118 / 247
帝都の大学
事件と事故
しおりを挟む
戻ってきたリュディガーは、それこそ満足げな顔をしていてキルシェは嫌な予感が的中したのでは、と危惧していた。
「__快気祝い」
「え」
「怪我は治っただろう?」
「それは……ええ、お陰様で。ですが、だからって……そういうつもりで居たのではないですし__」
「他に、何か見ておくものがあるか?」
キルシェの抗議は予想の範囲だったのだろう、あまり気にした風もなく半ば黙殺する形で彼は話を切り替えてしまった。
「それは、ないですが……」
「なら、出よう」
「あの、リュディガー、聞いてますか?」
肩を竦めながらリュディガーは、キルシェの背中を押して、店の外へと促す。
もう少し抗議してもいい案件であるが、流石に店内でそれはお店に迷惑がかかるし、ひと目が多いところでするようなことではない。
人が少なくなってきた頃までは堪らえよう、と外へ出てからも、大人しくその日傘を押し抱きながら彼の誘導に従って歩みを進めた。
彼も馬鹿ではないし、そこまで他人の機微に疎いわけではないから、キルシェが感謝の言葉も述べずに押し黙って追従する様に含むところがあることぐらいは承知のはずだ。
その証拠に、肩越しに距離を確認することはあっても、来たときとは違って一切視線を交わらせないのだ。
彼の気遣いはありがたいことである。
自分でさえ忘れていた日傘のことを考えていてくれて、選んで贖う機会を設けてくれたのは、なかなかにできることではないだろう。
__それだけで、十分なのに……これじゃあ、お礼も言いにくい……。
お礼を言ったら、これを贖ってくれたことを肯定してしまうことになる。そこまで頼んではいないし、望んではいない。それは、彼の厚意に甘えすぎというもの。
__今日までのことを思うと、本当にしてもらってばかりだもの……。これ以上は……。
キルシェは、徐に先ほど贖ったハンカチを仕舞っている鞄へと手を伸ばす。
そこでリュディガーは速度を緩めて、ゆっくりと止まる。周囲を見れば、大きな通りを過ぎ去って、少しばかり人通りが少ない通りへと踏み入るところだった。
「キルシェ、頼みがある」
「はい?」
唐突に言う彼は、振り返った。
その顔はいささか神妙で、キルシェは内心構えてしまう。
__今度は、何?
「今から、家へ寄ってもいいだろうか?」
きょとん、としていれば、彼は罰が悪そうな顔になる。
「実は一昨日、昨日と、父のところへ様子を見に行けていないんだ」
彼の言葉に、キルシェは目を見開く。
「それは……ええ。構いません。参りましょう」
食材の量はもちろんのこと、何よりも足が不自由で肺を患っている父の容態が急変でもしていたら取り返しがつかないに決まっている。
「疲れているだろうに、本当にすまない」
「いえ、いいの。大丈夫、そんなこと」
昨日は__正しくは昨日まで、長期休暇にも関わらず、彼は法学の教官に頼まれて資料のまとめを手伝っていたと聞いている。
それは教官が、今日、中央から招かれて、会議で意見を求められることになっていたから、それに向けてのことだったらしい。
これに駆り出されていたのは、リュディガーだけではない。それでも数日は要したものだった。昨日はその追い込みだったのだ。
その間、彼と大学で会うのは早朝の弓射の鍛錬のときだけで、それとなく彼から法学の教官に頼まれたことについては聞いてはいたが、父の元へ行けていないとは聞いていなかった。
「……気が付かなくて、ごめんなさい」
「いや」
「言ってくれれば……私が__」
「頼むつもりはなかった。君独りでなんて……行かせられるわけがない」
苦笑を浮かべるリュディガーに、キルシェは何と答えていいかわからず、口を引き結んで俯く。
俯いた視界に、彼の足が歩み寄って来たのが見え、直後、肩に手を置かれ、その手が滑って促すように背中を軽く押すので、キルシェは顔を上げた。
そこには、穏やかに笑っているリュディガーがいる。
「行こう。……まあきっと、お茶の一杯は誘われることは覚悟していてくれ」
はい、とキルシェは笑って頷いて、手をひかれる形で続いた。
ローベルトは、足は不自由に変わりないが、相変わらず明るく元気な様子だった。案の定、お茶の一杯をお呼ばれし、テーブルに付くと寧ろ、キルシェが気遣われた。
「__大怪我をしたって聞いていたから、心配していたんだよ。濡れた石階段で転んだって、リュディガーから聞いてね」
どうしてそんな話をわざわざ、と視線でリュディガーに問えば、彼は後ろ頭を掻いた。
「父が、キルシェさんは長期休暇中で何をしているんだい、たまには連れておいでよ、と言うので……それで、そういう状況だから諦めてくれ、とそのことを話したんだ」
なるほど、と苦笑を浮かべるキルシェ。
「帝都は、扇状地だから緩そうに見えるけど、高低差があるからね……私もそれで、足をやってしまった口だから、すごく心配したんだ」
自虐的に笑って、引きずる足を軽く叩いて示すローベルト。
「治療は……」
「医者にはかかったよ」
「治癒魔法はいらない、と聞かなかったんだ」
ローベルトの言葉に、ややきつめに添えるのは台所に近い壁際に佇むリュディガーだった。
見れば、視線も鋭く抗議している風である。
「命に関わる怪我じゃなかったんだ。それに治癒魔法なんて、転んだだけの私がしてもらうのはおこがましいよ。奇跡の御業なんだから、もっと必要としている人にするべきだ」
__必要とする人……。
キルシェが治癒魔法を無償で施してもらえたのは、犯罪に巻き込まれてのことだったから。
しかしながら、ローベルトの場合は犯罪に巻き込まれたわけではなく、所謂自損。この場合、多額の心付けをすれば施してもらえなくもない。
「__学費に充てなさい、とね」
いたずらっぽく笑むローベルトに、リュディガーはやれやれ、と首を振ってお茶を口に運ぶ。
「学費なんてどうにでもなる、とあの時言いましたよね? 一時的に休学して復帰する手段があると、そう説明しました」
「これこれ、リュディガー。それをまた言い出すのかい。__その復帰したとき、お前さんに何かあったら、私は私を一生許せない、と言ったはずだよ」
__えぇっと……。
少しばかり剣呑とした雰囲気に、キルシェは身体を強張らせて二人を見守る。
すると、それを真っ先に感じ取ったのは、側近くに座るローベルトで、彼は自嘲を浮かべた。
「まあ、私のわがままだったのは間違いないね。でも、後悔はしていないよ。ここは帝都だから潤沢に司祭様はいるけれど、田舎じゃ、これが当たり前なわけだしね。すぐに頼ろうとは思えないんだ、昔から」
はは、と軽く笑ってお茶をすするローベルト。
今からの治癒魔法は、怪我が__ローベルトの場合は骨がどのような形であれくっついてしまっているのであれば、施す意味がない。それが治った形なのだ。これから治癒魔法を施すことがまるで意味をなさないわけではないが、それは単に痛みを緩和したりするだけの行為にしかならない。
もし治癒魔法で綺麗に治したいというのであれば、おそらくだが同じ場所を同じように折ってからになるだろう。
「__キルシェさんは、怪我の予後はいいのかい?」
「ええ、もう不便なことはほとんどなく。お陰様で、矢馳せ馬の鍛錬にも復帰をしました」
「そう言えば、そうだったね! 冬至の矢馳せ馬か……見られるのなら、見たいものだねぇ」
膝を打って喜ぶローベルトに対し、リュディガーが処置なし、と天井を仰ぎ見てため息をこぼすのを見、キルシェは苦笑を浮かべた。
「__快気祝い」
「え」
「怪我は治っただろう?」
「それは……ええ、お陰様で。ですが、だからって……そういうつもりで居たのではないですし__」
「他に、何か見ておくものがあるか?」
キルシェの抗議は予想の範囲だったのだろう、あまり気にした風もなく半ば黙殺する形で彼は話を切り替えてしまった。
「それは、ないですが……」
「なら、出よう」
「あの、リュディガー、聞いてますか?」
肩を竦めながらリュディガーは、キルシェの背中を押して、店の外へと促す。
もう少し抗議してもいい案件であるが、流石に店内でそれはお店に迷惑がかかるし、ひと目が多いところでするようなことではない。
人が少なくなってきた頃までは堪らえよう、と外へ出てからも、大人しくその日傘を押し抱きながら彼の誘導に従って歩みを進めた。
彼も馬鹿ではないし、そこまで他人の機微に疎いわけではないから、キルシェが感謝の言葉も述べずに押し黙って追従する様に含むところがあることぐらいは承知のはずだ。
その証拠に、肩越しに距離を確認することはあっても、来たときとは違って一切視線を交わらせないのだ。
彼の気遣いはありがたいことである。
自分でさえ忘れていた日傘のことを考えていてくれて、選んで贖う機会を設けてくれたのは、なかなかにできることではないだろう。
__それだけで、十分なのに……これじゃあ、お礼も言いにくい……。
お礼を言ったら、これを贖ってくれたことを肯定してしまうことになる。そこまで頼んではいないし、望んではいない。それは、彼の厚意に甘えすぎというもの。
__今日までのことを思うと、本当にしてもらってばかりだもの……。これ以上は……。
キルシェは、徐に先ほど贖ったハンカチを仕舞っている鞄へと手を伸ばす。
そこでリュディガーは速度を緩めて、ゆっくりと止まる。周囲を見れば、大きな通りを過ぎ去って、少しばかり人通りが少ない通りへと踏み入るところだった。
「キルシェ、頼みがある」
「はい?」
唐突に言う彼は、振り返った。
その顔はいささか神妙で、キルシェは内心構えてしまう。
__今度は、何?
「今から、家へ寄ってもいいだろうか?」
きょとん、としていれば、彼は罰が悪そうな顔になる。
「実は一昨日、昨日と、父のところへ様子を見に行けていないんだ」
彼の言葉に、キルシェは目を見開く。
「それは……ええ。構いません。参りましょう」
食材の量はもちろんのこと、何よりも足が不自由で肺を患っている父の容態が急変でもしていたら取り返しがつかないに決まっている。
「疲れているだろうに、本当にすまない」
「いえ、いいの。大丈夫、そんなこと」
昨日は__正しくは昨日まで、長期休暇にも関わらず、彼は法学の教官に頼まれて資料のまとめを手伝っていたと聞いている。
それは教官が、今日、中央から招かれて、会議で意見を求められることになっていたから、それに向けてのことだったらしい。
これに駆り出されていたのは、リュディガーだけではない。それでも数日は要したものだった。昨日はその追い込みだったのだ。
その間、彼と大学で会うのは早朝の弓射の鍛錬のときだけで、それとなく彼から法学の教官に頼まれたことについては聞いてはいたが、父の元へ行けていないとは聞いていなかった。
「……気が付かなくて、ごめんなさい」
「いや」
「言ってくれれば……私が__」
「頼むつもりはなかった。君独りでなんて……行かせられるわけがない」
苦笑を浮かべるリュディガーに、キルシェは何と答えていいかわからず、口を引き結んで俯く。
俯いた視界に、彼の足が歩み寄って来たのが見え、直後、肩に手を置かれ、その手が滑って促すように背中を軽く押すので、キルシェは顔を上げた。
そこには、穏やかに笑っているリュディガーがいる。
「行こう。……まあきっと、お茶の一杯は誘われることは覚悟していてくれ」
はい、とキルシェは笑って頷いて、手をひかれる形で続いた。
ローベルトは、足は不自由に変わりないが、相変わらず明るく元気な様子だった。案の定、お茶の一杯をお呼ばれし、テーブルに付くと寧ろ、キルシェが気遣われた。
「__大怪我をしたって聞いていたから、心配していたんだよ。濡れた石階段で転んだって、リュディガーから聞いてね」
どうしてそんな話をわざわざ、と視線でリュディガーに問えば、彼は後ろ頭を掻いた。
「父が、キルシェさんは長期休暇中で何をしているんだい、たまには連れておいでよ、と言うので……それで、そういう状況だから諦めてくれ、とそのことを話したんだ」
なるほど、と苦笑を浮かべるキルシェ。
「帝都は、扇状地だから緩そうに見えるけど、高低差があるからね……私もそれで、足をやってしまった口だから、すごく心配したんだ」
自虐的に笑って、引きずる足を軽く叩いて示すローベルト。
「治療は……」
「医者にはかかったよ」
「治癒魔法はいらない、と聞かなかったんだ」
ローベルトの言葉に、ややきつめに添えるのは台所に近い壁際に佇むリュディガーだった。
見れば、視線も鋭く抗議している風である。
「命に関わる怪我じゃなかったんだ。それに治癒魔法なんて、転んだだけの私がしてもらうのはおこがましいよ。奇跡の御業なんだから、もっと必要としている人にするべきだ」
__必要とする人……。
キルシェが治癒魔法を無償で施してもらえたのは、犯罪に巻き込まれてのことだったから。
しかしながら、ローベルトの場合は犯罪に巻き込まれたわけではなく、所謂自損。この場合、多額の心付けをすれば施してもらえなくもない。
「__学費に充てなさい、とね」
いたずらっぽく笑むローベルトに、リュディガーはやれやれ、と首を振ってお茶を口に運ぶ。
「学費なんてどうにでもなる、とあの時言いましたよね? 一時的に休学して復帰する手段があると、そう説明しました」
「これこれ、リュディガー。それをまた言い出すのかい。__その復帰したとき、お前さんに何かあったら、私は私を一生許せない、と言ったはずだよ」
__えぇっと……。
少しばかり剣呑とした雰囲気に、キルシェは身体を強張らせて二人を見守る。
すると、それを真っ先に感じ取ったのは、側近くに座るローベルトで、彼は自嘲を浮かべた。
「まあ、私のわがままだったのは間違いないね。でも、後悔はしていないよ。ここは帝都だから潤沢に司祭様はいるけれど、田舎じゃ、これが当たり前なわけだしね。すぐに頼ろうとは思えないんだ、昔から」
はは、と軽く笑ってお茶をすするローベルト。
今からの治癒魔法は、怪我が__ローベルトの場合は骨がどのような形であれくっついてしまっているのであれば、施す意味がない。それが治った形なのだ。これから治癒魔法を施すことがまるで意味をなさないわけではないが、それは単に痛みを緩和したりするだけの行為にしかならない。
もし治癒魔法で綺麗に治したいというのであれば、おそらくだが同じ場所を同じように折ってからになるだろう。
「__キルシェさんは、怪我の予後はいいのかい?」
「ええ、もう不便なことはほとんどなく。お陰様で、矢馳せ馬の鍛錬にも復帰をしました」
「そう言えば、そうだったね! 冬至の矢馳せ馬か……見られるのなら、見たいものだねぇ」
膝を打って喜ぶローベルトに対し、リュディガーが処置なし、と天井を仰ぎ見てため息をこぼすのを見、キルシェは苦笑を浮かべた。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。
一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。
そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる