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エピローグ前編 運命の日
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エピローグ。
十五日目。
運命の最終日。
リンリン
リンリン
どこからともなく聞こえてくる目覚ましの音。
隣のドルチェのだろうか? うるさくて堪らない。
お願いだから静かにしてくれよ。俺寝てないんだぜ?
結局興奮して眠れずに床に就いたのは三時過ぎ。
目覚ましにより強制起床。
もう朝か。ふあーあ。それにしても眠い。
寝不足で欠伸がでる。もうちょっと寝てようかな。
やはり睡眠は大事だ。
睡眠の重要性を実感する。疲れてるんだろうな俺。
祭りは午後。急ぐ必要はない。いやあるか……
いつの間にか目覚ましは止んでいた。
何だこれ?
一枚の紙がドアの隙間に挟まれていた。
昨夜はなかった怪しげなメモ。
メモ。
『緊急事態発生。朝六時に泉の前で』
ミス・マーム。
どうやらハッピー先生からのようだ。
緊急事態とは穏やかではない。仕方ない行くか。
眠い目を擦る。
急いで約束の場所へ。
五時半過ぎ。
太陽が昇ってすぐの時間帯。
辺りに人の気配を感じない。
まあ当然か。ここにはそもそも人がいないのだ。
気温が上がり始めた。今日も暑くなりそうだ。
祭りの熱気も相当だろうから気をつけなくては。
暑いのは良いが暑すぎるのは困りもの。
零れ落ちる汗を服で拭い急ぎ足で泉へ。
今のところ人の気配はない。
これはちょっと早過ぎたかな。
緊急事態ならある程度仕方ない。
それにしてもハッピー先生は遅くないか? いや遅すぎる。
これでは約束の時間までに来れそうにない。呼び出して来ない気か?
約束の時間に迫ったところで人影が。
なぜか意に反し複数。少女たちだ。
ハッピー先生は全員呼んだらしい。
「お前ら…… 」
「大河さん。御用とは何でしょう? 緊急とのことですが」
ブリリアントが迫る。
「俺? 俺が呼んだのか? 」
「ああ大河。早すぎだよ。そんなに焦らなくてもさ…… 」
元気いっぱいのシンディー。
「今日は祭りです。できるだけ手短に済ませてください」
ドルチェも続く。
「あーちゃんについて話しておきたいことって何? 」
エレンまで騙される始末。
どうやら首謀者はまだ姿を見せないハッピー先生に違いない。
だが俺たちをこんなところに呼び出してどうしようと言うんだ。
理解に苦しむ。
「大河さん」
少女たちはまだ俺が呼びつけたと思っているらしい。
俺は違うと何度も主張しているのになぜか信じない。
様子がおかしいと気づいたのはやはりブリリアントだ。
彼女は俺をよく理解している。
「おいおい。お前らこそどうしたんだ俺はハッピー先生に呼び出されて…… 」
「私たちは大河さんから」
「どう言うこと大河? 」
エレンはどっちでもいいから早くしろと催促する。
「だから俺には覚えがない」
「嘘だ。僕たちは大河が集まれって言うから朝早くここまで来たんじゃないか」
「そうですよ。シンディーの言う通り。あなたがメモを残したんでしょう? 」
ドルチェが加勢する。
そんな…… これはどう言うこと?
「そんなことよりもあーちゃんについて何か分かった? 」
あーちゃんのことになると人が変わるエレン。
どうやら皆の元にもミス・マームからのメモが。俺からとなってるらしいが。
「ふふふ…… ははは…… 」
「どうしたの大河? 」
シンディーが俺の異変を察知し呼びかける。
何でもないと返すもブリリアントが見逃してくれない。
先を促すので仕方なく再び笑って見せる。
「大河さん」
「悪い悪い。冗談だ。ちょっとした冗談さ。俺が呼び出した」
まったく身に覚えがないがハッピー先生のことだ何かあるのだろう。
「何だやっぱり。僕もそうじゃないかと思ったんだ」
シンディーは疑うと言うことを知らない。
「皆聞いてくれ。大事な話がある。
集まったのは他でもない。お前たちに告白しておきたいことがあるんだ」
歓声があがる。
「ブリリアント」
「はい」
シンディー」
「はーい」
「ドルチェ」
「はい」
「最後にエレン」
「最後に? って何よ? 」
文句を言いつつ返事をする。
「けっ…… 」
さらっと言うつもりがなぜか詰まってしまう。
緊張してるのか俺? 落ち着け。落ち着くんだ俺。
「はい? 」
皆が一斉に見る。
「けっ、結…… 」
「聞こえないよ大河」
「結婚して…… 」
「うん。うん」
「結婚してくれないか」
ついに言ってしまった。
無言で固まる少女たち。
「俺と結婚してくれないか? 」
ついに告白。顔が真っ赤になる。
なぜか反応が薄い。想定では盛り上がると思ったが現実はこんなものか。
「どうしたんだ皆? やはり早急過ぎたか? でもこれは仕方ないことなんだ」
「うん…… 」
これは単純に嫌われてるのか? 認めたくない。
「やっぱり無理なのか…… 」
「大河さん。大河さん」
ブリリアントが確認を求める。
「大河さん。あなたにはカナさんと言う恋人がいるではありませんか」
一瞬ブリリアントが何を言ってるのか分からなかった。だが思い当たる節もある。
「カナさん? ああカナのことか…… カナは恋人なんかじゃないよ」
強く否定する。こうすることで分かってもらえるはず。
だがそう簡単ではなさそうだ。
「嘘です。あなたたち二人は恋人。いえそれ以上の関係に見えました」
ドルチェは当時を振り返る。
「それに大河はカナさんの為に『聖女の涙』を探しに来たんでしょう?
違うって言うの大河。あまり僕たちを弄ばないでよ」
シンディーが感情を高ぶらせる。
「本当は僕だって辛いんだ。だからこれ以上ふざけた真似はやめて」
ついに嫌われてしまったようだ。
あまりにも無理が過ぎた。それに説明不足だった。
「皆聞いてくれ。彼女との関係を話そうと思う」
ついにカナについて語る時が来た。
続く
十五日目。
運命の最終日。
リンリン
リンリン
どこからともなく聞こえてくる目覚ましの音。
隣のドルチェのだろうか? うるさくて堪らない。
お願いだから静かにしてくれよ。俺寝てないんだぜ?
結局興奮して眠れずに床に就いたのは三時過ぎ。
目覚ましにより強制起床。
もう朝か。ふあーあ。それにしても眠い。
寝不足で欠伸がでる。もうちょっと寝てようかな。
やはり睡眠は大事だ。
睡眠の重要性を実感する。疲れてるんだろうな俺。
祭りは午後。急ぐ必要はない。いやあるか……
いつの間にか目覚ましは止んでいた。
何だこれ?
一枚の紙がドアの隙間に挟まれていた。
昨夜はなかった怪しげなメモ。
メモ。
『緊急事態発生。朝六時に泉の前で』
ミス・マーム。
どうやらハッピー先生からのようだ。
緊急事態とは穏やかではない。仕方ない行くか。
眠い目を擦る。
急いで約束の場所へ。
五時半過ぎ。
太陽が昇ってすぐの時間帯。
辺りに人の気配を感じない。
まあ当然か。ここにはそもそも人がいないのだ。
気温が上がり始めた。今日も暑くなりそうだ。
祭りの熱気も相当だろうから気をつけなくては。
暑いのは良いが暑すぎるのは困りもの。
零れ落ちる汗を服で拭い急ぎ足で泉へ。
今のところ人の気配はない。
これはちょっと早過ぎたかな。
緊急事態ならある程度仕方ない。
それにしてもハッピー先生は遅くないか? いや遅すぎる。
これでは約束の時間までに来れそうにない。呼び出して来ない気か?
約束の時間に迫ったところで人影が。
なぜか意に反し複数。少女たちだ。
ハッピー先生は全員呼んだらしい。
「お前ら…… 」
「大河さん。御用とは何でしょう? 緊急とのことですが」
ブリリアントが迫る。
「俺? 俺が呼んだのか? 」
「ああ大河。早すぎだよ。そんなに焦らなくてもさ…… 」
元気いっぱいのシンディー。
「今日は祭りです。できるだけ手短に済ませてください」
ドルチェも続く。
「あーちゃんについて話しておきたいことって何? 」
エレンまで騙される始末。
どうやら首謀者はまだ姿を見せないハッピー先生に違いない。
だが俺たちをこんなところに呼び出してどうしようと言うんだ。
理解に苦しむ。
「大河さん」
少女たちはまだ俺が呼びつけたと思っているらしい。
俺は違うと何度も主張しているのになぜか信じない。
様子がおかしいと気づいたのはやはりブリリアントだ。
彼女は俺をよく理解している。
「おいおい。お前らこそどうしたんだ俺はハッピー先生に呼び出されて…… 」
「私たちは大河さんから」
「どう言うこと大河? 」
エレンはどっちでもいいから早くしろと催促する。
「だから俺には覚えがない」
「嘘だ。僕たちは大河が集まれって言うから朝早くここまで来たんじゃないか」
「そうですよ。シンディーの言う通り。あなたがメモを残したんでしょう? 」
ドルチェが加勢する。
そんな…… これはどう言うこと?
「そんなことよりもあーちゃんについて何か分かった? 」
あーちゃんのことになると人が変わるエレン。
どうやら皆の元にもミス・マームからのメモが。俺からとなってるらしいが。
「ふふふ…… ははは…… 」
「どうしたの大河? 」
シンディーが俺の異変を察知し呼びかける。
何でもないと返すもブリリアントが見逃してくれない。
先を促すので仕方なく再び笑って見せる。
「大河さん」
「悪い悪い。冗談だ。ちょっとした冗談さ。俺が呼び出した」
まったく身に覚えがないがハッピー先生のことだ何かあるのだろう。
「何だやっぱり。僕もそうじゃないかと思ったんだ」
シンディーは疑うと言うことを知らない。
「皆聞いてくれ。大事な話がある。
集まったのは他でもない。お前たちに告白しておきたいことがあるんだ」
歓声があがる。
「ブリリアント」
「はい」
シンディー」
「はーい」
「ドルチェ」
「はい」
「最後にエレン」
「最後に? って何よ? 」
文句を言いつつ返事をする。
「けっ…… 」
さらっと言うつもりがなぜか詰まってしまう。
緊張してるのか俺? 落ち着け。落ち着くんだ俺。
「はい? 」
皆が一斉に見る。
「けっ、結…… 」
「聞こえないよ大河」
「結婚して…… 」
「うん。うん」
「結婚してくれないか」
ついに言ってしまった。
無言で固まる少女たち。
「俺と結婚してくれないか? 」
ついに告白。顔が真っ赤になる。
なぜか反応が薄い。想定では盛り上がると思ったが現実はこんなものか。
「どうしたんだ皆? やはり早急過ぎたか? でもこれは仕方ないことなんだ」
「うん…… 」
これは単純に嫌われてるのか? 認めたくない。
「やっぱり無理なのか…… 」
「大河さん。大河さん」
ブリリアントが確認を求める。
「大河さん。あなたにはカナさんと言う恋人がいるではありませんか」
一瞬ブリリアントが何を言ってるのか分からなかった。だが思い当たる節もある。
「カナさん? ああカナのことか…… カナは恋人なんかじゃないよ」
強く否定する。こうすることで分かってもらえるはず。
だがそう簡単ではなさそうだ。
「嘘です。あなたたち二人は恋人。いえそれ以上の関係に見えました」
ドルチェは当時を振り返る。
「それに大河はカナさんの為に『聖女の涙』を探しに来たんでしょう?
違うって言うの大河。あまり僕たちを弄ばないでよ」
シンディーが感情を高ぶらせる。
「本当は僕だって辛いんだ。だからこれ以上ふざけた真似はやめて」
ついに嫌われてしまったようだ。
あまりにも無理が過ぎた。それに説明不足だった。
「皆聞いてくれ。彼女との関係を話そうと思う」
ついにカナについて語る時が来た。
続く
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