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帝都の大学
有能な女房役
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かくっ、と首が落ちて、キルシェは弾かれるように顔を上げ、周囲を見張るように視線を巡らす。
白い寝台が整然とならぶ、白い部屋。薄いカーテン越しに窓から差し込む日差しは、ぼんやりと柔らかく部屋に満ち、程よい暖かさをもたらして、どうやらそれで寝入ってしまったらしい。
気が緩んだか、と首をゆるく振るって自身を戒め、寝台で横たわっているリュディガーへ視線を向ける__が、そこで思わず息を詰めてしまった。
身を横たえているリュディガーが、じっとこちらを見つめていたのだ。茫洋としてはいない視線には、はっきりと覚醒している様が見て取れて、その証拠に視線が合った彼は、小さく笑う。
「おはよう」
掠れは幾分ましになって、覇気がある言葉。
リュディガーが徐に身体を横にひねり、寝台に手をついて身体を起こそうとするので、キルシェは手を貸そうと立ち上がる__が、足元にばさり、と布が落ちる音がして、思わず動きを止めて視線を落とした。
落ちていたのは薄手の布団。キルシェが持参したものではなく、それに怪訝にしながらもとりあえずは片手で拾い上げて椅子に置き、リュディガーの補助へと戻る。
「よく寝ていた」
寝たきりだったせいで身体が強張っているのか、ぎこちない動きでどうにか上体を起こした隙に、鉄柵のヘッドボードと身体の間に枕を入れ具合良くキルシェが入れ込んでいると、リュディガーが言った。
彼の声は、幾分掠れもおさまって、ほぼ普段と変わらないほどだった。
「よく……?」
「中々起きる気配がないから、いい加減掛け布団を掛けておいたが。それでも起きる気配がなかったな」
「あ__これ」
椅子の上に置いた布団を手に取って、改めて見れば、それがリュディガーに掛かっていた布団のひとつだと気づいた。
彼を見てみると、一番上に重ねていた一枚が足りない。
__私が労られてどうするのよ……。
やらかした、とキルシェは内心詰ってため息をこぼす。
「すみません……お見舞いに来ているのに、お昼寝なんて……」
いや、と笑って首を振る彼の膝に、その薄手の布団を掛け直して整える。
「こんな成りの私のほうが、よほど失礼だろう」
気にしないでくれ、と笑う彼は顎を擦った。そこには無精髭がかなり伸びている。
額から右目、そして右頬は相変わらず包帯に覆われていて、それが一番痛ましく見える。しかしながらその顔は、窶れた印象はあるものの、肌の色もよいし、何より覇気があるからキルシェは安心していた。
「今朝聞いたが、昨日は先生がご一緒だったらしいな。今日は君ひとりか?」
「ええ。午前と午後どちらも講義があるそうで、様子をみてくるように、と」
「そうか……」
「お茶を淹れますね」
「ありがとう」
サイドテーブルに置かれた一式は、ラエティティエルが置いていってくれたもの。__キルシェが意識を手放す前の話だ。
「……」
ポットに触れてみて、キルシェはどうしようか、と手を止めてしまった。
「冷めているか?」
「……はい」
「構わない。淹れてくれ。それに、冷めている方が今はほしいから、ちょうどいい」
苦笑して頷いて、キルシェはお茶をカップに注ぐ。案の定、お茶はほのかに温かい程度である。ふたつのうち、一方をリュディガーにソーサーごと渡した。
「私が起きるかも読めないから、おそらくだが、ラエティティエルのことだ。冷めても悪くないものを用意したさ。__昔からそう」
ありがとう、と言葉の途中に言って受け取り、キルシェが座るのを待ってから口に運んだ。それに倣いキルシェも口へ運ぶ。
薫りはやはり少ないが、口に残る渋みもあまりない。口当たりも優しく、真っ先に苦味もこないから、彼が言う通り、冷めてからのことを考慮してなのかもしれない。
「昔から?」
「ああ。中隊長になってから、特によく小言を言われた。__せっかく淹れたのに、お休みになられないんですね。よろしいんですよ、今度からは冷めることを前提に茶葉を考えますから、とか……散々言われたな」
純然たる侍女でないがゆえの、やり取りなのだろう。
「そういえば、君は、体調は大丈夫なのか?」
いくぶん真剣な眼差しで訪ねてくるので、キルシェはきょとん、としてしまう。
療養の彼に心配されるような不調を出しているはずはないのだが__。
「体調? あ……もしかして、残穢のことですか?」
「……聞いたのだな。そう、それに関わる__」
「触穢ですね。それなら、全然。元気ですよ」
言って、キルシェは衣嚢から昨日渡された小さい巾着を取り出す。
「これを、ラエティティエルさんから。念の為に、と」
「……流石が碧潭の森のラエティティエル様だな。私が中隊長をやっていられたのも、彼女のお陰だ」
リュディガーは、残りの茶を一気に煽ってカップをソーサーに置き、テーブルへと戻す。
「他の侍女の皆も優秀だ。侍女だけでなく、他の仕事を任されている者ももちろん等しく。私に近い立場での彼女は、特に我が中隊の女房役だった。私が中隊長で、部下の意見をやむを得ず黙殺したら、部下を気遣ってなにやら色々動いてくれていたからな。__で、小言を言われる」
最後の言葉をリュディガーは肩をすくめて言うので、キルシェは笑ってしまった。
「悪かった、と侘びの品を__あ……」
思い出したような声を上げる彼は、みるみる表情が強張っていった。
「どうしました?」
「まずい。今回のこれは……かなり高く付く」
「これって……この石のこと?」
「違う、私の世話だ」
え、とキルシェは目を見開いた。
彼女は、自分の仕事だという自負__仕事に対する矜持が見受けられたから、何故彼がそういうのかが分からず小首をかしげる。
「まずい。さっさと通常に戻らないと__」
こんこん、と言う音が開け放たれていた病室の扉からして、それがリュディガーの言葉を最後まで言わせなかった。
「__やっと、そこにお気づきですか」
リュディガーが弾かれるようにそちらをみるので、キルシェも視線を向ける。そこには、それはそれは爽やかで穏やかな笑みをたたえるラエティティエルが立っていた。
「下のお世話から、何から何までですからね」
「……妙齢の女性の前で、よりにもよってそれを言うのか……」
はぁ、とため息をこぼすリュディガーは、項垂れるようにして額を片手で押さえるようにして覆う。
「事実でしょう?」
サイドテーブルの下に置かれている小さな盥。そこには雑多なものが入れられており、そこに尿瓶もあった。
__寝たきりだものね……。
上体を起こすだけでも大変そうなのだから、寝台からは動けていないのだろうことは容易に想像できる。
「……かなり腹に据えかねているな……」
ぼそり、と彼が言う。それはうんざりとしていて、とても渋い顔だ。ビルネンベルクとのやりとりで、時折そうした顔を見せることはあったがその比ではないほど。
「いつも言っていましたよね。ご自分でご自分のお尻も拭えないような状態にまでなって帰ってくるのは、もちろん覚悟があってのことですよね、と」
「すまなかった……」
つかつか、と歩み寄るラエティティエルは、手には新しい茶器一式を載せた盆がある。
「いいんですよ、もう全然。__その代わり、完全に意識も覚醒してますから、容赦いたしませんので」
「わかった。わかったから。わかってるから」
__なんとなく、家政婦のそれに雰囲気が似ている。
彼らのやり取りを見るに、ラエティティエルの言動や態度は、年季の入った上流階級の家に雇われる女中らを束ねる家政婦のそれに近い。
そこそこの年数を重ね、家族同然にすごした家政婦には、畏敬の念を以て恐れられ、立場が上にもかかわらず、頭が上がらない時がある。まさしく、それに似通ったやりとりのように見受けられた。
見た目こそ若いが、彼女は耳長。見た目以上に年季を重ねていることもある。彼女はきっとそうなのだろう。
「まあ、でも、よくお戻りになられました。そこだけは、純粋に嬉しく思っておりますのでご安心を」
「……それは痛み入るよ」
にこやかな顔で、それでも渾身の皮肉のように言い放つ世話人に、苦笑を禁じ得ないリュディガーだった。
「__いいかね?」
そこへ、こんこん、と新たにノックする音の後に続く大らかな声に、一同は振り返る。出入り口には、白衣に身を包んでいる老年の紳士が佇んでいた。
白い寝台が整然とならぶ、白い部屋。薄いカーテン越しに窓から差し込む日差しは、ぼんやりと柔らかく部屋に満ち、程よい暖かさをもたらして、どうやらそれで寝入ってしまったらしい。
気が緩んだか、と首をゆるく振るって自身を戒め、寝台で横たわっているリュディガーへ視線を向ける__が、そこで思わず息を詰めてしまった。
身を横たえているリュディガーが、じっとこちらを見つめていたのだ。茫洋としてはいない視線には、はっきりと覚醒している様が見て取れて、その証拠に視線が合った彼は、小さく笑う。
「おはよう」
掠れは幾分ましになって、覇気がある言葉。
リュディガーが徐に身体を横にひねり、寝台に手をついて身体を起こそうとするので、キルシェは手を貸そうと立ち上がる__が、足元にばさり、と布が落ちる音がして、思わず動きを止めて視線を落とした。
落ちていたのは薄手の布団。キルシェが持参したものではなく、それに怪訝にしながらもとりあえずは片手で拾い上げて椅子に置き、リュディガーの補助へと戻る。
「よく寝ていた」
寝たきりだったせいで身体が強張っているのか、ぎこちない動きでどうにか上体を起こした隙に、鉄柵のヘッドボードと身体の間に枕を入れ具合良くキルシェが入れ込んでいると、リュディガーが言った。
彼の声は、幾分掠れもおさまって、ほぼ普段と変わらないほどだった。
「よく……?」
「中々起きる気配がないから、いい加減掛け布団を掛けておいたが。それでも起きる気配がなかったな」
「あ__これ」
椅子の上に置いた布団を手に取って、改めて見れば、それがリュディガーに掛かっていた布団のひとつだと気づいた。
彼を見てみると、一番上に重ねていた一枚が足りない。
__私が労られてどうするのよ……。
やらかした、とキルシェは内心詰ってため息をこぼす。
「すみません……お見舞いに来ているのに、お昼寝なんて……」
いや、と笑って首を振る彼の膝に、その薄手の布団を掛け直して整える。
「こんな成りの私のほうが、よほど失礼だろう」
気にしないでくれ、と笑う彼は顎を擦った。そこには無精髭がかなり伸びている。
額から右目、そして右頬は相変わらず包帯に覆われていて、それが一番痛ましく見える。しかしながらその顔は、窶れた印象はあるものの、肌の色もよいし、何より覇気があるからキルシェは安心していた。
「今朝聞いたが、昨日は先生がご一緒だったらしいな。今日は君ひとりか?」
「ええ。午前と午後どちらも講義があるそうで、様子をみてくるように、と」
「そうか……」
「お茶を淹れますね」
「ありがとう」
サイドテーブルに置かれた一式は、ラエティティエルが置いていってくれたもの。__キルシェが意識を手放す前の話だ。
「……」
ポットに触れてみて、キルシェはどうしようか、と手を止めてしまった。
「冷めているか?」
「……はい」
「構わない。淹れてくれ。それに、冷めている方が今はほしいから、ちょうどいい」
苦笑して頷いて、キルシェはお茶をカップに注ぐ。案の定、お茶はほのかに温かい程度である。ふたつのうち、一方をリュディガーにソーサーごと渡した。
「私が起きるかも読めないから、おそらくだが、ラエティティエルのことだ。冷めても悪くないものを用意したさ。__昔からそう」
ありがとう、と言葉の途中に言って受け取り、キルシェが座るのを待ってから口に運んだ。それに倣いキルシェも口へ運ぶ。
薫りはやはり少ないが、口に残る渋みもあまりない。口当たりも優しく、真っ先に苦味もこないから、彼が言う通り、冷めてからのことを考慮してなのかもしれない。
「昔から?」
「ああ。中隊長になってから、特によく小言を言われた。__せっかく淹れたのに、お休みになられないんですね。よろしいんですよ、今度からは冷めることを前提に茶葉を考えますから、とか……散々言われたな」
純然たる侍女でないがゆえの、やり取りなのだろう。
「そういえば、君は、体調は大丈夫なのか?」
いくぶん真剣な眼差しで訪ねてくるので、キルシェはきょとん、としてしまう。
療養の彼に心配されるような不調を出しているはずはないのだが__。
「体調? あ……もしかして、残穢のことですか?」
「……聞いたのだな。そう、それに関わる__」
「触穢ですね。それなら、全然。元気ですよ」
言って、キルシェは衣嚢から昨日渡された小さい巾着を取り出す。
「これを、ラエティティエルさんから。念の為に、と」
「……流石が碧潭の森のラエティティエル様だな。私が中隊長をやっていられたのも、彼女のお陰だ」
リュディガーは、残りの茶を一気に煽ってカップをソーサーに置き、テーブルへと戻す。
「他の侍女の皆も優秀だ。侍女だけでなく、他の仕事を任されている者ももちろん等しく。私に近い立場での彼女は、特に我が中隊の女房役だった。私が中隊長で、部下の意見をやむを得ず黙殺したら、部下を気遣ってなにやら色々動いてくれていたからな。__で、小言を言われる」
最後の言葉をリュディガーは肩をすくめて言うので、キルシェは笑ってしまった。
「悪かった、と侘びの品を__あ……」
思い出したような声を上げる彼は、みるみる表情が強張っていった。
「どうしました?」
「まずい。今回のこれは……かなり高く付く」
「これって……この石のこと?」
「違う、私の世話だ」
え、とキルシェは目を見開いた。
彼女は、自分の仕事だという自負__仕事に対する矜持が見受けられたから、何故彼がそういうのかが分からず小首をかしげる。
「まずい。さっさと通常に戻らないと__」
こんこん、と言う音が開け放たれていた病室の扉からして、それがリュディガーの言葉を最後まで言わせなかった。
「__やっと、そこにお気づきですか」
リュディガーが弾かれるようにそちらをみるので、キルシェも視線を向ける。そこには、それはそれは爽やかで穏やかな笑みをたたえるラエティティエルが立っていた。
「下のお世話から、何から何までですからね」
「……妙齢の女性の前で、よりにもよってそれを言うのか……」
はぁ、とため息をこぼすリュディガーは、項垂れるようにして額を片手で押さえるようにして覆う。
「事実でしょう?」
サイドテーブルの下に置かれている小さな盥。そこには雑多なものが入れられており、そこに尿瓶もあった。
__寝たきりだものね……。
上体を起こすだけでも大変そうなのだから、寝台からは動けていないのだろうことは容易に想像できる。
「……かなり腹に据えかねているな……」
ぼそり、と彼が言う。それはうんざりとしていて、とても渋い顔だ。ビルネンベルクとのやりとりで、時折そうした顔を見せることはあったがその比ではないほど。
「いつも言っていましたよね。ご自分でご自分のお尻も拭えないような状態にまでなって帰ってくるのは、もちろん覚悟があってのことですよね、と」
「すまなかった……」
つかつか、と歩み寄るラエティティエルは、手には新しい茶器一式を載せた盆がある。
「いいんですよ、もう全然。__その代わり、完全に意識も覚醒してますから、容赦いたしませんので」
「わかった。わかったから。わかってるから」
__なんとなく、家政婦のそれに雰囲気が似ている。
彼らのやり取りを見るに、ラエティティエルの言動や態度は、年季の入った上流階級の家に雇われる女中らを束ねる家政婦のそれに近い。
そこそこの年数を重ね、家族同然にすごした家政婦には、畏敬の念を以て恐れられ、立場が上にもかかわらず、頭が上がらない時がある。まさしく、それに似通ったやりとりのように見受けられた。
見た目こそ若いが、彼女は耳長。見た目以上に年季を重ねていることもある。彼女はきっとそうなのだろう。
「まあ、でも、よくお戻りになられました。そこだけは、純粋に嬉しく思っておりますのでご安心を」
「……それは痛み入るよ」
にこやかな顔で、それでも渾身の皮肉のように言い放つ世話人に、苦笑を禁じ得ないリュディガーだった。
「__いいかね?」
そこへ、こんこん、と新たにノックする音の後に続く大らかな声に、一同は振り返る。出入り口には、白衣に身を包んでいる老年の紳士が佇んでいた。
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