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煌めきの都
輝きの庭にて
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そよぐ風は、少しばかり肌寒さを覚えるものだが、日差しの中ではちょうどよい。
明るい日差しに照らされる草木は、色とりどりに花を咲かせていて、そこを忙しなく移り気な蝶や蜂が飛び交っている。
輝く季節__この庭にその時期が来たのだ。
「お嬢様、お茶のご用意ができました」
目についた花に手を添えて愛でていた女は、声をかけた侍女へと顔を向ける。
「ありがとう、マーガレット」
毎日の日課であるお茶は、暖かくなってきた昨今、雨の日でなければ必ず庭の東屋で頂くのだ。
やや黄みがかった長細い石畳の小道を進み、侍女の脇をすりぬけて、引かれた浅い水路の中を覗きながら奥を目指す。小道は、こんもり、と盛り上がった草木で、行く手がどうなっているのか見通しが利きにくい工夫がされていて、なれた道であっても、少しばかり冒険をしている気にさせる。
草木が勢いを増してくるこの頃は、特に変化が著しく、楽しい。
付き従う侍女と他愛ない話をしながら、至るのは丸く石で縁取られた水場。その水中から立ち上がるようにして大きな丸い葉を伸ばし始めているのは蓮。
「今年は花が咲きますかね」
「だといいけれど」
これは昨年植え付けたばかり。昨年は、葉こそでたものの、花がついに顔を出すことはなかった。
ぽつぽつ、と伸びて広げ始めた蓮の葉に思わず触れて、咲いてね、と言葉を掛けて女はさらに進む。
そして、身の丈より大きな木々が作り出す天然の門のような場所を通過すると、やっと見えてくるのが石造りの東屋だ。
東屋には蔦が絡まり、大振りな紫の房の花が出迎えてくれる。
階段を三段あがり、小道の石と同じ、やや黄みがかった石でできた東屋に踏み込む際、その一房に触れて鼻を近づける。
甘いお菓子に負けないほどの芳香に、思わず顔が綻んだ。
すべて石造りのそのテーブルには、お茶のセットが一式とお茶請けもいくつか用意されている。
掛け物が敷かれている石の椅子に腰を下ろすと、冷めないようにと火に当てられた銀製のポットから、侍女が茶葉の入ったティーポットにお湯を注ぎにかかる。
「昨年より、見栄えがする庭にはなったわね」
「左様でございますね」
「これからまだ増えてくるでしょうから、もっと賑やかになるでしょうね」
「あれだけお嬢様が手間暇かけて手入れ致しましたから、それは当然でございましょう。楽しみでございますね」
「マーガレットや他の皆も手を貸してくれたからよ。我儘に突き合ってもらってしまって……申し訳なく思っていたのよ」
「我儘という我儘ではございませんでしょう。細やかな願いには、皆応えたいと思っているのですよ」
ふわり、と笑う侍女。その時、彼女の微笑みのように柔らかく風が吹いた。
「__お寒くはございませんか?」
「ええ、大丈夫」
風の行方を追うように、視線を外へと向ける。
__細やかな願い、ね……。
遠い眼差しで、木々の彼方に見える空を見ていると、マーガレットがお茶を注ぎ始める音がした。
そこまでが侍女の彼女の仕事で、マーガレットはポットをもとの場所へ戻すと恭しく礼をとった。
「それでは、失礼致します」
ありがとう、と礼を言い、東屋を去っていく侍女を見送りながら、注いでもらったお茶を手に取る。
一口飲んで、カップを戻すと、ほぉっ、とため息が溢れた。
目を閉じて、背もたれとしても機能している欄干に背を預ける。
屋根の端から見える蒼穹を渡る雲は、低いから、とても早く流れていく。その雲を見ていると、自分との時間の歩みが違いすぎるのを自覚させられ、取り残されているような感覚に襲われるのだが、雲をぼんやり眺めるのは嫌いではないから、見てしまう。
この庭で、植物以上に一番の変化を感じられるからだ。
眩しくなって、目を閉じ、深呼吸をする。
小鳥の囀り、草木が風に揺れて奏でる音__甘く、柔らかい香り。それでいて、余韻が尾を引くことはない心地よい香り。
東屋に絡まる藤とは違う香りに、女は目を開け香りの元を探した。
「あぁ、菩提樹の花が咲きはじめたの」
この東屋から少し離れたところに、古く大きな木がある。枝ぶりが立派で、この庭では一番の大きな木のそれは、菩提樹。
菩提樹の花が咲く時期にしては早いが、ここは標高がやや高いため、日差しが強く、気温が暖かくなってくると、ちらほら、と咲き始めるのだ。藤が終わる頃には、菩提樹の花の最盛期。いくら密集してまとまって咲くとはいえ、よくあれほど小ぶりな花が__と思えるほど、香りがあたりに広がって、この東屋にももっと香りが強く届くようになる。
しかし強くなっても、くどくはないから、女は好きだった。
「お茶にもなるのよね」
