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帝都の大学
弟子と師匠
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帝都内を巡回する乗り合い馬車は、街道を行くそれよりも賑やかだ。
この時期は、車窓を開け放つのが常。そこから涼しい風が入ってくる。
それを肺いっぱいに吸っていれば、建物の向こうについに隠れて見えなくなる、三苑の森。
さらに、身体から力が抜けるのが分かった。
リュディガーの見舞いに行った時とは、質の違う緊張感。
初めて会う人ばかり。
初めての環境。
初めての矢馳せ馬__もとい、その鍛錬の慣らし。
構えないはずがない。
__リュディガーは、すごいわ……。
そんな状況でも、矢馳せ馬を命じられるまま行い、的に当ててみせたのだ。
__弓射で苦労していたなんて、嘘みたい。
隣で腕を組んで俯く彼へ、キルシェは視線を移した。
馬車の中は満席で、大きな身体の彼は少し身を縮こませているものの、膝などが触れるほどとても近い。
珍しく寛げた襟元から、きらり、と光る鈍色が覗く。それは、彼が暇をもらっている身でありながらも、肌身離さず所持している龍帝従騎士団の認識票だ。
表側は龍騎士の象徴たる、前脚を蹴り上げる勇ましい一頭の鷲獅子の精緻な意匠。
__やっぱり、身につけているのね。
いつ何時、召喚されるかわからない身の上の証。
認識票は肌身離さずだが、今日は太刀を置いてきていた。
常日頃持ち歩いている訳ではないが、レナーテル学長に封じられこそすれ持ち歩くことも許されているはずだ。
それでも、彼は部屋に保管したまま持ち出すことはないらしい。少なくとも、キルシェは見かけたことがない。
先日の召集は大学へ直接迎えが来ていたから、得物もすべてそこで揃えられたと聞く。だが、今このとき呼び出されたら、どうするのだろう。
__大学へとりあえずは戻るのかしら……。
迎えは龍を駆ってくるはずだから、大学を目指して飛ぶ龍を見かけたらまずそちらへ向かえばいい__ということだろうか。
「__汗臭いだろう」
素朴な疑問を抱いていれば、ぼそり、と俯いていたリュディガーが呟き、顔を上げる。彼の蒼く深い紫にも見える瞳が思いの外近くて、キルシェは彼の言葉に一瞬ついていけなかった。
「__え? あ……いいえ」
「そうか?」
「そんなことを言ったら、私もですよ」
「いや、それはないが……私はほら、嫌な汗をかいたからな……」
渋い顔になったリュディガーが言っているのは、皆の前で突然、矢馳せ馬をさせられたことだろう。
大げさにため息を零すものだから、くすり、とキルシェの笑いを誘う。
「これからは、着替えを持ってこなければいけないな。汗を流しても、同じのを着ると意味がない」
「私も、それは思いました。暑くもなりますしね」
だろう、と言うリュディガーは笑う。
「__あの、ヘルゲという教官殿に、手拭いさえも持参しなかったのか、と詰られたぞ、こちらは。心底信じられない、という顔で」
まあ、とキルシェは目を見開く。
何も持ち物については指示をされていなかった__とは申せ、汗をかく自体は予想できる範疇のはずだから、こちらが至らなかった部分はあると言える。
__それにしても……よね。
「神学校の候補者からの話なんだが、少なくとも三手先を読んで行動しないと使えない、と思う教官殿らしい」
「ええぇ……」
マルギットにつきっきりで指導__今日は、指導らしい指導はなかったが__してもらっていたから、ヘルゲと関わることはなかった。
おそらく今後もマルギットが外されない限り、ヘルゲに指導されるということはないように思われる。
__思えば、過分すぎる待遇よね……。
デリング教官がどのような評価を伝えているかは知らない。
リュディガーは、矢馳せ馬らしいことはできる、と予め触れこまれていたのだから、自分も何かしら伝えられているはず。
__重いなぁ……。
追加とはいえ、期待はいくらかされているに違いない。
停車する毎ひとり、ふたり、と降りていく乗客。入れ替わるようにして、また乗り込んでくる様子をぼんやりと眺めながら、キルシェはため息を零した。
「応えられるかしら……」
「ん?」
知らず識らずに口から溢れていた言葉。リュディガーが反応するので、キルシェはとっさに口元を押さえた。
なんでもない、と首を振ってやり過ごし、再び窓の外を見やった。
それから30分ほどは揺られていただろうか。見慣れた景色になって、リュディガーが目配せで降りると言うので、それに従う。
車内の紐を軽く幾度か引けば連動して鈴が鳴り、それが次の停留所で停まる合図だ。馬車が緩く減速し、目的の停留所で停まる。
御者と違い、車の乗降口の脇の外に設えられた庇付きの座席に腰掛ける者がいる。それは車掌で、主に運賃等を含む円滑な旅客の乗降と、貨物の管理といった役割を担う。
車掌に運賃を支払い降車して、キルシェは足早に通りを進んだ。
繁華街を抜け、やがて大学に最も近い店が並ぶ商店街の様な通りに至るが、それらにはあまり目をやらずただひたすら先を目指す。
「__キルシェ、ここまでくればそんなに急がなくてももう間に合うから大丈夫だ」
大学の境界が見えてきたあたりでリュディガーが懐中時計を見ながら、そう告げた。キルシェは頷いて歩調を戻す。
そこまでくると大学の方から、森を抜けて涼しい風が吹いてくるようになってきた。
「リュディガー、お願いがあります」
敷地の森を進み、やがて大学の校舎が見えてきたあたりでキルシェが言えば、リュディガーは歩調をさらに緩めた。
「なんだ?」
「私を弟子にしてくれませんか?」
「……は?」
流石にリュディガーは、足を止めた。その顔は、呆気にとられたようになっているので、キルシェは視線を落とした。
「よく考えたのだけれど、私、間違いなくあの中では一番下の腕だと思うの。鞍でさえこれまで女鞍だったのだから。まずはそこからで、立ち乗りもですし……」
「だとしても、私が教えられるようなことは何も……」
「リュディガーは十分できているじゃない」
「私だって、まだまだだ。完璧じゃない。君もその目で見ただろう? そもそも、自覚もないのだし。それに、それこそマルギット殿やヘルゲ殿__ゲオルク殿にご助言を乞えばいい」
「それはもちろんだけれど、次は一週間後よ? それまで何もせずに過ごすなんて……」
キルシェは、両手を腹のあたりで組んだ。
「……そこまで、真面目にしなくてもよいのではないか? 候補者は他にもいるのだし」
「逆の立場だったら、リュディガーはそういう心持ちになれる?」
キルシェは目元に力を込めて、リュディガーに問う。それは少しばかり強い言い方で、彼は一瞬息を詰めてから顎をさすって罰が悪い顔になった。
「……すまない、配慮に欠けた」
「いえ、言いたいことはわかるの。だけれど……やれるだろうと見込まれているのだったら、少しはそれに応えないといけない、と私は思うのよ」
リュディガーは、唸って腕を組み、視線を足元へ落とした。
「授業もある貴方の負担を増やすことも重々承知ですが……」
キルシェは考え込んだ彼を見、申し訳無さから、組んでいた手に力を込めた。
「いや、それは全然。そこは気にしていないんだ。ただ……」
「ただ?」
「君からの願いは、安請け合いはできないな、と思っていたんだ」
リュディガーはそこまで言うと、ふっ、と笑った。
「そういえば、言ったな。勧めたなりに、責任は負うつもりだ、と。__果たさせてもらおうじゃないか」
キルシェは、目を見開く。
「じゃあ、いいの? 本当に? 本当にいいの?」
「ああ。協力させてもらう。惜しみなくな」
苦笑とも自嘲ともわからない笑みを浮かべるリュディガーに、キルシェは心の底から高揚した。
この時期は、車窓を開け放つのが常。そこから涼しい風が入ってくる。
それを肺いっぱいに吸っていれば、建物の向こうについに隠れて見えなくなる、三苑の森。
さらに、身体から力が抜けるのが分かった。
リュディガーの見舞いに行った時とは、質の違う緊張感。
初めて会う人ばかり。
初めての環境。
初めての矢馳せ馬__もとい、その鍛錬の慣らし。
構えないはずがない。
__リュディガーは、すごいわ……。
そんな状況でも、矢馳せ馬を命じられるまま行い、的に当ててみせたのだ。
__弓射で苦労していたなんて、嘘みたい。
隣で腕を組んで俯く彼へ、キルシェは視線を移した。
馬車の中は満席で、大きな身体の彼は少し身を縮こませているものの、膝などが触れるほどとても近い。
珍しく寛げた襟元から、きらり、と光る鈍色が覗く。それは、彼が暇をもらっている身でありながらも、肌身離さず所持している龍帝従騎士団の認識票だ。
表側は龍騎士の象徴たる、前脚を蹴り上げる勇ましい一頭の鷲獅子の精緻な意匠。
__やっぱり、身につけているのね。
いつ何時、召喚されるかわからない身の上の証。
認識票は肌身離さずだが、今日は太刀を置いてきていた。
常日頃持ち歩いている訳ではないが、レナーテル学長に封じられこそすれ持ち歩くことも許されているはずだ。
それでも、彼は部屋に保管したまま持ち出すことはないらしい。少なくとも、キルシェは見かけたことがない。
先日の召集は大学へ直接迎えが来ていたから、得物もすべてそこで揃えられたと聞く。だが、今このとき呼び出されたら、どうするのだろう。
__大学へとりあえずは戻るのかしら……。
迎えは龍を駆ってくるはずだから、大学を目指して飛ぶ龍を見かけたらまずそちらへ向かえばいい__ということだろうか。
「__汗臭いだろう」
素朴な疑問を抱いていれば、ぼそり、と俯いていたリュディガーが呟き、顔を上げる。彼の蒼く深い紫にも見える瞳が思いの外近くて、キルシェは彼の言葉に一瞬ついていけなかった。
「__え? あ……いいえ」
「そうか?」
「そんなことを言ったら、私もですよ」
「いや、それはないが……私はほら、嫌な汗をかいたからな……」
渋い顔になったリュディガーが言っているのは、皆の前で突然、矢馳せ馬をさせられたことだろう。
大げさにため息を零すものだから、くすり、とキルシェの笑いを誘う。
「これからは、着替えを持ってこなければいけないな。汗を流しても、同じのを着ると意味がない」
「私も、それは思いました。暑くもなりますしね」
だろう、と言うリュディガーは笑う。
「__あの、ヘルゲという教官殿に、手拭いさえも持参しなかったのか、と詰られたぞ、こちらは。心底信じられない、という顔で」
まあ、とキルシェは目を見開く。
何も持ち物については指示をされていなかった__とは申せ、汗をかく自体は予想できる範疇のはずだから、こちらが至らなかった部分はあると言える。
__それにしても……よね。
「神学校の候補者からの話なんだが、少なくとも三手先を読んで行動しないと使えない、と思う教官殿らしい」
「ええぇ……」
マルギットにつきっきりで指導__今日は、指導らしい指導はなかったが__してもらっていたから、ヘルゲと関わることはなかった。
おそらく今後もマルギットが外されない限り、ヘルゲに指導されるということはないように思われる。
__思えば、過分すぎる待遇よね……。
デリング教官がどのような評価を伝えているかは知らない。
リュディガーは、矢馳せ馬らしいことはできる、と予め触れこまれていたのだから、自分も何かしら伝えられているはず。
__重いなぁ……。
追加とはいえ、期待はいくらかされているに違いない。
停車する毎ひとり、ふたり、と降りていく乗客。入れ替わるようにして、また乗り込んでくる様子をぼんやりと眺めながら、キルシェはため息を零した。
「応えられるかしら……」
「ん?」
知らず識らずに口から溢れていた言葉。リュディガーが反応するので、キルシェはとっさに口元を押さえた。
なんでもない、と首を振ってやり過ごし、再び窓の外を見やった。
それから30分ほどは揺られていただろうか。見慣れた景色になって、リュディガーが目配せで降りると言うので、それに従う。
車内の紐を軽く幾度か引けば連動して鈴が鳴り、それが次の停留所で停まる合図だ。馬車が緩く減速し、目的の停留所で停まる。
御者と違い、車の乗降口の脇の外に設えられた庇付きの座席に腰掛ける者がいる。それは車掌で、主に運賃等を含む円滑な旅客の乗降と、貨物の管理といった役割を担う。
車掌に運賃を支払い降車して、キルシェは足早に通りを進んだ。
繁華街を抜け、やがて大学に最も近い店が並ぶ商店街の様な通りに至るが、それらにはあまり目をやらずただひたすら先を目指す。
「__キルシェ、ここまでくればそんなに急がなくてももう間に合うから大丈夫だ」
大学の境界が見えてきたあたりでリュディガーが懐中時計を見ながら、そう告げた。キルシェは頷いて歩調を戻す。
そこまでくると大学の方から、森を抜けて涼しい風が吹いてくるようになってきた。
「リュディガー、お願いがあります」
敷地の森を進み、やがて大学の校舎が見えてきたあたりでキルシェが言えば、リュディガーは歩調をさらに緩めた。
「なんだ?」
「私を弟子にしてくれませんか?」
「……は?」
流石にリュディガーは、足を止めた。その顔は、呆気にとられたようになっているので、キルシェは視線を落とした。
「よく考えたのだけれど、私、間違いなくあの中では一番下の腕だと思うの。鞍でさえこれまで女鞍だったのだから。まずはそこからで、立ち乗りもですし……」
「だとしても、私が教えられるようなことは何も……」
「リュディガーは十分できているじゃない」
「私だって、まだまだだ。完璧じゃない。君もその目で見ただろう? そもそも、自覚もないのだし。それに、それこそマルギット殿やヘルゲ殿__ゲオルク殿にご助言を乞えばいい」
「それはもちろんだけれど、次は一週間後よ? それまで何もせずに過ごすなんて……」
キルシェは、両手を腹のあたりで組んだ。
「……そこまで、真面目にしなくてもよいのではないか? 候補者は他にもいるのだし」
「逆の立場だったら、リュディガーはそういう心持ちになれる?」
キルシェは目元に力を込めて、リュディガーに問う。それは少しばかり強い言い方で、彼は一瞬息を詰めてから顎をさすって罰が悪い顔になった。
「……すまない、配慮に欠けた」
「いえ、言いたいことはわかるの。だけれど……やれるだろうと見込まれているのだったら、少しはそれに応えないといけない、と私は思うのよ」
リュディガーは、唸って腕を組み、視線を足元へ落とした。
「授業もある貴方の負担を増やすことも重々承知ですが……」
キルシェは考え込んだ彼を見、申し訳無さから、組んでいた手に力を込めた。
「いや、それは全然。そこは気にしていないんだ。ただ……」
「ただ?」
「君からの願いは、安請け合いはできないな、と思っていたんだ」
リュディガーはそこまで言うと、ふっ、と笑った。
「そういえば、言ったな。勧めたなりに、責任は負うつもりだ、と。__果たさせてもらおうじゃないか」
キルシェは、目を見開く。
「じゃあ、いいの? 本当に? 本当にいいの?」
「ああ。協力させてもらう。惜しみなくな」
苦笑とも自嘲ともわからない笑みを浮かべるリュディガーに、キルシェは心の底から高揚した。
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