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俺は翼なのか?
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少女たちはアリアの演技にまんまと騙され俺を疑い始める。
だがこんな俺でも信じる者が。そうブリリアントとシンディーだ。
ブリリアントは何の疑いもなく俺を信じている。
シンディーだってブリリアント程ではないが信頼してくれている。
二人は俺に味方する強力な応援団。
彼女たちがせめてもの救い。
「大河があの翼だったなんて…… 」
「僕は違うと思うよ」
「私も最後まで信じます」
ドルチェにシンディー、ブリリアントと続く。
「この人が大河さんであろうと翼であろうとどっちでもいい。
この女があーちゃんに何をしたかが問題なんだから」
エレンは語気を強める。
「俺は大河だ。大河だ。翼のはずはない。そんなことある訳がないんだ」
一度疑いを掛けられるとそう簡単に晴れることはない。
今すぐ俺が大河である証拠を見せる必要がある。
でもどうしたらいい?
もはや自分では大河か翼か分からない。
「とりあえず大河さんの件は一旦置いておくとしてはあーちゃんに何をした? 」
エレンはアリアを睨みなおも追及を続ける。
妹のようにかわいがってるあーちゃんを痛めつけたこの女だけは許せない。
怒りから我を失っている。
「落ち着いてくださいエレンさん」
「そうだよ。この際アリアは放っておけばいいよ」
シンディーが余計な一言。
少女たちが対立し始める。
「私はあーちゃんが大事。大河さんの正体なんてどうでもいい」
「こっちは大河が大事なんだよ」
「あーちゃん」
「大河」
シンディーとエレンが火花を散らす。
このまま放っておけば悪化するのは目に見えている。
「まあまあ二人とも落ち着いてください」
ブリリアントの機転で一触即発の場面をどうにか収める。
「もううるさい。分かった。分かりました。真実をお話します。
あーちゃんだか何だか知らないけどさ。ちょうどいいのがいたからつい。
保護しようとしたら抵抗するものだから崖から足を滑らした。
まずいと思って逃げるもその後山小屋の二人に保護されかなり焦ったわ……
初めはどうするか迷ったけど運良く意識を失い長期間保護。
これはラッキーと思い入れ替わった次第。
ハッピー先生も疑うこともせずに受け入れてくれたしね。
あの子はどうやら意識だけでなく記憶まで取り戻したようね。
それが彼女にとってに本当によかったか分からない。
これもすべてはそこにいる翼さんによる命令。私はただ命令に従っただけ」
ようやく入れ替わったことを認めた元アリア。
これで翼が俺でないと証明できればいいのだが。
「あなた何言ってるの? それで謝ってるつもり?
あーちゃんにちゃんと謝りなさい。そして私にも皆にも」
エレンは未だに許せずにいる。
まあ当然か。だがこのまま行くと俺も巻き込まれエレンに恨まれることに。
俺は大河であり翼ではない。そこをはっきりさせねば。
「ハイハイ分かりました。時間があったら謝罪させていただきます」
どうにか逃げようとする元アリア。見苦しい限り。
しかし皆から視線を注がれては向き合うしかない。
「誠に申し訳ございません。騙していたこと深く深くお詫びします。
どうぞお許しください」
心は入ってないが一応謝罪の言葉を述べる。
口先だけの謝罪に終始。ふざけた奴だ。
「本当に困った人ね。まあいいわ。これで許してあげる。
残るは大河さんの件だけど」
エレンは謝罪を素直に受け入れる。気持ちが収まったのか話を戻す。
「大河さん」
エレンが呼びかけると皆続く。
「大河さん」
「大河」
「大河さん」
「翼さん」
普通ここは翼様だろ?
「俺はどっちなんだ? 翼? 大河?
翼? 大河? 翼であるはずが…… あるはずがないんだ」
「大河さん」
一斉に呼びかけられる。
「俺は…… 俺は…… 大河だ…… 大河かな? 」
「混乱してるようですね大河さん。いえ翼さん。
こんな私が言うのも変ですが崖下に落とされ獣に助けられる。
一年後に島に戻り入院中の彼女の為に『聖女の涙』を手に入れる。
大変立派なことですがあまりに荒唐無稽だと思いませんか?
そんな話誰が信じると言うんですか?
確かに私も止めなかったので今さら文句を言う立場にありません。
ですがあまりにも杜撰であり設定が無茶苦茶です。
いい加減認めたらいかがです? 欲望の為、金儲けの道具として私を動かしたと。
ばれたらうじうじと認めない。はっきり言って失望しました翼さん。
あなたはそんな人ではないと思っていました。本当に残念でなりません」
「いや俺はそんな…… 」
「シラを切り通そうと? いい加減にしてください」
「俺は…… 俺は…… そんなこと…… 」
もうダメだ。俺自身でさえ翼だと思えてきた。
アリアの荒唐無稽な作り話と驚異的な粘りが俺を追い詰める。
もはや逃げ場がない。
もう認めるしかないのか?
済まない皆。
続く
だがこんな俺でも信じる者が。そうブリリアントとシンディーだ。
ブリリアントは何の疑いもなく俺を信じている。
シンディーだってブリリアント程ではないが信頼してくれている。
二人は俺に味方する強力な応援団。
彼女たちがせめてもの救い。
「大河があの翼だったなんて…… 」
「僕は違うと思うよ」
「私も最後まで信じます」
ドルチェにシンディー、ブリリアントと続く。
「この人が大河さんであろうと翼であろうとどっちでもいい。
この女があーちゃんに何をしたかが問題なんだから」
エレンは語気を強める。
「俺は大河だ。大河だ。翼のはずはない。そんなことある訳がないんだ」
一度疑いを掛けられるとそう簡単に晴れることはない。
今すぐ俺が大河である証拠を見せる必要がある。
でもどうしたらいい?
もはや自分では大河か翼か分からない。
「とりあえず大河さんの件は一旦置いておくとしてはあーちゃんに何をした? 」
エレンはアリアを睨みなおも追及を続ける。
妹のようにかわいがってるあーちゃんを痛めつけたこの女だけは許せない。
怒りから我を失っている。
「落ち着いてくださいエレンさん」
「そうだよ。この際アリアは放っておけばいいよ」
シンディーが余計な一言。
少女たちが対立し始める。
「私はあーちゃんが大事。大河さんの正体なんてどうでもいい」
「こっちは大河が大事なんだよ」
「あーちゃん」
「大河」
シンディーとエレンが火花を散らす。
このまま放っておけば悪化するのは目に見えている。
「まあまあ二人とも落ち着いてください」
ブリリアントの機転で一触即発の場面をどうにか収める。
「もううるさい。分かった。分かりました。真実をお話します。
あーちゃんだか何だか知らないけどさ。ちょうどいいのがいたからつい。
保護しようとしたら抵抗するものだから崖から足を滑らした。
まずいと思って逃げるもその後山小屋の二人に保護されかなり焦ったわ……
初めはどうするか迷ったけど運良く意識を失い長期間保護。
これはラッキーと思い入れ替わった次第。
ハッピー先生も疑うこともせずに受け入れてくれたしね。
あの子はどうやら意識だけでなく記憶まで取り戻したようね。
それが彼女にとってに本当によかったか分からない。
これもすべてはそこにいる翼さんによる命令。私はただ命令に従っただけ」
ようやく入れ替わったことを認めた元アリア。
これで翼が俺でないと証明できればいいのだが。
「あなた何言ってるの? それで謝ってるつもり?
あーちゃんにちゃんと謝りなさい。そして私にも皆にも」
エレンは未だに許せずにいる。
まあ当然か。だがこのまま行くと俺も巻き込まれエレンに恨まれることに。
俺は大河であり翼ではない。そこをはっきりさせねば。
「ハイハイ分かりました。時間があったら謝罪させていただきます」
どうにか逃げようとする元アリア。見苦しい限り。
しかし皆から視線を注がれては向き合うしかない。
「誠に申し訳ございません。騙していたこと深く深くお詫びします。
どうぞお許しください」
心は入ってないが一応謝罪の言葉を述べる。
口先だけの謝罪に終始。ふざけた奴だ。
「本当に困った人ね。まあいいわ。これで許してあげる。
残るは大河さんの件だけど」
エレンは謝罪を素直に受け入れる。気持ちが収まったのか話を戻す。
「大河さん」
エレンが呼びかけると皆続く。
「大河さん」
「大河」
「大河さん」
「翼さん」
普通ここは翼様だろ?
「俺はどっちなんだ? 翼? 大河?
翼? 大河? 翼であるはずが…… あるはずがないんだ」
「大河さん」
一斉に呼びかけられる。
「俺は…… 俺は…… 大河だ…… 大河かな? 」
「混乱してるようですね大河さん。いえ翼さん。
こんな私が言うのも変ですが崖下に落とされ獣に助けられる。
一年後に島に戻り入院中の彼女の為に『聖女の涙』を手に入れる。
大変立派なことですがあまりに荒唐無稽だと思いませんか?
そんな話誰が信じると言うんですか?
確かに私も止めなかったので今さら文句を言う立場にありません。
ですがあまりにも杜撰であり設定が無茶苦茶です。
いい加減認めたらいかがです? 欲望の為、金儲けの道具として私を動かしたと。
ばれたらうじうじと認めない。はっきり言って失望しました翼さん。
あなたはそんな人ではないと思っていました。本当に残念でなりません」
「いや俺はそんな…… 」
「シラを切り通そうと? いい加減にしてください」
「俺は…… 俺は…… そんなこと…… 」
もうダメだ。俺自身でさえ翼だと思えてきた。
アリアの荒唐無稽な作り話と驚異的な粘りが俺を追い詰める。
もはや逃げ場がない。
もう認めるしかないのか?
済まない皆。
続く
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