ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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最終回 感動のフィナーレ おまけ付き

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ニ―チャット上空。

「降ろしなさいよ! 」

「止めてくれ! 落ちる! 落ちる! 」

怪力でぎっちり掴まれていては抵抗しても意味がない。

歌ったばかりに救世主ジャスラの怒りをかった。でも確か魔王は私の味方のはず。

飼い主である魔王の命令に背くつもり? まさかジャスラの暴走?

まあ理性の無い化け物では仕方がないわね。

「ほらスティ―! 暴れないでくれよ」

「太郎も少しは抵抗してよね! 」

無駄だと取り合わない。

ギャア
ギャア

ジャスラは猛スピードで大空を駆け抜ける。

もし今間違って落ちたら…… 考えただけでゾッとする。

太郎の言う通り諦めるのも一つの手。あーあ。


「あれ? おかしいな…… 」

太郎が異変に気付く。

「どうしたの太郎? 」

「方向が違う。魔王城は反対だ」

「そう? この際別にどっちでもいいんじゃない? 大したことじゃないと思うんだけど」

「でも逆だよ。何か意図を感じるよ」

太郎には悪いけどこの化け物にそんな考えあるわけない。

「ただ寄り道しただけでしょう」

「そうかな…… 」

太郎が言うには現在地はニ―チャット上空だとか。

まあどうでも良い。解放されなければどこを飛ぼうが興味はない。

どうぞ好きにお飛びください。

ギャア
ギャア

ジャスラは減速し始めた。目的地は近い。


その頃ガムとドッドはニ―チャットに帰っていた。

馬車ではなく歩き旅だったので随分と時間がかかったがようやく目的地の村へ。

「ふう! 疲れたぜ! 」

「あなたがケチって歩くなんて言うから」

「だってよ。もったいないだろう? 」

「嘘…… 信じられない! 」

「いや金はあるよ。でもほらせっかく最後の旅。歩いてゴールを目指すのが男ってものじゃねえか」

「嘘…… 信じられない! 」

「いやだってよ…… まあ着いたから文句言うなよな」

「嘘…… 信じられない! 」

「しつこいな! 疲れてるんだ早くお前のうちに招待してくれよ! 」

ガムの故郷の小さな村。その村の外れ。

ボロボロだがまだ家は残っていた。

「嘘…… 信じられない! 」


ギャア
ギャア

「しつこい! ギャアギャア言うなよ! 」

「嘘…… 信じられない! 」

「はあ? 何が信じられない? いい加減にしろ! 」

ドッドは我慢の限界。

遠くの空を見つめるガム。そして再び繰り返す。

「嘘…… 信じられない! 」

「まったく! うん? 」


ギャア
ギャア

ジャスラが降下。

手に抱えた荷物を乱雑に落として飛び立って行く。

「もう何するのよ! 痛いでしょう! 」

「スティ―落ち着いて」

「だって太郎。あれ…… ここは? 」

「さあ…… 」

「嘘…… 信じられない! 」

「まだ言ってるよこの人」

「ガム…… 」

「ステーテル? 」

「ガム! 」

「ステーテル! 」

涙が自然に溢れる二人。

「ご無事で! 」

「もう置いて行ったくせに! 」

手を取り抱き合った。そして再会のキス。

「一応俺もいるんだけどな…… 」

ドッドには二人の世界に割り込む力はない。

しょうがない。太郎でいいか。

「太郎! 」

「えっと…… 誰? 」

「ドッドだ! いいから喜びの抱擁をするぞ! 」

「冗談でしょう? 」

「太郎! 」

「うわああ! 止めてくれ! 」


「もう何してるんですか! 」

「太郎もドッドも何やってるの? 」

「ははは! お前らの真似だ! 」

「さあ、ふざけてないで入ってください」

ガムのお家に招待される。


「ほらステーテルも! 」

「はーい! 行こう太郎」

「へーい」

「ははは! 」


こうしてステーテルは王子と共にガムの故郷の村で幸せに暮らしましたとさ。


おしまい。


ニーチャット編 <完>


おまけ。

「旨い! これは何だ? 」

「タコ焼きとか言ってました」

「タコ? おおタコが入っておるのか? それは珍しい」

「王子はもう食べたのでもうありませんが…… 」

「よしお前のを寄越さぬか! 」

「もう王子。いい加減にしてください! 」

ふうふう
ふうふう

結局取られてしまう。

「うん。あれは何だ? 」

「ああ。骨董屋ですよ。行ってみましょうか? 」

「そうだな何か面白そうなものが置いていそうだ」

乱射王子とタレイは果てしない旅の途中。


「いらっしゃい! 」

「おい! この金色に光る物は何だ? 」

「さあただ物凄い品だと言うことしか分かりません」

「それでいくらだ? 」

「ええっと…… 金貨一万枚でいかがでしょう? 」

「高すぎるぞ! 」

「商売ですから」

「ただのカードに一万枚? 」

「何でもゴールドカードと言って持っていると奇跡が起きるのだそうです」

「おい! 」

「王子。無理ですって。ありませんよそんな金」

「よしツケで頼む」

「はああ? 受け付けておりません」

「なら分割でどうだ? 」

「無理をおっしゃられても…… 」

「うーん。困ったな。欲しいのに」

「他のでは? 」

「いやこれがいい! ちょっと見せてくれないか? 」

「お客様傷をつけないで! 」

「ははは! 心配するな。 すぐ返すから」


乱射王子はゴールドカードを高く掲げる。

「王子! お止めください! また余計なことをしては…… 」
 
「それでお客さん方は旅の人かい? 」

「ああ西に向かっている」

「そうするとえっと…… 」

「そうだそうだ。新世界だったかな」

「新世界? 」
 
「いざ! 新世界へ! ははは! 」

「王子! 」

ゴールドカードが太陽光の反射で光る。


「それでお客さん…… 」

いつの間にか姿を消した二人組。

「あいつら! 金も払わないで! どこへ行きやがった! 」


「うわああ! 」

乱射王子とタレイは新世界へ飛ばされた。

二人にとって長い長い旅の始まり。


新世界へ!


 <完>

『ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます!
理想の王子様を求めて世界へ 』

 <完>

この物語はフィクションです。


後書き

この物語ができるまで。
まず元となったのはカードゲーム。
ちょっとしたカードゲームを開発しようと思ってプログラミングのお勉強。
面倒臭くなったのと目に良くないこともあって断念。
昨年の夏頃少女を主人公にした物語をと考えていたらこれ。というよりこれしかなかった。
ド・ラボーの由来 『アドラボー』 英語で物凄い美人みたいな意味。
この辺から王子と結婚を許された女性みたいな形になりこの物語が生まれた。
大体こんな感じ。
ステーテルはド・ラボーから。ドロボウと言うことでスティール。そこからステーテルへ。

目標。
初めて女の子を主人公に。女性向けの恋愛。当初は女の子向けに作っているつもりだったんだけど難しくてそのうち男の子向けのファンタジーに変化。まあ宇宙人やジャスラにニッシーに魔王では着いてこれなくなりそうだとは思ったが…… ここは反省。
二十万字を目標にやって来たので達成できてよかった。

トラブル。
ナナチャットの知で知を争う戦い。当初はただ情けない王子を試験に合格させる為にいろいろと画策すると言うお話だったんだけど現実世界でモデルとなったニューヨーカーの方が受かってしまい大幅な修正をすることになってしまった。ほぼメインで考えていたので激震が走った。二国分ぐらい引っ張れたのに残念。

最後に。
太郎王子やランが活躍する物語。
『太郎王子と七人の旅人~太郎王子と五人の花嫁』〇〇う 掲載作品
なぜ太郎が囚われたのか? 太郎の罪とは? この物語では語られなかった太郎の過去が明らかに。

参考文献
『太郎王子と五人の花嫁』他サイトで掲載

次回予定
ミステリー物。 本格風ホラーミステリー+冒険風味ファンタジー クローズドサークル。
三月初め予定

二月現在
      
          二廻歩


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