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帝都の大学
ビルネンベルクの小間使い
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じゃあこれ、と示されたのは、抱えるには大きく、抱えられても重い草の束。
「……」
キルシェは月に数回、担当教官のビルネンベルクのお使いで出かける。それだけでなく、ビルネンベルク自身が出かける先にも、彼が要請すれば付き従う。
気に入りだから、と影で言われていることも承知だ。気に入りだから、成績も便宜を図ってもらっているのだ、と__。
そうとられてもしょうがないこと、とキルシェは割り切って指示に従って行動をしていた。
この日もそう。
明日の朝の授業で使うものが、思いの外早く届いたから受け取ってきて欲しい__という、簡単な申し出だ。なに、よくある要請でもある。
はい、と二つ返事で受けて、店へ赴けば、店主が示したのは店の裏手に置かれていた草の束。
しかもただの草でなく、薬草。対生の葉は細かく裂けた形状で、やや白味を帯びる。草丈はキルシェの膝丈はあるだろうこの薬草は、熊葛だろう。初夏の頃、淡い色の花冠は、下の方から総状花序する。
大学で飼育している馬が、最近相次いでお腹を下しているという話は聞いている。おそらくその治療に使うのだろう。そして、その治療に使う薬の調合を授業で行うのだ__と、そこまでは察しがついた。
ビルネンベルクの担当は言語学。てっきり、古書などのたぐいだと思っていたのに、まるで違って拍子抜けしてしまう。同時に、当惑も。この薬草を使う授業はおそらく別の教官で、ビルネンベルク経由で発注したものと思われる。__大学では、ビルネンベルクに言えば手に入らないものはない、と言わしめているほど、ネツァク州のビルネンベルクは名士なのだ。
頑張れば抱えられはする。だが、青々とした草の束だ。重さは見た目以上。
それでも運ばねばならない。
最初、転がしていくらか運んだが、薬草が傷んでしまう上、痛んで痩せたところから、ぽろぽろ、と束からこぼれ落ちて行く。
ならばやはり抱えるしかない、と意を決して持ち上げるが、10歩ごとに休まねば腕がもたない始末だ。
やっと冬の終わりが見えてきた陽気で、じんわりと汗ばむほどの重労働。うら若い女が休み休み運んでいる様を見て、声を掛けて手をかそうとする者がいないわけでもないが、これは大学の財産。手伝う合間にこの薬草をくすねられては困る。そこそこの値が張るものだ。
それらはすべて笑顔で丁寧に断って、先を急ぐ。
毎朝弓射で腕を使っているとはいえ、その筋肉とは違う筋肉と、力の入れ具合だからか、かなり疲れてきた。
はあ、と少し開けた場所で、白い大理石の龍の口から自噴している水場を見つけ、喉を潤す。すると、疲れが吹き飛ぶどころか、どっ、と疲れが出てきた。たまらず、泉の縁へ腰をおろしたところ、すっ、と息をひそめるように自分の場所に影がさした。
まさか、と見上げれば、日がすでに広場を囲う建物の向こうに沈んでいるではないか。
昼食後にお使いに出ていたにもかかわらず、まだ半分。
休みたい気持ちを押し殺し、再び草を抱えにかかる。呼吸を整え、いざ、と持ち上げ、一歩、二歩、と歩んだところで、踏みしめるはずの石畳の感触が来ない。
「__ぁ……!」
短い悲鳴を上げた直後、天地がひっくり返った。強かに体を打ったが、転がる勢いのまま体を起こし、転がりそうになる薬草を、全身を使って覆いかぶさるようにして動きを止める。
ふぅ、と全身の緊張をとき、体を起こして何が起きたのか確認すれば、体制を崩した原因は段差だった。本当にわずかな段差。杏ほどもない高さの段差。
足元が見えないこともあるが、それ以上に体力を消耗しているのは明白だ。
__これは……日が明るいうちに大学までたどり着けないか……。
やれやれ、と足を挫いていないか、捻って確認したときだった。
「キルシェ」
聞き馴染んだ声とともに、手をおいていた草の束を、無骨な手が掴んだ。
はっとして見上げれば、案の定リュディガーで、いくらか肩で息をしている。
「どうして、リュディガーが?」
「戻りが遅すぎるから見てきてくれ、とビルネンベルク先生に言われて来た」
「……たしかに、遅いですよね」
1時間とかからない距離だ。これだけの時間があれば、帝都を横断できなくもない。
「__まさか、これを抱えてきたのか?」
「ええ」
「ここまで? 独りで?」
「……ええ」
「誰かの手を借りればよかっただろう。声も掛けられなかったのか?」
「いえ、ご親切な方もいました。でも、これは大学の財産。しかも見て、ほら、この時期には珍しいこれだけ立派な青々したものだから、高価なものよ。全部の厚意を疑ってかかるのもどうかとおもいますが、それでも、万が一くすねられたらこまるでしょう?」
一見して親切そうだが、腹の中まではわからない。治安がいい道を選んできているとはいえ、油断はならない。ここに至るまで、警邏中の騎士や軍人と遭遇していないのだ。もし彼らが声をかけてきていたら、厚意を受けていただろう。
「じゃあ、車は? そういうことなら、何故、車を借りないんだ」
「……え」
「え」
キルシェの言葉のつまりに、リュディガーは怪訝にする。
車__荷馬車や荷車のことは、一切この瞬間まで浮かばなかった。ただひたすら、運搬することだけが頭の中を専有していた。
「え、まって……車って借りられるものなの?」
それを聞き、嘘だろ、と本当にかすかにぼやいて呆れた表情になったリュディガー。
「__店では何も言われなかったのか?」
「ええ。じゃあこれ、って言われただけで……」
ああ、とリュディガーは額を手で抑えた。
「__こっちが荷馬車か荷車か用意しているって思ってたんだろうな……」
なるほど、とひとりごちていた彼は、額を抑えていた手を自身の腰に当て、肩を竦める。
「荷馬車は高いし難しいかもしれないが、荷車ならどこかで借りられる」
「そういうもの……なのですか?」
「……ちょっと待っていてくれ」
そう言って、腰から下げていた竹筒を外し、押し付けるように渡して去っていくリュディガー。
去りながらリュディガーが竹筒を指し示し、身振りでそれを飲んでいろ、と言うので、竹筒を改めて見てみる。
竹にしては重いそれ。軽く揺すると中に水が入っているのがわかる。
__水筒……。
革でできた水筒が一般的だが、竹一節分を使う竹筒の水筒は、使い回すこともできるが、大抵は使い捨て。
受け取ったそれも青竹で、ここ数日で切り出して来たもの。これもやはり使い捨てなのだろう。その竹筒には木製のカップが括られていた。
ぽってりとした丸みを帯びた形のカップは、キルシェの両手で包み込める大きさの木彫り。そのなめらかな表面は、使い古しているからだろう艶を放つ。カップには指を二指差し込むように取っ手に穴が2つ空いていて、キルシェの指にはいささか大きい。おそらく、持ち主のリュディガーの指に合わせてあるのだろう。
竹筒は使い捨てだが、カップはよく使い込んでいるのがよくわかる。
キルシェは水場の縁に腰掛け、カップに竹筒の栓を抜いて中身を注ぐと、流れ出てきたのは紅い液体で、驚いて傾けていた竹筒を正した。
よくよく吟味してみれば、それは紅茶だった。
香りは、冷えているからあまり感じられない。ひとつ木製のカップを燻らせて口元に運んでみる。縁が厚く、ぬくもりを感じられる木製のカップを傾け、一口だけ口に含む。
__それで、竹筒。
なるほど、と一口飲んでキルシェは合点がいった。
紅茶は渋みは少なく、ほんのり甘い__砂糖が入っているのは明らかだ。
砂糖の入った紅茶をいれるなら、手入れが面倒な革の水筒ではなく、使い捨てできる青竹を使うだろう。しかも紅茶の鼻から抜けていく香りは、竹筒の香り以外に檸檬の香りがする。使い古してにおいが付いている事が多い皮の水筒では、こうはいかない。
二杯目を飲んでみると、檸檬のあとに白葡萄の香りがかすかに見え隠れすることに気づいた。さらにもう一杯を注いでいたところで、ふと気づく。
__でも、檸檬なんて今の時期あった……?
そう。それに加えて葡萄もない。あるにはあるが、あっても乾燥させたものだけ時期だ。これほど香るとは思えない。
疑問に思っていると、がらがら、と通りの向こうから音が響いてきた。
つられてみれば、それは荷車を引いて戻ってきたリュディガーだった。
「……」
キルシェは月に数回、担当教官のビルネンベルクのお使いで出かける。それだけでなく、ビルネンベルク自身が出かける先にも、彼が要請すれば付き従う。
気に入りだから、と影で言われていることも承知だ。気に入りだから、成績も便宜を図ってもらっているのだ、と__。
そうとられてもしょうがないこと、とキルシェは割り切って指示に従って行動をしていた。
この日もそう。
明日の朝の授業で使うものが、思いの外早く届いたから受け取ってきて欲しい__という、簡単な申し出だ。なに、よくある要請でもある。
はい、と二つ返事で受けて、店へ赴けば、店主が示したのは店の裏手に置かれていた草の束。
しかもただの草でなく、薬草。対生の葉は細かく裂けた形状で、やや白味を帯びる。草丈はキルシェの膝丈はあるだろうこの薬草は、熊葛だろう。初夏の頃、淡い色の花冠は、下の方から総状花序する。
大学で飼育している馬が、最近相次いでお腹を下しているという話は聞いている。おそらくその治療に使うのだろう。そして、その治療に使う薬の調合を授業で行うのだ__と、そこまでは察しがついた。
ビルネンベルクの担当は言語学。てっきり、古書などのたぐいだと思っていたのに、まるで違って拍子抜けしてしまう。同時に、当惑も。この薬草を使う授業はおそらく別の教官で、ビルネンベルク経由で発注したものと思われる。__大学では、ビルネンベルクに言えば手に入らないものはない、と言わしめているほど、ネツァク州のビルネンベルクは名士なのだ。
頑張れば抱えられはする。だが、青々とした草の束だ。重さは見た目以上。
それでも運ばねばならない。
最初、転がしていくらか運んだが、薬草が傷んでしまう上、痛んで痩せたところから、ぽろぽろ、と束からこぼれ落ちて行く。
ならばやはり抱えるしかない、と意を決して持ち上げるが、10歩ごとに休まねば腕がもたない始末だ。
やっと冬の終わりが見えてきた陽気で、じんわりと汗ばむほどの重労働。うら若い女が休み休み運んでいる様を見て、声を掛けて手をかそうとする者がいないわけでもないが、これは大学の財産。手伝う合間にこの薬草をくすねられては困る。そこそこの値が張るものだ。
それらはすべて笑顔で丁寧に断って、先を急ぐ。
毎朝弓射で腕を使っているとはいえ、その筋肉とは違う筋肉と、力の入れ具合だからか、かなり疲れてきた。
はあ、と少し開けた場所で、白い大理石の龍の口から自噴している水場を見つけ、喉を潤す。すると、疲れが吹き飛ぶどころか、どっ、と疲れが出てきた。たまらず、泉の縁へ腰をおろしたところ、すっ、と息をひそめるように自分の場所に影がさした。
まさか、と見上げれば、日がすでに広場を囲う建物の向こうに沈んでいるではないか。
昼食後にお使いに出ていたにもかかわらず、まだ半分。
休みたい気持ちを押し殺し、再び草を抱えにかかる。呼吸を整え、いざ、と持ち上げ、一歩、二歩、と歩んだところで、踏みしめるはずの石畳の感触が来ない。
「__ぁ……!」
短い悲鳴を上げた直後、天地がひっくり返った。強かに体を打ったが、転がる勢いのまま体を起こし、転がりそうになる薬草を、全身を使って覆いかぶさるようにして動きを止める。
ふぅ、と全身の緊張をとき、体を起こして何が起きたのか確認すれば、体制を崩した原因は段差だった。本当にわずかな段差。杏ほどもない高さの段差。
足元が見えないこともあるが、それ以上に体力を消耗しているのは明白だ。
__これは……日が明るいうちに大学までたどり着けないか……。
やれやれ、と足を挫いていないか、捻って確認したときだった。
「キルシェ」
聞き馴染んだ声とともに、手をおいていた草の束を、無骨な手が掴んだ。
はっとして見上げれば、案の定リュディガーで、いくらか肩で息をしている。
「どうして、リュディガーが?」
「戻りが遅すぎるから見てきてくれ、とビルネンベルク先生に言われて来た」
「……たしかに、遅いですよね」
1時間とかからない距離だ。これだけの時間があれば、帝都を横断できなくもない。
「__まさか、これを抱えてきたのか?」
「ええ」
「ここまで? 独りで?」
「……ええ」
「誰かの手を借りればよかっただろう。声も掛けられなかったのか?」
「いえ、ご親切な方もいました。でも、これは大学の財産。しかも見て、ほら、この時期には珍しいこれだけ立派な青々したものだから、高価なものよ。全部の厚意を疑ってかかるのもどうかとおもいますが、それでも、万が一くすねられたらこまるでしょう?」
一見して親切そうだが、腹の中まではわからない。治安がいい道を選んできているとはいえ、油断はならない。ここに至るまで、警邏中の騎士や軍人と遭遇していないのだ。もし彼らが声をかけてきていたら、厚意を受けていただろう。
「じゃあ、車は? そういうことなら、何故、車を借りないんだ」
「……え」
「え」
キルシェの言葉のつまりに、リュディガーは怪訝にする。
車__荷馬車や荷車のことは、一切この瞬間まで浮かばなかった。ただひたすら、運搬することだけが頭の中を専有していた。
「え、まって……車って借りられるものなの?」
それを聞き、嘘だろ、と本当にかすかにぼやいて呆れた表情になったリュディガー。
「__店では何も言われなかったのか?」
「ええ。じゃあこれ、って言われただけで……」
ああ、とリュディガーは額を手で抑えた。
「__こっちが荷馬車か荷車か用意しているって思ってたんだろうな……」
なるほど、とひとりごちていた彼は、額を抑えていた手を自身の腰に当て、肩を竦める。
「荷馬車は高いし難しいかもしれないが、荷車ならどこかで借りられる」
「そういうもの……なのですか?」
「……ちょっと待っていてくれ」
そう言って、腰から下げていた竹筒を外し、押し付けるように渡して去っていくリュディガー。
去りながらリュディガーが竹筒を指し示し、身振りでそれを飲んでいろ、と言うので、竹筒を改めて見てみる。
竹にしては重いそれ。軽く揺すると中に水が入っているのがわかる。
__水筒……。
革でできた水筒が一般的だが、竹一節分を使う竹筒の水筒は、使い回すこともできるが、大抵は使い捨て。
受け取ったそれも青竹で、ここ数日で切り出して来たもの。これもやはり使い捨てなのだろう。その竹筒には木製のカップが括られていた。
ぽってりとした丸みを帯びた形のカップは、キルシェの両手で包み込める大きさの木彫り。そのなめらかな表面は、使い古しているからだろう艶を放つ。カップには指を二指差し込むように取っ手に穴が2つ空いていて、キルシェの指にはいささか大きい。おそらく、持ち主のリュディガーの指に合わせてあるのだろう。
竹筒は使い捨てだが、カップはよく使い込んでいるのがよくわかる。
キルシェは水場の縁に腰掛け、カップに竹筒の栓を抜いて中身を注ぐと、流れ出てきたのは紅い液体で、驚いて傾けていた竹筒を正した。
よくよく吟味してみれば、それは紅茶だった。
香りは、冷えているからあまり感じられない。ひとつ木製のカップを燻らせて口元に運んでみる。縁が厚く、ぬくもりを感じられる木製のカップを傾け、一口だけ口に含む。
__それで、竹筒。
なるほど、と一口飲んでキルシェは合点がいった。
紅茶は渋みは少なく、ほんのり甘い__砂糖が入っているのは明らかだ。
砂糖の入った紅茶をいれるなら、手入れが面倒な革の水筒ではなく、使い捨てできる青竹を使うだろう。しかも紅茶の鼻から抜けていく香りは、竹筒の香り以外に檸檬の香りがする。使い古してにおいが付いている事が多い皮の水筒では、こうはいかない。
二杯目を飲んでみると、檸檬のあとに白葡萄の香りがかすかに見え隠れすることに気づいた。さらにもう一杯を注いでいたところで、ふと気づく。
__でも、檸檬なんて今の時期あった……?
そう。それに加えて葡萄もない。あるにはあるが、あっても乾燥させたものだけ時期だ。これほど香るとは思えない。
疑問に思っていると、がらがら、と通りの向こうから音が響いてきた。
つられてみれば、それは荷車を引いて戻ってきたリュディガーだった。
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