32 / 247
帝都の大学
報せ
しおりを挟む
どっ、と放った矢が土を喰む。
的から外れた矢を、キルシェは目を細めて見つめた。
__今日の弓射の指南は、お休みだ。
脳裏に浮かぶのはビルネンベルクの声と、申し訳無さそうな顔で、思わず奥歯を噛み締めた。
ブリュール夫人とともに戻った大学は、どこかざわめいて、浮足立っているようだった。
それだけでも十二分に、昼に茶屋での出来事__目撃した龍騎士の龍三騎のうちのどれかにリュディガーが跨っていたのだろうと確信に近づいていたものの、どこか信じきれないでいた。
彼は暇をもらっていて、前線を退いて久しいのだ。そんな彼が召集される事態など、よほどのことがなければないはずだからだ。
__よほどの事……。
よほど、とは何だ。どれほどのことだ。
「やっぱ、本物は違うよなぁ」
「ああ。本当にリュディガーの奴、龍騎士だったんだな」
「な。あのアルビオン、従順そうだったし」
そうした学生らの立ち話は、キルシェの杞憂をよそに呑気なものだった。
__やはりあれは、リュディガーだった……。
認めざるを得ないでいれば、ビルネンベルクに出くわして、弓射の指南はなし、と告げられた。
聞くところによれば、かなり慌ただしかったそうだ。前庭に龍が降り立って、龍騎士仲間が持ち出していた制服と装備にその場で着替えたほど。学長に叱咤激励されて飛び去った。
もちろん戻る目処は未定。
予定がなくなったキルシェは、手持ち無沙汰になって、独り弓射の鍛錬場で矢を放っていたのだった。
だが、驚くほど的を射抜けない。五矢までの段階で、たったの二矢。これほどの成績の振るわなさはこれまでなかった。
__願掛けをしているからかもしれない。
十矢全部射抜けたら、無事に戻ってくる__そんなことをいつの頃からか考えて矢を番えていた。
しなければいいのに、妙な焦燥感に駆られてしまって、心臓の拍動も耳障りに大きくなって呼吸も浅くなるし、当たらなければ余計に焦って悪循環に陥るという。
はあ、と大きくため息をこぼして首を振り、暮れなずむ空の、東を見る。そちらへ飛び去った龍。
満月が、帝都の背を、弧を描いて守る山の端から昇り始めているのが見えた。昇り始めのその月は、黄金色というよりも、いくらか赤みを帯びて大きく見える。
__どうか、無事で……。
その日は、寝入る前の祈りに彼の無事も祈った。
動きがあったのは、翌日の夕刻。
ビルネンベルクに言われ、書庫から本を探して彼の部屋へ運んでいるときだった。
渡り廊下を進み、その窓に見えた学長とビルネンベルクの姿に思わず足を止める。彼らはまさしく馬に騎乗しようとする者を見守っていた。
その騎乗する者の服装を見て、キルシェは、はっ、と息を詰める。
__鷲獅子の紋……。
龍騎士の紋章である鷲獅子は、向き合って並ぶものだが、その者は龍騎士の制服ではない上、外套に施された意匠も片方だけの鷲獅子。しかしそれが龍騎士に関係する者だと示していて、キルシェは少しばかり歩調を早めた。
そして廊下を渡りきり、教官と女性寮の棟の階段のある玄関ホールに至ったところで、今しがた見かけた学長とビルネンベルクに遭遇した。
学長はわずかに目を見開き、足を止め、キルシェへ薄く笑むと、ビルネンベルクに目配せして階段を登っていく。
「頼んでいた本だね。__部屋へ頼むよ」
物言わず上の階へと去っていった優美な法衣の貴婦人を見送って入れば、ビルネンベルクがそう話しかけて、学長が踏みしめる階段を示す。
無言で頷き、キルシェはビルネンベルクの先導に従った。
彼の部屋は学長と同じく二階だが、学長はすでに廊下の先に消えようとしていたところだった。
それを見送りながらビルネンベルクの部屋に入るや否や、彼は礼を述べてキルシェが抱えている本を受け取って、執務机へと足を向ける。
