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帝都の大学
朋友
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グラスを置き、そこで目に留まったのは花瓶に活けられた花__鈴蘭。
「__そういえば、大学の敷地内の群生地、かなり咲き揃ったな」
リュディガーがキルシェの見つめる物に気づいたのだろう、見れば彼は頬に拳をあてるように頬杖をついて眺めていて、それはとても穏やかな視線だった。
「群生地のこと、ご存知なんですか?」
あまり知られていない群生地は、大学の北側に広がる落葉樹が主な森に抱かれて存在していて、知らぬまま卒業する者もいるような知名度だ。
「ああ。先日、大雨に暴風がひどかっただろう? その後、倒木を確認しに行ったときに。__たしか、最初に知ったのも、大雨が降った後の見回りだったか。その時は先生に言われて行ったのだったか……」
「リュディガーがそんなことしてるなんて、知りませんでした」
「ああ。男連中でも、力がありそうで動きそうな輩に白羽の矢が立つ伝統だ、と先生は言っていたが__そうか、キルシェは、やはり知っているんだな。群生地のこと」
「やはり?」
「たまに、そっちへ歩いていく姿を見かけていた。指南を受ける前から、度々」
「あれが、噂の学生か__と盗み見ていたんですね」
揶揄するように言えば、リュディガーが両手を軽く上げて苦笑しながら降参の意を示す。
「変な誤解をしないでもらいたいが……まあたしかに、それは幾らかでもあったことは否めない。ただ、ついでに弁解させてもらえば、私の部屋から、森へ出入りする人がよく見えるんだ」
「そうだったんですね。__私、散策が好きなので」
そうか、とリュディガーは柔らかく笑んだ。
そうしていると、店員がやってきて手際よくカトラリーと手拭き、何も載っていない皿が、それぞれの席の前に並び配される。
店員は一旦下がると、次に大皿に盛ったクレソンを主とした葉物野菜のサラダと、キャベツを発酵させた漬物がこんもりと盛られた皿と、チーズが数種類とハムが並ぶ皿を運ぶ。
そして、取り分けるための大きなスプーンとフォークを添えるようにテーブルへ置き、リュディガーとキルシェが礼を述べれば、柔らかい笑みを浮かべて会釈して去っていく。
リュディガーがそれらを取り分けるのを待つ間、キルシェは手持ち無沙汰に、改めて店内を見渡した。この時になって気づいたが、意外に女性客もいる。連れは男性か、あるいは女性同士。家族連れも見受けられる。
「__落ち着かないか?」
「いえ、そんなことはないです」
「さっきの繁華街は、飲み屋という感じのが多くて、男ばかりの客層だから、少し遠いが、一応、女性客も家族連れも多い店にした」
「__よく……来るのですか?」
「昔に何度か。もう何年ぶりかな……」
「昔」
「龍騎士の頃だ。最後に来たのは大学入るだいぶ前で、当時もそんなに来たことはないが、ここはハズレはなかったから、安心してくれ」
「はずれ……?」
いまいち得心が行かずに言葉を繰り返すと、リュディガーが小さく笑う。
「料理の味のことだ」
「ああ、なるほど」
程よく取り分けられた目の前の料理を見、キルシェは手を組んで項垂れる。
いつものように、口の中で小さく、この帝国の国神である戦神と恵みを与えてくれる慈雨の女神、そしてキルシェにとって縁ある均衡の神へ感謝の祈りを捧げる。
本来なら食事が運ばれてきてから祈りを捧げるものだが、今日は勝手がわからず逸してしまっていた。
目を開け、手拭きを膝に置こうと手を伸ばすと、リュディガーと目があった。
彼は、カトラリーを手にし、取り分けた酢漬けのキャベツにフォークを突き立てたところで固まっていた。
食前の祈りをする者もいれば、いない者もいる。
「__すまない……」
あまりにも罰が悪そうな顔に、キルシェは思わず笑ってしまった。
「いえ、大丈夫です。ごめんなさい。笑って……」
「いや、いいんだ。信心深さがいかほどか、知られただけだから」
自嘲めいて言うリュディガーは、突き立てたそれを持ち上げて遠い視線で眺める。
「__龍騎士の頃はしていたんだが、大学に入ってからは適当にしてしまうようになって、すっかり忘れていた」
リュディガーはそこまで言うと、突き立てていたカトラリーから食材を落とし、テーブルに手放した。
そして、居住まいを正すと、テーブルの縁に軽く置いた両手の平を天へと向けて開くと、目をつむる。
「わざわざ合わせてくださらなくても、大丈夫ですよ。私、気にしないので」
「いや、冥利が悪い__のを思い出した」
片目を開けてリュディガーが冗談めかして言うので、キルシェは小さく笑い、彼が祈りを捧げるのを待った。
そうして祈り終えたリュディガーが目を開けると、手元の皿を遠い視線で見つめる。
「__今日は、すまなかった」
唐突に彼が改まった謝罪をするので、キルシェはカトラリーに伸ばしかけていた手を止め、膝の手拭きの上に置く。
「偉そうに、話を強引に動かしてしまった」
「そんなこと……感謝しかないです。説得してくださって、ご面倒でしたでしょうに。__どうしても、訴え出るということが苦手で……」
「訴え出るのを躊躇ったのは、耐えてくれ、と言われると思っていたからか?」
リュディガーの言葉に、キルシェは答えられなかった__否、答えたくなかった。
その可能性だってなくはない__そうどこか思っていたのは事実。
ビルネンベルクの性格からすれば、そんなことはほぼないだろうが、限りなくないだけで、可能性はある。
__そう言われてしまうのが、確かに怖かった……。
一縷の望みをかけて、すがって、見放されることの辛さは、身に沁みてよく知っている。
「__そんなことがあったら、私が矢面に立つ覚悟はあったが」
「矢面……?」
「手が出てしまったかもしれない」
え、とキルシェは顔を引きつらせる。
「__とは冗談だ。あの方に限って、それはないだろう。ビルネンベルクという名門の出に自負をお持ちの方だから。いずれにせよ、関わったのだから動くつもりでいたが……」
「ビルネンベルク先生はどうなさるおつもりでしょうか……」
「悪いようにはしないはずだ」
キルシェは膝に置いた手に視線を落とす。
これほどまで、自分を中心に色々と心を砕いてくれる者がいるという事実に、戸惑ってしまう。
「なあ、キルシェ」
「何でしょう?」
呼ばれて顔を上げるキルシェ。
「余計なお世話かもしれないが、こう……砕けて相談できる者とかは、いるか?」
これはキルシェには痛い質問だった。
「__強いて言えば……ビルネンベルク先生が」
「私が説得しなければ、打ち明けなかったのに?」
「それは……そうですね……そうでした」
それでも、気兼ねなくという点では一番だ。
リュディガーも自分の交友関係が、あまりにも希薄だということは察しているはずだ。
これほど話して、同じ卓を囲って、同じ料理を食べて、親身になって、それでいて必要以上に踏み込まず__。
「先生以外でなんて__あ」
そこでふと、気がついた。
「ん?」
「います」
ほう、とリュディガーが興味深そうな声を漏らす。
「リュディガーです」
一瞬、言葉の意味するところが理解できなかったリュディガーは眉を顰めたが、直後、驚きに顔を歪めるので、キルシェは思わず笑ってしまう。
「いつの間にか、居ました」
灯台下暗し、とはこのことだ。
「それは……よかった」
ぎこちなく言うリュディガーに、キルシェは再び笑ってしまったそこへ店員が新たに料理を運んでくる。それは、豆とトマトのスープだった。それぞれの前に配して、籠に盛った二人分のパンをテーブルの中程に置いていった。
「__そういえば、大学の敷地内の群生地、かなり咲き揃ったな」
リュディガーがキルシェの見つめる物に気づいたのだろう、見れば彼は頬に拳をあてるように頬杖をついて眺めていて、それはとても穏やかな視線だった。
「群生地のこと、ご存知なんですか?」
あまり知られていない群生地は、大学の北側に広がる落葉樹が主な森に抱かれて存在していて、知らぬまま卒業する者もいるような知名度だ。
「ああ。先日、大雨に暴風がひどかっただろう? その後、倒木を確認しに行ったときに。__たしか、最初に知ったのも、大雨が降った後の見回りだったか。その時は先生に言われて行ったのだったか……」
「リュディガーがそんなことしてるなんて、知りませんでした」
「ああ。男連中でも、力がありそうで動きそうな輩に白羽の矢が立つ伝統だ、と先生は言っていたが__そうか、キルシェは、やはり知っているんだな。群生地のこと」
「やはり?」
「たまに、そっちへ歩いていく姿を見かけていた。指南を受ける前から、度々」
「あれが、噂の学生か__と盗み見ていたんですね」
揶揄するように言えば、リュディガーが両手を軽く上げて苦笑しながら降参の意を示す。
「変な誤解をしないでもらいたいが……まあたしかに、それは幾らかでもあったことは否めない。ただ、ついでに弁解させてもらえば、私の部屋から、森へ出入りする人がよく見えるんだ」
「そうだったんですね。__私、散策が好きなので」
そうか、とリュディガーは柔らかく笑んだ。
そうしていると、店員がやってきて手際よくカトラリーと手拭き、何も載っていない皿が、それぞれの席の前に並び配される。
店員は一旦下がると、次に大皿に盛ったクレソンを主とした葉物野菜のサラダと、キャベツを発酵させた漬物がこんもりと盛られた皿と、チーズが数種類とハムが並ぶ皿を運ぶ。
そして、取り分けるための大きなスプーンとフォークを添えるようにテーブルへ置き、リュディガーとキルシェが礼を述べれば、柔らかい笑みを浮かべて会釈して去っていく。
リュディガーがそれらを取り分けるのを待つ間、キルシェは手持ち無沙汰に、改めて店内を見渡した。この時になって気づいたが、意外に女性客もいる。連れは男性か、あるいは女性同士。家族連れも見受けられる。
「__落ち着かないか?」
「いえ、そんなことはないです」
「さっきの繁華街は、飲み屋という感じのが多くて、男ばかりの客層だから、少し遠いが、一応、女性客も家族連れも多い店にした」
「__よく……来るのですか?」
「昔に何度か。もう何年ぶりかな……」
「昔」
「龍騎士の頃だ。最後に来たのは大学入るだいぶ前で、当時もそんなに来たことはないが、ここはハズレはなかったから、安心してくれ」
「はずれ……?」
いまいち得心が行かずに言葉を繰り返すと、リュディガーが小さく笑う。
「料理の味のことだ」
「ああ、なるほど」
程よく取り分けられた目の前の料理を見、キルシェは手を組んで項垂れる。
いつものように、口の中で小さく、この帝国の国神である戦神と恵みを与えてくれる慈雨の女神、そしてキルシェにとって縁ある均衡の神へ感謝の祈りを捧げる。
本来なら食事が運ばれてきてから祈りを捧げるものだが、今日は勝手がわからず逸してしまっていた。
目を開け、手拭きを膝に置こうと手を伸ばすと、リュディガーと目があった。
彼は、カトラリーを手にし、取り分けた酢漬けのキャベツにフォークを突き立てたところで固まっていた。
食前の祈りをする者もいれば、いない者もいる。
「__すまない……」
あまりにも罰が悪そうな顔に、キルシェは思わず笑ってしまった。
「いえ、大丈夫です。ごめんなさい。笑って……」
「いや、いいんだ。信心深さがいかほどか、知られただけだから」
自嘲めいて言うリュディガーは、突き立てたそれを持ち上げて遠い視線で眺める。
「__龍騎士の頃はしていたんだが、大学に入ってからは適当にしてしまうようになって、すっかり忘れていた」
リュディガーはそこまで言うと、突き立てていたカトラリーから食材を落とし、テーブルに手放した。
そして、居住まいを正すと、テーブルの縁に軽く置いた両手の平を天へと向けて開くと、目をつむる。
「わざわざ合わせてくださらなくても、大丈夫ですよ。私、気にしないので」
「いや、冥利が悪い__のを思い出した」
片目を開けてリュディガーが冗談めかして言うので、キルシェは小さく笑い、彼が祈りを捧げるのを待った。
そうして祈り終えたリュディガーが目を開けると、手元の皿を遠い視線で見つめる。
「__今日は、すまなかった」
唐突に彼が改まった謝罪をするので、キルシェはカトラリーに伸ばしかけていた手を止め、膝の手拭きの上に置く。
「偉そうに、話を強引に動かしてしまった」
「そんなこと……感謝しかないです。説得してくださって、ご面倒でしたでしょうに。__どうしても、訴え出るということが苦手で……」
「訴え出るのを躊躇ったのは、耐えてくれ、と言われると思っていたからか?」
リュディガーの言葉に、キルシェは答えられなかった__否、答えたくなかった。
その可能性だってなくはない__そうどこか思っていたのは事実。
ビルネンベルクの性格からすれば、そんなことはほぼないだろうが、限りなくないだけで、可能性はある。
__そう言われてしまうのが、確かに怖かった……。
一縷の望みをかけて、すがって、見放されることの辛さは、身に沁みてよく知っている。
「__そんなことがあったら、私が矢面に立つ覚悟はあったが」
「矢面……?」
「手が出てしまったかもしれない」
え、とキルシェは顔を引きつらせる。
「__とは冗談だ。あの方に限って、それはないだろう。ビルネンベルクという名門の出に自負をお持ちの方だから。いずれにせよ、関わったのだから動くつもりでいたが……」
「ビルネンベルク先生はどうなさるおつもりでしょうか……」
「悪いようにはしないはずだ」
キルシェは膝に置いた手に視線を落とす。
これほどまで、自分を中心に色々と心を砕いてくれる者がいるという事実に、戸惑ってしまう。
「なあ、キルシェ」
「何でしょう?」
呼ばれて顔を上げるキルシェ。
「余計なお世話かもしれないが、こう……砕けて相談できる者とかは、いるか?」
これはキルシェには痛い質問だった。
「__強いて言えば……ビルネンベルク先生が」
「私が説得しなければ、打ち明けなかったのに?」
「それは……そうですね……そうでした」
それでも、気兼ねなくという点では一番だ。
リュディガーも自分の交友関係が、あまりにも希薄だということは察しているはずだ。
これほど話して、同じ卓を囲って、同じ料理を食べて、親身になって、それでいて必要以上に踏み込まず__。
「先生以外でなんて__あ」
そこでふと、気がついた。
「ん?」
「います」
ほう、とリュディガーが興味深そうな声を漏らす。
「リュディガーです」
一瞬、言葉の意味するところが理解できなかったリュディガーは眉を顰めたが、直後、驚きに顔を歪めるので、キルシェは思わず笑ってしまう。
「いつの間にか、居ました」
灯台下暗し、とはこのことだ。
「それは……よかった」
ぎこちなく言うリュディガーに、キルシェは再び笑ってしまったそこへ店員が新たに料理を運んでくる。それは、豆とトマトのスープだった。それぞれの前に配して、籠に盛った二人分のパンをテーブルの中程に置いていった。
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