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帝都の大学
事後処理
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しとしと、と降る雨。
その雨音の合間に、靴の音が近づいてくるのが分かった。
つぶさに反応したのはリュディガーで、手にした木の棒を持ち直して木箱から立ち上がり、外界からキルシェを庇うような位置に移動して身構えた。
その足音がいよいよ近づいて、リュディガーの脚の間から見える壊れた扉の影から、すっ、と人影が現れるのが見え、キルシェは息を詰める。
それは豹の顔を持つ獣人だった。豹の顔を持ってこそいるが、柄はない黄金色獣人。
ビルネンベルクも立ち耳の兎の獣人であるが、彼の顔は人の作りで、目の前の獣人は彼以上に、より獣だった。
背はあるものの厳つくはなく、締まった靭やかそうな体つきである。その体を覆う服には、一頭の鷲獅子の紋章。__龍帝従騎士団の関係者であった。
はっ、としたリュディガーは踵を合わせて姿勢をただし、直立不動となる。
「何故、ヌルグル殿が」
ヌルグルと呼ばれた獣人は口元に笑みを浮かべて、腰から提げた得物の柄頭を握る。得物は、龍騎士と違いやや幅広で長い刃の得物であった。
「この区画の外れに用向きがあって、たまたまいたのです。そこへ賊を追うマグヌ・ア中尉と遭遇しまして__賊は捕らえましたのでご安心を。中尉から状況を聞き、私どもはこちらへ来たのです」
声は、見た目に反して、とても上品な奥ゆかしい女性のそれだった。
「私、ども……?」
「ええ__」
頷くヌルグルの耳は、ぴくり、と弾むように動いて音を捉えた。首をその音の方へと捻って向ける。
ヌルグル身を引き、まるで控えるように佇んだ。その顔は、リュディガーへと向けられて笑んでいる。
近づく複数の足音。
「__ヌルグル、現場はそこか?」
「はい」
ヌルグルに問うた声は男。
「まさか……」
リュディガーが呟くと、そう間をおかずヌルグルが下がった扉の影から、顔を出す人物がいた。
「__イャーヴィス元帥閣下」
現れたのは、武官の長。
リュディガーは驚愕しながらも、その場に片膝をついて頭を垂れる跪礼をとった。
「状況は聞いている。事後はヌルグルらに任せるといい」
踏み入って被っていた布を取り払いながら、中をぐるり、と見回すイャーヴィス。
彼の背後にはもうひとりいた。ヌルグル同様の衣服を身にまとう彼は、人間族だろう。年はイャーヴィスとそう変わらない。
イャーヴィスはヌルグルらに目配せし、彼らは拘束された男らに歩み寄り、状態を吟味しはじめた。
「ヌルグル、エメリヒ。2人で足りるか?」
拘束した男らを吟味する2人__ヌルグルがイャーヴィスへと顔を向ける。
「……大柄、というだけならどうにでもなりますが、重傷ではありますね。マグヌ・ア中尉殿が連行の車を手配にも行ってくれているので、やはりそれを待ちます」
「痛み止めを含ませますが……最悪、猿轡をします」
「連行中、確かに痛みで呻いて騒ぎそうではあるな。__よいように」
はい、と答えた彼らは、連行するための準備を始める。
それを数秒見守ってから、イャーヴィスはリュディガーを見た。
「君たちは、私の車へ。流石に、ここまで乗り入れることは出来なくてね。__歩けるかね?」
穏やかな表情と声で問われ、キルシェは小さく頷いた。
そして、立ち上がろうとするのだが、途端に全身が軋んでままならなかった。手が届く範囲に手がかりがなく、やむを得ず壁に縋る__が、そこから動けなくなった。
イャーヴィスが動く気配より一瞬早く、跪礼をしていたリュディガーが動いて駆け寄ってきた。
「キルシェ」
間近の彼は屈むと、手を差し伸べてきた。彼の羽織の合わせ目をかき寄せ、それに手を乗せて立ち上がろうと踏ん張るが、身体の重さを持ち上げられない。
「すまない。__触れるぞ。少し我慢をしてくれ」
キルシェは小さく頷く。すると、リュディガーは身を寄せ、腕を回して腰と腹部あたりに手を添える。そして、呼吸を合わせ、リュディガーが密着して自身の身体を支えに、持ち上げるような形で立たせてくれた。
それでも、自立するには身体が鈍く痛む。歩行なんて、難しいのではないか__それを察したリュディガーは、離れず支えてくれるのだった。
先導する元帥の後に続こうと動くリュディガーは、凭れて歩くキルシェの歩行の補助を意識してかなり歩みを遅く小幅にする。それを見守るように、扉近くまで歩み寄るのはヌルグルだった。
「ヌルグル殿。__これを」
扉の傍で佇むヌルグルに、リュディガーはナイフを取り出して柄を向けた。
「長髪の男のナイフでした」
「預かろう」
しっかりと固く受け渡し、ヌルグルは刃物を吟味してから自身の腰に差した。
イャーヴィスは、腕に懸けていた雨よけの布を広げ、リュディガーごとキルシェに被せ、先に出、キルシェもまたリュディガーに軽く促されるように、外へと出る。
部屋の中の薄暗さよりは、いくらか明るい外。剥き出しの地面は、降り始めということでまだぬかるんではいない。
「痛むな……。ゆっくりでいい」
なるべく呻かないようにしていたが、いくらか漏れ聞こえたリュディガーが気遣う声を発した。
「暫く我慢してくれたまえ。もうすぐだ」
それを聞いて、先を行くイャーヴィスが肩越しに振り返った。
雨がそこそこに降る中、前を行く背中。制服姿ではないものの、見ているほどに清々しく凛々しい身拵えは武官の長の貫禄か。よく見れば、腰の得物に手を添えて、さり気なく有事に備えている。
暫く歩き、2回角を曲がると、目の前に行方を阻むように立ち塞がる馬車が現れた。
イャーヴィスの姿を認めると、御者が扉を開ける。しかし、イャーヴィスは労いの言葉を掛けるだけで、自身は乗り込まず、遅れて来るキルシェらを待った。
御者が、濡れるから、と気を利かせて雨よけの布を取り出して手渡し、イャーヴィスは礼を述べて頭から雑にかぶる。
先に乗り込むように促され、リュディガーがすぐに馬車へと乗り込んだ。そして、キルシェが乗り込むために、手を差し伸べる。キルシェは足掛かりに足を掛けるのが精一杯だった。そこからは、ほぼ彼に引き上げられるような形である。
「頼みます」
「はい」
乗り込む動きに合わせ、リュディガーはキルシェに被らせたままの雨よけの布をはずして、御者に託した。
乗り込んだ馬車は質素なそれに一見して見えるが、かなり上物の馬車らしいことが、内装から伺い知れた。
腰掛けには座面だけでなく背中にも綿が沢山詰められているようだし、ゆったりと2人、詰めればリュディガーのような大柄な男が3人でも座れる空間である。
清潔に保たれているその椅子に座るのが申し訳ないぐらいで、躊躇ったが、このままでは外でイャーヴィスを雨に打たせたままだということに思い至り、腰を下ろそうとした。
「気を使わなくていい。そちらへ」
進行方向に背を向ける側の椅子に座ろうとしたのを見抜いて、すかさず笑いながらイャーヴィスが反対へ促した。
そこまで厳格に上座下座の規則はないものの、やはり進行方向を向く座席は上の立場の者が使うのが通例である。
「ナハトリンデン」
「はい」
迷って動かないキルシェに苦笑したイャーヴィスは、リュディガーに促した。その彼にやや押し切られるようにして、反対側へ座らされる。
「そなたもそちらへ。支えてやりなさい」
はっ、と応じて座るリュディガーの横をすり抜けるようにして、イャーヴィスはキルシェが座ろうとしていた側の席の中央へ腰を据える。
御者が中を確認して扉を締め、御者台へと素早く乗る。御者台にはすでに1名が乗っていて、隣に座ったのを合図に馬車が動き出した。
その雨音の合間に、靴の音が近づいてくるのが分かった。
つぶさに反応したのはリュディガーで、手にした木の棒を持ち直して木箱から立ち上がり、外界からキルシェを庇うような位置に移動して身構えた。
その足音がいよいよ近づいて、リュディガーの脚の間から見える壊れた扉の影から、すっ、と人影が現れるのが見え、キルシェは息を詰める。
それは豹の顔を持つ獣人だった。豹の顔を持ってこそいるが、柄はない黄金色獣人。
ビルネンベルクも立ち耳の兎の獣人であるが、彼の顔は人の作りで、目の前の獣人は彼以上に、より獣だった。
背はあるものの厳つくはなく、締まった靭やかそうな体つきである。その体を覆う服には、一頭の鷲獅子の紋章。__龍帝従騎士団の関係者であった。
はっ、としたリュディガーは踵を合わせて姿勢をただし、直立不動となる。
「何故、ヌルグル殿が」
ヌルグルと呼ばれた獣人は口元に笑みを浮かべて、腰から提げた得物の柄頭を握る。得物は、龍騎士と違いやや幅広で長い刃の得物であった。
「この区画の外れに用向きがあって、たまたまいたのです。そこへ賊を追うマグヌ・ア中尉と遭遇しまして__賊は捕らえましたのでご安心を。中尉から状況を聞き、私どもはこちらへ来たのです」
声は、見た目に反して、とても上品な奥ゆかしい女性のそれだった。
「私、ども……?」
「ええ__」
頷くヌルグルの耳は、ぴくり、と弾むように動いて音を捉えた。首をその音の方へと捻って向ける。
ヌルグル身を引き、まるで控えるように佇んだ。その顔は、リュディガーへと向けられて笑んでいる。
近づく複数の足音。
「__ヌルグル、現場はそこか?」
「はい」
ヌルグルに問うた声は男。
「まさか……」
リュディガーが呟くと、そう間をおかずヌルグルが下がった扉の影から、顔を出す人物がいた。
「__イャーヴィス元帥閣下」
現れたのは、武官の長。
リュディガーは驚愕しながらも、その場に片膝をついて頭を垂れる跪礼をとった。
「状況は聞いている。事後はヌルグルらに任せるといい」
踏み入って被っていた布を取り払いながら、中をぐるり、と見回すイャーヴィス。
彼の背後にはもうひとりいた。ヌルグル同様の衣服を身にまとう彼は、人間族だろう。年はイャーヴィスとそう変わらない。
イャーヴィスはヌルグルらに目配せし、彼らは拘束された男らに歩み寄り、状態を吟味しはじめた。
「ヌルグル、エメリヒ。2人で足りるか?」
拘束した男らを吟味する2人__ヌルグルがイャーヴィスへと顔を向ける。
「……大柄、というだけならどうにでもなりますが、重傷ではありますね。マグヌ・ア中尉殿が連行の車を手配にも行ってくれているので、やはりそれを待ちます」
「痛み止めを含ませますが……最悪、猿轡をします」
「連行中、確かに痛みで呻いて騒ぎそうではあるな。__よいように」
はい、と答えた彼らは、連行するための準備を始める。
それを数秒見守ってから、イャーヴィスはリュディガーを見た。
「君たちは、私の車へ。流石に、ここまで乗り入れることは出来なくてね。__歩けるかね?」
穏やかな表情と声で問われ、キルシェは小さく頷いた。
そして、立ち上がろうとするのだが、途端に全身が軋んでままならなかった。手が届く範囲に手がかりがなく、やむを得ず壁に縋る__が、そこから動けなくなった。
イャーヴィスが動く気配より一瞬早く、跪礼をしていたリュディガーが動いて駆け寄ってきた。
「キルシェ」
間近の彼は屈むと、手を差し伸べてきた。彼の羽織の合わせ目をかき寄せ、それに手を乗せて立ち上がろうと踏ん張るが、身体の重さを持ち上げられない。
「すまない。__触れるぞ。少し我慢をしてくれ」
キルシェは小さく頷く。すると、リュディガーは身を寄せ、腕を回して腰と腹部あたりに手を添える。そして、呼吸を合わせ、リュディガーが密着して自身の身体を支えに、持ち上げるような形で立たせてくれた。
それでも、自立するには身体が鈍く痛む。歩行なんて、難しいのではないか__それを察したリュディガーは、離れず支えてくれるのだった。
先導する元帥の後に続こうと動くリュディガーは、凭れて歩くキルシェの歩行の補助を意識してかなり歩みを遅く小幅にする。それを見守るように、扉近くまで歩み寄るのはヌルグルだった。
「ヌルグル殿。__これを」
扉の傍で佇むヌルグルに、リュディガーはナイフを取り出して柄を向けた。
「長髪の男のナイフでした」
「預かろう」
しっかりと固く受け渡し、ヌルグルは刃物を吟味してから自身の腰に差した。
イャーヴィスは、腕に懸けていた雨よけの布を広げ、リュディガーごとキルシェに被せ、先に出、キルシェもまたリュディガーに軽く促されるように、外へと出る。
部屋の中の薄暗さよりは、いくらか明るい外。剥き出しの地面は、降り始めということでまだぬかるんではいない。
「痛むな……。ゆっくりでいい」
なるべく呻かないようにしていたが、いくらか漏れ聞こえたリュディガーが気遣う声を発した。
「暫く我慢してくれたまえ。もうすぐだ」
それを聞いて、先を行くイャーヴィスが肩越しに振り返った。
雨がそこそこに降る中、前を行く背中。制服姿ではないものの、見ているほどに清々しく凛々しい身拵えは武官の長の貫禄か。よく見れば、腰の得物に手を添えて、さり気なく有事に備えている。
暫く歩き、2回角を曲がると、目の前に行方を阻むように立ち塞がる馬車が現れた。
イャーヴィスの姿を認めると、御者が扉を開ける。しかし、イャーヴィスは労いの言葉を掛けるだけで、自身は乗り込まず、遅れて来るキルシェらを待った。
御者が、濡れるから、と気を利かせて雨よけの布を取り出して手渡し、イャーヴィスは礼を述べて頭から雑にかぶる。
先に乗り込むように促され、リュディガーがすぐに馬車へと乗り込んだ。そして、キルシェが乗り込むために、手を差し伸べる。キルシェは足掛かりに足を掛けるのが精一杯だった。そこからは、ほぼ彼に引き上げられるような形である。
「頼みます」
「はい」
乗り込む動きに合わせ、リュディガーはキルシェに被らせたままの雨よけの布をはずして、御者に託した。
乗り込んだ馬車は質素なそれに一見して見えるが、かなり上物の馬車らしいことが、内装から伺い知れた。
腰掛けには座面だけでなく背中にも綿が沢山詰められているようだし、ゆったりと2人、詰めればリュディガーのような大柄な男が3人でも座れる空間である。
清潔に保たれているその椅子に座るのが申し訳ないぐらいで、躊躇ったが、このままでは外でイャーヴィスを雨に打たせたままだということに思い至り、腰を下ろそうとした。
「気を使わなくていい。そちらへ」
進行方向に背を向ける側の椅子に座ろうとしたのを見抜いて、すかさず笑いながらイャーヴィスが反対へ促した。
そこまで厳格に上座下座の規則はないものの、やはり進行方向を向く座席は上の立場の者が使うのが通例である。
「ナハトリンデン」
「はい」
迷って動かないキルシェに苦笑したイャーヴィスは、リュディガーに促した。その彼にやや押し切られるようにして、反対側へ座らされる。
「そなたもそちらへ。支えてやりなさい」
はっ、と応じて座るリュディガーの横をすり抜けるようにして、イャーヴィスはキルシェが座ろうとしていた側の席の中央へ腰を据える。
御者が中を確認して扉を締め、御者台へと素早く乗る。御者台にはすでに1名が乗っていて、隣に座ったのを合図に馬車が動き出した。
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