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差出人不明の招待状
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マウントシーにある洋館が非常事態に陥っている。
一人を除き悪夢に悩まされていた。
昨日からこの状態が続いており収まる気配が無い。パニック状態。
ついには最後の一人も耐えきれずに同化してしまう。
「ううう…… 」
「はあはあ…… 息が苦しい」
「ここに居ていいの? 私はここの人間じゃない! 」
「違うんです…… ううん私ではないんです。私では…… 」
「すべてを奪っていいと思ってるの? 」
「その橋を渡っちゃだめ! 早く戻って来て! 自分のせいじゃ…… 」
「そんな略奪が許されると思う訳? 慣習? 地域の決まり? 自由? 」
「我が愛しき人よ。どうぞ誰かお守りください。助けてお願いします 」
「早く…… 目を覚まさないと大変なことになる。お願い早く! 」
二日ぶりのマウントシー。
洋館に戻ると大変な事態に?
拍子抜けするほど穏やかで上品な少女たち。
警戒するような出来事は起きていなかった。ただ何もないのが逆に不気味だ。
「ハッピー先生。大河さんお帰りなさい」
駆けつけた四人が同時に発する。
隠れるようにその後ろに岬アリアの姿があった。
不機嫌な顔で出迎えた彼女はなぜか立ち尽くしている。
少女たちはおしとやかで落ち着いた雰囲気。感情に乏しい氷の微笑みでお出迎え。
ちょっと何なの?
ついさっきまで皆苦しんでいたじゃない。
納得が行かない。
さっきまでうなされていた悪夢は何だったの?
いつの間にか元に戻っている。こんなことあり得るの?
絶句するアリアだった。
「どうしたんですか岬さん? 顔色がよろしくありませんね」
ハッピー先生ことミス・マームが心配する。
「いえ何でもありません。無事に帰って来て何よりです。失礼します」
そう言うと一度俺を睨みつけて自室へ戻っていった。何か言いたそうだったが。
まあいいか。皆無事だったことを喜ぶべきだろう。
何か起きるとは思ってなかったが…… 拍子抜けするほど明るい少女たち。
食糧問題とミス・マームの異常までの心配症に俺自身動揺していた。
もう彼女たちも子供ではない。心配のし過ぎは良くない。
やっぱりそうだ。
アリアはある事に気付いた。
彼女たちにとってミス・マームは無くてはならない尊い存在。
やはり彼女たちにとってハッピー先生の存在が安心感を与えている。
自らの意思で飛び込んだとはいえ観察者として彼女たちを見守るにも限界がる。
それに何の収穫もないとなれば消化不良に感じる。
ここはひとまずハッピー先生に相談するべきだろうか。
まさかあの男に相談するのもおかしいしな。
それにしてもあの男が戻ってきた。もう一度彼を唆すのも悪くない。
何も私の手を煩わさずとも頭を使えばいい。彼を利用するのだ。
ミス・マームと別れ自室に戻ると部屋は無茶苦茶になっていた。
誰かが入ったのだ。そこら中がグッチャグチャ。
物色された跡が堂々と残っている。
今のところ誰がやったかは不明。少女たちに違いないが。
俺が留守の間に物色したのだろう。
せめて片付けて行けばいいものを一体どう言うつもりだろうか?
脅しか警告か? ただ片付けができない? それにしてもここまでやるとは……
散乱した紙類をまとめる。
元々部屋の鍵は掛けていなかった。侵入しようと思えばいつでも入れる状態。
少々軽率だったが敵の狙いが何なのか把握できた。恐らくこれだろうな。
どうやら敵さんも本気ではなかったのだろう。警告に過ぎない。
だが本当にこんなものが何の役に立つ? 俺には無くてはならないものだが……
当然俺の情報を収集しているのだろう。やはり慎重に行動する必要がある。
島はどこも安全とは言えなくなった。元からそうだったがな。
寝首を掻かれる前に目的のものを探さなくてはならない。急ぐとしよう。
うんこれは……
部屋の片づけを終えるといつの間にかドアに挟まれていたカード。
机の上に放り投げる。
コーヒーで心を落ち着かせてからゆっくりと目を通す。
うん苦いな。これは渋すぎる。俺の好みじゃない。
『親愛なる大河へ。あなたがお求めのあるものに関する重要なお話があります。
深夜十二時に別館へお越しください』
差出人不明の招待状を受け取る。
明らかに怪しい。
これは罠かもしれないな。だが行かなければ敵の正体も掴めない。
こっちもゆっくりはしていられない。
相手が何者か興味がある。誘いに乗ってみるか。
続く
一人を除き悪夢に悩まされていた。
昨日からこの状態が続いており収まる気配が無い。パニック状態。
ついには最後の一人も耐えきれずに同化してしまう。
「ううう…… 」
「はあはあ…… 息が苦しい」
「ここに居ていいの? 私はここの人間じゃない! 」
「違うんです…… ううん私ではないんです。私では…… 」
「すべてを奪っていいと思ってるの? 」
「その橋を渡っちゃだめ! 早く戻って来て! 自分のせいじゃ…… 」
「そんな略奪が許されると思う訳? 慣習? 地域の決まり? 自由? 」
「我が愛しき人よ。どうぞ誰かお守りください。助けてお願いします 」
「早く…… 目を覚まさないと大変なことになる。お願い早く! 」
二日ぶりのマウントシー。
洋館に戻ると大変な事態に?
