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謎の女・ラン
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ゴールドカードの代わりに魔王からの手紙を渡す。
『この者の安全を保障せよ! さもなくばどうなるか分かるな? 』
魔王の脅しが書かれていた。
「何を! 」
すぐに頭に血が上るタイプの国王。親書をビリビリに破り捨てる。
見事と言うか清々しいと言うか。とりあえず拍手。これでごまかせる?
「おお…… またやってしまった。怒りっぽくていかん」
魔王の手紙によって危機的状況に陥りかけたが何とか国王が冷静さを取り戻す。事なきを得る。
「済まん。済まん。それでツンデッラだったかな。我が城に何の用じゃ? 」
警戒を解いた国王。
この勢いで頼んでみる? でも太郎王子の助命を求めても無駄よね。
「フォフォフォ…… どうしたツンデッラ? 用が無いと言うならもう行くが。明日のこともあるしな」
笑顔を湛える余裕さえある国王。さすがは世界を治めるだけの男。侮れない。
「お待ちください! 」
ここで逃げられてはならない。腕を掴む。
「止さぬか! 仮にも国王だぞ! 」
「何をしている! 」
異変を察知した家来に囲まれる。
「よい。問題ない。下がっておれ! 」
「申し訳ありません。ついつい…… 」
「まったく困ったのう。フォフォフォ…… 」
そう言いながら満更でもない表情。これは気をつけなくては。
国王。即ち太郎の父。であるならばこれはいっそのこと告白して味方に付けるのも一つの手……
「もう時間だ。明日の準備に取り掛からねばならない」
「明日ですか? 」
「いや…… ちょっとした後始末さ。知らぬ方が身のため。詮索は止めておけ! お嬢さんには辛いだろう? 」
「まさか…… いえ何でもありません」
どうやら太郎の処刑は明日。魔女の言っていた通り。
本当にもう時間がない。タイムリミットが迫っている。
謁見を終える。
明朝に決行するようだがそれまでに間に合う?
どうしたらいいのガム?
だめ! ガムはいないの。まだガムに頼ろうとしている自分がいる。
これは私と太郎の問題。やっぱり自力で解決しなくちゃ。ガムだってそれを望んでいる。
負けない! 絶対に助けるんだから! 太郎待っててね!
決意を新たにする。
謁見を終え城内を案内してもらう。
別に興味ないんだけどな……
国王は魔王からの親書を無下にできない。部下一名を案内役に寄越す。まあ監視役かしら。
さあこれで自由にとはいかないでも希望は残る。
「ええこちらは…… 」
煌びやかな部屋を紹介されても心は動かない。
金や銀で施された装飾の数々。宗教色の天井画。
献上品や他国からの友好の品を延々見せられる始末。
自慢は結構。
だが案内役はこちらの気持ちを汲むはずもなく続ける。
あー疲れた!
用意してもらった部屋に戻ったのは夕方。
地味なお部屋。
部屋にはベッド以外何も置かれていないシンプルな作り。
まあ泊めてもらうのだから文句は言えない。
やはりド・ラボーと明かすべきだったか? ただの遣いではこれが限界。
まさか魔王の遣いだと思われてる? まあ概ね間違っていない訳だけど。
まさか警戒されている? ならば余計に慎重に行動しなくてはいけない。
トントン
トントン
「失礼します」
さっそくお食事。な訳はなく女が一人入ってきた。
もうしつこいんだから! いつまで付きまとう気かしら?
「あなたは? 」
「申し遅れました。ランです」
彼女の出現によって事態は好転する。
「ランさんですか。それで何か用ですか? 」
「実は…… 」
「はい? 冗談ですよね? 」
「いえ、事実です。助かりました」
「しかし証拠がなくては…… 」
「証拠? うーんそれは困りました。ではお連れすると言うのはどうでしょう? 」
「知ってるの? 」
「はい! 」
「分かりました。その時間で」
食事を終え部屋で一人。そわそわして落ち着かない。
九時きっかりにランが迎えに来た。
「さあ行きましょうか。着いてきてください」
ランの案内で目当ての場所へ。
果たして彼女は本当に信頼できるのか?
危険が伴う闇夜のお散歩。
続く
『この者の安全を保障せよ! さもなくばどうなるか分かるな? 』
魔王の脅しが書かれていた。
「何を! 」
すぐに頭に血が上るタイプの国王。親書をビリビリに破り捨てる。
見事と言うか清々しいと言うか。とりあえず拍手。これでごまかせる?
「おお…… またやってしまった。怒りっぽくていかん」
魔王の手紙によって危機的状況に陥りかけたが何とか国王が冷静さを取り戻す。事なきを得る。
「済まん。済まん。それでツンデッラだったかな。我が城に何の用じゃ? 」
警戒を解いた国王。
この勢いで頼んでみる? でも太郎王子の助命を求めても無駄よね。
「フォフォフォ…… どうしたツンデッラ? 用が無いと言うならもう行くが。明日のこともあるしな」
笑顔を湛える余裕さえある国王。さすがは世界を治めるだけの男。侮れない。
「お待ちください! 」
ここで逃げられてはならない。腕を掴む。
「止さぬか! 仮にも国王だぞ! 」
「何をしている! 」
異変を察知した家来に囲まれる。
「よい。問題ない。下がっておれ! 」
「申し訳ありません。ついつい…… 」
「まったく困ったのう。フォフォフォ…… 」
そう言いながら満更でもない表情。これは気をつけなくては。
国王。即ち太郎の父。であるならばこれはいっそのこと告白して味方に付けるのも一つの手……
「もう時間だ。明日の準備に取り掛からねばならない」
「明日ですか? 」
「いや…… ちょっとした後始末さ。知らぬ方が身のため。詮索は止めておけ! お嬢さんには辛いだろう? 」
「まさか…… いえ何でもありません」
どうやら太郎の処刑は明日。魔女の言っていた通り。
本当にもう時間がない。タイムリミットが迫っている。
謁見を終える。
明朝に決行するようだがそれまでに間に合う?
どうしたらいいのガム?
だめ! ガムはいないの。まだガムに頼ろうとしている自分がいる。
これは私と太郎の問題。やっぱり自力で解決しなくちゃ。ガムだってそれを望んでいる。
負けない! 絶対に助けるんだから! 太郎待っててね!
決意を新たにする。
謁見を終え城内を案内してもらう。
別に興味ないんだけどな……
国王は魔王からの親書を無下にできない。部下一名を案内役に寄越す。まあ監視役かしら。
さあこれで自由にとはいかないでも希望は残る。
「ええこちらは…… 」
煌びやかな部屋を紹介されても心は動かない。
金や銀で施された装飾の数々。宗教色の天井画。
献上品や他国からの友好の品を延々見せられる始末。
自慢は結構。
だが案内役はこちらの気持ちを汲むはずもなく続ける。
あー疲れた!
用意してもらった部屋に戻ったのは夕方。
地味なお部屋。
部屋にはベッド以外何も置かれていないシンプルな作り。
まあ泊めてもらうのだから文句は言えない。
やはりド・ラボーと明かすべきだったか? ただの遣いではこれが限界。
まさか魔王の遣いだと思われてる? まあ概ね間違っていない訳だけど。
まさか警戒されている? ならば余計に慎重に行動しなくてはいけない。
トントン
トントン
「失礼します」
さっそくお食事。な訳はなく女が一人入ってきた。
もうしつこいんだから! いつまで付きまとう気かしら?
「あなたは? 」
「申し遅れました。ランです」
彼女の出現によって事態は好転する。
「ランさんですか。それで何か用ですか? 」
「実は…… 」
「はい? 冗談ですよね? 」
「いえ、事実です。助かりました」
「しかし証拠がなくては…… 」
「証拠? うーんそれは困りました。ではお連れすると言うのはどうでしょう? 」
「知ってるの? 」
「はい! 」
「分かりました。その時間で」
食事を終え部屋で一人。そわそわして落ち着かない。
九時きっかりにランが迎えに来た。
「さあ行きましょうか。着いてきてください」
ランの案内で目当ての場所へ。
果たして彼女は本当に信頼できるのか?
危険が伴う闇夜のお散歩。
続く
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