83 / 247
帝都の大学
それは所謂お見合い
しおりを挟む
彼が近づくと、卓に座っていたもうひとりが立ち上がる。
それは遠目に見ても花がある、金色の髪を綺麗にまとめ上げた女性だった。年の頃はキルシェとそう変わらない。
肩を出し、胸元にかけて白く柔らかな肌の曲線を見せる服もまた、夜会服よりは落ち着いたそれ。それを纏う女性は、リュディガーがたどり着くと恭しく礼を取る。それに対してリュディガーは、おおらかな顔になると手をとって甲へと口づけた。
淑女に対する、紳士の礼__それを見てキルシェは何故か、どきり、としてしまった。
見慣れた在り来たりの、よくある挨拶だ。だのに、それを彼がしているという事実に戸惑い、キルシェは視線を外してグラスの水を一口飲んだ。
準礼装とはいえ、その姿の彼は非の打ち所がないほど見栄えがする。貫禄も併せ持っていて、貴族の鑑のよう。帝国の重鎮にして貴族の中の貴族の出自である、ビルネンベルクに匹敵するほどのそれ。
普段の彼も学生にしては紳士的であるが、今まさに惜しげもなく本領を発揮しているかのよう。
あまりにも違う側面を垣間見て__見てしまって、狼狽えているのかもしれない。
「……なるほど、用事とはこれか」
ビルネンベルクが見つめる先のリュディガーは、中年の紳士に促されて着席する。
__お見合い……よね。
それ以外考えられない状況で、あまりじろじろ見るべきものでもない、とキルシェははっとして視線を水のグラスへ移し手にとった。
グラスを口元へ__と運びかけて、卓の角を挟んだ隣の席に腰掛けるビルネンベルクの、兎の立ち耳が僅かにその卓の方へと向ける様をキルシェは目撃した。
「……先生、まさか、盗み聞きしておりません?」
彼の兎の立ち耳は、犬や猫、馬のようにそこまで心情を映し出さない。
そして、ヒトより聴力は優れているものの、あまり動かすこともない。涼しげに、すっ、と佇む耳である。__それは、さながら冠。
「私が、そんな不躾なことを私がするわけがないだろう。気の所為だよ、気の所為」
嫌だなぁ、と笑うビルネンベルクは、いつもの法衣でなく、無論、準礼装でもないのだが、それでも店に失礼に当たらない上等な服装だ。
そんな彼に付き従い外部へ出るときは、様々な場面に対応できるよう淑女の礼装ではないものの、格の高い服装をするように心掛けていた。言うなれば、普段以上に耳飾りに見合った格の服。
「無論、気になりはするよ。だって、私は一昨日話をした際に、彼も誘ったんだ。暇なら手伝わないか、と。重労働が待っていたかも知れないからね」
「そうだったのですか」
「暇なはずないでしょう、と呆れられて袖にされたのに……なんだ、ここに来ているのなら、時間はあったのではないか。私の誘いを断るなんて、よほどの用事だ」
実際そのようだし、とオリーブの香草とオイルに漬けた添え物の、最後の一粒を食べる。
「……さて、面白いものを見られたところで、そろそろ宿へ下がろうか。長居したら、私の耳が勝手に会話を拾ってしまう」
くつくつ、と笑うビルネンベルクに、キルシェは苦笑を浮かべる。
「先生……またそのような」
「いいじゃないか。彼が私の誘いを断らなかったらしなくていい運搬を、この細腕でしなければならないのだから。__きっと龍騎士の守り神である戦神も、自身の愛ぐ子の至らなさをお報せくださったのだよ。教えるから、赦してやってほしい、と」
膝に広げていたナプキンで口元を拭うビルネンベルクだが、その笑みは相変わらず__寧ろさらに人の悪いものに変容を遂げたようにキルシェには見え、リュディガーに同情を覚えた。
さて、とビルネンベルクが視線をめぐらすと、ひとりの店員と視線が噛み合い、手を挙げる。店員は落ち着いた足さばきで、それでいて素早く歩み寄り、ビルネンベルクから会計の旨を受けて一度下がった。
しばしの後、現れたのは先程の店員でなくこの店の責任者の男で、ビルネンベルクに来店の感謝の言葉添えつつ、折りたたんだ革の外装の冊子のようなものを恭しく差し出した。
その冊子を縦に開いて、連れであるキルシェには死角になるよう、その上でやり取りをする__それが常。
彼は天下のビルネンベルクの者。従者従僕下僕が常に傍に控えていて当たり前のお家柄のはずだが、帝都の大学で教鞭をとるようになって__否、諸侯の家で家庭教師を頼まれるようになった頃から、従者は連れ歩かなくなったらしい。
「この酒は、もしよければお店の皆で」
「これはなんとも。よろしいのですか?」
「美味しかったから、是非、皆で試飲のように愉しんでほしい。残り物に代わりはないのだがね」
「いえ、滅相もない。ありがとう存じます」
お心遣いを、と改めて礼をとる責任者に心付けをさらに握らせ、ビルネンベルクはグラスに残ったお酒を飲もうと手を伸ばした__その時、グラスとの距離を図りそこねた彼の手があたり、グラスが不穏な動きを見せた。
「っと__」
「あっ__」
それをどうにか掴もうと彼の長い指が伸びるが、倒れて中身が飛び出した。それが運悪く、キルシェの服にかかる。さらにグラスは転げて床へと落下し、甲高い音を立てて割れてしまった。
静かな店内には不釣り合いな、そして、店中の注目を集めるには十分な、異常事態を知らせる音といってもよかった。
「キルシェ、すまない。なんということを……」
近くにいた店員と責任者がすぐに対処に動く傍らで、ビルネンベルクが至極申し訳無さそうに立ち上がって声を掛けてきて、そこで我に返る。
「硝子の破片は大丈夫かね」
「いえ、大丈夫です。葡萄酒がかかっただけですので、大事には」
「いや、十分これも大事な状況だ。本当にすまない」
「お召し物が」
店員が差し出す布を受け取り、吸わせるように押し付けてキルシェは拭う。染みは薄れたかどうか。水気が無くなる程度の処置にしかならないが、キルシェは笑顔を店員とビルネンベルクへと向けた。
「大丈夫です、このぐらい」
「しかし……」
「それよりも、すみません。場を騒がせてしまって……」
そんなことは、と新たに布を差し出す店員にキルシェはありがとう、と笑顔で応じる。
服ならばなんとでもなる。身につけているものはそれなりに上等のものとはいえ、明日からの帰路には困らないよう手を打てるのだ。
なるべく小さくやり取りをしているつもりだが、周囲の視線はずっとこちらに向けられているのが、とても感じられた。
__この注目をどうにかしたいけれど……。
内心苦笑を浮かべていれば、ビルネンベルクが、ふむ、と小さくひとつ呻いた。
「私の不注意だよ、キルシェ」
ぽつり、と言うビルネンベルクは、周囲を見張った。
「__皆さん申し訳ない。私はドゥーヌミオン・フォン・ビルネンベルク」
そして彼は、少しばかり凍りついた場の雰囲気を打ち消すようにすっくと身を立てて、声高に名乗りを上げる。彼の名を聞き、今度はわずかにどよめきが広がった。
これはキルシェも予想外で、店員と支配人らとともに驚き、それぞれ顔を見合わせる。
「お食事のところ、騒がしてしまって、本当に申し訳ない。今日は、少しばかり慣れない重労働をしたせいで酒の周りも早く、加えてここの葡萄酒がとても美味しいもので、いつもより多めに飲んでしまいました。本当に美味しいので、おすすめですよ? もしよろしければ、ご賞味ください。__ですが、ほどほどに」
上品な諧謔を呈するビルネンベルクに、周囲は和やかな笑いに包まれる。
__先生は、こう言う場面の振る舞いも堂々となさっていられる。
常に落ち着き払い、機転が利き、その場をうまく諌められる。まさに上に立つものの鑑だとキルシェは思う。側近くにいて、とても見習うべきことが多く、学ばせてもらっているのだ。
「さて、行こうか」
片付けに奔走した店員にも、心付けを握らせるビルネンベルクはキルシェへと向き直る。
「はい」
ビルネンベルクが差し出す手を取った。そして、無駄のない動きで店員が椅子を引くのに合わせて立ち上がる。
ありがとう、と言ってキルシェがふと周囲へ苦笑を浮かべ、恭しく一同へ会釈をした際、強張った顔をしたリュディガーと目があった。
彼は、しっかりとこちらを見つめていて、キルシェは思わず俯いて視線から逃げる。その一方で、ビルネンベルクが視線から隠すように割って入り、リュディガーに軽く手を挙げた。その手を挙げる仕草は、周囲への軽い挨拶とも取れる動きであるが、明らかに彼へと向けられたものだった。
