ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

文字の大きさ
上 下
111 / 124

魔王豹変 魔王城脱出

しおりを挟む
ドッドたち三人のナイトの活躍で魔王からステーテルを取り戻す。

「さあ急ぐぞ! 」

ドッドが手を掴む。

もう本当に強引なんだから……

「アルカンダラ王子はどうしてる? 」

「大丈夫だ。震えてやがるみたいだし害はないだろう」

あの見た目だとそう感じるわよね。でも…… 王子が変身してしまう前に一刻も早く逃げ出さないと大変なことに。

「さあ行くぞ! 遅れるな! 」

「おう! 」


全てが順調。そう思っていた。魔王の姿を見るまでは。

「あの…… お忘れですか。魔王です」

余裕なのか怒りを抑えているのか馬鹿丁寧な対応の魔王。

「何! まだ抵抗する力があるとは…… 」

ドッドも想定外だと嘆く。

「はい。それはもちろん。魔王様ですからね。不死身なんですよ」

「嘘を吐くな! 騙されないぞ! 」

ドッドの声が裏返る。

「いえ。少々大げさですが人間如きの力ではとてもとても。ははは! 」

余裕の魔王。紳士的な言動が逆に怖い。

「何だお前! 文句あるのか! 」

もはやどちらが魔王か分からないほどの口の悪さ。それに対して魔王は落ち着き払っている。

「やる気ですか? 」

「ふん! 望むところだ! 」

「ハイハイ」


「待って! 」

二人の前に立ち塞がり強引に止めに入る。

「どうしましたステーテル? 」

「約束でしょう? 鐘が鳴る前に救出できたら見逃すと」

「ええ。しかし鐘が壊れていた訳で…… 困りましたね」

「そんなことないわ! あれはこの人たちの陽動作戦の音。壊れてなんか…… 」

「だから何だ! 」

有無を言わせない高圧的な態度。ついに魔王にも余裕がなくなったか?

「その…… えっと…… 」

「はああ? はっきりしろ! 」

「もう私たちの勝利よ! 邪魔しないで! 」

ああ言っちゃった…… 怒ってるんだろうな。

怒り狂う魔王。嵐の予感。

「ふざけるな! 」

「ふざけてるのはあなた! 」

「何だと! 」

「いい加減にして! 約束は約束でしょう! 」

もうこれで通すしかない。怒り狂った魔王には通用しないって分かってるけど。

「この私を誰だと思っているんだ? 魔王様だぞ! 魔王様! 」

脅しをかけ屈服させる気満々の魔王。魂胆は見え見え。

「知ってるわ。だから何? 」

「ただで返す訳ないだろう! 」

結局魔王はお遊びをしていただけで約束は端から守る気など無かったらしい。

「さあ受けてもらおうか! 魔王の恐怖を存分に味わうがいい! 」

「もう本当に勝手なんだから! 」

「ふん! 人間如きが生意気に! 後悔するがいい! 」


魔王はナイト三名を順に見回す。

「まずは…… お前…… うん? 」

魔王の様子がおかしい。どうしたと言うのだろう?

「まさかお前。いやあなた様はサ―チャットの第三王子。通称乱射王子ではありませんか? 」

「いかにも! 今はお忍びで全国を回っている。この地まで我が名が轟いていたとはな愉快。愉快。
このステーテルの危機に駆け参じた次第だ」

もはや国から追放されたただの乱射野郎。だが今は彼の出任せに託す。

「申し訳ありません! どうかお許し下さい! 」

魔王の態度が一変。

「どう言うこと? あなたそんなに偉いし強いの? 」

「いやこの拳銃が怖いんじゃないか。乱射王子の異名も伊達じゃない! 」

「いやそれはただ馬鹿にされてるだけでしょう」

「ははは! 」

認めようとはせず笑ってごまかすプライド高き王子。


「それで魔王様。なぜこの乱射王子を恐れるのですか? 」

疑問でしかない。

「私は魔王である前に国王だ。クールシチャット国王であるぞ! 」

「ははあ! じゃないわよ! 」

「諸外国との関係を良好に保つことも重要。争いは国を亡ぼす。だから決して王族には逆らえない。
あなたは第三王子であり乱射王子。無用な手出しはご法度。どうぞお許しください」

何…… この乱射王子が有名で助かったみたい。

危機は去った。


「改めてお礼を言うわね。乱射王子」

「うむ。苦しゅうない! 」

「調子に乗らないで! 」

「ではこのステーテルをお返し頂こう」

「はい。ご自由に」

大人しく従う魔王。

「では失礼」

「少々お待ちを。ステーテルには渡したいものがあります」

魔王からの贈り物を頂戴する。

こうしてステーテルとナイト三名は無事魔王城から帰還。

                 続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】【35万pt感謝】転生したらお飾りにもならない王妃のようなので自由にやらせていただきます

宇水涼麻
恋愛
王妃レイジーナは出産を期に入れ替わった。現世の知識と前世の記憶を持ったレイジーナは王子を産む道具である現状の脱却に奮闘する。 さらには息子に殺される運命から逃れられるのか。 中世ヨーロッパ風異世界転生。

【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜

平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。 だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。 流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!? 魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。 そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…? 完結済全6話

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない

おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。 どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに! あれ、でも意外と悪くないかも! 断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。 ※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。

桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。 ※※※※※※※※※※※※※ 双子として生まれたエレナとエレン。 かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。 だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。 エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。 両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。 そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。 療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。 エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。 だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。 自分がニセモノだと知っている。 だから、この1年限りの恋をしよう。 そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。 ※※※※※※※※※※※※※ 異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。 現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦) ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦

処理中です...