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煌めきの都
ご所望
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弦は三つ。笹の葉のような細長くてぽってりとした輪郭の胴。それを立てるようにして膝に乗せ、弦を弓で擦って奏でる。
憂いを帯びた音色は、どこか女性的な声。昼よりも夜に弾くと、しんみりするのは、その声のような音色がまさしく自分の嘆きを乗せているから。
ここ数日の日課で、弔いとして爪弾いていたもののだが、同時に自分の世界に没頭できて、何も考えなくていい境地になる手段として手っ取り早いからでもあった。
穏やかに生きるとは、かくも難しい__ふと、そうした思いを掻き立てる。
いつもであれば私室で弾いているのだが、今夜は談話室。しかも独りではなく、聴衆がいる。
暖炉の炎の明かりと蝋燭の灯りの部屋で、静かに耳を傾けるのは、リュディガーとフルゴルである。
私室で夕食をとり、一服していたところ、フルゴルが訪れた。
__もし、今夜もカーチェを弾かれるのであれば、是非、談話室でご披露願いたく。
そう言われ、もしや、と思いつつも彼女の言葉に従えば、談話室ではリュディガーがいた。
彼がいることは想定内であったが、なるべく避けていた生活を送っていたから、やはり構えてしまった。
無言で彼が示す椅子に、マイャリスは素直に従い腰を据え、弾き始める。
リュディガーはといえば、窓辺へと下がるように距離を取り、座ることはせず、窓辺に寄りかかるように身を預け、腕を組んでしばらく見守っていた。
気がつけば彼は視線を窓の外の闇へと投げていた。聞いてはいるのだろう。もしかしたら、窓の外を見る風を装いながら、窓辺に映り込んだ弾き手を観察しているのかもしれない。
会話がないまま、一つ曲が終わった。
区切りを察し、流石にリュディガーの視線が戻ってきたが、マイャリスは気づかないふりをして、いつものようにもう一曲。
一曲を弾いている間に肝がすわってきて、彼に対して構えることはなくなっていた。もっとも、彼がなにか__歩み寄ったりしなければ、の話だが。
二曲目では、どういう風の吹き回しだろう、とかそうしたことを考えず、ただひたすら思うまま爪弾いた。
次いで三曲目。もはやこの場には、自分だけという感覚になるから不思議だ。
毎晩、選曲はちがうものの三曲で弾くのを止める。この日も、三曲目を終えたところで、ふぅ、とひとつ深く息を吐いた。
そこで、ぱちぱち、と上品な拍手があって、はっ、と我に返る。
「手慰みとは思えないほど。よい音色であらっしゃる」
フルゴルが穏やかな笑みをたたえて、手を打っていた。それを見て、さらにリュディガーも居ることを思い出して彼へと視線を移せば、窓辺に寄りかかったままこちらを見つめている。
彼に聞かれるのは、初めてではない。
彼の養父ローベルトとの約束を果たした日、彼も同席していた。
あのときは、もっと賑やかな音色の曲も弾いた。カーチェは何も、哀しい憂いた曲ばかりを弾くだけではないのだ。土着なお祭りでも弾かれることがあるから、それこそ幅が広い曲がある。
ローベルトが聞きたがる曲を、ひとつひとつ弾いていって__とても楽しい一時だった。
その時を思い出して、ぎゅっ、と胴から伸びる竿を弦ごと握った。
「__明日も聞かせてくれ」
「__っ」
彼の言葉に、マイャリスは目を見開いて思わず息を詰めた。
何故。
どうして。
何のために。
距離を詰めようというのか。
話の口実を作ろうとしているのか。
__今度、夜会に連れて行くから、少しでも良好にしておこうというつもりなのかしら……。
相変わらず、表情のない顔の彼。
かつてカーチェを聞いた時の彼は、もっと表情が豊かだった。至極嬉しそうにする父を見守る彼の顔。あの温かい顔。
目線が交わったとき、付き合わせてすまない、と困ったような、それでいて照れたような笑顔を見せた彼。
「……ご希望、でしたら」
ひきつる喉を叱咤して、どうにかマイャリスはそう返して、逃げるようにして私室へと戻った。
そして、翌日の夜。
フルゴルに呼ばれて、彼女について行けば、マイャリスがこの屋敷にきてただの一度も踏み入れたことのない部屋へといざなわれた。案内されたのは談話室ではなく、リュディガーの私室だった。
__まさか……カーチェだけを弾けばいいというわけではない。
脳裏によぎる、閨という言葉。
彼の私室がどういう作りかは承知していないが、自分の部屋を思えば、ここにも寝台はあるだろう。
扉の前ですくみ、思わず胸元を握りしめていると、くすり、とそばでフルゴルが小さく笑う。その笑い声にさえ、マイャリスは体を弾ませてしまった。
「ご安心を。とって食べたりいたしませんから」
「あ、ぁ……は、い……」
内心を見透かされてしまったのだろうか、気恥ずかしくなって、顔が火照ってしまった。
フルゴルは笑みを深め、扉をノックする。
「フルゴルでございます。お連れいたしました」
ああ、と応じる声を受け、フルゴルは扉を開け、自ら先に踏み入って扉の脇により、マイャリスを促すように手を内へと向ける。
ひとつ呼吸を整えて、意を決して踏み入る。
独特な香りがした。
香を炊いているのだろうか。どっしりとしていながらも、重すぎないとても落ち着いた香り。
室内は、琥珀色を貴重とした空間で、重厚な調度品にあった真紅の毛足の長い絨毯が敷かれている。
大きな机は、真紅のカーテンが垂れる窓辺に背をむける形で置かれ、来訪者を迎えるようにあったが、リュディガーはそこにはいなかった。
部屋に入って右手、暖炉の近くに置かれたソファーのひとつに腰掛けていたらしい彼は、ぬらり、と立ち上がった。
そして、こちらへ、と示すように手でソファーのひとつを示す。
彼の傍には、影のようにアンブラがいて、視線が合うと胸に手を当てて頭を下げるので、マイャリスはそれに礼をとってから、示されたソファーへと足を向けた。
背後で閉まる扉。
フルゴルが後に続くのを肩越しに見ながら、ソファーへと歩み寄り、腰を据えた。
そこで目に留まるのは、天蓋付きの寝台。
緊張が高まった。
__何を、考えているの……。
たぶん、おそらく、そんなことは起きない__はずだ。
ちらり、と見たリュディガーはもともと座っていた席__向かい合う席に腰をおろした。大柄な彼が座ってくれることで、威圧感がなくなり、少しばかり安堵する。
__だ、大丈夫。
フルゴルの言葉を信じよう。
__弾いて、終わったら、さっさと戻る。それだけよ。
引き止められたとしても、部屋へと逃げ帰ればいい。
__夜会に夫婦として招かれたから、私が気にしすぎているだけよ。
白い結婚の、形骸化した夫婦__それを払拭したいのかもしれないが、今のマイャリスには彼を受け入れることは到底できない。
もっとも、彼が本気を出せば強引にことに及ぶことなど造作もないのだろうが__。
__そこまで堕ちてはいない、と思いたいわ。
マイャリスが思案する傍らで、影のように佇んでいたアンブラはリュディガーの背後に移動して佇むばかりで座ることはない。対してフルゴルは、マイャリスの背後に佇む。
「座らないのですか?」
思わず彼らに問うが、それぞれ緩く首を振る。
「お気になさらず」
「き、気にはなるのですが」
ふふ、とフルゴルは笑うばかり。アンブラはリュディガーに似て、表情を変えない。
部屋の主であるリュディガーも、表情のない顔で見つめてくる。
少しばかり__否、とてもやりにくい状況で、マイャリスは自身を鼓舞するように大きく深呼吸をして、手にしていたカーチェを構えた。
憂いを帯びた音色は、どこか女性的な声。昼よりも夜に弾くと、しんみりするのは、その声のような音色がまさしく自分の嘆きを乗せているから。
ここ数日の日課で、弔いとして爪弾いていたもののだが、同時に自分の世界に没頭できて、何も考えなくていい境地になる手段として手っ取り早いからでもあった。
穏やかに生きるとは、かくも難しい__ふと、そうした思いを掻き立てる。
いつもであれば私室で弾いているのだが、今夜は談話室。しかも独りではなく、聴衆がいる。
暖炉の炎の明かりと蝋燭の灯りの部屋で、静かに耳を傾けるのは、リュディガーとフルゴルである。
私室で夕食をとり、一服していたところ、フルゴルが訪れた。
__もし、今夜もカーチェを弾かれるのであれば、是非、談話室でご披露願いたく。
そう言われ、もしや、と思いつつも彼女の言葉に従えば、談話室ではリュディガーがいた。
彼がいることは想定内であったが、なるべく避けていた生活を送っていたから、やはり構えてしまった。
無言で彼が示す椅子に、マイャリスは素直に従い腰を据え、弾き始める。
リュディガーはといえば、窓辺へと下がるように距離を取り、座ることはせず、窓辺に寄りかかるように身を預け、腕を組んでしばらく見守っていた。
気がつけば彼は視線を窓の外の闇へと投げていた。聞いてはいるのだろう。もしかしたら、窓の外を見る風を装いながら、窓辺に映り込んだ弾き手を観察しているのかもしれない。
会話がないまま、一つ曲が終わった。
区切りを察し、流石にリュディガーの視線が戻ってきたが、マイャリスは気づかないふりをして、いつものようにもう一曲。
一曲を弾いている間に肝がすわってきて、彼に対して構えることはなくなっていた。もっとも、彼がなにか__歩み寄ったりしなければ、の話だが。
二曲目では、どういう風の吹き回しだろう、とかそうしたことを考えず、ただひたすら思うまま爪弾いた。
次いで三曲目。もはやこの場には、自分だけという感覚になるから不思議だ。
毎晩、選曲はちがうものの三曲で弾くのを止める。この日も、三曲目を終えたところで、ふぅ、とひとつ深く息を吐いた。
そこで、ぱちぱち、と上品な拍手があって、はっ、と我に返る。
「手慰みとは思えないほど。よい音色であらっしゃる」
フルゴルが穏やかな笑みをたたえて、手を打っていた。それを見て、さらにリュディガーも居ることを思い出して彼へと視線を移せば、窓辺に寄りかかったままこちらを見つめている。
彼に聞かれるのは、初めてではない。
彼の養父ローベルトとの約束を果たした日、彼も同席していた。
あのときは、もっと賑やかな音色の曲も弾いた。カーチェは何も、哀しい憂いた曲ばかりを弾くだけではないのだ。土着なお祭りでも弾かれることがあるから、それこそ幅が広い曲がある。
ローベルトが聞きたがる曲を、ひとつひとつ弾いていって__とても楽しい一時だった。
その時を思い出して、ぎゅっ、と胴から伸びる竿を弦ごと握った。
「__明日も聞かせてくれ」
「__っ」
彼の言葉に、マイャリスは目を見開いて思わず息を詰めた。
何故。
どうして。
何のために。
距離を詰めようというのか。
話の口実を作ろうとしているのか。
__今度、夜会に連れて行くから、少しでも良好にしておこうというつもりなのかしら……。
相変わらず、表情のない顔の彼。
かつてカーチェを聞いた時の彼は、もっと表情が豊かだった。至極嬉しそうにする父を見守る彼の顔。あの温かい顔。
目線が交わったとき、付き合わせてすまない、と困ったような、それでいて照れたような笑顔を見せた彼。
「……ご希望、でしたら」
ひきつる喉を叱咤して、どうにかマイャリスはそう返して、逃げるようにして私室へと戻った。
そして、翌日の夜。
フルゴルに呼ばれて、彼女について行けば、マイャリスがこの屋敷にきてただの一度も踏み入れたことのない部屋へといざなわれた。案内されたのは談話室ではなく、リュディガーの私室だった。
__まさか……カーチェだけを弾けばいいというわけではない。
脳裏によぎる、閨という言葉。
彼の私室がどういう作りかは承知していないが、自分の部屋を思えば、ここにも寝台はあるだろう。
扉の前ですくみ、思わず胸元を握りしめていると、くすり、とそばでフルゴルが小さく笑う。その笑い声にさえ、マイャリスは体を弾ませてしまった。
「ご安心を。とって食べたりいたしませんから」
「あ、ぁ……は、い……」
内心を見透かされてしまったのだろうか、気恥ずかしくなって、顔が火照ってしまった。
フルゴルは笑みを深め、扉をノックする。
「フルゴルでございます。お連れいたしました」
ああ、と応じる声を受け、フルゴルは扉を開け、自ら先に踏み入って扉の脇により、マイャリスを促すように手を内へと向ける。
ひとつ呼吸を整えて、意を決して踏み入る。
独特な香りがした。
香を炊いているのだろうか。どっしりとしていながらも、重すぎないとても落ち着いた香り。
室内は、琥珀色を貴重とした空間で、重厚な調度品にあった真紅の毛足の長い絨毯が敷かれている。
大きな机は、真紅のカーテンが垂れる窓辺に背をむける形で置かれ、来訪者を迎えるようにあったが、リュディガーはそこにはいなかった。
部屋に入って右手、暖炉の近くに置かれたソファーのひとつに腰掛けていたらしい彼は、ぬらり、と立ち上がった。
そして、こちらへ、と示すように手でソファーのひとつを示す。
彼の傍には、影のようにアンブラがいて、視線が合うと胸に手を当てて頭を下げるので、マイャリスはそれに礼をとってから、示されたソファーへと足を向けた。
背後で閉まる扉。
フルゴルが後に続くのを肩越しに見ながら、ソファーへと歩み寄り、腰を据えた。
そこで目に留まるのは、天蓋付きの寝台。
緊張が高まった。
__何を、考えているの……。
たぶん、おそらく、そんなことは起きない__はずだ。
ちらり、と見たリュディガーはもともと座っていた席__向かい合う席に腰をおろした。大柄な彼が座ってくれることで、威圧感がなくなり、少しばかり安堵する。
__だ、大丈夫。
フルゴルの言葉を信じよう。
__弾いて、終わったら、さっさと戻る。それだけよ。
引き止められたとしても、部屋へと逃げ帰ればいい。
__夜会に夫婦として招かれたから、私が気にしすぎているだけよ。
白い結婚の、形骸化した夫婦__それを払拭したいのかもしれないが、今のマイャリスには彼を受け入れることは到底できない。
もっとも、彼が本気を出せば強引にことに及ぶことなど造作もないのだろうが__。
__そこまで堕ちてはいない、と思いたいわ。
マイャリスが思案する傍らで、影のように佇んでいたアンブラはリュディガーの背後に移動して佇むばかりで座ることはない。対してフルゴルは、マイャリスの背後に佇む。
「座らないのですか?」
思わず彼らに問うが、それぞれ緩く首を振る。
「お気になさらず」
「き、気にはなるのですが」
ふふ、とフルゴルは笑うばかり。アンブラはリュディガーに似て、表情を変えない。
部屋の主であるリュディガーも、表情のない顔で見つめてくる。
少しばかり__否、とてもやりにくい状況で、マイャリスは自身を鼓舞するように大きく深呼吸をして、手にしていたカーチェを構えた。
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