更に彼の顔が強張ったのが、ビルネンベルク越しに見えるや否や、その視界を遮るようにして立つ彼に促され、キルシェは席を離れて扉へと向かう。
その間、ビルネンベルクは片手で収まりきらないほどの人物に声をかけられて歩みを止め、二、三言葉を交わしては進むということを繰り返す。
その際、キルシェを相手に紹介するといういつもの会話の流れを踏襲するのだが、しかしそれはいつもより手短。__キルシェの有様があるが故の気遣いであったのは言うまでもない。
それは遠目に見ても花がある、金色の髪を綺麗にまとめ上げた女性だった。年の頃はキルシェとそう変わらない。
肩を出し、胸元にかけて白く柔らかな肌の曲線を見せる服もまた、夜会服よりは落ち着いたそれ。それを纏う女性は、リュディガーがたどり着くと恭しく礼を取る。それに対してリュディガーは、おおらかな顔になると手をとって甲へと口づけた。
淑女に対する、紳士の礼__それを見てキルシェは何故か、どきり、としてしまった。
見慣れた在り来たりの、よくある挨拶だ。だのに、それを彼がしているという事実に戸惑い、キルシェは視線を外してグラスの水を一口飲んだ。
準礼装とはいえ、その姿の彼は非の打ち所がないほど見栄えがする。貫禄も併せ持っていて、貴族の鑑のよう。帝国の重鎮にして貴族の中の貴族の出自である、ビルネンベルクに匹敵するほどのそれ。
普段の彼も学生にしては紳士的であるが、今まさに惜しげもなく本領を発揮しているかのよう。
あまりにも違う側面を垣間見て__見てしまって、狼狽えているのかもしれない。
「……なるほど、用事とはこれか」
ビルネンベルクが見つめる先のリュディガーは、中年の紳士に促されて着席する。
__お見合い……よね。
それ以外考えられない状況で、あまりじろじろ見るべきものでもない、とキルシェははっとして視線を水のグラスへ移し手にとった。
グラスを口元へ__と運びかけて、卓の角を挟んだ隣の席に腰掛けるビルネンベルクの、兎の立ち耳が僅かにその卓の方へと向ける様をキルシェは目撃した。
「……先生、まさか、盗み聞きしておりません?」
彼の兎の立ち耳は、犬や猫、馬のようにそこまで心情を映し出さない。
そして、ヒトより聴力は優れているものの、あまり動かすこともない。涼しげに、すっ、と佇む耳である。__それは、さながら冠。
「私が、そんな不躾なことを私がするわけがないだろう。気の所為だよ、気の所為」
嫌だなぁ、と笑うビルネンベルクは、いつもの法衣でなく、無論、準礼装でもないのだが、それでも店に失礼に当たらない上等な服装だ。
そんな彼に付き従い外部へ出るときは、様々な場面に対応できるよう淑女の礼装ではないものの、格の高い服装をするように心掛けていた。言うなれば、普段以上に耳飾りに見合った格の服。
「無論、気になりはするよ。だって、私は一昨日話をした際に、彼も誘ったんだ。暇なら手伝わないか、と。重労働が待っていたかも知れないからね」
「そうだったのですか」
「暇なはずないでしょう、と呆れられて袖にされたのに……なんだ、ここに来ているのなら、時間はあったのではないか。私の誘いを断るなんて、よほどの用事だ」
実際そのようだし、とオリーブの香草とオイルに漬けた添え物の、最後の一粒を食べる。
「……さて、面白いものを見られたところで、そろそろ宿へ下がろうか。長居したら、私の耳が勝手に会話を拾ってしまう」
くつくつ、と笑うビルネンベルクに、キルシェは苦笑を浮かべる。
「先生……またそのような」
「いいじゃないか。彼が私の誘いを断らなかったらしなくていい運搬を、この細腕でしなければならないのだから。__きっと龍騎士の守り神である戦神も、自身の愛ぐ子の至らなさをお報せくださったのだよ。教えるから、赦してやってほしい、と」
膝に広げていたナプキンで口元を拭うビルネンベルクだが、その笑みは相変わらず__寧ろさらに人の悪いものに変容を遂げたようにキルシェには見え、リュディガーに同情を覚えた。