「さっき、龍帝従騎士団から使いが来てね、リュディガーの報告を受けていたところだ」
やはり、と内心思い、生唾を飲んで彼の言葉を待つ。
机に本を置き、振り返る彼の顔は、真摯ながらも柔らかい。
「__日付が変わる頃に、生還したそうだ」
キルシェの喉が、ひゅっ、と鳴った。
緊張していた身体が少しほぐれるのがわかる。
「いつから大学へ復帰するのですか?」
「……わからない」
彼の顔は難しい色を滲ませていて、つい今しがたまでほっとしてたのも束の間、ぞわっ、と悪寒が走った。
「君は、リュディガーの弓射の指南としての立場があるから、聞く権利はあるので先んじて明かしておく」
どくどく、と心臓が大きく拍動して、頷くのが精一杯だった。
「峠は超えたそうだ」
「峠__け……怪我でも……?」
「いや、五体満足だ。無論、負傷はしたが、それは大したことではないとのことだ。寧ろそれについては問題がない」
「では……一体」
「報告を聞くに、深みに踏み込んだらしくてね。かなり濃い瘴気に晒されてしまって、その穢れを祓い清めるために、簡易の処置を現地で施してから、今朝には帝都の均衡の神の神殿へ運び込んで毒気を抜いているらしい」
瘴気は魔穴だけでなく、何らかの理由でこの地上に溜まる場所もある。そしてその瘴気とは、所謂、不可知の“もの”や“アニマ”と呼ばれるものと同じ類のもので、害をもたらす場合に瘴気と分類される。
害とは様々だ。動植物はこの世の理から外れる、とされている。
濃すぎれば動植物を変容させるし、人も身体だけでなく、心も病み、普通の人としての営みは望めない。下手をすれば、最終的には理性もなくなって、瘴気を浴びた獣が変容した魔物と大差なくなる。
「一時のかなり危ない状態から、ゆっくりだが確実に快方に向かってはいるそうだ。帝都の一苑には、双翼院と呼ばれる龍帝従騎士団の建物があるのは知っているかい?」
「はい」
「そこの療養施設へ移されるまでは何人も面会はできない」
「そうですか……」
神殿での処置は、余人の気配そのものを嫌う。余人が出入りすることで、どのような作用を引き起こすかわからないから、とされているのだ。
「面会ができるようになったら、君も行くかい?」
「よろしいのですか?」
一苑は禁域。国家の中枢が置かれているが、そもそもは龍室__龍帝一門の敷地で、一般人は立ち入りができない。
「ああ。特別に許可をいただけるそうだ。学長と私にのみ。付き添いもそれぞれ、一名までなら可能だと」
「是非、お供させてください」
少し勢い込んで頷けば、ビルネンベルクは柔和に笑んで頷いて、優美な手でキルシェの胸元で握り締めていた手を包む。
「そんなに白くなるほどに握って。大丈夫だ。__今は待つしかできなくて歯がゆいかもしれないが、静かに待とうじゃないか。復帰したら、心配させた罰で、リュディガーをこき使ってやればいい」
安心させようと冗談めかして言ってのけるビルネンブルクに、キルシェは笑って頷いた。
そして、部屋を後にして、扉を締めたところでふと思い出す。
__リュディガーのお父様は……。
知ってはいるだろうか。身内だから報せが遅かれ早かれ行くはずだ。
__でも、報せるだけ……よね。
彼の父は、彼と最後に会ったのはいつだ。毎日のように様子を見にいって、その際、食料などを届けていたという話だ。
リュディガーが飛び去ったのは昨日の昼過ぎ。そこから一日以上経っている。
__お御足が悪いじゃない……。
キルシェは、その後、大学を独り出た。
的から外れた矢を、キルシェは目を細めて見つめた。
__今日の弓射の指南は、お休みだ。
脳裏に浮かぶのはビルネンベルクの声と、申し訳無さそうな顔で、思わず奥歯を噛み締めた。
ブリュール夫人とともに戻った大学は、どこかざわめいて、浮足立っているようだった。
それだけでも十二分に、昼に茶屋での出来事__目撃した龍騎士の龍三騎のうちのどれかにリュディガーが跨っていたのだろうと確信に近づいていたものの、どこか信じきれないでいた。
彼は暇をもらっていて、前線を退いて久しいのだ。そんな彼が召集される事態など、よほどのことがなければないはずだからだ。
__よほどの事……。
よほど、とは何だ。どれほどのことだ。
「やっぱ、本物は違うよなぁ」
「ああ。本当にリュディガーの奴、龍騎士だったんだな」
「な。あのアルビオン、従順そうだったし」
そうした学生らの立ち話は、キルシェの杞憂をよそに呑気なものだった。
__やはりあれは、リュディガーだった……。
認めざるを得ないでいれば、ビルネンベルクに出くわして、弓射の指南はなし、と告げられた。
聞くところによれば、かなり慌ただしかったそうだ。前庭に龍が降り立って、龍騎士仲間が持ち出していた制服と装備にその場で着替えたほど。学長に叱咤激励されて飛び去った。
もちろん戻る目処は未定。
予定がなくなったキルシェは、手持ち無沙汰になって、独り弓射の鍛錬場で矢を放っていたのだった。
だが、驚くほど的を射抜けない。五矢までの段階で、たったの二矢。これほどの成績の振るわなさはこれまでなかった。
__願掛けをしているからかもしれない。
十矢全部射抜けたら、無事に戻ってくる__そんなことをいつの頃からか考えて矢を番えていた。
しなければいいのに、妙な焦燥感に駆られてしまって、心臓の拍動も耳障りに大きくなって呼吸も浅くなるし、当たらなければ余計に焦って悪循環に陥るという。
はあ、と大きくため息をこぼして首を振り、暮れなずむ空の、東を見る。そちらへ飛び去った龍。
満月が、帝都の背を、弧を描いて守る山の端から昇り始めているのが見えた。昇り始めのその月は、黄金色というよりも、いくらか赤みを帯びて大きく見える。
__どうか、無事で……。
その日は、寝入る前の祈りに彼の無事も祈った。
動きがあったのは、翌日の夕刻。
ビルネンベルクに言われ、書庫から本を探して彼の部屋へ運んでいるときだった。
渡り廊下を進み、その窓に見えた学長とビルネンベルクの姿に思わず足を止める。彼らはまさしく馬に騎乗しようとする者を見守っていた。
その騎乗する者の服装を見て、キルシェは、はっ、と息を詰める。
__鷲獅子の紋……。
龍騎士の紋章である鷲獅子は、向き合って並ぶものだが、その者は龍騎士の制服ではない上、外套に施された意匠も片方だけの鷲獅子。しかしそれが龍騎士に関係する者だと示していて、キルシェは少しばかり歩調を早めた。
そして廊下を渡りきり、教官と女性寮の棟の階段のある玄関ホールに至ったところで、今しがた見かけた学長とビルネンベルクに遭遇した。
学長はわずかに目を見開き、足を止め、キルシェへ薄く笑むと、ビルネンベルクに目配せして階段を登っていく。
「頼んでいた本だね。__部屋へ頼むよ」
物言わず上の階へと去っていった優美な法衣の貴婦人を見送って入れば、ビルネンベルクがそう話しかけて、学長が踏みしめる階段を示す。
無言で頷き、キルシェはビルネンベルクの先導に従った。
彼の部屋は学長と同じく二階だが、学長はすでに廊下の先に消えようとしていたところだった。
それを見送りながらビルネンベルクの部屋に入るや否や、彼は礼を述べてキルシェが抱えている本を受け取って、執務机へと足を向ける。
「さっき、龍帝従騎士団から使いが来てね、リュディガーの報告を受けていたところだ」
やはり、と内心思い、生唾を飲んで彼の言葉を待つ。
机に本を置き、振り返る彼の顔は、真摯ながらも柔らかい。
「__日付が変わる頃に、生還したそうだ」
キルシェの喉が、ひゅっ、と鳴った。
緊張していた身体が少しほぐれるのがわかる。
「いつから大学へ復帰するのですか?」
「……わからない」
彼の顔は難しい色を滲ませていて、つい今しがたまでほっとしてたのも束の間、ぞわっ、と悪寒が走った。
「君は、リュディガーの弓射の指南としての立場があるから、聞く権利はあるので先んじて明かしておく」
どくどく、と心臓が大きく拍動して、頷くのが精一杯だった。
「峠は超えたそうだ」
「峠__け……怪我でも……?」
「いや、五体満足だ。無論、負傷はしたが、それは大したことではないとのことだ。寧ろそれについては問題がない」
「では……一体」
「報告を聞くに、深みに踏み込んだらしくてね。かなり濃い瘴気に晒されてしまって、その穢れを祓い清めるために、簡易の処置を現地で施してから、今朝には帝都の均衡の神の神殿へ運び込んで毒気を抜いているらしい」
瘴気は魔穴だけでなく、何らかの理由でこの地上に溜まる場所もある。そしてその瘴気とは、所謂、不可知の“もの”や“アニマ”と呼ばれるものと同じ類のもので、害をもたらす場合に瘴気と分類される。
害とは様々だ。動植物はこの世の理から外れる、とされている。
濃すぎれば動植物を変容させるし、人も身体だけでなく、心も病み、普通の人としての営みは望めない。下手をすれば、最終的には理性もなくなって、瘴気を浴びた獣が変容した魔物と大差なくなる。
「一時のかなり危ない状態から、ゆっくりだが確実に快方に向かってはいるそうだ。帝都の一苑には、双翼院と呼ばれる龍帝従騎士団の建物があるのは知っているかい?」
「はい」
「そこの療養施設へ移されるまでは何人も面会はできない」
「そうですか……」
神殿での処置は、余人の気配そのものを嫌う。余人が出入りすることで、どのような作用を引き起こすかわからないから、とされているのだ。
「面会ができるようになったら、君も行くかい?」
「よろしいのですか?」
一苑は禁域。国家の中枢が置かれているが、そもそもは龍室__龍帝一門の敷地で、一般人は立ち入りができない。
「ああ。特別に許可をいただけるそうだ。学長と私にのみ。付き添いもそれぞれ、一名までなら可能だと」
「是非、お供させてください」
少し勢い込んで頷けば、ビルネンベルクは柔和に笑んで頷いて、優美な手でキルシェの胸元で握り締めていた手を包む。
「そんなに白くなるほどに握って。大丈夫だ。__今は待つしかできなくて歯がゆいかもしれないが、静かに待とうじゃないか。復帰したら、心配させた罰で、リュディガーをこき使ってやればいい」
安心させようと冗談めかして言ってのけるビルネンブルクに、キルシェは笑って頷いた。
そして、部屋を後にして、扉を締めたところでふと思い出す。
__リュディガーのお父様は……。
知ってはいるだろうか。身内だから報せが遅かれ早かれ行くはずだ。
__でも、報せるだけ……よね。
彼の父は、彼と最後に会ったのはいつだ。毎日のように様子を見にいって、その際、食料などを届けていたという話だ。
リュディガーが飛び去ったのは昨日の昼過ぎ。そこから一日以上経っている。
__お御足が悪いじゃない……。
キルシェは、その後、大学を独り出た。
0
お気に入りに追加
164
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。
一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。
そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる