221 / 247
天つ通い路
燻る思い出 Ⅰ
しおりを挟む
抑圧され、囲われた生活が当たり前だった。
帝都の大学でも、自由ではあったのだが、屋敷に残してきた使用人がある種の人質のようなもので、機嫌を損ねないよう養父の意向に従い、機嫌を伺いながら過ごしていた。
戻れ、と言われて戻ってからは、元通りの生活。
季節の移ろいを見るにつけ、自分が取り残されていく心地に、もはや諦めていた。
それがある日突然、もう自由だ、と解き放たれた。
沙汰を待っていたというのに、突き放されたような心地だ。
お前はこうだから、こうしてほしい__そう言われるものだと思っていたのに。
__寧ろ、そのほうが楽だったのかもしれない。
受動的に過ごすことに慣れてしまっていた。
自分は、自分のことを選べなくなっていたのだ。
つくづく実感させられた。
__制約があるほうが、充実して過ごせていた感覚があるっていうのは、どうにも救いようがない気がする。
自由になったということだから遠乗りをしてもよいか、と翌日の昼にリュディガーへ問えば、快諾してもらえた。
彼が行動の範囲を宣告してきていたから、駄目元での要望だった。まさかここまであっさりと自分の意見を受け入れてもらえるとは思っても見なかったから、それなりに驚いた。
案内役と護衛にはリュディガー。アンブラがついてきているらしいが姿は見えず、彼の龍もまた、遥か高い上空を旋回するようにして追従しているらしいから、彼とふたりきりの状態である。
そんな彼は、得物を腰に佩いてはいるものの、甲冑も制服も纏っていない。悪目立ちすることを避けるためらしい。
こんな田舎で、見るからに龍騎士が馬に乗っていれば、それだけで確かに目立つに違いない。
気のむくまま、風の向くまま、ふらふら、と外を歩きまわってみたい、というそれだけの目的だから、目的地など当然ない。
あの屋敷に二度と来ないのであれば、一時でも封土として与えられた場所の景色を見ておいてもいいだろう、という動機だった。
__それに外へ出れば、何か思いつくかも知れないし……。
今後の身の振り方という目下の課題についてである。
外の空気の冷たさは、爽快感があって、頭が冴える心地がする。これだけでも出てきて正解だった、とマイャリスは思った。
無意識に、全景を見られたら、と思っていたのだろう、気がつけばなめらかな丘陵の、周辺一帯を一望できる場所に至っていた。
そこは、白い岩がごろごろとしたところ。
その中に、葉をすっかり落としてしまったぽつん、と立つ木を見つけ、マイャリスは馬を留めて佇む。
遠望を見るのは初めてだ。
街道沿いに、ぽつぽつ、とある家々。いくらかまとまってみえるそこは、村。あの道の先が、州都だ。
街道を手前に辿ってくれば、街道からはずれて丘の上に、自分とリュディガーが不本意な挙式を上げた教会も見える。
思わず、腹の前で右手を握りしめた。
「__イェソドは出るべきだと私は思う」
ここまで会話はほぼなかった。
それは、思案していると察してくれていた彼なりの思いやり。
「……ええ。そうするべきだとは私も思っているの」
苦笑を浮かべるマイャリスは、彼に振り返る。
やや後ろに佇む彼は、難しい顔をしていた。
彼の言う通り、留まるべきではないと認識している。
__となれば、土地勘があるのは帝都だけだものね……。州都以上によく知っている。だからといって、帝都へ行ってその後はどうするのかという、そこよね……。
それに、夢で見た。
望めば、天津御国へ引き上げる、と言われたこと。
__いっそ、引き上げてもらってしまったらいいのかしら。
幾度目かのため息が溢れた。
そこに、響き渡る鐘楼の鐘の音。
呼応するように景色の霞の彼方から、別の鐘の音が鳴った。
つられるようにして改めて景色を見、その中から鐘の音源をさぐった。
ここから馬で駆けても30分もかからないぐらいに離れたところ。街道がまとまって木々が生えた場所を貫いている。遠目にも手入れがされている印象がから、森というよりは林だろう。
それなりの規模の林の脇に、鐘を鳴らす鐘楼が見いだせた。
石垣に囲まれたそこは、野良仕事をしている者の装束から修道院だろうことはわかった。
風雨に晒された薄茶にくすんだ石造りの壁と、赤い屋根。
葺き替えられている部分もあるが、全体的に風化がすすんでいるように見受けられる。
その修道院を囲うのは、腰だめほどの高さの石垣。マイャリスが見つめる側は、修道院の裏側に当たるようで、石垣の内側には果樹園があるのが見えた。時期が時期なら、緑にあふれていただろう。
その修道院の全景をしばし眺めていると、何故か心がざわめいてきた。
__あれ、は……。
うっすら記憶のむこうに、似た建物がある。
記憶の中の構造が、今眺めている建物のそれと似ているのだ。
果樹園の周囲を改めて見る。
記憶の中の周囲の様子も、よく似ている。
石垣の脇の枝垂れた木を見つけ、マイャリスは、刹那の間に幼少期の記憶が鮮明に去来する。
「あそこ……」
間違いない。
__懐かしい……。
マイャリスは寄宿学校として世話になった修道院を眺めた。
「どうした?」
問われて、マイャリスは修道院を指さした。
「あそこ……私が入れられていた、寄宿学校です」
建物に視線を向けたまま、リュディガーに言う。
あの石垣の中でしか過ごしたことはなく、出たことはただの一度も__入学と退学のときを除き__勿論なかった。
あの石垣の中が世界の全てだったのだ、と改めて思う。
修道院の周りは木々が多く、てっきり周辺は皆そうなのだとおもっていた。これほど眺めがいい場所があって、しかもそこからこうして眺めることができていたとは知らなかった。
「あそこに、君がいた……」
「ええ。そう……。こんなところにあったの」
記憶の中のそれよりも、色があるように思う。
心象風景との差なのだろか。
「叱られてばかりだった。素行不良の娘ってことでしたから」
風がそよいで、石垣傍の木の枝__枝垂柳が目立って動いたから、マイャリスは視線をそちらへ移す。
記憶のそれより、さらに枝が伸びたようである。
「建物の裏手には、果樹園があって……。ほらあの、建物の手前側の石垣の内側。あの果樹園で食材を集めるのが仕事になっていた頃、やせ細った子が塀越しに見ていたことがあったの。私と同じぐらいで、茶色っぽい金色の髪と、目は青だったかしら……。私より、少し背が高かったように思うのだけれど……煤けて、泥まみれに汚れた子。たぶん、鉱山で働いていたのだと思うの」
どんどん蘇ってくるそのときの情景と、罪悪感。
「お腹が空いているのだと思って、こっそり果物だけでもあげたの。丁度色々実っていて、たくさんあったから。またあげられるから、来て……って。あの子、困っていたようだったから、そのとき、私さっさと建物に入って……あそこの窓見える?」
言って、果樹園の入り口脇にある窓を示す。
「あそこから、様子を伺っていたの。そしたら、暫くやっぱり悩んでいたんだけど、あの子、その場で食べないで持って帰ってしまったのよ。たぶん、家に家族がいるんだと思ったわ。大黒柱だったのかもしれないな、って思った」
「……そうか」
リュディガーの相槌に、マイャリスは彼を見る。
彼は、遠い瞳で枝垂れた木を見つめていた。
「毎日あげていた。……でも、しばらくしたら、大人に露見してしまって……とっても叱られたの。すごい剣幕で……。一番偉い人にね。__たぶん、それをあの子に見られていたのだと思う。その日は現れなくって……翌日、あの柳のところに置き手紙があったわ。もう来ない、と書いてあったの……。あぁ、嫌なものを見せてしまったなって、すごく申し訳ないことをしてしまったと思ったわ」
マイャリスははぁ、とため息を零して改めて柳を見る。柳の、あの子供がいつも立ち去っていく方向を。
「……ずっとつかえていることなの。たまに、夢でも見るぐらい。__あの子は、生きているのだろうか、と」
「__生きてるさ」
迷わずはっきり、と言うリュディガーに、マイャリスは小さく笑う。
「リュディガーは、優しいのね。そうね、生きていると思いたいわ……」
「そう信じてないのか?」
「そうであったらいい__前向きにそう思うことにはしているのよ。都合よく……」
最後は若干、吐き捨てるように言い、内心、自嘲する。
「その子供。__私だ」
__え……。
言ったのはリュディガーだ。
何故、彼がそんなことを言う。
何の冗談だ__否、そもそも、どういう意味だ。
怪訝に眉をひそめ、顔を彼に向けた。
帝都の大学でも、自由ではあったのだが、屋敷に残してきた使用人がある種の人質のようなもので、機嫌を損ねないよう養父の意向に従い、機嫌を伺いながら過ごしていた。
戻れ、と言われて戻ってからは、元通りの生活。
季節の移ろいを見るにつけ、自分が取り残されていく心地に、もはや諦めていた。
それがある日突然、もう自由だ、と解き放たれた。
沙汰を待っていたというのに、突き放されたような心地だ。
お前はこうだから、こうしてほしい__そう言われるものだと思っていたのに。
__寧ろ、そのほうが楽だったのかもしれない。
受動的に過ごすことに慣れてしまっていた。
自分は、自分のことを選べなくなっていたのだ。
つくづく実感させられた。
__制約があるほうが、充実して過ごせていた感覚があるっていうのは、どうにも救いようがない気がする。
自由になったということだから遠乗りをしてもよいか、と翌日の昼にリュディガーへ問えば、快諾してもらえた。
彼が行動の範囲を宣告してきていたから、駄目元での要望だった。まさかここまであっさりと自分の意見を受け入れてもらえるとは思っても見なかったから、それなりに驚いた。
案内役と護衛にはリュディガー。アンブラがついてきているらしいが姿は見えず、彼の龍もまた、遥か高い上空を旋回するようにして追従しているらしいから、彼とふたりきりの状態である。
そんな彼は、得物を腰に佩いてはいるものの、甲冑も制服も纏っていない。悪目立ちすることを避けるためらしい。
こんな田舎で、見るからに龍騎士が馬に乗っていれば、それだけで確かに目立つに違いない。
気のむくまま、風の向くまま、ふらふら、と外を歩きまわってみたい、というそれだけの目的だから、目的地など当然ない。
あの屋敷に二度と来ないのであれば、一時でも封土として与えられた場所の景色を見ておいてもいいだろう、という動機だった。
__それに外へ出れば、何か思いつくかも知れないし……。
今後の身の振り方という目下の課題についてである。
外の空気の冷たさは、爽快感があって、頭が冴える心地がする。これだけでも出てきて正解だった、とマイャリスは思った。
無意識に、全景を見られたら、と思っていたのだろう、気がつけばなめらかな丘陵の、周辺一帯を一望できる場所に至っていた。
そこは、白い岩がごろごろとしたところ。
その中に、葉をすっかり落としてしまったぽつん、と立つ木を見つけ、マイャリスは馬を留めて佇む。
遠望を見るのは初めてだ。
街道沿いに、ぽつぽつ、とある家々。いくらかまとまってみえるそこは、村。あの道の先が、州都だ。
街道を手前に辿ってくれば、街道からはずれて丘の上に、自分とリュディガーが不本意な挙式を上げた教会も見える。
思わず、腹の前で右手を握りしめた。
「__イェソドは出るべきだと私は思う」
ここまで会話はほぼなかった。
それは、思案していると察してくれていた彼なりの思いやり。
「……ええ。そうするべきだとは私も思っているの」
苦笑を浮かべるマイャリスは、彼に振り返る。
やや後ろに佇む彼は、難しい顔をしていた。
彼の言う通り、留まるべきではないと認識している。
__となれば、土地勘があるのは帝都だけだものね……。州都以上によく知っている。だからといって、帝都へ行ってその後はどうするのかという、そこよね……。
それに、夢で見た。
望めば、天津御国へ引き上げる、と言われたこと。
__いっそ、引き上げてもらってしまったらいいのかしら。
幾度目かのため息が溢れた。
そこに、響き渡る鐘楼の鐘の音。
呼応するように景色の霞の彼方から、別の鐘の音が鳴った。
つられるようにして改めて景色を見、その中から鐘の音源をさぐった。
ここから馬で駆けても30分もかからないぐらいに離れたところ。街道がまとまって木々が生えた場所を貫いている。遠目にも手入れがされている印象がから、森というよりは林だろう。
それなりの規模の林の脇に、鐘を鳴らす鐘楼が見いだせた。
石垣に囲まれたそこは、野良仕事をしている者の装束から修道院だろうことはわかった。
風雨に晒された薄茶にくすんだ石造りの壁と、赤い屋根。
葺き替えられている部分もあるが、全体的に風化がすすんでいるように見受けられる。
その修道院を囲うのは、腰だめほどの高さの石垣。マイャリスが見つめる側は、修道院の裏側に当たるようで、石垣の内側には果樹園があるのが見えた。時期が時期なら、緑にあふれていただろう。
その修道院の全景をしばし眺めていると、何故か心がざわめいてきた。
__あれ、は……。
うっすら記憶のむこうに、似た建物がある。
記憶の中の構造が、今眺めている建物のそれと似ているのだ。
果樹園の周囲を改めて見る。
記憶の中の周囲の様子も、よく似ている。
石垣の脇の枝垂れた木を見つけ、マイャリスは、刹那の間に幼少期の記憶が鮮明に去来する。
「あそこ……」
間違いない。
__懐かしい……。
マイャリスは寄宿学校として世話になった修道院を眺めた。
「どうした?」
問われて、マイャリスは修道院を指さした。
「あそこ……私が入れられていた、寄宿学校です」
建物に視線を向けたまま、リュディガーに言う。
あの石垣の中でしか過ごしたことはなく、出たことはただの一度も__入学と退学のときを除き__勿論なかった。
あの石垣の中が世界の全てだったのだ、と改めて思う。
修道院の周りは木々が多く、てっきり周辺は皆そうなのだとおもっていた。これほど眺めがいい場所があって、しかもそこからこうして眺めることができていたとは知らなかった。
「あそこに、君がいた……」
「ええ。そう……。こんなところにあったの」
記憶の中のそれよりも、色があるように思う。
心象風景との差なのだろか。
「叱られてばかりだった。素行不良の娘ってことでしたから」
風がそよいで、石垣傍の木の枝__枝垂柳が目立って動いたから、マイャリスは視線をそちらへ移す。
記憶のそれより、さらに枝が伸びたようである。
「建物の裏手には、果樹園があって……。ほらあの、建物の手前側の石垣の内側。あの果樹園で食材を集めるのが仕事になっていた頃、やせ細った子が塀越しに見ていたことがあったの。私と同じぐらいで、茶色っぽい金色の髪と、目は青だったかしら……。私より、少し背が高かったように思うのだけれど……煤けて、泥まみれに汚れた子。たぶん、鉱山で働いていたのだと思うの」
どんどん蘇ってくるそのときの情景と、罪悪感。
「お腹が空いているのだと思って、こっそり果物だけでもあげたの。丁度色々実っていて、たくさんあったから。またあげられるから、来て……って。あの子、困っていたようだったから、そのとき、私さっさと建物に入って……あそこの窓見える?」
言って、果樹園の入り口脇にある窓を示す。
「あそこから、様子を伺っていたの。そしたら、暫くやっぱり悩んでいたんだけど、あの子、その場で食べないで持って帰ってしまったのよ。たぶん、家に家族がいるんだと思ったわ。大黒柱だったのかもしれないな、って思った」
「……そうか」
リュディガーの相槌に、マイャリスは彼を見る。
彼は、遠い瞳で枝垂れた木を見つめていた。
「毎日あげていた。……でも、しばらくしたら、大人に露見してしまって……とっても叱られたの。すごい剣幕で……。一番偉い人にね。__たぶん、それをあの子に見られていたのだと思う。その日は現れなくって……翌日、あの柳のところに置き手紙があったわ。もう来ない、と書いてあったの……。あぁ、嫌なものを見せてしまったなって、すごく申し訳ないことをしてしまったと思ったわ」
マイャリスははぁ、とため息を零して改めて柳を見る。柳の、あの子供がいつも立ち去っていく方向を。
「……ずっとつかえていることなの。たまに、夢でも見るぐらい。__あの子は、生きているのだろうか、と」
「__生きてるさ」
迷わずはっきり、と言うリュディガーに、マイャリスは小さく笑う。
「リュディガーは、優しいのね。そうね、生きていると思いたいわ……」
「そう信じてないのか?」
「そうであったらいい__前向きにそう思うことにはしているのよ。都合よく……」
最後は若干、吐き捨てるように言い、内心、自嘲する。
「その子供。__私だ」
__え……。
言ったのはリュディガーだ。
何故、彼がそんなことを言う。
何の冗談だ__否、そもそも、どういう意味だ。
怪訝に眉をひそめ、顔を彼に向けた。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

領地経営で忙しい私に、第三王子が自由すぎる理由を教えてください
ねむたん
恋愛
領地経営に奔走する伯爵令嬢エリナ。毎日忙しく過ごす彼女の元に、突然ふらりと現れたのは、自由気ままな第三王子アレクシス。どうやら領地に興味を持ったらしいけれど、それを口実に毎日のように居座る彼に、エリナは振り回されっぱなし!
領地を守りたい令嬢と、なんとなく興味本位で動く王子。全く噛み合わない二人のやりとりは、笑いあり、すれ違いあり、ちょっぴりときめきも──?
くすっと気軽に読める貴族ラブコメディ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる