ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく王子様を奪って見せます! 理想の王子様を求めて世界へ

二廻歩

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再会 この人誰だっけ?

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ドッドたちによる火あぶり作戦はガムの的確な判断で未遂に終わった。

魔王城の内外での攻防もそれ以降動きはない。


朝を迎える。

結局一睡もできなかった。ドッドたちが心配で寝れずに目を腫らす。

「失礼」

魔王が顔を見せる。

「さあブランチにしようか」

まったく何なのこの魔王様は? まるで緊張感が無い。

「王子は? 」

「心配するな。王子にもやることがある」

あっそう。どうでもいいけど。

「日暮れの鐘が鳴り終えたその暁には二人の祝福のパーティーをささやかながら催したいと思う。
それまでは王子とはしばらくの間お別れだ。我慢してくれるね」

王子は別にどうでもいい。まあお別れの挨拶ぐらいしてもよかったんだけどな……


誰が作ったんだか分からないパンをかじる。

何でできてるか分からないお肉にかぶりつく。

何が入ってるか分からないスープを飲み干す。

最後に季節外れのアイスクリームで満たす。

「まあ美味しくて凍えてしまいそう。ごちそうさま」

「ふふふ…… 随分ご機嫌斜めだね。ステーテル。おっとステーテルって呼んでいいかな? それともド・ラボー様とでもお呼びするればいいのかな? 」

「もう! ステーテルでいいわよ! 」

いちいちどうでも良いことばっかり気にして。ふざけてるのか本気なのか分からない。

「それで今日の予定は魔王様? 」

「日課の山菜採りに行きたいがね。まあ君に隙を与えるのは面白いと思うがここは我慢しよう。今日一日の辛抱さ」

抜け目のない魔王。

「それでここから脱出する方法は思いついたか? 一晩中考えてたなら何かいい考えでも浮かんだだろう? 」

「うるさい! ほっといてよ! 」

「ふふふ…… まあ考えたって無駄さ。ここは難攻不落の魔王城。無駄な抵抗ってやつだ」

魔王の絶対の自信。やっぱり無理なのかなあ……

「さあ話でもしようか」

食後の楽しみ? 魔王の昔話に付き合う。何か手掛かりがあるかもしれないと言われては真剣に聞くしかない。


その頃ドッドたちは……

「どうするんだガム? 」

「一晩考えたんだけど…… 」

「うんうん」

「全然思いつかないのよね。どうしましょう? 」

「くそ! 口だけかよ! 」

スティー! 済まねい。俺たちどうすることもできそうにないや。


「あの…… ガムさんは一度魔王城に入ったんですよね」

比較的良く知る村唯一の男が不思議そうに話す。

「どうやって入ったんです? 」

「それは怪鳥ジャスラにさらわれていつの間にか」

「記憶は? 」

「ほとんどない。気がついたら魔王城の中。魔王が目の前に座っていた。そして追い出されました。まあ邪魔だったんじゃないかしら」

「それだと魔王の目的がいまいち良く分からないんですが」

「目的? うーんそれはあなたの方が詳しいのでは?」

「普通に考えたら餌。でもあなたを帰すと言うことは他に目的があるのでは? 」

「そう言えばあなた魔王には家族がいるようなこと言ってなかった? 」

「ええ。少なくても一人。たぶん子供じゃないかな」

「子供ね。まさか…… 」
 
「それが何か? 」

「魔王は意外と単純なのかもしれないわね」

「単純? 良く分かりません」

「まあいいわ」


「おい! それで何か分かったか? 」

ドッドが加わる。

手掛かりも今のところなし。魔王城攻略にはまだ時間がかかりそうだ。

ガムの指示で休息をとり最後の作戦に備える。これで疲れも多少取れ、頭の回転も良くなるだろう。

「うん。すっきりしたぜ。何か良い考えが浮かびそうだ」

単純なドッド。もうその気になっている。


「それでドッド? 」

「うーん。俺は頭使う方じゃないからな。ガム頼む」

「結局人任せなんだから! 」

「誰か思いついた者は? 」

「えっと…… とりあえず魔王城の全体像を頭に入れておきたい」

「あれあなたは? 」

「久しぶりだなガム。元気してたか」

「あなたもここへ? 」

「ああ。付き添いだ。ステーテルのピンチに駆けつけたのさ」

「そうするとやっぱりあの方も…… 」

「大丈夫。今回は頼もしい味方だ」

嫌な予感しかしない。

大惨事にならなければいいけど。


                  続く
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