気に視界が歪んでしまい、マイャリスは両手で顔を抑えるようにして覆った。
__……生きていた……あの子が……っ!
ふとした瞬間、あの子の面影が蘇っていた。夢にも当時を振り返っていた。
不遇にあったのは、勿論あの子だけではないのは知っているが、マイャリスにとってあの子がそれを実感させてくれた子で、そうした層があるという現実の象徴だった。
抑えている手の隙間から、涙が溢れてくる。拭っても拭っても、絶えず。
__リュディガーの前なのに……っ。
嗚咽が漏れてしまう。
歯を食いしばって、喉を締めても。そうすればするほど、漏れてしまう。
__リュディガーの前なのに!
ふいに、大きな温かいものが包み込む。
彼が懐に抱えてくれているとわかったのは、優しい安堵できる香りが包み込んだからだ。
「本当に申し訳ないことをしてしまった……。あれほどひどい仕打ちを……止めに入ることも出来なかった……。意気地がなくて……」
ふるふる、と首を振ることしか出来ない。
そんなことはいい。
どうだっていい。
慣れていた。
確かに、冷たい井戸水を被せられて驚いたが、あの修道女の長の、積もり積もったものが発露したにすぎない。
「__すまなかった」
「謝ら、ない、で……」
お願い、と絞り出す声で言えば、彼がより引き寄せる。
彼のどこに落ち度があるというのか。
「いつ……いつから、知っていたの……? 私だと、いつから……」
声が震えてしまう。
「今だ」
今、とマイャリスはつぶやく。
「マイャリス__ロンフォールが引き合わせると言ったとき、その名を聞いて、似た名の者がいるものだ、と思った。そして、そのマイャリスは銀の髪の毛で__死んだはずの君だった。君は昔、寄宿学校へ追いやられていた、と言っていたが……まさか、その寄宿学校があの修道院だとは、思えなかった。……いや、思うのはあまりに都合が良すぎる、と結論付けたんだ。そうだとしたら、あまりにも揃いすぎているから」
確かに、揃いすぎている。
自分でも、彼の立場なら疑ってかかるだろう。そんな都合が良すぎる揃い方をするものだろうか、と。
だが、とリュディガーはそこで言葉を区切った。
「__そうだった」
噛みしめるように言ったリュディガーは、よりしっかりと腕に力を込めて抱き寄せた。
「私なんだ。その子供」
もう一度聞き返しても、彼の言葉は理解に窮した。
困惑し、自分の中で幾度も彼の言葉を噛み砕くように反芻する__が、理解しがたいものに変わりはなかった。
励ますにしても、たちの悪いやり口だ。
冗談で言っているのであれば、到底受け入れられないもの。
「だから__」
「待って、だって、あの子は女の子よ?」
「はぁ?」
彼は、彼にしては珍しく、素っ頓狂な声を上げた。
「何を言__あぁぁ……」
リュディガーは言葉を切って、思い出したようにうめき声にもにた声をあげ、頭を抱えた。
「……そういえば、よく女の子だと間違われていた、かもしれな、い……」
いかにも苦々しい、と言う顔で言うリュディガー。
「で、でも、貴方が女の子に見間違えられる事があったといっても、あの子だということは、私は信じられないわ」
はぁ、とため息を零したリュディガーは、手を下ろすと姿勢を戻した。
彼は、どうしたものか、とひとりごちて言いながら、顎を擦って修道院を遠い視線で見つめる。
「……その……」
言って、リュディガーはややかがむと、マイャリスの見ている視覚、視界に自身のそれらを寄せるように身を寄せて、石垣を示す。
彼が急に近くなるものだから、マイャリスは思わず身構えそうになるのを堪え、石垣を見た。
「__あそこ。石垣の脇に木があるのがわかるか?」
「え、えぇ……」
「あれは、枝垂れの柳で……あそこの影になる石垣の上に、君は会えなかった日は、わざわざ置いていてくれただろう。約束通りに」
早鐘を打っていた心臓が、約束通りに、という彼に言葉に反応して、ひとつ大きく跳ねた。
__何故、知っているの……。
確かに、会えない日はそうする、とあの子に伝えてはいた。
そして、あの子が受け取ったかを確認することが、楽しみになっていた。必ずあの子は受け取っていってくれていた。
「2週間ぐらいは続いたはずだ」
身を引いて離れながら言うリュディガーに、マイャリスは、ぐっ、と口を引き結んだ。
彼の言う通り、そのぐらいの期間での出来事だった。
短いが、マイャリスにとって、とても印象深い期間。誰かの支えになっているかもしれない、という充足感とともにこそばゆさがあった。
「__あの日……」
リュディガーの口調が、沈んでいてマイャリスは彼を見れば、彼は視線を落としていた。
「……君が叱られたのを目の当たりにして、もう来ては駄目だと思った。頼っては駄目だ、と」
視線を落とした目元に、わずかに力が込められるのをマイャリスは見逃さなかった。
苦しい胸の内を吐露するような口調。その横顔をみるにつけ、疑う自分の心がざわめく。
「マイャリスという名前なのだ、と……その時知ったよ」
そういえば、その子とは名前を教えあっていない。叱られている最中、自分が呼ばれたのを覚えていたのか。
「……無言で立ち去るのは、失礼だと思ったし……何より自分のせいであんなことになってしまったから謝りたくて……。でも直接会ったら、また何かを渡そうとしてくるんじゃないか、と思えて……それで、置き手紙を書いたんだ」
リュディガーは、ひとつ呼吸を整えてから、再び修道院を見やる。
「置き手紙の内容も覚えている。あれには、もう、来ない。ごめん、と。そして、花が一輪添えてあったはずだ。確か……カミツレだったと思う」
違うか、と問われ、マイャリスは絶句した。
花は小さいくせに、香り高いおかげで、一輪でも十分なほど存在感を与えるその花。
__嘘……そんな……。
そこまで細かく覚えていて、しかもどれもが自分しか知り得ないことばかり。
「で、でも、貴方は、ローベルトさんに引き取られてから、読み書きを覚えたって__」
「そんな話をしたか?」
「ぁ……貴方が、招集されて、療養していたことがあったでしょう? そのとき、ローベルトお父様から伺ったの……。領地管理人の手伝いをしている中で、読み書きを覚えた、と……」
「そうだったのか……」
リュディガーは、いくらか顔を曇らせる。
「__あれは……騙していたんだ」
「騙す……?」
「ああ……。ガリガリに痩せた子供が……まともに食事にありつけていなさそうな子供が、どこで読み書きを覚えた、って話になる。それで素性が知れて、連れ戻されてしまうかもしれない、と……迷惑をかけるかもしれない、と思ったから、読み書き出来ないフリをしていた」
だが、とリュディガーは修道院の鐘楼を見上げた。
「__父さんには感づかれていたらしい。今際の際に、それを打ち明けて謝ったら、知っていた、と……」
いくらか彼の声が震えているように聞こえ、マイャリスは胸の前で両手を握りしめた。
心臓が変わらず早鐘を打つ。浅い呼吸しかできない。落ち着け、と言い聞かせつつ彼の顔を見つめていると、彼が顔を向けてきた。
その真っ直ぐな視線。双眸。
あの子の、青だと思っていた瞳は、たしかに目の前の彼と同じ系統の色の瞳だ。昏い印象の目元だったから、遠い過去の記憶は灰色に染まっていて、よく思い出せなかっただけか。
くすんでいた茶色い金髪は、この榛色を覆い隠していたのか。
「……じゃあ、本当に、あの子だったの?」
「そうだ」
迷いなく、きっぱりと言い切られ、マイャリスは、ひゅっ、と小さく息を詰めた。
「貴方だった……?」
形容し難い感情の波が胸の奥底から溢れてきて、どうやっても、わなわな、と震えてしまう。
表情に乏しいはずの彼の目元が、心なしか穏やかなものになる。
「__パンもくれたよな。……すごく助かった。母も私も、君のお陰で食いつないでいられた」
母、と聞いて、そこで一気に視界が歪んでしまい、マイャリスは両手で顔を抑えるようにして覆った。
__……生きていた……あの子が……っ!
ふとした瞬間、あの子の面影が蘇っていた。夢にも当時を振り返っていた。
不遇にあったのは、勿論あの子だけではないのは知っているが、マイャリスにとってあの子がそれを実感させてくれた子で、そうした層があるという現実の象徴だった。
抑えている手の隙間から、涙が溢れてくる。拭っても拭っても、絶えず。
__リュディガーの前なのに……っ。
嗚咽が漏れてしまう。
歯を食いしばって、喉を締めても。そうすればするほど、漏れてしまう。
__リュディガーの前なのに!
ふいに、大きな温かいものが包み込む。
彼が懐に抱えてくれているとわかったのは、優しい安堵できる香りが包み込んだからだ。
「本当に申し訳ないことをしてしまった……。あれほどひどい仕打ちを……止めに入ることも出来なかった……。意気地がなくて……」
ふるふる、と首を振ることしか出来ない。
そんなことはいい。
どうだっていい。
慣れていた。
確かに、冷たい井戸水を被せられて驚いたが、あの修道女の長の、積もり積もったものが発露したにすぎない。
「__すまなかった」
「謝ら、ない、で……」
お願い、と絞り出す声で言えば、彼がより引き寄せる。
彼のどこに落ち度があるというのか。
「いつ……いつから、知っていたの……? 私だと、いつから……」
声が震えてしまう。
「今だ」
今、とマイャリスはつぶやく。
「マイャリス__ロンフォールが引き合わせると言ったとき、その名を聞いて、似た名の者がいるものだ、と思った。そして、そのマイャリスは銀の髪の毛で__死んだはずの君だった。君は昔、寄宿学校へ追いやられていた、と言っていたが……まさか、その寄宿学校があの修道院だとは、思えなかった。……いや、思うのはあまりに都合が良すぎる、と結論付けたんだ。そうだとしたら、あまりにも揃いすぎているから」
確かに、揃いすぎている。
自分でも、彼の立場なら疑ってかかるだろう。そんな都合が良すぎる揃い方をするものだろうか、と。
だが、とリュディガーはそこで言葉を区切った。
「__そうだった」
噛みしめるように言ったリュディガーは、よりしっかりと腕に力を込めて抱き寄せた。
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