ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
115 / 124

国王激怒! 魔王からの手紙 

しおりを挟む
訳も分からずに留守を押し付けられ何が何やら……

日が変わる頃。母と姉らしき人物が帰ってくる。

「ああもうダメ! 」

機嫌が悪い。酒に呑まれてしまったようだ。

「あの王子ったら若い子にばかり目が行っちゃってさ…… 最低! 」

「惜しいわね。私もあと少し若ければ。残念! 」

「お母さま…… 」

酔っぱらいの戯言にいちいち付き合ってられない。

「留守番ありがとう。何かあった? 」

「異常ありません」

余計な心配をかけたくない。魔女が来たことは黙っていよう。

「そうだツンデッラ。明日これを宮廷に届けてもらえないかしら」

そう言うと金色に光るカードを渡される。

「これは何? 」

「いいから! 渡してくれればそれでいいの」

酔っぱらっていて要領を得ない。

「へへへ…… おやすみなさい」

そのまま眠ってしまった。お酒が堪えたようだ。


夜明け前に家を出る。

「お母さま行ってきます!  ほんの少しの間でしたけど楽しかったです」

ぐっすり眠っている母には聞こえるはずもないが感謝の言葉を述べ家を出る。


宮廷へ。

宮廷。即ち太郎が囚われているところ。もうすぐ。もうすぐよ! 胸が高鳴る。

イーチャットか……

幼い頃は随分と悪さをしたもの。当時の記憶はあまりないけどまあ自慢できるようなことは一つもない。

それにしても随分ここも変わった気がする。馬車も人もあまり見かけない。目につくのはカブだけ。

うーん。気持ち悪い。空気も汚れている。天気だって良くない。どんよりしていて嫌な感じ。


魔王城の宝箱から使いきれないほどの金貨を手に入れていた。もちろん皆と山分けした結果だけど。

それでも困ることはない。食事にも服にも装飾にも使いきれないほど。資金の心配はない。


他国とは比べものにならないほどの発展を遂げたお洒落な町イーチャット。

今向かってる宮廷にはどれほど物があるか見当もつかないが何が隠されていても不思議ではない。

そう言う意味でも興奮する場所。まあ今回はそんな暇ないけれど。


ちょうどいい具合にカブを発見。

カブは自動なので楽でいい。行先を念じると連れて行ってくれる優れもの。

ただしよからぬことを考えていると動かない。そこだけは注意する必要がある。

太郎奪還もよからぬことの一つ。悟られないように気をつける。

宮廷まで超特急。さあ上手く国王の所まで……


「おい! 」 

やはり警備は厳重。出入り口で止められてしまう。

「怪しい奴め! 」
 
一人二人三人と集まってくる。

「国王様にお届け物です」

「はあ? 嘘を吐くな! 」

早朝に訪ねる非常識な者には手厳しい。

「いい加減にしろ! 誰が信じるか! 」

ここで押し問答してる時間はない。

カードを見せる。

金色に輝くカード。どうやら家宝らしいのだが詳しく聞く暇もなかった。

「これを王様が? 確認させてもらう。そこで待ってろ! 」

「急いで! こっちも予定があるんですから! 」

「うるさい! 下手な真似をするな! 命はないぞ! 」

「はいはい」

取り次いでもらうが忙しいと拒否。

仕方がなく勝手に中へ。

「おいふざけるな! 」

押し問答の末にお目通りが叶う。


謁見。

国王が姿を現した。

「どうした無礼者よ? 」

「お届けものです」

「今は明日の準備で忙しい。また日を改めてくれぬか? 」

「それは困ります! すぐに済みますので」

「分かった。分かった」

「これをお納めください」

ゴールドカードを渡す。

「何じゃこれは? 」

国王は身に覚えがないと言う。困った人。

「これを…… うーん。要らぬわ」

元も子もないことを言う。

「しかし…… 」

「要らんと言ってるだろう! 」

どうやら手違いらしい。


「ではこれなどいかかがでしょう」

もちろんこんな時の為に代わりを用意している。

「どうぞお受け取りください! 」

「ううん? 何じゃそれは? 親書? 」

魔王からの手紙を渡す。


『この者の安全を保障せよ! さもなくばどうなるか分かるな? 』

魔王による脅し文句が書かれていた。脅迫状? 挑戦状?

魔王は私の為に一肌脱いでくれた。

まさかただの挑戦状なんて思わなかった。

「何だこれは? 冗談のつもりか? 」

「その…… 卑しき身分ゆえ分かりかねます」

「ふざけるな! こんなもの! 」

国王は怒りに任せてビリビリに破いてしまう。

これは非常にまずい展開。

国王の怒りを鎮めなくては私の身が危ない。

魔王ったら…… もうせっかくの親書も逆効果じゃない。

                 続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」 結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は…… 短いお話です。 新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。 4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

君は妾の子だから、次男がちょうどいい

月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

処理中です...