91 / 247
帝都の大学
お駄賃と相場
しおりを挟む
さらにキルシェはスカート__前掛けの上に落ちているだろう、細かい汚れを払おうと持ち上げたところで、リュディガーが言う。
「__あれ……それは前掛けだったのか」
「ええ、前掛けですよ」
これは朝からしていたのだが、前掛けだと彼はこの時初めて気づいたらしい。
「例の染み隠しに」
キルシェは、ちらり、とその鮮やかな刺繍の前掛けを避けて、スカートに広がる葡萄酒の染みを示した。
赤地に黒、青緑、金の幾何学的な刺繍が施されたそれは、キルシェの出身であるイェソド州の女性が日常的に身につける前掛けである。見た目の華やかさにも重きをおいているのが特徴。
「それは、君が刺した?」
「叩き込まれました。大学に入ってからはやっておりませんし、家を出るまででしたから、そんなに数はないのですが……ほら、嫁入り道具に持っていく習わしがあるので」
「……なるほど」
物心着いた頃から嫁ぐまでに日用品に刺繍をしておき、嫁入り道具として持参するのが、帝国各地にある古くからの習わし。これは、上流階級でも伝統的に続いていることである。
ご他言にもれず、キルシェも用意してある。ただ、寄宿学校、大学生活という人生で、あまりにも時間がないため、数は一般的な数に比べれば少ないことは違いない。
「変です?」
「変ではないが……昨夜とは打って変わって、庶民だな、と」
キルシェは裕福な環境であるから上流階級のくくりに入るが、無位なことには違いない。庶民と言えば庶民なのだ。
それを失念しているリュディガーの言葉に、思わず笑ってしまう。
「夫人がおっしゃっていたでしょう? 私は何でも着こなせるのです」
「__のようだ」
冗談めかして胸を張ってすまし顔をして見せれば、リュディガーは罰の悪い顔で苦笑を浮かべた。
__先生がいたら、弄らずにはいられない顔でしょうね。先生は今頃何を……あら? 先生……?
何か失念している気がする。何だっただろうか、とそれほど深く考える前に、キルシェは思い出した。
「あ! そういえば」
「ん?」
「先生から、預かっているものがあったのでした」
「ほう?」
「先程、船に乗り込まれるとき、別れてから開けるように、と仰られて……」
これ、とキルシェは自身の荷物に引っ掛けておいた手のひら大の包みを取り出して、膝に置き広げる。
すると巾着と、それに封書が添えられていて、キルシェは封書をまずは手に取り開封する。
「まぁ……」
「なんだって?」
食事をすすめながら、リュディガーが問う。
「……先生、見越していたみたいです」
怪訝にするリュディガーに、キルシェは手紙の文面を読み上げる。
「__お手伝い、ご苦労様だったね。いつも我儘に付き合ってくれて、ありがとうキルシェ。乗合馬車は、もしかしたら最終便に乗りそびれるかもしれないから、そうなった時はこれを使って、リュディガーと相談の上、お宿をとって休みなさい。明日に出ても矢馳せ馬の鍛錬には間に合うはずだから、慌てないように。2人分のお駄賃も添えてあるからね__だそうです」
「お駄賃……」
「ええ、お駄賃」
「……言、い、か、たぁ……」
げんなり、として区切って言うリュディガーに、思わず笑って手紙を渡す。
「先生らしいが……まったく」
その文面を辿った彼は、虚脱するようにため息を零した。
キルシェは、巾着の口を開けて中身を確認する。
その中には、折りたたまれた紙が2つ入っていて、まずはそれを取り出してみると、ずしり、と重い丸い物が包まれるようにして折りたたまれた代物だった。
もしや、と思いひとつ__キルシェへ、と書かれた方を開いてみれば、中には銅貨が3枚。
銅貨には、龍面の横顔が刻印されている。これは1枚で1ルムの価値。
帝国において、貨幣は金銀銅、そして青銅が使われている。どれもそれぞれの含有率によって価値が異なり、刻印によって見分ける。
一月の平均収入は30ルム前後で、今回忍ばされていた3ルムというお駄賃は、日当に換算しても多い方__否、多すぎると言ってもよい。
「気づかれないよう、包んで音がしないようにしていたようです」
リュディガーにも、彼の名前が記された同様のそれを渡す。
受け取った彼も中身を改めるが、そちらには銅貨が1枚。
「私は、運搬だけだぞ。多いだろう、これは」
「先生は、必ず寄越すんですよね……妥当な対価だから、と。そのぐらい助けられているんだから受け取ってくれ、と」
以前、薬草を運搬した時も、後から食事を労いでご馳走になった。常に欠かさず、どんな形であれお礼をするのがビルネンベルク担当教官なのだ。
呻くようにお駄賃を見つめるリュディガーを他所に、巾着の中を改めてみれば、そこには矢車菊の刻印がされた銀貨。これは5ルムの価値がある。
「__お宿代ということ……よね?」
「多すぎる」
リュディガーは頭を抱えた。
「相場がおかしいだろう。どんな宿に泊まれと言うんだ」
「お宿はだいたいどのぐらいなの?」
「ぴんきりだが__」
「ぴんきり……?」
「あー……色々あるということだ。選ばなければ、一泊、素泊まりで30ミトリぐらいでも十分だ」
ミトリはルムの下の貨幣単位。100ミトリで1ルムとなる。
「すみません、素泊まり、とは?」
「食事が提供されない宿泊のことだ」
「食事は……?」
「外で食べる」
なるほど、とキルシェは頷いた。
「この街でも5ルムの宿といったら__あぁ……そうか、そういうことか。それはそうか、当然だな」
リュディガーは急に勢いを欠いて、独りごちて空を仰いだ。
「どうしたのです?」
キルシェが尋ねるが、しばし彼は空を仰いだままだった。そして、ため息を吐き出すようにしながら、顔を下ろしてキルシェへと向ける。
「__君が居て、安宿には泊まるな、ということだ」
「ですが、先程も申し上げましたが、私、どんなお宿でも大丈夫ですよ?」
リュディガーは肩をすくめてカトラリーを取る。
「君が良くても、先生がよくない、とのご判断だ。私も、安普請のところに泊めるつもりはない。まったくもって同意見だ。だが、先生は私が考えている以上のところを、最低限と定めている、ということだ」
「はぁ……」
歯切れ悪く答えれば、苦笑を浮かべるリュディガーは残りの食事の片付けに入った。
「まがりなりにも、ビルネンベルク家のドゥーヌミオンのお付きでご相伴相手を務めるようなご令嬢なわけだから」
「……吊床にも寝かせていただいたのに?」
「それとこれとは別、ということだな」
「別……?」
「先生がその場にいて、篩いにかけた逗留先__目の当たりにして、納得して、提示したところから選ばせ、君と同じ環境で寝るんだ。だが今はいないだろう」
キルシェは呻いた。
「私が同じ立場なら、同じことをしたと思うから、先生のご意向には素直に従う」
「そうなの?」
ああ、とリュディガーはさも、当たり前、と言わんとする顔で頷いた。
「__辿り着いた先でいくつか見繕いはするが、それは、先生があとで聞いても怪訝な顔をされないような宿にさせてもらう。そういうわけで、野宿なんてことは選択肢から消えるということだ」
__確かに、お代を出してもらって、ご意向に反してはいけないわよね……。
「至極残念そうな顔をしているようだが、最終決定権は君にある。見繕った中から選んでくれ」
わかりました、とキルシェは苦笑した。
「__あれ……それは前掛けだったのか」
「ええ、前掛けですよ」
これは朝からしていたのだが、前掛けだと彼はこの時初めて気づいたらしい。
「例の染み隠しに」
キルシェは、ちらり、とその鮮やかな刺繍の前掛けを避けて、スカートに広がる葡萄酒の染みを示した。
赤地に黒、青緑、金の幾何学的な刺繍が施されたそれは、キルシェの出身であるイェソド州の女性が日常的に身につける前掛けである。見た目の華やかさにも重きをおいているのが特徴。
「それは、君が刺した?」
「叩き込まれました。大学に入ってからはやっておりませんし、家を出るまででしたから、そんなに数はないのですが……ほら、嫁入り道具に持っていく習わしがあるので」
「……なるほど」
物心着いた頃から嫁ぐまでに日用品に刺繍をしておき、嫁入り道具として持参するのが、帝国各地にある古くからの習わし。これは、上流階級でも伝統的に続いていることである。
ご他言にもれず、キルシェも用意してある。ただ、寄宿学校、大学生活という人生で、あまりにも時間がないため、数は一般的な数に比べれば少ないことは違いない。
「変です?」
「変ではないが……昨夜とは打って変わって、庶民だな、と」
キルシェは裕福な環境であるから上流階級のくくりに入るが、無位なことには違いない。庶民と言えば庶民なのだ。
それを失念しているリュディガーの言葉に、思わず笑ってしまう。
「夫人がおっしゃっていたでしょう? 私は何でも着こなせるのです」
「__のようだ」
冗談めかして胸を張ってすまし顔をして見せれば、リュディガーは罰の悪い顔で苦笑を浮かべた。
__先生がいたら、弄らずにはいられない顔でしょうね。先生は今頃何を……あら? 先生……?
何か失念している気がする。何だっただろうか、とそれほど深く考える前に、キルシェは思い出した。
「あ! そういえば」
「ん?」
「先生から、預かっているものがあったのでした」
「ほう?」
「先程、船に乗り込まれるとき、別れてから開けるように、と仰られて……」
これ、とキルシェは自身の荷物に引っ掛けておいた手のひら大の包みを取り出して、膝に置き広げる。
すると巾着と、それに封書が添えられていて、キルシェは封書をまずは手に取り開封する。
「まぁ……」
「なんだって?」
食事をすすめながら、リュディガーが問う。
「……先生、見越していたみたいです」
怪訝にするリュディガーに、キルシェは手紙の文面を読み上げる。
「__お手伝い、ご苦労様だったね。いつも我儘に付き合ってくれて、ありがとうキルシェ。乗合馬車は、もしかしたら最終便に乗りそびれるかもしれないから、そうなった時はこれを使って、リュディガーと相談の上、お宿をとって休みなさい。明日に出ても矢馳せ馬の鍛錬には間に合うはずだから、慌てないように。2人分のお駄賃も添えてあるからね__だそうです」
「お駄賃……」
「ええ、お駄賃」
「……言、い、か、たぁ……」
げんなり、として区切って言うリュディガーに、思わず笑って手紙を渡す。
「先生らしいが……まったく」
その文面を辿った彼は、虚脱するようにため息を零した。
キルシェは、巾着の口を開けて中身を確認する。
その中には、折りたたまれた紙が2つ入っていて、まずはそれを取り出してみると、ずしり、と重い丸い物が包まれるようにして折りたたまれた代物だった。
もしや、と思いひとつ__キルシェへ、と書かれた方を開いてみれば、中には銅貨が3枚。
銅貨には、龍面の横顔が刻印されている。これは1枚で1ルムの価値。
帝国において、貨幣は金銀銅、そして青銅が使われている。どれもそれぞれの含有率によって価値が異なり、刻印によって見分ける。
一月の平均収入は30ルム前後で、今回忍ばされていた3ルムというお駄賃は、日当に換算しても多い方__否、多すぎると言ってもよい。
「気づかれないよう、包んで音がしないようにしていたようです」
リュディガーにも、彼の名前が記された同様のそれを渡す。
受け取った彼も中身を改めるが、そちらには銅貨が1枚。
「私は、運搬だけだぞ。多いだろう、これは」
「先生は、必ず寄越すんですよね……妥当な対価だから、と。そのぐらい助けられているんだから受け取ってくれ、と」
以前、薬草を運搬した時も、後から食事を労いでご馳走になった。常に欠かさず、どんな形であれお礼をするのがビルネンベルク担当教官なのだ。
呻くようにお駄賃を見つめるリュディガーを他所に、巾着の中を改めてみれば、そこには矢車菊の刻印がされた銀貨。これは5ルムの価値がある。
「__お宿代ということ……よね?」
「多すぎる」
リュディガーは頭を抱えた。
「相場がおかしいだろう。どんな宿に泊まれと言うんだ」
「お宿はだいたいどのぐらいなの?」
「ぴんきりだが__」
「ぴんきり……?」
「あー……色々あるということだ。選ばなければ、一泊、素泊まりで30ミトリぐらいでも十分だ」
ミトリはルムの下の貨幣単位。100ミトリで1ルムとなる。
「すみません、素泊まり、とは?」
「食事が提供されない宿泊のことだ」
「食事は……?」
「外で食べる」
なるほど、とキルシェは頷いた。
「この街でも5ルムの宿といったら__あぁ……そうか、そういうことか。それはそうか、当然だな」
リュディガーは急に勢いを欠いて、独りごちて空を仰いだ。
「どうしたのです?」
キルシェが尋ねるが、しばし彼は空を仰いだままだった。そして、ため息を吐き出すようにしながら、顔を下ろしてキルシェへと向ける。
「__君が居て、安宿には泊まるな、ということだ」
「ですが、先程も申し上げましたが、私、どんなお宿でも大丈夫ですよ?」
リュディガーは肩をすくめてカトラリーを取る。
「君が良くても、先生がよくない、とのご判断だ。私も、安普請のところに泊めるつもりはない。まったくもって同意見だ。だが、先生は私が考えている以上のところを、最低限と定めている、ということだ」
「はぁ……」
歯切れ悪く答えれば、苦笑を浮かべるリュディガーは残りの食事の片付けに入った。
「まがりなりにも、ビルネンベルク家のドゥーヌミオンのお付きでご相伴相手を務めるようなご令嬢なわけだから」
「……吊床にも寝かせていただいたのに?」
「それとこれとは別、ということだな」
「別……?」
「先生がその場にいて、篩いにかけた逗留先__目の当たりにして、納得して、提示したところから選ばせ、君と同じ環境で寝るんだ。だが今はいないだろう」
キルシェは呻いた。
「私が同じ立場なら、同じことをしたと思うから、先生のご意向には素直に従う」
「そうなの?」
ああ、とリュディガーはさも、当たり前、と言わんとする顔で頷いた。
「__辿り着いた先でいくつか見繕いはするが、それは、先生があとで聞いても怪訝な顔をされないような宿にさせてもらう。そういうわけで、野宿なんてことは選択肢から消えるということだ」
__確かに、お代を出してもらって、ご意向に反してはいけないわよね……。
「至極残念そうな顔をしているようだが、最終決定権は君にある。見繕った中から選んでくれ」
わかりました、とキルシェは苦笑した。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。
一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。
そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる