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瞳の中のシンディー
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いつの間にか神妙な顔になったアリア。
「ほら大河。大人しくね」
興奮した俺を宥めようと必死。
「お前何を…… 」
今さっき着たばかりのシャツを脱がし始める。
「馬鹿! ふざけるのは止せ! 」
「はいはい。大人しくしましょうね」
手際よく下も脱がす。手慣れたものだ。
小さな弟でもいるのか。宥め方も一流。
これをやられると辛い。俺にも似た経験がある。
少し上の近所のお姉さん。俺を弟扱いして舐めていた。
一緒に風呂に入ったこともある。
まあずいぶん小さい頃の話だが。
アリアをお姉さん面した彼女に重ねる。
「大河。これが私のやり方」
服をすべて脱がすと今度は自分の服に取り掛かる。
何の躊躇もなく一気に上から脱いでいくアリア。
脱がせっこをさせてくれない自分勝手なアリアなどと愚痴ってる時ではない。
アリアの本心を探る。どうせまたつまらないいたずらだろ?
ギリギリで止めてお預けなんてね。
俺が喜んで興奮するのをからかう気だ。
はいはい。いいですよ。お望み通り引っ掛かってあげましょう。
それでアリアの気が済むなら。
俺を動揺させようと手の込んだ真似に辟易する。
「おいおい。どんなプレーだよ」
からかっても無視。決して止めるつもりはないらしい。
ついには抱き着く始末。
それでも俺の体は反応する。情けない。
だがもちろん受け入れるはずもなく振り払う。
彼女のペースに持って行かれたくない一心で拒否。
「ごめん大河。もう止まらないの」
「何を言ってやがる…… 俺はお前を信用してない! お前を求めてない! 」
強く拒絶する。意思を示さなければ悪ふざけを続けるだろうから。
「そうかしら。体は正直みたいだけど」
膨らんだ部分を隠しきれずに撃沈。
「俺はお前が嫌いだ! いや言い過ぎか。どうしても好きになれない」
「だから? そんなこと大したことじゃないでしょう」
どんなに拒絶しようとも決して折れない心。
こんな時にあれだが尊敬する。
「なあアリア…… お前本当にそれで良いのか? 」
「ふふふ…… そろそろ限界ね」
再び抱き着いてくる。
「こら馬鹿止めろ! 」
つい突き飛ばしてしまう。
「ああ済まん。これは不可抗力で…… 」
何てことだ。女に手をあげるなんてどうかしてる。
冷静さを失っている証拠。たとえアリアが悪くてもこれはいくら何でもやり過ぎ。
激しい自己嫌悪に陥る。
「アリア…… 」
彼女は起き上がろうとせずにさっきまでシンディーが横になっていた場所へ。
まだ体温が残る床に横たわり誘惑する。
「君も男だろう。こう言うのは好きじゃないのかな」
いつの間にか雰囲気としゃべり方が一変する。
これが彼女のとっておき?
「何を言ってるんだアリア? いかれちまったか? 」
「ふふふ…… 馬鹿だな。僕はシンディーさ」
もはや何を言っているのかも分からない。
俺の目の前にいるこの女はアリアではなくシンディーだとでも言うのか?
そんなはずはない。シンディーはさっき出て行った。
これはアリアだ。アリア以外有り得ない。
俺を騙そうとしてもそうは行かない。
どう言う神経してるんだ。騙せるわけがないじゃないか。
俺はそこまで馬鹿でもなければ見境が無いわけでもない。
「いい加減にしないかアリア! 」
「アリア? 僕はシンディーだよ。勘違いしてくれるな」
「何を! 何を! 」
「別に君を困らせたい訳じゃない。たださっきの続きをやろうって言ってるんだよ」
まるでシンディーが乗り移ったかのような声色。
アリアが声色を使い分けるのが得意なのは知っている。
これがシンディ―のはずない。アリアが真似してるに過ぎない。
騙されるな! 騙されるな!
「俺は! 俺はそんなこと…… 」
望んでないと言えば嘘になる。
アリアだろうとシンディーだろうともはやどっちでもいい。
「できないかい? 」
「うう…… 」
「何も恐れることはないさ。ただやりたい。それだけではダメかな」
これだけはっきり誘惑されるのは初めて。まったく大した女だ。
「何を言ってるんだアリア! 」
「僕じゃダメかな? 」
「なぜそんなことを聞く! 」
「ふふふ…… 」
何も答えずにただ笑うだけだった。
「だったら傷を見せてみろ! お前にはシンディーのような傷はないはずだ」
こちらもとっておきの手を使う。
何も声色だけで判断する必要もない。
「傷かい? あるよ」
「嘘を吐け! お前のどこにもそんな傷ありはしない。
お前は偽物だ。シンディーなんかじゃない! 」
「大河…… 君には失望したよ」
「失望とはまったく大げさな奴だ。
お前のひん曲がった性格に失望と言うか絶望と言うかもう少し何とかならないか」
体を掴み全身隈なく確認。
ほらどこにも傷がない。あるのは適度に膨らんだ胸と大きく見える尻。
脇の下も首周りや足の裏まで探ったがどこにもない。
「その歪んだ性格さえ直せば俺だって…… 」
ついに最後の扉に手をかける。
最後の扉。それが何を差すのか……
開ければ破滅を招く。少なくても信用を失う。
まずいもうダメだ! 引き返せない。吸い込まれていく。
うわああ!
続く
「ほら大河。大人しくね」
興奮した俺を宥めようと必死。
「お前何を…… 」
今さっき着たばかりのシャツを脱がし始める。
「馬鹿! ふざけるのは止せ! 」
「はいはい。大人しくしましょうね」
手際よく下も脱がす。手慣れたものだ。
小さな弟でもいるのか。宥め方も一流。
これをやられると辛い。俺にも似た経験がある。
少し上の近所のお姉さん。俺を弟扱いして舐めていた。
一緒に風呂に入ったこともある。
まあずいぶん小さい頃の話だが。
アリアをお姉さん面した彼女に重ねる。
「大河。これが私のやり方」
服をすべて脱がすと今度は自分の服に取り掛かる。
何の躊躇もなく一気に上から脱いでいくアリア。
脱がせっこをさせてくれない自分勝手なアリアなどと愚痴ってる時ではない。
アリアの本心を探る。どうせまたつまらないいたずらだろ?
ギリギリで止めてお預けなんてね。
俺が喜んで興奮するのをからかう気だ。
はいはい。いいですよ。お望み通り引っ掛かってあげましょう。
それでアリアの気が済むなら。
俺を動揺させようと手の込んだ真似に辟易する。
「おいおい。どんなプレーだよ」
からかっても無視。決して止めるつもりはないらしい。
ついには抱き着く始末。
それでも俺の体は反応する。情けない。
だがもちろん受け入れるはずもなく振り払う。
彼女のペースに持って行かれたくない一心で拒否。
「ごめん大河。もう止まらないの」
「何を言ってやがる…… 俺はお前を信用してない! お前を求めてない! 」
強く拒絶する。意思を示さなければ悪ふざけを続けるだろうから。
「そうかしら。体は正直みたいだけど」
膨らんだ部分を隠しきれずに撃沈。
「俺はお前が嫌いだ! いや言い過ぎか。どうしても好きになれない」
「だから? そんなこと大したことじゃないでしょう」
どんなに拒絶しようとも決して折れない心。
こんな時にあれだが尊敬する。
「なあアリア…… お前本当にそれで良いのか? 」
「ふふふ…… そろそろ限界ね」
再び抱き着いてくる。
「こら馬鹿止めろ! 」
つい突き飛ばしてしまう。
「ああ済まん。これは不可抗力で…… 」
何てことだ。女に手をあげるなんてどうかしてる。
冷静さを失っている証拠。たとえアリアが悪くてもこれはいくら何でもやり過ぎ。
激しい自己嫌悪に陥る。
「アリア…… 」
彼女は起き上がろうとせずにさっきまでシンディーが横になっていた場所へ。
まだ体温が残る床に横たわり誘惑する。
「君も男だろう。こう言うのは好きじゃないのかな」
いつの間にか雰囲気としゃべり方が一変する。
これが彼女のとっておき?
「何を言ってるんだアリア? いかれちまったか? 」
「ふふふ…… 馬鹿だな。僕はシンディーさ」
もはや何を言っているのかも分からない。
俺の目の前にいるこの女はアリアではなくシンディーだとでも言うのか?
そんなはずはない。シンディーはさっき出て行った。
これはアリアだ。アリア以外有り得ない。
俺を騙そうとしてもそうは行かない。
どう言う神経してるんだ。騙せるわけがないじゃないか。
俺はそこまで馬鹿でもなければ見境が無いわけでもない。
「いい加減にしないかアリア! 」
「アリア? 僕はシンディーだよ。勘違いしてくれるな」
「何を! 何を! 」
「別に君を困らせたい訳じゃない。たださっきの続きをやろうって言ってるんだよ」
まるでシンディーが乗り移ったかのような声色。
アリアが声色を使い分けるのが得意なのは知っている。
これがシンディ―のはずない。アリアが真似してるに過ぎない。
騙されるな! 騙されるな!
「俺は! 俺はそんなこと…… 」
望んでないと言えば嘘になる。
アリアだろうとシンディーだろうともはやどっちでもいい。
「できないかい? 」
「うう…… 」
「何も恐れることはないさ。ただやりたい。それだけではダメかな」
これだけはっきり誘惑されるのは初めて。まったく大した女だ。
「何を言ってるんだアリア! 」
「僕じゃダメかな? 」
「なぜそんなことを聞く! 」
「ふふふ…… 」
何も答えずにただ笑うだけだった。
「だったら傷を見せてみろ! お前にはシンディーのような傷はないはずだ」
こちらもとっておきの手を使う。
何も声色だけで判断する必要もない。
「傷かい? あるよ」
「嘘を吐け! お前のどこにもそんな傷ありはしない。
お前は偽物だ。シンディーなんかじゃない! 」
「大河…… 君には失望したよ」
「失望とはまったく大げさな奴だ。
お前のひん曲がった性格に失望と言うか絶望と言うかもう少し何とかならないか」
体を掴み全身隈なく確認。
ほらどこにも傷がない。あるのは適度に膨らんだ胸と大きく見える尻。
脇の下も首周りや足の裏まで探ったがどこにもない。
「その歪んだ性格さえ直せば俺だって…… 」
ついに最後の扉に手をかける。
最後の扉。それが何を差すのか……
開ければ破滅を招く。少なくても信用を失う。
まずいもうダメだ! 引き返せない。吸い込まれていく。
うわああ!
続く
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