41 / 104
沐浴とグリーズ島
しおりを挟む
ブリリアントと朝食を共にする。
これが二人の交わした約束とは言え正直面倒だ。
ただ気遣いのできるブリリアントに悟られてまた傷ついては敵わない。
優しく見守ってやるのがいい。
「大河さんのお口に合いますか? 」
「何でもいいから早く教えてくれ」
照れてる彼女に早く話すよう促すが話を逸らされる。
まさか朝からカレーとはワイルド過ぎる。
パンと肉とサラダでいいのに。なければ缶詰ぐらいあるだろ。
「なあ教えてくれないかブリリアント」
嫌がるのは分かるがこれは俺にとって重要なこと。知らない訳にはいかない。
渋々話し出すブリリアント。そうそれでいいんだ。
「毎年行われる祭りは島民にとって年に一度の一大行事。
大変価値のある神聖なものとされています。
島の発展と民の安全や健康に幸福、子の成長に長寿。
そして神との融合が祭りのテーマです」
一拍おく。祭りのパンフレット片手に熱弁をふるう真面目な島民ブリリアント。
これをいつも肌身離さず持ち歩いているのだとか。大河さんも一枚と言うので断る。
「祭りに参加するにあたり参加者は体を清める必要があります。
未婚の女性を対象に十五から二十未満の少女に限り沐浴する習わしとなっています。
分かりましたか大河さん。これ以上はちょっと…… 」
自慢? まるでどっかの教師のようだ。
もちろんハッピー先生の真似なんだろうがどうも俺を見下してる感じがして嫌だ。
「大変分かりやすい限りです先生」
ふざけてみる。
乗ってくれるかと思いきや表情を硬くし低く抑えた声で脅すブリリアント。
「大河さん。何と罰当たりな! 呪われてしまいますよ」
いつものブリリアントではない。因習にとらわれた島っ子。
裏の顔を見た気がする。いや裏の裏の顔か。
「いいから続けてくれ。それでお終いか」
「補足しますとマウントシーでは全員がその対象となっています。
祭りの二週間前から順に行うことになってまして……
今朝はシンディ―さんが体を清めていたという訳です」
「うん。うまいうまい」
ブリリアントの作ったカレーも悪くない。
「大河さん。ちゃんと聞いてるんですか? これはお遊びではないんですよ」
まるでハッピー先生が乗り移ったかのよう。
彼女こそがハッピー先生の生まれ変わりに見える。
どっかのアリア先輩なんかよりも。
「分かってるって。でもそれは俺には関係ない話だろ」
「もう大河さんふざけ過ぎですよ。真剣に聞いてください! 」
呆れられる。だが実際島の外から来た人間にとってはどうでも良いこと。
いくら故郷を棄てこの島の住民になるとしても。
もちろん尊重はする。だが無理強いは良くない。
「それで君はいつ? 」
「もう大河さんたら…… 興味ありますか? 」
「神聖なものだろ。偶然お目にかかったがいいものだったよ。
やっぱりブリリアントのも見てみたいんだ」
「大河さん…… 」
言葉に詰まる可愛らしいブリリアント。
「だから恥ずかしがらなくていい」
「分かりました。では話を切り替えて」
頬を真っ赤に染め定時報告。
「ありがとう。また後で。ダンスも頼むよ」
「ええっ? 大河さん下手なんですから自覚してください。私にはこれ以上…… 」
ブリリアントが生意気な口を叩く。
好き勝手言いやがって。ははは…… まあいいか。
彼女を帰すと急いで服を着替え部屋を出る。
ブリリアントにより貴重な情報を得る。
マル秘情報。
防人ドルチェ 高所恐怖症。家が貧しい。
深海エレン 島一番の美少女と評判。
島内シンディー 体全体に無数の傷跡。
岬アリア 不明。大人の色香が漂う。噂とは正反対の見た目。
ハッピー先生 島をお作りになられた英雄と共に。副村長からの信頼も厚い。
薬の調合も爆弾の製造もお手のもの 子供は……
銃声がマウントシー全体に響き渡る。
昨日に引き続き射撃訓練が行われていた。
射撃を簡単にパスしたので早めに切り上げることに。
見学席でつまらなそうにしているブリリアントに話を聞く。
「あれシンディ―さんは? 」
「彼女なら射撃は見るのも聞くのも嫌なので一人で室内に戻ってるそうです」
窓際の席で憂いでいる少女。
部屋で一人読書で暇を潰すシンディーを発見。
ちょうどいい機会。話を聞く頃合いかな。
「シンディー」
聞こえなかったのか反応が無い。
何度も呼びかけるが相手する気はないらしい。
パタパタ
パタパタ
突風により窓際に座っていた少女の本が何ページも捲れて行く。
続く
これが二人の交わした約束とは言え正直面倒だ。
ただ気遣いのできるブリリアントに悟られてまた傷ついては敵わない。
優しく見守ってやるのがいい。
「大河さんのお口に合いますか? 」
「何でもいいから早く教えてくれ」
照れてる彼女に早く話すよう促すが話を逸らされる。
まさか朝からカレーとはワイルド過ぎる。
パンと肉とサラダでいいのに。なければ缶詰ぐらいあるだろ。
「なあ教えてくれないかブリリアント」
嫌がるのは分かるがこれは俺にとって重要なこと。知らない訳にはいかない。
渋々話し出すブリリアント。そうそれでいいんだ。
「毎年行われる祭りは島民にとって年に一度の一大行事。
大変価値のある神聖なものとされています。
島の発展と民の安全や健康に幸福、子の成長に長寿。
そして神との融合が祭りのテーマです」
一拍おく。祭りのパンフレット片手に熱弁をふるう真面目な島民ブリリアント。
これをいつも肌身離さず持ち歩いているのだとか。大河さんも一枚と言うので断る。
「祭りに参加するにあたり参加者は体を清める必要があります。
未婚の女性を対象に十五から二十未満の少女に限り沐浴する習わしとなっています。
分かりましたか大河さん。これ以上はちょっと…… 」
自慢? まるでどっかの教師のようだ。
もちろんハッピー先生の真似なんだろうがどうも俺を見下してる感じがして嫌だ。
「大変分かりやすい限りです先生」
ふざけてみる。
乗ってくれるかと思いきや表情を硬くし低く抑えた声で脅すブリリアント。
「大河さん。何と罰当たりな! 呪われてしまいますよ」
いつものブリリアントではない。因習にとらわれた島っ子。
裏の顔を見た気がする。いや裏の裏の顔か。
「いいから続けてくれ。それでお終いか」
「補足しますとマウントシーでは全員がその対象となっています。
祭りの二週間前から順に行うことになってまして……
今朝はシンディ―さんが体を清めていたという訳です」
「うん。うまいうまい」
ブリリアントの作ったカレーも悪くない。
「大河さん。ちゃんと聞いてるんですか? これはお遊びではないんですよ」
まるでハッピー先生が乗り移ったかのよう。
彼女こそがハッピー先生の生まれ変わりに見える。
どっかのアリア先輩なんかよりも。
「分かってるって。でもそれは俺には関係ない話だろ」
「もう大河さんふざけ過ぎですよ。真剣に聞いてください! 」
呆れられる。だが実際島の外から来た人間にとってはどうでも良いこと。
いくら故郷を棄てこの島の住民になるとしても。
もちろん尊重はする。だが無理強いは良くない。
「それで君はいつ? 」
「もう大河さんたら…… 興味ありますか? 」
「神聖なものだろ。偶然お目にかかったがいいものだったよ。
やっぱりブリリアントのも見てみたいんだ」
「大河さん…… 」
言葉に詰まる可愛らしいブリリアント。
「だから恥ずかしがらなくていい」
「分かりました。では話を切り替えて」
頬を真っ赤に染め定時報告。
「ありがとう。また後で。ダンスも頼むよ」
「ええっ? 大河さん下手なんですから自覚してください。私にはこれ以上…… 」
ブリリアントが生意気な口を叩く。
好き勝手言いやがって。ははは…… まあいいか。
彼女を帰すと急いで服を着替え部屋を出る。
ブリリアントにより貴重な情報を得る。
マル秘情報。
防人ドルチェ 高所恐怖症。家が貧しい。
深海エレン 島一番の美少女と評判。
島内シンディー 体全体に無数の傷跡。
岬アリア 不明。大人の色香が漂う。噂とは正反対の見た目。
ハッピー先生 島をお作りになられた英雄と共に。副村長からの信頼も厚い。
薬の調合も爆弾の製造もお手のもの 子供は……
銃声がマウントシー全体に響き渡る。
昨日に引き続き射撃訓練が行われていた。
射撃を簡単にパスしたので早めに切り上げることに。
見学席でつまらなそうにしているブリリアントに話を聞く。
「あれシンディ―さんは? 」
「彼女なら射撃は見るのも聞くのも嫌なので一人で室内に戻ってるそうです」
窓際の席で憂いでいる少女。
部屋で一人読書で暇を潰すシンディーを発見。
ちょうどいい機会。話を聞く頃合いかな。
「シンディー」
聞こえなかったのか反応が無い。
何度も呼びかけるが相手する気はないらしい。
パタパタ
パタパタ
突風により窓際に座っていた少女の本が何ページも捲れて行く。
続く
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説




どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる