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ジャスラに連れられて 豆まき塩まみれナイト
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翼を広げこちらに向かってくる怪鳥ジャスラ。
「あいつか? 」
「ええ。ジャスラよ」
「気持ち悪いなあ! 」
「ああ本当に不気味だぜ」
ギャア!
ギャア!
「来るぞ! 準備はいいなお前ら? 」
「オウ! 」
まずは一振り。
豆を片手に間合いを測る。
「よしもう一度! 」
ギャアアア!
ウギャアア!
顔にヒット。
ジャスラは空へ。
態勢を立て直したところでロックオン。翼を大きく広げ突っ込んでくる。
「まずい! 避けろ! 」
ドッドの指示で誰も巻き込まれずに済んだ。
「いいかここからが勝負。気を引き締めて取り掛かるように! 」
作戦はこうだ。
ジャスラの攻撃を受けずにただ捕まえてもらう。まあわざと捕まる訳だけどなるべく危険が無いように。
自然に捕まる形に持って行けるかだ。ある意味協力プレイであり化かし合いでもある。
何度か避けて体力を奪いジャスラを疲れさせてから捕まえてもらう。
ギャア!
ギャア!
ジャスラは怒りを爆発させる。
三度襲ってくる魔王の僕。
「さあ今だ! 」
もう避けてなどいられない。豆を投げつけ視界を奪い、弱らせたところで群がる。
勢いを失ったジャスラはなおも暴れ回る。
一人離れて遠い安全な場所から見守るガム。
万が一の場合に指示を出せる冷静な人間が必要とドッドの判断。
「うわあ! 」
ついにドッドが捕まってしまう。
続いてコンプラの者。欲張って最後に例の問題児まで咥えていく。
さすがはジャスラ。予想を超える動き。まさか三人も連れ去るなどと思ってもみなかった。
さあ後は上手く進むことを願うのみ。
三人のナイトを連れ去った怪鳥ジャスラ。
ガムたちはジャスラの後を追う。
ジャスラは翼を広げ空高くに舞い上がり一度態勢を整えてから魔王城の方に姿を消した。
うん。作戦成功。
「ガムさん。これ以上は無理そうですよ」
「そうね。後は三人のナイトに任せるしかないみたい」
魔王城。
ギャア!
ギャア!
ジャスラは最上階の窓から中へ。
「おお! 獲物か。よくやったぞ。さあ戻りな! 」
ジャスラは獲物を置き去って行く。
うんうん。大量大量! パパに報告しなくちゃ。
アルカンダラ王子の姿があった。
「禁忌を犯し歌い上げた哀れな者たちよ。愚かな行為だと気づかずに歌い続けるとは真に残念至極。さあ愚か者には罰を与えるがよかろう」
罪と罰。人間が犯した罪を魔王たちの手で罰する。
王子の役目。それはジャスラによって捕えられた獲物を調理すること。
さあ味付けは何がいいかな。
調理開始。
清めの塩を塗りたくり一時間程横たえる。そうすることによって独特の臭みが薄れる。
それにしても魔王の子が清めの塩とは冗談にもならない。本来なら魔王たちが清められるべき存在なのだから。
王子の姿が見えなくなってから動く。
「ぺっぺ! 」
「おえええ! 」
「まったく何てことしやがるんだ。あの王子様はよう! 」
「まあまあ。これでうまく潜り込めたんです。感謝しなくては」
「もう一人も起こしてやってくれ。どうやら気絶しているようだ」
「はい。しかし思いのほか上手く行きましたね」
「ああ! 無傷だからな。死んだふりぐらいはするが確認を怠るか普通? 」
「いつもの獲物はもう瀕死の状態だったんでしょう」
「たぶんな」
「それなら動くことはない。だから確認もせずに放置してくれたんです」
「ぺっぺ! だからって塩まみれは無いぜ! 」
「ううん。もう朝? 」
三人目のナイトがお目覚め。
「ようやく起きたみたいだな。さあ行くぞ! 時間もねえ! 」
日暮れの鐘が鳴る前に助け出す。
「しかし王子はともかく魔王はどうすれば? 」
「そんなこと知るかよ! なるようにしかならないさ! 」
魔王城に入ること以外計画に無い。武器だってこの懐にある豆ぐらいでたぶん役には立たないだろう。
「それで王子はどこにいったんでしょう? 」
「たぶんおやじのところだろうな」
「ではそこに…… 」
「ああ。スティ―もいるはずだ! 」
「あんた大丈夫かい? 」
「うむ。心配ない。お守りは無事だ」
態勢が整った三人のナイト。
「さあ行くぞ! 」
「オウ! 」
部屋を抜け階段を下る。
この魔王城には魔王と王子しかいないのだ。危険はない。
警戒されないように足音を立てずに急ぐ。
三人のナイトは悪い魔王によって捕えられたステーテルをお助けすることができるのか?
魔王城編間もなく終演。
続く
「あいつか? 」
「ええ。ジャスラよ」
「気持ち悪いなあ! 」
「ああ本当に不気味だぜ」
ギャア!
ギャア!
「来るぞ! 準備はいいなお前ら? 」
「オウ! 」
まずは一振り。
豆を片手に間合いを測る。
「よしもう一度! 」
ギャアアア!
ウギャアア!
顔にヒット。
ジャスラは空へ。
態勢を立て直したところでロックオン。翼を大きく広げ突っ込んでくる。
「まずい! 避けろ! 」
ドッドの指示で誰も巻き込まれずに済んだ。
「いいかここからが勝負。気を引き締めて取り掛かるように! 」
作戦はこうだ。
ジャスラの攻撃を受けずにただ捕まえてもらう。まあわざと捕まる訳だけどなるべく危険が無いように。
自然に捕まる形に持って行けるかだ。ある意味協力プレイであり化かし合いでもある。
何度か避けて体力を奪いジャスラを疲れさせてから捕まえてもらう。
ギャア!
ギャア!
ジャスラは怒りを爆発させる。
三度襲ってくる魔王の僕。
「さあ今だ! 」
もう避けてなどいられない。豆を投げつけ視界を奪い、弱らせたところで群がる。
勢いを失ったジャスラはなおも暴れ回る。
一人離れて遠い安全な場所から見守るガム。
万が一の場合に指示を出せる冷静な人間が必要とドッドの判断。
「うわあ! 」
ついにドッドが捕まってしまう。
続いてコンプラの者。欲張って最後に例の問題児まで咥えていく。
さすがはジャスラ。予想を超える動き。まさか三人も連れ去るなどと思ってもみなかった。
さあ後は上手く進むことを願うのみ。
三人のナイトを連れ去った怪鳥ジャスラ。
ガムたちはジャスラの後を追う。
ジャスラは翼を広げ空高くに舞い上がり一度態勢を整えてから魔王城の方に姿を消した。
うん。作戦成功。
「ガムさん。これ以上は無理そうですよ」
「そうね。後は三人のナイトに任せるしかないみたい」
魔王城。
ギャア!
ギャア!
ジャスラは最上階の窓から中へ。
「おお! 獲物か。よくやったぞ。さあ戻りな! 」
ジャスラは獲物を置き去って行く。
うんうん。大量大量! パパに報告しなくちゃ。
アルカンダラ王子の姿があった。
「禁忌を犯し歌い上げた哀れな者たちよ。愚かな行為だと気づかずに歌い続けるとは真に残念至極。さあ愚か者には罰を与えるがよかろう」
罪と罰。人間が犯した罪を魔王たちの手で罰する。
王子の役目。それはジャスラによって捕えられた獲物を調理すること。
さあ味付けは何がいいかな。
調理開始。
清めの塩を塗りたくり一時間程横たえる。そうすることによって独特の臭みが薄れる。
それにしても魔王の子が清めの塩とは冗談にもならない。本来なら魔王たちが清められるべき存在なのだから。
王子の姿が見えなくなってから動く。
「ぺっぺ! 」
「おえええ! 」
「まったく何てことしやがるんだ。あの王子様はよう! 」
「まあまあ。これでうまく潜り込めたんです。感謝しなくては」
「もう一人も起こしてやってくれ。どうやら気絶しているようだ」
「はい。しかし思いのほか上手く行きましたね」
「ああ! 無傷だからな。死んだふりぐらいはするが確認を怠るか普通? 」
「いつもの獲物はもう瀕死の状態だったんでしょう」
「たぶんな」
「それなら動くことはない。だから確認もせずに放置してくれたんです」
「ぺっぺ! だからって塩まみれは無いぜ! 」
「ううん。もう朝? 」
三人目のナイトがお目覚め。
「ようやく起きたみたいだな。さあ行くぞ! 時間もねえ! 」
日暮れの鐘が鳴る前に助け出す。
「しかし王子はともかく魔王はどうすれば? 」
「そんなこと知るかよ! なるようにしかならないさ! 」
魔王城に入ること以外計画に無い。武器だってこの懐にある豆ぐらいでたぶん役には立たないだろう。
「それで王子はどこにいったんでしょう? 」
「たぶんおやじのところだろうな」
「ではそこに…… 」
「ああ。スティ―もいるはずだ! 」
「あんた大丈夫かい? 」
「うむ。心配ない。お守りは無事だ」
態勢が整った三人のナイト。
「さあ行くぞ! 」
「オウ! 」
部屋を抜け階段を下る。
この魔王城には魔王と王子しかいないのだ。危険はない。
警戒されないように足音を立てずに急ぐ。
三人のナイトは悪い魔王によって捕えられたステーテルをお助けすることができるのか?
魔王城編間もなく終演。
続く
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