ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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魔王豹変 魔王城脱出

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ドッドたち三人のナイトの活躍で魔王からステーテルを取り戻す。

「さあ急ぐぞ! 」

ドッドが手を掴む。

もう本当に強引なんだから……

「アルカンダラ王子はどうしてる? 」

「大丈夫だ。震えてやがるみたいだし害はないだろう」

あの見た目だとそう感じるわよね。でも…… 王子が変身してしまう前に一刻も早く逃げ出さないと大変なことに。

「さあ行くぞ! 遅れるな! 」

「おう! 」


全てが順調。そう思っていた。魔王の姿を見るまでは。

「あの…… お忘れですか。魔王です」

余裕なのか怒りを抑えているのか馬鹿丁寧な対応の魔王。

「何! まだ抵抗する力があるとは…… 」

ドッドも想定外だと嘆く。

「はい。それはもちろん。魔王様ですからね。不死身なんですよ」

「嘘を吐くな! 騙されないぞ! 」

ドッドの声が裏返る。

「いえ。少々大げさですが人間如きの力ではとてもとても。ははは! 」

余裕の魔王。紳士的な言動が逆に怖い。

「何だお前! 文句あるのか! 」

もはやどちらが魔王か分からないほどの口の悪さ。それに対して魔王は落ち着き払っている。

「やる気ですか? 」

「ふん! 望むところだ! 」

「ハイハイ」


「待って! 」

二人の前に立ち塞がり強引に止めに入る。

「どうしましたステーテル? 」

「約束でしょう? 鐘が鳴る前に救出できたら見逃すと」

「ええ。しかし鐘が壊れていた訳で…… 困りましたね」

「そんなことないわ! あれはこの人たちの陽動作戦の音。壊れてなんか…… 」

「だから何だ! 」

有無を言わせない高圧的な態度。ついに魔王にも余裕がなくなったか?

「その…… えっと…… 」

「はああ? はっきりしろ! 」

「もう私たちの勝利よ! 邪魔しないで! 」

ああ言っちゃった…… 怒ってるんだろうな。

怒り狂う魔王。嵐の予感。

「ふざけるな! 」

「ふざけてるのはあなた! 」

「何だと! 」

「いい加減にして! 約束は約束でしょう! 」

もうこれで通すしかない。怒り狂った魔王には通用しないって分かってるけど。

「この私を誰だと思っているんだ? 魔王様だぞ! 魔王様! 」

脅しをかけ屈服させる気満々の魔王。魂胆は見え見え。

「知ってるわ。だから何? 」

「ただで返す訳ないだろう! 」

結局魔王はお遊びをしていただけで約束は端から守る気など無かったらしい。

「さあ受けてもらおうか! 魔王の恐怖を存分に味わうがいい! 」

「もう本当に勝手なんだから! 」

「ふん! 人間如きが生意気に! 後悔するがいい! 」


魔王はナイト三名を順に見回す。

「まずは…… お前…… うん? 」

魔王の様子がおかしい。どうしたと言うのだろう?

「まさかお前。いやあなた様はサ―チャットの第三王子。通称乱射王子ではありませんか? 」

「いかにも! 今はお忍びで全国を回っている。この地まで我が名が轟いていたとはな愉快。愉快。
このステーテルの危機に駆け参じた次第だ」

もはや国から追放されたただの乱射野郎。だが今は彼の出任せに託す。

「申し訳ありません! どうかお許し下さい! 」

魔王の態度が一変。

「どう言うこと? あなたそんなに偉いし強いの? 」

「いやこの拳銃が怖いんじゃないか。乱射王子の異名も伊達じゃない! 」

「いやそれはただ馬鹿にされてるだけでしょう」

「ははは! 」

認めようとはせず笑ってごまかすプライド高き王子。


「それで魔王様。なぜこの乱射王子を恐れるのですか? 」

疑問でしかない。

「私は魔王である前に国王だ。クールシチャット国王であるぞ! 」

「ははあ! じゃないわよ! 」

「諸外国との関係を良好に保つことも重要。争いは国を亡ぼす。だから決して王族には逆らえない。
あなたは第三王子であり乱射王子。無用な手出しはご法度。どうぞお許しください」

何…… この乱射王子が有名で助かったみたい。

危機は去った。


「改めてお礼を言うわね。乱射王子」

「うむ。苦しゅうない! 」

「調子に乗らないで! 」

「ではこのステーテルをお返し頂こう」

「はい。ご自由に」

大人しく従う魔王。

「では失礼」

「少々お待ちを。ステーテルには渡したいものがあります」

魔王からの贈り物を頂戴する。

こうしてステーテルとナイト三名は無事魔王城から帰還。

                 続く
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