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煌めきの都
あらぬ嫌疑
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その日の夕方、マーガレットは戻ってきた。
午後のお茶を終えて私室で読書をしていたマイャリスに、戻った旨を伝えに訪れる。
「__マイャリス様、ハンナの件ですが」
「会えたの? 様子はどうでしたか?」
「……それが……」
早速、気がかりだったことを話題に出した彼女だが、背後の扉を、ちらり、と気にして言葉を濁した。
その様子で、マイャリスは不安を覚える。
「勤め先を尋ねたのですが、彼女は今は働いていないそうで……」
「……まさかやはり、病気を?」
「病気だったら、まだよかったようなものです」
「どういうこと?」
一度口を引き結んでから、腹の上あたりで組んだ手を握りしめるマーガレット。
「行方不明だそうで」
「何ですって」
「およそ3年ほど前に、急にいなくなった、と」
「いなく……?」
マイャリスは心臓が鷲掴みにされたような窮屈な心地に、戸惑った。
3年前__それは、自分が大学を止むに止まれず自主退学して戻ってきた時期に重なる。
__貴女様は、お隠れになった、と聞きました。
冷徹な、感情の起伏が一切ない男の視線に見つめられて告げられた言葉。
自分が知らなかった出来事。
知らぬうちに、死んでいたことにされていた事故。
父が関わったそれは、抜かり無く死体も用意されていたはず。
自分が戻ってきてハンナはすでに居なかった。故郷に戻っているか、あるいは新たな道を進んでいると思っていた__死の偽装という出来事が知らされるまでは。
「ある日から、唐突に現れなくなったそうで……」
髪色、背格好__ハンナは似ていた。
「捜索の依頼とかはなさらなかったのですか、その雇い主は」
マーガレットは、自嘲気味に笑う。
「所詮は替えがきく使用人ですから。州都の働き口なんて、いくらでも人が集まります」
瘴気からの防衛策が最も講じられている州都。移り住むのは容易ではなく、住めても今度は重い税が課せられる。
マーガレットやハンナのような使用人といった労働者としてなら、住み込みで暮らせなくもない。安全な州都のそうした働き口は、人気でそんなに空くことはないのだ。
「それに、ハンナは新しく雇われてそこまで日が経っていなかったようですし……」
「そう……」
その彼女が唐突に、居なくなった、ということは、自分の影武者として使われたと考えるのは、考えすぎではないだろう。
__父なら、やりかねない……いえ、やるに違いない。
そんなことはない、と否定をし、生きている、と願っていたが、それはどうやら砕かれたらしい。
手段はわからない。
呼び出したのか、攫ったのか__どちらにせよ、殺したことに変わりはない。
__寒い……。
ぶるり、と悪寒が背筋を走った。
父に雇われたオーガスティンは、知らなかったのだろう。
大学に迎えに来た彼は、自分と一緒に死んだことにされていたどころか、迎えに行ったことにさえなっていなかったと言っていたのだ。それはしかも、後から調べてわかったことである。
マイャリスから見ても、まだ当時、実力はあるようだったが、そこまで重用されていたようには思えないのだ。だから、実行班には組み込まれておらず、腕を見込まれていたことで死体のひとりに仕立てられもしなかった。
__間諜だと、気づかれていたら別だったのでしょうけれど。
結局、彼は粛清されてしまって、この世にはもう居ない。
「マイャリ__」
頭を抱えていると、マーガレットが声をかけてくれるのだが、その声は途切れた。
廊下が俄に騒がしくなったのだ。
弾かれるように扉を見れば、同時に前触れ無く開かれる扉。
ぞろぞろ、と人が踏み入ってくる。
彼らは皆一様に、黒い甲冑を纏った者__近衛だった。
「無礼な! 何事ですか!」
マイャリスは、マーガレットより前に躍り出て、黒い甲冑を纏った近衛へ強く言い放つ。
「失礼をば。__火急な要件なもので」
「火急?」
怪訝にしていると、目の前の近衛の視線が、マーガレットへ移ったのがわかった。
「お前がマーガレットだな。__来い」
小さく息を詰めるマーガレットを庇うよう、マイャリスは腕を伸ばした。
「彼女は私マイャリスの侍女です。貴方方は、近衛の者でしょう。であれば、私が州侯の身内だとは知っているはず。そして、貴方方の長であるリュディガーの妻__その私の侍女である彼女が何をしたというのですか」
「逆賊の嫌疑が掛けられているのです」
「逆……誰がそんな__」
「州侯です」
食い気味な短い答えに、マイャリスは不敵に笑む父の顔が脳裏を過ぎった。
「リュディガーは__主人は何と……このことを知っているのですか」
「さぁ。私は、州侯から直々に連れてこいとご命令を受けてきただけですので。ただ、その州侯の横に控えていたのは確かです」
__州侯の横にいたのに、リュディガーに命じなかった……?
どうしてだろう。
もっとも信頼されて重用されているはずの百人隊長のはず。
「雇った者の中で、不穏分子がいたのです。真贋を確かめねばならぬお立場ですので。知らぬ存ぜぬでは済まされませんでしょう」
「だから、彼女が逆賊なわけがないでしょう! それこそ濡れ衣です!」
「それについては、これから色々と確かめるだけですので。__何、違うなら違うでそれで済む話です」
マイャリス様、と背後で震える声が上がる。
「抵抗するようであれば、認めたとみなし、容赦は致しませんが」
腰に佩いた得物を示す近衛。
口布の下でほくそ笑んでいるように、マイャリスには映った。
「お待ちを」
よく通る女性の声__フルゴルの声が、彼らの背後からし、彼らが身を返すとその向こう側に案の定フルゴルがいた。
「私も同行させていただきます」
「呪い師殿か」
「私は、州侯の腹心リュディガー様の麾下です。ここで穏やかに収めることを、リュディガー様はお望みだと存じます。変事があれば、対処せよ、と仰せつかっておりますので。__見知った者が同行したほうが、マイャリス様もマーガレットもいくらか安心でしょう」
言って、フルゴルは部屋へと踏み入り、マイャリスのそばまで歩み寄る。
「お任せいただけますか?」
マイャリスは、マーガレットへ振り返る。
「事実無根です。やましいことなど何も……逆賊だなんて、なんで……」
「ええ、信じているわ。もちろん」
ひっし、とマーガレットの手を握る。かわいそうに、冷えた彼女の手は小さく震えていた。
「で、ですが、この場は、彼らに従います」
「マーガレット……」
掛ける言葉が見当たらずに彼女の名を呼べば、彼女は笑む。それは、どこか無理をして固いものだった。
ハンナのことを調べた直後だ。
そして少し前には、オーガスティンの粛清。
嫌疑をかけたのが州侯ということに、恐怖しないはずがない。
「では、私もついていきます」
「それは、ご遠慮いただく」
近衛が無慈悲に首を振って、止める。
「マイャリス様は、連れてくるな、と。__この邸宅にとどめておくように、と仰せです。ひとり部下を残しますので、どうぞこちらでお待ち下さい」
それは間違いなく監視だろう。
歯がゆい思いに、マイャリスは近衛を睨めつける。
その視界に、フルゴルが入って、無言で頷く。
そして、フルゴルに寄り添われながら、マーガレットは近衛に囲まれる形で部屋を出ていく。
「待って。__貴方、名前は?」
この近衛を束ねているらしい、始終マイャリスと言葉を交わしていた者に問う。
「マンフレート・ヤンセンです、マイャリス様。先日、筆頭十人隊長を仰せつかりました」
「……覚えておきます」
「それはそれは。光栄です」
恭しく礼を取るマンフレートに、目を細める様にして睨みつけるマイャリス。
彼らを見送ろうと、邸宅の玄関までついていくと、ひとりの近衛が扉の外へ出ぬよう留めて断りもなくそのまま扉を閉めてしまった。
重い音を立てて閉まる扉を、呆然とみつめる。
__何もしてあげられない……。
ばくばく、と心臓が早く打っていることに、この時気づいた。
午後のお茶を終えて私室で読書をしていたマイャリスに、戻った旨を伝えに訪れる。
「__マイャリス様、ハンナの件ですが」
「会えたの? 様子はどうでしたか?」
「……それが……」
早速、気がかりだったことを話題に出した彼女だが、背後の扉を、ちらり、と気にして言葉を濁した。
その様子で、マイャリスは不安を覚える。
「勤め先を尋ねたのですが、彼女は今は働いていないそうで……」
「……まさかやはり、病気を?」
「病気だったら、まだよかったようなものです」
「どういうこと?」
一度口を引き結んでから、腹の上あたりで組んだ手を握りしめるマーガレット。
「行方不明だそうで」
「何ですって」
「およそ3年ほど前に、急にいなくなった、と」
「いなく……?」
マイャリスは心臓が鷲掴みにされたような窮屈な心地に、戸惑った。
3年前__それは、自分が大学を止むに止まれず自主退学して戻ってきた時期に重なる。
__貴女様は、お隠れになった、と聞きました。
冷徹な、感情の起伏が一切ない男の視線に見つめられて告げられた言葉。
自分が知らなかった出来事。
知らぬうちに、死んでいたことにされていた事故。
父が関わったそれは、抜かり無く死体も用意されていたはず。
自分が戻ってきてハンナはすでに居なかった。故郷に戻っているか、あるいは新たな道を進んでいると思っていた__死の偽装という出来事が知らされるまでは。
「ある日から、唐突に現れなくなったそうで……」
髪色、背格好__ハンナは似ていた。
「捜索の依頼とかはなさらなかったのですか、その雇い主は」
マーガレットは、自嘲気味に笑う。
「所詮は替えがきく使用人ですから。州都の働き口なんて、いくらでも人が集まります」
瘴気からの防衛策が最も講じられている州都。移り住むのは容易ではなく、住めても今度は重い税が課せられる。
マーガレットやハンナのような使用人といった労働者としてなら、住み込みで暮らせなくもない。安全な州都のそうした働き口は、人気でそんなに空くことはないのだ。
「それに、ハンナは新しく雇われてそこまで日が経っていなかったようですし……」
「そう……」
その彼女が唐突に、居なくなった、ということは、自分の影武者として使われたと考えるのは、考えすぎではないだろう。
__父なら、やりかねない……いえ、やるに違いない。
そんなことはない、と否定をし、生きている、と願っていたが、それはどうやら砕かれたらしい。
手段はわからない。
呼び出したのか、攫ったのか__どちらにせよ、殺したことに変わりはない。
__寒い……。
ぶるり、と悪寒が背筋を走った。
父に雇われたオーガスティンは、知らなかったのだろう。
大学に迎えに来た彼は、自分と一緒に死んだことにされていたどころか、迎えに行ったことにさえなっていなかったと言っていたのだ。それはしかも、後から調べてわかったことである。
マイャリスから見ても、まだ当時、実力はあるようだったが、そこまで重用されていたようには思えないのだ。だから、実行班には組み込まれておらず、腕を見込まれていたことで死体のひとりに仕立てられもしなかった。
__間諜だと、気づかれていたら別だったのでしょうけれど。
結局、彼は粛清されてしまって、この世にはもう居ない。
「マイャリ__」
頭を抱えていると、マーガレットが声をかけてくれるのだが、その声は途切れた。
廊下が俄に騒がしくなったのだ。
弾かれるように扉を見れば、同時に前触れ無く開かれる扉。
ぞろぞろ、と人が踏み入ってくる。
彼らは皆一様に、黒い甲冑を纏った者__近衛だった。
「無礼な! 何事ですか!」
マイャリスは、マーガレットより前に躍り出て、黒い甲冑を纏った近衛へ強く言い放つ。
「失礼をば。__火急な要件なもので」
「火急?」
怪訝にしていると、目の前の近衛の視線が、マーガレットへ移ったのがわかった。
「お前がマーガレットだな。__来い」
小さく息を詰めるマーガレットを庇うよう、マイャリスは腕を伸ばした。
「彼女は私マイャリスの侍女です。貴方方は、近衛の者でしょう。であれば、私が州侯の身内だとは知っているはず。そして、貴方方の長であるリュディガーの妻__その私の侍女である彼女が何をしたというのですか」
「逆賊の嫌疑が掛けられているのです」
「逆……誰がそんな__」
「州侯です」
食い気味な短い答えに、マイャリスは不敵に笑む父の顔が脳裏を過ぎった。
「リュディガーは__主人は何と……このことを知っているのですか」
「さぁ。私は、州侯から直々に連れてこいとご命令を受けてきただけですので。ただ、その州侯の横に控えていたのは確かです」
__州侯の横にいたのに、リュディガーに命じなかった……?
どうしてだろう。
もっとも信頼されて重用されているはずの百人隊長のはず。
「雇った者の中で、不穏分子がいたのです。真贋を確かめねばならぬお立場ですので。知らぬ存ぜぬでは済まされませんでしょう」
「だから、彼女が逆賊なわけがないでしょう! それこそ濡れ衣です!」
「それについては、これから色々と確かめるだけですので。__何、違うなら違うでそれで済む話です」
マイャリス様、と背後で震える声が上がる。
「抵抗するようであれば、認めたとみなし、容赦は致しませんが」
腰に佩いた得物を示す近衛。
口布の下でほくそ笑んでいるように、マイャリスには映った。
「お待ちを」
よく通る女性の声__フルゴルの声が、彼らの背後からし、彼らが身を返すとその向こう側に案の定フルゴルがいた。
「私も同行させていただきます」
「呪い師殿か」
「私は、州侯の腹心リュディガー様の麾下です。ここで穏やかに収めることを、リュディガー様はお望みだと存じます。変事があれば、対処せよ、と仰せつかっておりますので。__見知った者が同行したほうが、マイャリス様もマーガレットもいくらか安心でしょう」
言って、フルゴルは部屋へと踏み入り、マイャリスのそばまで歩み寄る。
「お任せいただけますか?」
マイャリスは、マーガレットへ振り返る。
「事実無根です。やましいことなど何も……逆賊だなんて、なんで……」
「ええ、信じているわ。もちろん」
ひっし、とマーガレットの手を握る。かわいそうに、冷えた彼女の手は小さく震えていた。
「で、ですが、この場は、彼らに従います」
「マーガレット……」
掛ける言葉が見当たらずに彼女の名を呼べば、彼女は笑む。それは、どこか無理をして固いものだった。
ハンナのことを調べた直後だ。
そして少し前には、オーガスティンの粛清。
嫌疑をかけたのが州侯ということに、恐怖しないはずがない。
「では、私もついていきます」
「それは、ご遠慮いただく」
近衛が無慈悲に首を振って、止める。
「マイャリス様は、連れてくるな、と。__この邸宅にとどめておくように、と仰せです。ひとり部下を残しますので、どうぞこちらでお待ち下さい」
それは間違いなく監視だろう。
歯がゆい思いに、マイャリスは近衛を睨めつける。
その視界に、フルゴルが入って、無言で頷く。
そして、フルゴルに寄り添われながら、マーガレットは近衛に囲まれる形で部屋を出ていく。
「待って。__貴方、名前は?」
この近衛を束ねているらしい、始終マイャリスと言葉を交わしていた者に問う。
「マンフレート・ヤンセンです、マイャリス様。先日、筆頭十人隊長を仰せつかりました」
「……覚えておきます」
「それはそれは。光栄です」
恭しく礼を取るマンフレートに、目を細める様にして睨みつけるマイャリス。
彼らを見送ろうと、邸宅の玄関までついていくと、ひとりの近衛が扉の外へ出ぬよう留めて断りもなくそのまま扉を閉めてしまった。
重い音を立てて閉まる扉を、呆然とみつめる。
__何もしてあげられない……。
ばくばく、と心臓が早く打っていることに、この時気づいた。
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