今年は収穫して試してみようかしら、と考えて茶器に手をのばす__そのとき、やや高い場所にある東屋から見えたのは、先程立ち去ったマーガレットだった。
やや急ぎ足でくる彼女。その顔は強張った表情をしている。手のトレイには、新たにカップを一人分。
東屋に至った彼女は、一礼をした。
「あの、旦那様がお越しになるそうで」
女はその言葉に穏やかだった心が、引き締まったのを自覚した。
「用件は?」
「特には……」
困惑の表情になって運んできた茶器を配する彼女に、女も面にこそ出さないが、内心困惑した。
父が訪ねてくることなど、本当にないのだ。
今も昔も忙しくしている身分で、特にここ最近はより多忙。人を多く使える立場とは言え、全部に目を通さないと気がすまない質だからだと、女は承知している。
__人を信用しきれない質なのよね。
そんな限られた時間の中で、父が訪問とはよほどのこと。
視線を庭へと流すと、薄い金色の頭髪が草木に見え隠れするの様が認められた。近づくそれは、間違いなく父だ。
そしてその背後には、父の護衛だろう。護衛は、黒を基調とした制服の上に、鈍い色の甲冑を纏っている。父よりも大きい護衛は、その身長からあまり木々に隠れることがないから、父がどのあたりを歩いているのかが分かる。
分かるからこそ、心臓が少し早くなった。
__用事……何かしら。
父の姿も、その護衛の姿もついに草木の影に消えた。
ただ甲冑が掠れて起きる音と足音が、近づいてきていることを教えてくれる。
ざり、と足音が聞こえ、マーガレットとともに、弾かれるようにそちらを見れば、木々が作り出した天然の門のところに、壮年の男が踏み込んだところだった。
整えられた金色の髪と鋭い薄い青の瞳を持つ父。
その背後には、護衛官。
女は出迎えるために、席を立つと東屋の端に立った。マーガレットには、目配せで背後いに隠れるよう指示をして。
父が東屋の前まで来て足を止め、追従する護衛官は控えるように片膝をついて頭をたれたのを受け、女は恭しく礼を取る。
「ごきげんよう、お父様」
「息災そうで何よりだ、マイャリス」
表情を変えずに父ロンフォール・ラヴィルが言う言葉は、社交辞令に他ならないことを女__マイャリスは心得ている。
「お陰様で。__ご用件は?」
「お前に紹介したい者がいてな」
__紹介……。
父が娘に引き合わせたいと思う者など、これまで片手で数えられる程度しかなく、女は内心ざわついたが、平静を装う。
「お客様ですか。では、屋敷に戻ります」
「その必要はない」
父は言うと、振り返った。
明るい日差しに照らされる草木は、色とりどりに花を咲かせていて、そこを忙しなく移り気な蝶や蜂が飛び交っている。
輝く季節__この庭にその時期が来たのだ。
「お嬢様、お茶のご用意ができました」
目についた花に手を添えて愛でていた女は、声をかけた侍女へと顔を向ける。
「ありがとう、マーガレット」
毎日の日課であるお茶は、暖かくなってきた昨今、雨の日でなければ必ず庭の東屋で頂くのだ。
やや黄みがかった長細い石畳の小道を進み、侍女の脇をすりぬけて、引かれた浅い水路の中を覗きながら奥を目指す。小道は、こんもり、と盛り上がった草木で、行く手がどうなっているのか見通しが利きにくい工夫がされていて、なれた道であっても、少しばかり冒険をしている気にさせる。
草木が勢いを増してくるこの頃は、特に変化が著しく、楽しい。
付き従う侍女と他愛ない話をしながら、至るのは丸く石で縁取られた水場。その水中から立ち上がるようにして大きな丸い葉を伸ばし始めているのは蓮。
「今年は花が咲きますかね」
「だといいけれど」
これは昨年植え付けたばかり。昨年は、葉こそでたものの、花がついに顔を出すことはなかった。
ぽつぽつ、と伸びて広げ始めた蓮の葉に思わず触れて、咲いてね、と言葉を掛けて女はさらに進む。
そして、身の丈より大きな木々が作り出す天然の門のような場所を通過すると、やっと見えてくるのが石造りの東屋だ。
東屋には蔦が絡まり、大振りな紫の房の花が出迎えてくれる。
階段を三段あがり、小道の石と同じ、やや黄みがかった石でできた東屋に踏み込む際、その一房に触れて鼻を近づける。
甘いお菓子に負けないほどの芳香に、思わず顔が綻んだ。
すべて石造りのそのテーブルには、お茶のセットが一式とお茶請けもいくつか用意されている。
掛け物が敷かれている石の椅子に腰を下ろすと、冷めないようにと火に当てられた銀製のポットから、侍女が茶葉の入ったティーポットにお湯を注ぎにかかる。
「昨年より、見栄えがする庭にはなったわね」
「左様でございますね」
「これからまだ増えてくるでしょうから、もっと賑やかになるでしょうね」
「あれだけお嬢様が手間暇かけて手入れ致しましたから、それは当然でございましょう。楽しみでございますね」
「マーガレットや他の皆も手を貸してくれたからよ。我儘に突き合ってもらってしまって……申し訳なく思っていたのよ」
「我儘という我儘ではございませんでしょう。細やかな願いには、皆応えたいと思っているのですよ」
ふわり、と笑う侍女。その時、彼女の微笑みのように柔らかく風が吹いた。
「__お寒くはございませんか?」
「ええ、大丈夫」
風の行方を追うように、視線を外へと向ける。
__細やかな願い、ね……。
遠い眼差しで、木々の彼方に見える空を見ていると、マーガレットがお茶を注ぎ始める音がした。
そこまでが侍女の彼女の仕事で、マーガレットはポットをもとの場所へ戻すと恭しく礼をとった。
「それでは、失礼致します」
ありがとう、と礼を言い、東屋を去っていく侍女を見送りながら、注いでもらったお茶を手に取る。
一口飲んで、カップを戻すと、ほぉっ、とため息が溢れた。
目を閉じて、背もたれとしても機能している欄干に背を預ける。
屋根の端から見える蒼穹を渡る雲は、低いから、とても早く流れていく。その雲を見ていると、自分との時間の歩みが違いすぎるのを自覚させられ、取り残されているような感覚に襲われるのだが、雲をぼんやり眺めるのは嫌いではないから、見てしまう。
この庭で、植物以上に一番の変化を感じられるからだ。
眩しくなって、目を閉じ、深呼吸をする。
小鳥の囀り、草木が風に揺れて奏でる音__甘く、柔らかい香り。それでいて、余韻が尾を引くことはない心地よい香り。
東屋に絡まる藤とは違う香りに、女は目を開け香りの元を探した。
「あぁ、菩提樹の花が咲きはじめたの」
この東屋から少し離れたところに、古く大きな木がある。枝ぶりが立派で、この庭では一番の大きな木のそれは、菩提樹。
菩提樹の花が咲く時期にしては早いが、ここは標高がやや高いため、日差しが強く、気温が暖かくなってくると、ちらほら、と咲き始めるのだ。藤が終わる頃には、菩提樹の花の最盛期。いくら密集してまとまって咲くとはいえ、よくあれほど小ぶりな花が__と思えるほど、香りがあたりに広がって、この東屋にももっと香りが強く届くようになる。
しかし強くなっても、くどくはないから、女は好きだった。
「お茶にもなるのよね」
今年は収穫して試してみようかしら、と考えて茶器に手をのばす__そのとき、やや高い場所にある東屋から見えたのは、先程立ち去ったマーガレットだった。
やや急ぎ足でくる彼女。その顔は強張った表情をしている。手のトレイには、新たにカップを一人分。
東屋に至った彼女は、一礼をした。
「あの、旦那様がお越しになるそうで」
女はその言葉に穏やかだった心が、引き締まったのを自覚した。
「用件は?」
「特には……」
困惑の表情になって運んできた茶器を配する彼女に、女も面にこそ出さないが、内心困惑した。
父が訪ねてくることなど、本当にないのだ。
今も昔も忙しくしている身分で、特にここ最近はより多忙。人を多く使える立場とは言え、全部に目を通さないと気がすまない質だからだと、女は承知している。
__人を信用しきれない質なのよね。
そんな限られた時間の中で、父が訪問とはよほどのこと。
視線を庭へと流すと、薄い金色の頭髪が草木に見え隠れするの様が認められた。近づくそれは、間違いなく父だ。
そしてその背後には、父の護衛だろう。護衛は、黒を基調とした制服の上に、鈍い色の甲冑を纏っている。父よりも大きい護衛は、その身長からあまり木々に隠れることがないから、父がどのあたりを歩いているのかが分かる。
分かるからこそ、心臓が少し早くなった。
__用事……何かしら。
父の姿も、その護衛の姿もついに草木の影に消えた。
ただ甲冑が掠れて起きる音と足音が、近づいてきていることを教えてくれる。
ざり、と足音が聞こえ、マーガレットとともに、弾かれるようにそちらを見れば、木々が作り出した天然の門のところに、壮年の男が踏み込んだところだった。
整えられた金色の髪と鋭い薄い青の瞳を持つ父。
その背後には、護衛官。
女は出迎えるために、席を立つと東屋の端に立った。マーガレットには、目配せで背後いに隠れるよう指示をして。
父が東屋の前まで来て足を止め、追従する護衛官は控えるように片膝をついて頭をたれたのを受け、女は恭しく礼を取る。
「ごきげんよう、お父様」
「息災そうで何よりだ、マイャリス」
表情を変えずに父ロンフォール・ラヴィルが言う言葉は、社交辞令に他ならないことを女__マイャリスは心得ている。
「お陰様で。__ご用件は?」
「お前に紹介したい者がいてな」
__紹介……。
父が娘に引き合わせたいと思う者など、これまで片手で数えられる程度しかなく、女は内心ざわついたが、平静を装う。
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父は言うと、振り返った。
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