拍子抜けするほど穏やかで上品な少女たち。
警戒するような出来事は起きていなかった。ただ何もないのが逆に不気味だ。
「ハッピー先生。大河さんお帰りなさい」
駆けつけた四人が同時に発する。
隠れるようにその後ろに岬アリアの姿があった。
不機嫌な顔で出迎えた彼女はなぜか立ち尽くしている。
少女たちはおしとやかで落ち着いた雰囲気。感情に乏しい氷の微笑みでお出迎え。
ちょっと何なの?
ついさっきまで皆苦しんでいたじゃない。
納得が行かない。
さっきまでうなされていた悪夢は何だったの?
いつの間にか元に戻っている。こんなことあり得るの?
絶句するアリアだった。
「どうしたんですか岬さん? 顔色がよろしくありませんね」
ハッピー先生ことミス・マームが心配する。
「いえ何でもありません。無事に帰って来て何よりです。失礼します」
そう言うと一度俺を睨みつけて自室へ戻っていった。何か言いたそうだったが。
まあいいか。皆無事だったことを喜ぶべきだろう。
何か起きるとは思ってなかったが…… 拍子抜けするほど明るい少女たち。
食糧問題とミス・マームの異常までの心配症に俺自身動揺していた。
もう彼女たちも子供ではない。心配のし過ぎは良くない。
やっぱりそうだ。
アリアはある事に気付いた。
彼女たちにとってミス・マームは無くてはならない尊い存在。
やはり彼女たちにとってハッピー先生の存在が安心感を与えている。
自らの意思で飛び込んだとはいえ観察者として彼女たちを見守るにも限界がる。
それに何の収穫もないとなれば消化不良に感じる。
ここはひとまずハッピー先生に相談するべきだろうか。
まさかあの男に相談するのもおかしいしな。
それにしてもあの男が戻ってきた。もう一度彼を唆すのも悪くない。
何も私の手を煩わさずとも頭を使えばいい。彼を利用するのだ。
ミス・マームと別れ自室に戻ると部屋は無茶苦茶になっていた。
誰かが入ったのだ。そこら中がグッチャグチャ。
物色された跡が堂々と残っている。
今のところ誰がやったかは不明。少女たちに違いないが。
俺が留守の間に物色したのだろう。
せめて片付けて行けばいいものを一体どう言うつもりだろうか?
脅しか警告か? ただ片付けができない? それにしてもここまでやるとは……
散乱した紙類をまとめる。
元々部屋の鍵は掛けていなかった。侵入しようと思えばいつでも入れる状態。
少々軽率だったが敵の狙いが何なのか把握できた。恐らくこれだろうな。
どうやら敵さんも本気ではなかったのだろう。警告に過ぎない。
だが本当にこんなものが何の役に立つ? 俺には無くてはならないものだが……
当然俺の情報を収集しているのだろう。やはり慎重に行動する必要がある。
島はどこも安全とは言えなくなった。元からそうだったがな。
寝首を掻かれる前に目的のものを探さなくてはならない。急ぐとしよう。
うんこれは……
部屋の片づけを終えるといつの間にかドアに挟まれていたカード。
机の上に放り投げる。
コーヒーで心を落ち着かせてからゆっくりと目を通す。
うん苦いな。これは渋すぎる。俺の好みじゃない。
『親愛なる大河へ。あなたがお求めのあるものに関する重要なお話があります。
深夜十二時に別館へお越しください』
差出人不明の招待状を受け取る。
明らかに怪しい。
これは罠かもしれないな。だが行かなければ敵の正体も掴めない。
こっちもゆっくりはしていられない。
相手が何者か興味がある。誘いに乗ってみるか。
続く
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