さて、とビルネンベルクが視線をめぐらすと、ひとりの店員と視線が噛み合い、手を挙げる。店員は落ち着いた足さばきで、それでいて素早く歩み寄り、ビルネンベルクから会計の旨を受けて一度下がった。
しばしの後、現れたのは先程の店員でなくこの店の責任者の男で、ビルネンベルクに来店の感謝の言葉添えつつ、折りたたんだ革の外装の冊子のようなものを恭しく差し出した。
その冊子を縦に開いて、連れであるキルシェには死角になるよう、その上でやり取りをする__それが常。
彼は天下のビルネンベルクの者。従者従僕下僕が常に傍に控えていて当たり前のお家柄のはずだが、帝都の大学で教鞭をとるようになって__否、諸侯の家で家庭教師を頼まれるようになった頃から、従者は連れ歩かなくなったらしい。
「この酒は、もしよければお店の皆で」
「これはなんとも。よろしいのですか?」
「美味しかったから、是非、皆で試飲のように愉しんでほしい。残り物に代わりはないのだがね」
「いえ、滅相もない。ありがとう存じます」
お心遣いを、と改めて礼をとる責任者に心付けをさらに握らせ、ビルネンベルクはグラスに残ったお酒を飲もうと手を伸ばした__その時、グラスとの距離を図りそこねた彼の手があたり、グラスが不穏な動きを見せた。
「っと__」
「あっ__」
それをどうにか掴もうと彼の長い指が伸びるが、倒れて中身が飛び出した。それが運悪く、キルシェの服にかかる。さらにグラスは転げて床へと落下し、甲高い音を立てて割れてしまった。
静かな店内には不釣り合いな、そして、店中の注目を集めるには十分な、異常事態を知らせる音といってもよかった。
「キルシェ、すまない。なんということを……」
近くにいた店員と責任者がすぐに対処に動く傍らで、ビルネンベルクが至極申し訳無さそうに立ち上がって声を掛けてきて、そこで我に返る。
「硝子の破片は大丈夫かね」
「いえ、大丈夫です。葡萄酒がかかっただけですので、大事には」
「いや、十分これも大事な状況だ。本当にすまない」
「お召し物が」
店員が差し出す布を受け取り、吸わせるように押し付けてキルシェは拭う。染みは薄れたかどうか。水気が無くなる程度の処置にしかならないが、キルシェは笑顔を店員とビルネンベルクへと向けた。
「大丈夫です、このぐらい」
「しかし……」
「それよりも、すみません。場を騒がせてしまって……」
そんなことは、と新たに布を差し出す店員にキルシェはありがとう、と笑顔で応じる。
服ならばなんとでもなる。身につけているものはそれなりに上等のものとはいえ、明日からの帰路には困らないよう手を打てるのだ。
なるべく小さくやり取りをしているつもりだが、周囲の視線はずっとこちらに向けられているのが、とても感じられた。
__この注目をどうにかしたいけれど……。
内心苦笑を浮かべていれば、ビルネンベルクが、ふむ、と小さくひとつ呻いた。
「私の不注意だよ、キルシェ」
ぽつり、と言うビルネンベルクは、周囲を見張った。
「__皆さん申し訳ない。私はドゥーヌミオン・フォン・ビルネンベルク」
そして彼は、少しばかり凍りついた場の雰囲気を打ち消すようにすっくと身を立てて、声高に名乗りを上げる。彼の名を聞き、今度はわずかにどよめきが広がった。
これはキルシェも予想外で、店員と支配人らとともに驚き、それぞれ顔を見合わせる。
「お食事のところ、騒がしてしまって、本当に申し訳ない。今日は、少しばかり慣れない重労働をしたせいで酒の周りも早く、加えてここの葡萄酒がとても美味しいもので、いつもより多めに飲んでしまいました。本当に美味しいので、おすすめですよ? もしよろしければ、ご賞味ください。__ですが、ほどほどに」
上品な諧謔を呈するビルネンベルクに、周囲は和やかな笑いに包まれる。
__先生は、こう言う場面の振る舞いも堂々となさっていられる。
常に落ち着き払い、機転が利き、その場をうまく諌められる。まさに上に立つものの鑑だとキルシェは思う。側近くにいて、とても見習うべきことが多く、学ばせてもらっているのだ。
「さて、行こうか」
片付けに奔走した店員にも、心付けを握らせるビルネンベルクはキルシェへと向き直る。
「はい」
ビルネンベルクが差し出す手を取った。そして、無駄のない動きで店員が椅子を引くのに合わせて立ち上がる。
ありがとう、と言ってキルシェがふと周囲へ苦笑を浮かべ、恭しく一同へ会釈をした際、強張った顔をしたリュディガーと目があった。
彼は、しっかりとこちらを見つめていて、キルシェは思わず俯いて視線から逃げる。その一方で、ビルネンベルクが視線から隠すように割って入り、リュディガーに軽く手を挙げた。その手を挙げる仕草は、周囲への軽い挨拶とも取れる動きであるが、明らかに彼へと向けられたものだった。
更に彼の顔が強張ったのが、ビルネンベルク越しに見えるや否や、その視界を遮るようにして立つ彼に促され、キルシェは席を離れて扉へと向かう。
その間、ビルネンベルクは片手で収まりきらないほどの人物に声をかけられて歩みを止め、二、三言葉を交わしては進むということを繰り返す。
その際、キルシェを相手に紹介するといういつもの会話の流れを踏襲するのだが、しかしそれはいつもより手短。__キルシェの有様があるが故の気遣いであったのは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
【完結】この胸が痛むのは
Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」
彼がそう言ったので。
私は縁組をお受けすることにしました。
そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。
亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。
殿下と出会ったのは私が先でしたのに。
幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです……
姉が亡くなって7年。
政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが
『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。
亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……
*****
サイドストーリー
『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。
こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。
読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです
* 他サイトで公開しています。
どうぞよろしくお願い致します。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】不誠実な旦那様、目が覚めたのでさよならです。
完菜
恋愛
王都の端にある森の中に、ひっそりと誰かから隠れるようにしてログハウスが建っていた。
そこには素朴な雰囲気を持つ女性リリーと、金髪で天使のように愛らしい子供、そして中年の女性の三人が暮らしている。この三人どうやら訳ありだ。
ある日リリーは、ケガをした男性を森で見つける。本当は困るのだが、見捨てることもできずに手当をするために自分の家に連れて行くことに……。
その日を境に、何も変わらない日常に少しの変化が生まれる。その森で暮らしていたリリーには、大好きな人から言われる「愛している」という言葉が全てだった。
しかし、あることがきっかけで一瞬にしてその言葉が恐ろしいものに変わってしまう。人を愛するって何なのか? 愛されるって何なのか? リリーが紆余曲折を経て辿り着く愛の形。(全50話)

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる