108 / 247
帝都の大学
辻褄合わせ
しおりを挟む
虹の観賞どころではなくなった、キルシェ。
自立できなくて頼ることしかできないから、リュディガーから逃れることができずにいる。あまりにも近い彼の存在に、こういうときに限って異性という認識を強く抱いてしまったから、どうしたものかと内心頭を抱えていると、扉がノックされた。
キルシェは身体を弾ませて、扉を見やる。
リュディガーがキルシェに代わって誰何すれば、ラエティティエル。彼にすすめられるまま近くの椅子へと誘導されて、キルシェ腰を下ろした。
そして、リュディガーは扉を開けに行くのだが、扉の鍵に手を伸ばしたところで一瞬動きを止め、その手をノブへと移して扉を開ける。
「__まさか、鍵を閉めていなかったとは。不用心ですよ、従者のリュディガー」
茶器を手に半眼で呆れた目を向けるラエティティエルに、開けた扉の横に佇むリュディガーは無言で渋い顔をした。
しかし、直後、入室するラエティティエルの後に続く人物に、僅かに目を見開く。
明るい茶色の髪と琥珀色の瞳を持つ素朴な印象な彼女は、キルシェより上__リュディガーとそう変わらない歳のように見受けられる。
「__イーリスです」
部屋に入り、キルシェを見つけると彼女は持っていた鞄を足元へ置き、名乗って一礼をする。
「事情は、伺っております」
「下女ということらしいです」
ラエティティエルの言葉に、胸元に手を当てて目を閉じ、天を僅かに仰ぐ。
彼女の身なりは、使用人のそれではなく、質素な庶民の私服と言ったほうがよい。
「神の下僕ですので」
扉を閉めて施錠していたリュディガーは何者かわかったらしく、なるほど、と頷いた。
「__司祭であらっしゃる」
「左様でございます」
ふわり、と笑うイーリスに戸惑っていると、リュディガーがキルシェへと歩み寄る。
「先程、話していただろう。治癒魔法を施してくださる方だ」
「ああ、そういうことですか」
「この度は、災難でしたね」
イーリスはキルシェに静かに微笑みかける。
その間にラエティティエルはお茶を3人分淹れ、1客をソファーのテーブルへ置く。
「さっそく__と申し上げたいのですが、元帥閣下から、お達しがございまして、完全には治癒を致しません。お怪我は、生活に支障がないところまでの治癒とさせていただきます」
「何故ですか」
残り2客をキルシェの前と、同じテーブルを囲う空いた席へ配していたところで、ラエティティエルは手を止めた。
「まあ、落ち着け、ラエティティエル。__聞こう」
やや気色ばんだラエティティエルに、リュディガーが諌めるように手をかざす。そして、苦笑するイーリスに、キルシェと同じテーブルへつくよう促した。
ありがとうございます、と礼を述べるイーリスはしかし近づきこそすれ、着席はせずにキルシェの数歩手前で膝をつく。
「足元を滑らせ石階段を転げた__そういう体裁にすると。となれば、怪我はいくらかあったほうがよいでしょう」
いくらか、と言う言葉をキルシェは反芻するようにつぶやいた。
「はい。雨に濡れた石階段で転げたというお話しですので、まるで無傷というのはいささか不自然すぎます。元帥閣下が少し自然治癒を含ませたほうがよい、と仰せで」
「顔のお怪我はどうなるのです? 腕も……腕など、明らかに掴まれた痕ではありませんか」
「ご安心を。お顔のお怪我も痕にはなりません。__腕を拝見しても?」
イーリスに手首を見せると、彼女はそうっと壊れ物を扱うように両手を添えて吟味する。
「リュディガー__ナハトリンデン卿が、時間はかかるが必ず消える、とは申しておりましたが……そう聞いたので、後から治癒魔法を受けられると伺って、全てを一度に治すわけでもなく、あるいは一部だけなのかと思っておりました」
リュディガーに顔を向けると、彼は目元に力を込めて表情を曇らせていて、視線に気づくとその顔の口元をさらに一文字に引き結んだ。
「状況によって、被害を受けた方が以後生活に支障なく、かつ外聞が保てるようにするので、全て治す場合とそうでない場合がございます」
__外聞……。
きょとん、とキルシェはした。
「怪我があることで、普通の生活に戻れますか? 今日のこの出来事、何事もなかった、と出来ますか? 無理でしょう。明日、明後日……数日の落ち着ける猶予があるべきです。その猶予づくりに、ある程度怪我を負っていたという理由があれば、戻った時に周囲の者たちは何ら不思議には思わないはず。痛い怪我を負ったのだな、とそれ以上の追求はないでしょう。__今回はそういうことにした方がよい、というご判断です」
「そういうこと……ですか」
「すまない。あのときは、どういう形で治癒魔法を施してもらえるかがわからなかったから……君の場合は、未遂であったし……あまり期待を持たせてはならない、と」
至極申し訳無さそうに、リュディガーが言った。
自分は未遂であったが、もっと手酷い被害にあった者にしてみれば、噂の元を断つまではいかないまでも、ぼやけさせることができ、世間から好奇の目を向けられることを軽減することができるのだろう。
__怪我をまったく無くして、何もなかった、と思いこむのもある意味救い……なのかしら。
そうした処置が最善の場合もあるのだろう。
思い出したくないものはいるはずだ。下手をすれば、自死を選ぶことだってあり得る。
今回の場合、その方便の方がよい、ということなのだ。
__どこまでの治癒なのかがわからない……それでラエティティエルさんも、痕には残させませんから、と決意にも似たことを言っていたのね。
ぼんやりとしていて、疑問をあまり抱きにくかったが、ラエティティエルが用意してくれた薬湯に浸かってからは頭がはっきりしているから、改めて彼らの言動の可笑しいことに気づけた。
ラエティティエルは承知でいたはずだろうが、全部は癒やさない、という言葉に気色ばんだのは、顔の怪我も含まれていたからだろう。
「腕のお怪我は治してしまいましょう。もし、痕が手形に見えなくなるようであれば、片手だけでも打ち据えた痕に見えるよう留めてもいいかもしれません。あとは、お身体の怪我の具合を拝見させていただければ__方針としては、ご理解いただけましたでしょうか?」
__もっとも、波風が立たず。世間に広がる危惧を抱かなくていいということね。
父の元へ噂が届く危険性は、かなり減る。
__しかも、届いたとしても、嘘を貫き通せばいい。
キルシェは内心ほっ、と胸を撫で下ろす。
「はい。お心遣いをしていただいて……」
「いいえ。すみません。__とりあえずは、お身体の怪我の具合を拝見させてください」
キルシェにそう言いながら立ち上がるも、彼女はラエティティエルとリュディガーにも目配せした。
その目配せの意味するところを察したリュディガーは、キルシェへ難しい顔にも口元に笑みを浮かべて頷いてから、言葉なく扉へと向かう。
「リュディガー」
扉の解錠をしたその背中を呼び止めると、彼はノブに手を掛けたまま振り返った。
「ありがとうございました」
言いながら、窓辺を示すと彼は柔らかく笑む。
その窓の向こうには虹はもはやなく、落日の赤い陽光を受けて暗くなりつつある空が見られた。
「__リュディガー、申し訳ないのですが、廊下で待機していてもらえますか?」
「ああ」
ラエティティエルが言いながら歩み寄れば、彼は武官らしい顔で応じ、扉を開けて出ていく。
そして、その扉に施錠をしたラエティティエルはキルシェの元へ戻り、再び衣服__とりあえずは上半身を脱ぐよう促して、素直にキルシェは従い手伝ってもらいながら晒した。
自立できなくて頼ることしかできないから、リュディガーから逃れることができずにいる。あまりにも近い彼の存在に、こういうときに限って異性という認識を強く抱いてしまったから、どうしたものかと内心頭を抱えていると、扉がノックされた。
キルシェは身体を弾ませて、扉を見やる。
リュディガーがキルシェに代わって誰何すれば、ラエティティエル。彼にすすめられるまま近くの椅子へと誘導されて、キルシェ腰を下ろした。
そして、リュディガーは扉を開けに行くのだが、扉の鍵に手を伸ばしたところで一瞬動きを止め、その手をノブへと移して扉を開ける。
「__まさか、鍵を閉めていなかったとは。不用心ですよ、従者のリュディガー」
茶器を手に半眼で呆れた目を向けるラエティティエルに、開けた扉の横に佇むリュディガーは無言で渋い顔をした。
しかし、直後、入室するラエティティエルの後に続く人物に、僅かに目を見開く。
明るい茶色の髪と琥珀色の瞳を持つ素朴な印象な彼女は、キルシェより上__リュディガーとそう変わらない歳のように見受けられる。
「__イーリスです」
部屋に入り、キルシェを見つけると彼女は持っていた鞄を足元へ置き、名乗って一礼をする。
「事情は、伺っております」
「下女ということらしいです」
ラエティティエルの言葉に、胸元に手を当てて目を閉じ、天を僅かに仰ぐ。
彼女の身なりは、使用人のそれではなく、質素な庶民の私服と言ったほうがよい。
「神の下僕ですので」
扉を閉めて施錠していたリュディガーは何者かわかったらしく、なるほど、と頷いた。
「__司祭であらっしゃる」
「左様でございます」
ふわり、と笑うイーリスに戸惑っていると、リュディガーがキルシェへと歩み寄る。
「先程、話していただろう。治癒魔法を施してくださる方だ」
「ああ、そういうことですか」
「この度は、災難でしたね」
イーリスはキルシェに静かに微笑みかける。
その間にラエティティエルはお茶を3人分淹れ、1客をソファーのテーブルへ置く。
「さっそく__と申し上げたいのですが、元帥閣下から、お達しがございまして、完全には治癒を致しません。お怪我は、生活に支障がないところまでの治癒とさせていただきます」
「何故ですか」
残り2客をキルシェの前と、同じテーブルを囲う空いた席へ配していたところで、ラエティティエルは手を止めた。
「まあ、落ち着け、ラエティティエル。__聞こう」
やや気色ばんだラエティティエルに、リュディガーが諌めるように手をかざす。そして、苦笑するイーリスに、キルシェと同じテーブルへつくよう促した。
ありがとうございます、と礼を述べるイーリスはしかし近づきこそすれ、着席はせずにキルシェの数歩手前で膝をつく。
「足元を滑らせ石階段を転げた__そういう体裁にすると。となれば、怪我はいくらかあったほうがよいでしょう」
いくらか、と言う言葉をキルシェは反芻するようにつぶやいた。
「はい。雨に濡れた石階段で転げたというお話しですので、まるで無傷というのはいささか不自然すぎます。元帥閣下が少し自然治癒を含ませたほうがよい、と仰せで」
「顔のお怪我はどうなるのです? 腕も……腕など、明らかに掴まれた痕ではありませんか」
「ご安心を。お顔のお怪我も痕にはなりません。__腕を拝見しても?」
イーリスに手首を見せると、彼女はそうっと壊れ物を扱うように両手を添えて吟味する。
「リュディガー__ナハトリンデン卿が、時間はかかるが必ず消える、とは申しておりましたが……そう聞いたので、後から治癒魔法を受けられると伺って、全てを一度に治すわけでもなく、あるいは一部だけなのかと思っておりました」
リュディガーに顔を向けると、彼は目元に力を込めて表情を曇らせていて、視線に気づくとその顔の口元をさらに一文字に引き結んだ。
「状況によって、被害を受けた方が以後生活に支障なく、かつ外聞が保てるようにするので、全て治す場合とそうでない場合がございます」
__外聞……。
きょとん、とキルシェはした。
「怪我があることで、普通の生活に戻れますか? 今日のこの出来事、何事もなかった、と出来ますか? 無理でしょう。明日、明後日……数日の落ち着ける猶予があるべきです。その猶予づくりに、ある程度怪我を負っていたという理由があれば、戻った時に周囲の者たちは何ら不思議には思わないはず。痛い怪我を負ったのだな、とそれ以上の追求はないでしょう。__今回はそういうことにした方がよい、というご判断です」
「そういうこと……ですか」
「すまない。あのときは、どういう形で治癒魔法を施してもらえるかがわからなかったから……君の場合は、未遂であったし……あまり期待を持たせてはならない、と」
至極申し訳無さそうに、リュディガーが言った。
自分は未遂であったが、もっと手酷い被害にあった者にしてみれば、噂の元を断つまではいかないまでも、ぼやけさせることができ、世間から好奇の目を向けられることを軽減することができるのだろう。
__怪我をまったく無くして、何もなかった、と思いこむのもある意味救い……なのかしら。
そうした処置が最善の場合もあるのだろう。
思い出したくないものはいるはずだ。下手をすれば、自死を選ぶことだってあり得る。
今回の場合、その方便の方がよい、ということなのだ。
__どこまでの治癒なのかがわからない……それでラエティティエルさんも、痕には残させませんから、と決意にも似たことを言っていたのね。
ぼんやりとしていて、疑問をあまり抱きにくかったが、ラエティティエルが用意してくれた薬湯に浸かってからは頭がはっきりしているから、改めて彼らの言動の可笑しいことに気づけた。
ラエティティエルは承知でいたはずだろうが、全部は癒やさない、という言葉に気色ばんだのは、顔の怪我も含まれていたからだろう。
「腕のお怪我は治してしまいましょう。もし、痕が手形に見えなくなるようであれば、片手だけでも打ち据えた痕に見えるよう留めてもいいかもしれません。あとは、お身体の怪我の具合を拝見させていただければ__方針としては、ご理解いただけましたでしょうか?」
__もっとも、波風が立たず。世間に広がる危惧を抱かなくていいということね。
父の元へ噂が届く危険性は、かなり減る。
__しかも、届いたとしても、嘘を貫き通せばいい。
キルシェは内心ほっ、と胸を撫で下ろす。
「はい。お心遣いをしていただいて……」
「いいえ。すみません。__とりあえずは、お身体の怪我の具合を拝見させてください」
キルシェにそう言いながら立ち上がるも、彼女はラエティティエルとリュディガーにも目配せした。
その目配せの意味するところを察したリュディガーは、キルシェへ難しい顔にも口元に笑みを浮かべて頷いてから、言葉なく扉へと向かう。
「リュディガー」
扉の解錠をしたその背中を呼び止めると、彼はノブに手を掛けたまま振り返った。
「ありがとうございました」
言いながら、窓辺を示すと彼は柔らかく笑む。
その窓の向こうには虹はもはやなく、落日の赤い陽光を受けて暗くなりつつある空が見られた。
「__リュディガー、申し訳ないのですが、廊下で待機していてもらえますか?」
「ああ」
ラエティティエルが言いながら歩み寄れば、彼は武官らしい顔で応じ、扉を開けて出ていく。
そして、その扉に施錠をしたラエティティエルはキルシェの元へ戻り、再び衣服__とりあえずは上半身を脱ぐよう促して、素直にキルシェは従い手伝ってもらいながら晒した。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる