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煌めきの都
百人隊長と筆頭十人隊長
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部屋に戻ったマイャリスは、窓辺のソファーに腰を下ろして庭を眺めながめていた。そして、無力感に苛まれ、重い溜息を零すばかり。
何をする気も起きず、ただただ窓を眺める。__先程までいた、東屋を。
__あのリュディガーが……近衛。
州侯やその家族、州宰といった上級文官の護衛を主とするのが近衛隊。これは、州軍とは独立した指揮系統となっていて、実質的に州侯の私兵と言ってもいい。
規模は最大で十名十隊の百名。故に、百人隊とも呼ばれ、長を百人隊長と言う。
昨今、『氷の騎士』と恐れられる輩は、その百人隊長の座についたとされる。とてつもなく早い出世で、しかも若いということで、どんな手段を使ったのか、とそんなことまで言われていた人物。
こんこん、とそこへ入室を求めるノックがして、姿勢を正して気を引き締め、誰何する。
「オーガスティン・ギーセンです」
その名にいささか、ほっ、と胸をなでおろし、入室を許せば、入ってきたのは少し前に見かけた黒を基調とした制服と鈍色の甲冑に身を包んだ者だった。
しかし彼は、兜を小脇に抱えて、人懐こい笑みを浮かべている。
「只今より、復帰いたします」
「ご苦労さまです。休暇は楽しめましたか?」
中へ、と手で示すと、彼は後ろ手で扉を閉めて歩み寄る。
「はい、お陰様で、ゆっくりもできました」
「帝都はいかがでしたか?」
「夏至祭が近いので、賑わっておりましたよ。ここの州都よりも、やはりすごい賑わいで」
そう、とマイャリスは不意に脳裏に蘇った夏至祭の景色に、胸が苦しくなった。
とても賑わった街。人も物も多く、目眩を覚えるほど。
その中を、手を引いてくれた、懐かしい気高い__彼。
「__何か、ありましたか?」
オーガスティンの問いかけに、はっ、と我に返るマイャリス。
飄々とした印象を与える彼だが、他人の機微にはよく気がつく。
「……オーガスティン、伺いたいことがあるのですが、お時間は大丈夫ですか?」
「ええ。お忘れですか? 私は、そこそこに偉い者なんですよ」
冗談めかして言いながら、彼は茶葉の包を取り出して恭しく両手で掲げるように差し出した。
「これは、お土産です。__ご安心を。下心なんて微塵もありませんから」
「ありがとう、わざわざ」
彼は少しばかり遠出をすると、こうして何かしら土産を持ってきてくれる。
外へ出られないことを承知でいるから、それ故の気遣いだろう。父の部下__近衛に所属していながら、こうした振る舞いをするのは彼ぐらい。
茶葉を大事に受け取って、座るように促したのは、自分が座っていたソファーの向かいの席。
「早速、淹れましょうか」
「いえ、お構いなく。上等な茶葉らしいのですが、私にはわからないので、もったいないですよ」
言われて改めて茶葉をみれば、確かに名の知られた茶葉だった。
__ビルネンベルク先生もよく飲まれていたわね。
懐かしい、兎の耳の恩師の笑みが浮かぶ。
「それで?」
「__オーガスティンは、『氷の騎士』という人物について、どこまでご存知ですか?」
「……上司の話ですか」
苦笑を浮かべる彼に、マイャリスは頷く。
オーガスティンは、近衛隊において筆頭十人隊長の地位にある。筆頭十人隊長とは、10ある隊の中の長__百人隊長の次の地位で、副官。百人隊長の従える十名は、十人隊長で構成されている。
「実は、2時間ほど前、父が引き合わせたのです」
おや、とオーガスティンは眉をひそめた。
「__今の百人隊長が叙されてからだいぶ経ちますが、今更マイャリス様へ目通りですか」
前任の百人隊長でさえ、片手で数える程度しか会っていない。
マイャリスは列記とした州侯の家族。その護衛官である近衛でも、限られた面々しか護衛としてつかない。オーガスティンの隊が主にこれに宛てがわれている。
十名程度では日々の護衛は難しいのでは、と思えるのだが、この州城の、しかも私邸の一角から出ることも叶わない身の上では、そこまで危険はないし、出入り口を主に見張るだけでいいのだから、可能なのだろう。
「噂は?」
「血も、心も凍った断罪者だと。父の気に入りで……」
「そうですね、かなり引き立ててもらっているのは事実です。ほかを差し置いて、とんとん拍子に百人隊長ですから」
オーガスティンはやや前のめりになって、声を潜めて続ける。
「内部では、反発がそれなりにありましたよ。やってられない、と辞めていく者もいたりして……ただ、元龍騎士ですから、実力は伴っているので、自然と落ち着きました。__一部では、心酔している輩もいます」
「オーガスティンも?」
「そんな風に見えます? 堅苦しすぎるのは、苦手な私ですよ」
からり、と笑うオーガスティンだが、すぐに真剣な面持ちになる。
「ナハトリンデン殿は、忠実な下僕です。間違いなく。州侯の御下知こそ法__これは州においては間違いではないですが、私刑にも思えることも従っているのは事実ですね」
「私刑……ですか」
「イェソドの鉱山では、稀に蜂起があるのはご存知ですよね? それを鎮圧するのは、ナハトリンデン__それこそ確実に。そのあとの鉱山は嘘のように従順になるとかならないとか」
イェソドの主要な産業は、鉄鋼と宝石。宝石の質は、帝国の北部の州には劣るものの、それなりのものが採掘できる。
イェソド州の住民の多くは、鉱山開発に関わる仕事に従事している。
「……どんな目を見せられたのかは、私まで上がってこないあたり、穏やかではないのだろうと思いますよ」
ぐぎり、と胸が痛み、マイャリスは口を一文字に引き結ぶ。
「……彼は、昔からそうなのですか?」
「昔?」
「州軍の募集があって入った、と言っていました」
「ああ。どうでしょう。私は旦那様が州侯におなりになった流れで、近衛になりましたが、彼はその時すでに近衛にいました。州軍からの引き抜きだったとは聞いていますが……州軍にいたときも、それなりに噂される人材だったのは事実ですね。元龍騎士ですから」
「そう……実力があったということね」
「ええ。間違いなく。性格まではわかりませんが、恐れられてはいたと」
マイャリスは、握りしめた手元に視線を落とす。
「……彼は、本当に変わってしまっていたのね」
「__お知り合い、ですか?」
「……彼とは、帝都の大学で学友でした」
「それは、存じ上げなかった。ナハトリンデン殿は、昔話をするような馴れ合いをあまりなさらないから」
「同じ担当教官で……」
そこまで言って、目元が潤みそうになる。ごまかすように視線を窓の外へ流した。
__ビルネンベルク先生が今の彼をご覧になったら……。
嫌味のひとつやふたつ、小言のひとつやふたつ__否、そのどれも彼には響かないのかもしれない。
「……彼が龍帝従騎士団の龍騎士であることが、誇らしく思えていた。そんな人でした。『氷の騎士』の噂に聞くようなことをとても嫌う人だったはずです」
__むしろ、断罪する立場だったはず。
遅れるものを待ち、導き守ることを厭わない人。それを当たり前にできていた人。
こういう人材が、帝国には欠かせない者だと思っていた。
もう会うことはないだろうから、と彼とのことは忘れようとしていたのは事実だが、それでもやはり、記憶の中の顔は朧げになる中でも、彼の多幸を祈ってはいた。
人としての温もりがあった彼は、先程の面会ではまるでそれが感じられなかった。まさに、異名の通りに心も凍てつかせてしまったよう。
過去の彼を思い出し、比べれば比べるほど、胸が苦しくなる。
「__もう、彼はいない……」
ぽつり、と言葉が溢れたと同時に、目元からひとつ涙が流れて、慌てて拭う。
何が彼をそこまで変えてしまったのだろうか__。
__残っていれば、また変わっていたのだろうか……。
父に傾倒するようなことには、少なくともならなかったのではなかろうか。
何をする気も起きず、ただただ窓を眺める。__先程までいた、東屋を。
__あのリュディガーが……近衛。
州侯やその家族、州宰といった上級文官の護衛を主とするのが近衛隊。これは、州軍とは独立した指揮系統となっていて、実質的に州侯の私兵と言ってもいい。
規模は最大で十名十隊の百名。故に、百人隊とも呼ばれ、長を百人隊長と言う。
昨今、『氷の騎士』と恐れられる輩は、その百人隊長の座についたとされる。とてつもなく早い出世で、しかも若いということで、どんな手段を使ったのか、とそんなことまで言われていた人物。
こんこん、とそこへ入室を求めるノックがして、姿勢を正して気を引き締め、誰何する。
「オーガスティン・ギーセンです」
その名にいささか、ほっ、と胸をなでおろし、入室を許せば、入ってきたのは少し前に見かけた黒を基調とした制服と鈍色の甲冑に身を包んだ者だった。
しかし彼は、兜を小脇に抱えて、人懐こい笑みを浮かべている。
「只今より、復帰いたします」
「ご苦労さまです。休暇は楽しめましたか?」
中へ、と手で示すと、彼は後ろ手で扉を閉めて歩み寄る。
「はい、お陰様で、ゆっくりもできました」
「帝都はいかがでしたか?」
「夏至祭が近いので、賑わっておりましたよ。ここの州都よりも、やはりすごい賑わいで」
そう、とマイャリスは不意に脳裏に蘇った夏至祭の景色に、胸が苦しくなった。
とても賑わった街。人も物も多く、目眩を覚えるほど。
その中を、手を引いてくれた、懐かしい気高い__彼。
「__何か、ありましたか?」
オーガスティンの問いかけに、はっ、と我に返るマイャリス。
飄々とした印象を与える彼だが、他人の機微にはよく気がつく。
「……オーガスティン、伺いたいことがあるのですが、お時間は大丈夫ですか?」
「ええ。お忘れですか? 私は、そこそこに偉い者なんですよ」
冗談めかして言いながら、彼は茶葉の包を取り出して恭しく両手で掲げるように差し出した。
「これは、お土産です。__ご安心を。下心なんて微塵もありませんから」
「ありがとう、わざわざ」
彼は少しばかり遠出をすると、こうして何かしら土産を持ってきてくれる。
外へ出られないことを承知でいるから、それ故の気遣いだろう。父の部下__近衛に所属していながら、こうした振る舞いをするのは彼ぐらい。
茶葉を大事に受け取って、座るように促したのは、自分が座っていたソファーの向かいの席。
「早速、淹れましょうか」
「いえ、お構いなく。上等な茶葉らしいのですが、私にはわからないので、もったいないですよ」
言われて改めて茶葉をみれば、確かに名の知られた茶葉だった。
__ビルネンベルク先生もよく飲まれていたわね。
懐かしい、兎の耳の恩師の笑みが浮かぶ。
「それで?」
「__オーガスティンは、『氷の騎士』という人物について、どこまでご存知ですか?」
「……上司の話ですか」
苦笑を浮かべる彼に、マイャリスは頷く。
オーガスティンは、近衛隊において筆頭十人隊長の地位にある。筆頭十人隊長とは、10ある隊の中の長__百人隊長の次の地位で、副官。百人隊長の従える十名は、十人隊長で構成されている。
「実は、2時間ほど前、父が引き合わせたのです」
おや、とオーガスティンは眉をひそめた。
「__今の百人隊長が叙されてからだいぶ経ちますが、今更マイャリス様へ目通りですか」
前任の百人隊長でさえ、片手で数える程度しか会っていない。
マイャリスは列記とした州侯の家族。その護衛官である近衛でも、限られた面々しか護衛としてつかない。オーガスティンの隊が主にこれに宛てがわれている。
十名程度では日々の護衛は難しいのでは、と思えるのだが、この州城の、しかも私邸の一角から出ることも叶わない身の上では、そこまで危険はないし、出入り口を主に見張るだけでいいのだから、可能なのだろう。
「噂は?」
「血も、心も凍った断罪者だと。父の気に入りで……」
「そうですね、かなり引き立ててもらっているのは事実です。ほかを差し置いて、とんとん拍子に百人隊長ですから」
オーガスティンはやや前のめりになって、声を潜めて続ける。
「内部では、反発がそれなりにありましたよ。やってられない、と辞めていく者もいたりして……ただ、元龍騎士ですから、実力は伴っているので、自然と落ち着きました。__一部では、心酔している輩もいます」
「オーガスティンも?」
「そんな風に見えます? 堅苦しすぎるのは、苦手な私ですよ」
からり、と笑うオーガスティンだが、すぐに真剣な面持ちになる。
「ナハトリンデン殿は、忠実な下僕です。間違いなく。州侯の御下知こそ法__これは州においては間違いではないですが、私刑にも思えることも従っているのは事実ですね」
「私刑……ですか」
「イェソドの鉱山では、稀に蜂起があるのはご存知ですよね? それを鎮圧するのは、ナハトリンデン__それこそ確実に。そのあとの鉱山は嘘のように従順になるとかならないとか」
イェソドの主要な産業は、鉄鋼と宝石。宝石の質は、帝国の北部の州には劣るものの、それなりのものが採掘できる。
イェソド州の住民の多くは、鉱山開発に関わる仕事に従事している。
「……どんな目を見せられたのかは、私まで上がってこないあたり、穏やかではないのだろうと思いますよ」
ぐぎり、と胸が痛み、マイャリスは口を一文字に引き結ぶ。
「……彼は、昔からそうなのですか?」
「昔?」
「州軍の募集があって入った、と言っていました」
「ああ。どうでしょう。私は旦那様が州侯におなりになった流れで、近衛になりましたが、彼はその時すでに近衛にいました。州軍からの引き抜きだったとは聞いていますが……州軍にいたときも、それなりに噂される人材だったのは事実ですね。元龍騎士ですから」
「そう……実力があったということね」
「ええ。間違いなく。性格まではわかりませんが、恐れられてはいたと」
マイャリスは、握りしめた手元に視線を落とす。
「……彼は、本当に変わってしまっていたのね」
「__お知り合い、ですか?」
「……彼とは、帝都の大学で学友でした」
「それは、存じ上げなかった。ナハトリンデン殿は、昔話をするような馴れ合いをあまりなさらないから」
「同じ担当教官で……」
そこまで言って、目元が潤みそうになる。ごまかすように視線を窓の外へ流した。
__ビルネンベルク先生が今の彼をご覧になったら……。
嫌味のひとつやふたつ、小言のひとつやふたつ__否、そのどれも彼には響かないのかもしれない。
「……彼が龍帝従騎士団の龍騎士であることが、誇らしく思えていた。そんな人でした。『氷の騎士』の噂に聞くようなことをとても嫌う人だったはずです」
__むしろ、断罪する立場だったはず。
遅れるものを待ち、導き守ることを厭わない人。それを当たり前にできていた人。
こういう人材が、帝国には欠かせない者だと思っていた。
もう会うことはないだろうから、と彼とのことは忘れようとしていたのは事実だが、それでもやはり、記憶の中の顔は朧げになる中でも、彼の多幸を祈ってはいた。
人としての温もりがあった彼は、先程の面会ではまるでそれが感じられなかった。まさに、異名の通りに心も凍てつかせてしまったよう。
過去の彼を思い出し、比べれば比べるほど、胸が苦しくなる。
「__もう、彼はいない……」
ぽつり、と言葉が溢れたと同時に、目元からひとつ涙が流れて、慌てて拭う。
何が彼をそこまで変えてしまったのだろうか__。
__残っていれば、また変わっていたのだろうか……。
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